48 著作権。
中学生の頃、大人しそうな他の学区の子と同じ班になって、グループで良く遊んでた。
最初は慣れて無いからだろうなって感じで、愛想笑いが多かったんだけど。
学期が上がる少し前には、すっかり話してくれる様になって。
本当に、普通に馴染んでた。
それで、いつものグループで休みの日に遊びに出掛けた時、その子が知らない女の子に怒鳴られてたんだよね。
何で、私の事を自分の事みたいに言うの、って。
私達は最初、何の事か全く分からなくて。
それこそ変な子に絡まれちゃったのかな、とか思ってたんだけど。
「遊園地で友達と会った事も、初恋の人の事も、何で取り上げるの」
って。
それ、私達がその子の出来事だって聞かされてた事で。
何か、変だな、おかしいなと思ってたら。
絡まれてた子が、走って逃げちゃったんだよね、私達を置いて。
で、絡んだ子は大泣きしてて。
取り敢えず落ち着かせないとだし、話を聞こうと思ってカラオケに入ったんだよね。
そこでやっと分かったんだ。
逃げ出した子が、凄い虚言癖だって。
その子の家はネグレクト気味で、家族旅行も行った事が無い。
前の学区の子達は知ってたけど、別に悪い子じゃないから普通に付き合ってた。
けど別れる事になって、偶には会おうねって。
そうやって偶に会って遊んでたらしいんだけど、今まで聞いた事も無い家族旅行の事を話し始めたり、前まで好みじゃなかった男の子の事を話し始めて。
新しい生活で、少し家の中も変わったのかな、そう思う程度だったんだって。
けど、直ぐに変だって気付く事になった。
少しして、有り得ない筈の、過去の家族旅行の事も話し出したから。
その子の学区では、ネグレクト気味だって知れ渡ってたんだよね。
七五三も何もしてない、名前も適当に付けたし意味は特に無い、話し掛ける事も無い。
家族旅行なんて、どうせ直ぐに忘れるんだし、思い出なんて有ってもどうせ余所に嫁ぐんでしょ。
そうやって、手もお金も全く掛けて貰えない子だって、親に相談したら教えて貰ったって。
それで怖くなって、ウチの学区に来てる子に探って貰ったら。
案の定、自分達の思い出を言い触らしてた。
最初は、責める気は無かった。
けど、ネットにまで書いている事を知って、呼び出そうとした。
けど来なかった。
それ以来、連絡が全く無かった。
そんな時、楽しそうな姿を見て、怒りが湧いて。
こうして、問い詰める事になって、ごめんなさいって。
私達はあんまりの事だし、鵜呑みに出来無くて、連絡先の交換だけしてその日は解散。
で後日、登校日。
その子、普通に話し掛けて来たんだよね。
絡まれた事に何も触れないで、まるで無かったかの様に話し掛けて来て。
で中には真っ青になっちゃった子が居て、その様子を見て直ぐ、もう私達には2度と話し掛けて来なかった。
その代わり、私達がイジメたって噂が出て。
コレは不味いなと思って、他の学区の子にも手伝って貰って、大事になる直前で火消しが出来たんだけど。
その子、施設行きで転校になった。
居なくなれば安心かなって思ったんだけど、違った。
イジメてたんじゃないかって、それこそ大人も子供も何か言って来るから、結局は大事になった。
別に容姿は悪く無い子だったから、擁護したかったんだと思う。
イジメの隠蔽だ、とか騒ぐ子が居て、泣かされた子が出ちゃって。
私の学年限定で、その子が何をしたか。
如何に私達は、単に巻き込まれただけだけで。
あの子の話した思い出話は全て嘘だった、って事を説明したんだ。
絶句してた。
親も子も。
今で言う、陰謀論好きとかだったから、その影響も有るんだろうけど。
意固地になってて、その親子はハブかれる事になっちゃって、そのまま余所に行って。
うん、終わり。
「壮絶ですが」
《だよねぇ、でもまだ子供だったし、忙しかったりで大した事だと思って無かったんだよね。あ、いや、大した事だとは思うんだけど、偶々凄い事故に巻き込まれたけど、無傷だったから》
「結構、ドホラー」
《だよねぇ、ヒトコワだよね。けど、そのお陰なのか、そうした人と全く関わらないで居たんだけど。2回も巻き込まれるとか無いよねぇ》
「2回?」
