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35 兄妹。

《ぶっちゃけ、両方選んじゃえばって思うんだけど》

「いきなりエグい切り口」


《そこはね、一応理由が有るんだ。ほら、ココ少し命が軽いじゃん?だからほら、予備、って感じで良いんじゃないかなと思って》


「いや、豪胆はユノちゃんだよ」

《でもココで生きるつもりなんでしょ?ネネちゃん》


「正直、迷ってる」

《ですよねぇ。でもさ、あんなに好きになってくれる人達って、流石に難しくない?》


「愛より命」

《でももう、命の保証はされてるし、寧ろ向こうより安全だと思うんだよね。間違ってもテロは無さそうだし、銃は無いし、それこそ核兵器も無い》


「その判断は」

《あ、地獄(ゲヘナ)ね》


「あ、聞いたんだ、成程」

《そりゃ知恵熱出るよねって感じ、でもさ、逆かなと思って》


「あぁ、アイスランド的な」

《そうそう、美味しかったよ羊》


「ブルーラグーン行きたかった」

《地理