《あ》
「えっ」
《忘れてた、本当に意味が分からなくて忘れてた、有るんだ実際》
「ユノちゃん」
《あ、あのね……》
直ぐに終わった事だし、水商売初心者だったから良く分からなかったけど。
アレ、結構大事だったんだ。
「お湯での源氏名に、ユノちゃんの本名を」
《うん、多分そうだったんだと思う。コッチで処理するから大丈夫って、キツかった先輩も急に優しくなったし、待遇が良くなったし。だから多分、両方の店の方でも大事にしたくなくて、丸め込まれたんだと思う》
「時効、とか」
《ううん、今まで何の問題も無いし、直ぐに解決したって聞いてたから良いんだけど。今思うと、もうちょっと考えるなり、気付くべきだったよねぇ》
「いや、まさか」
《だよね、でも前科が有るから各所に通達してたって言ってたし。だからこそ困って何かして、死にかけたのかもなって》
「あぁ、死にかけ転移」
《うん、そのメールを読んでる最中だったし、そうかなって》
「死にかけてるって?」
《あの子刺されたっぽいよーって、へーって、辞めた出来事だけすっぽ抜けてたんだよねぇ》
「まぁ、蚊帳の外なら致し方無いかと。と言うか、その名前パクった子って」
《別人、確認の為に身分証の写しとか見せて貰ったけど、名前も何も違ってたから大丈夫》
「いや大丈夫じゃないけどね」
《だよねぇ》
「物凄い巻き込まれ系主人公」
《無理無理、嫌過ぎ。けど、だから転移し続けるのも有るんだよね》
今でも偶に会ってるんだ、その怒鳴ってた子と。
勿論、あの子の事には一切触れないで、どうしてるーって程度だけどね。
その子、服装とか髪型も真似られてて、1番の被害者だった。
だから同じ思いを他でもさせたく無いし、もし思う通りの子なら、止められるなら止めたいなって。
「優しい」
《まぁね、でも友達の憤慨が大きいかな》
最初は愚痴を聞くだけだったんだけど、それこそどうしようも無い大きな事故に巻き込まれたと思って、忘れる努力をした方が良いって。
そうカウンセラーの人に其々言われてて、じゃあ、皆で忘れようって遊ぶようになって。
何度か思い出し泣きしそうになってたんだけど、やっぱり遊んでると忘れられる年齢だったから。
それこそ大勢で遊園地に行ったり、花火大会とか、遠足とかもして。
でも、トラウマって言うか、SNSは全員やっぱり無理で。
高校の頃は大変でさ、やってても、殆どやって無かったんだよね。
けど異端って言えば異端だったから、1人の子がその事を話したんだよね。
そしたら。
「まさか、嘘でしょ」
《そう、それだけならまだ笑って流せたんだけど》
今度はその子が大噓吐きだって噂を流れにされそうになって、大揉め。
けど直ぐに終わったんだよね、要は自爆、その子もSNSで嘘をちょこちょこ吐いてたらしくて。
自己紹介乙って、嘘を晒されて学校辞めてた。
で、自衛するにもSNSは適度にしとこうってなって、私達は少し改良してSNSに関わる様になった。
最低3人一緒で、その時の事だけを載せて、仲間内全員に共有する。
「素晴らしい自己防衛」
《大変だったよぉ、全くやってなくても、裏垢持ってるんでしょとか。やらない自由が無かったから》
「同調圧力」
《けど本当、海外より遥かにマシだよね》
友達の1人が、海外向けにもって、新しいSNSの使い方伝授みたいなの載せたんだけど。
まぁ、そこに寄せられる愚痴や相談の数、マジやばかった。
「その違和感も有って海外に?」
《あー、かもー》
皆が言う海外は~って、それ本当?
ってのは確かに有ったし。
「教授には」
《あ、うん、虚言癖って治るのかって。今思うと、カウンセリングもしてくれてたんだよねぇ》
「大変だったけど、恵まれてる」
《うん、ネネちゃんも、少し嚙み合わせ悪そうだけどね》
「うん、ありがとう」
そっか、良い家族じゃん。
って肯定ばっかりされてたんだろうなぁ、悪い事じゃないにしても、時と事情によるよね。
《休憩なのに喋っちゃったね、へへ》
「大丈夫、ピアノで黙らせる」
《おぉ、楽しみ》
「お任せあれ」
けど、歌いたくなる様なのも弾くんだもん。
つい口ずさんじゃう歌って有るよね。




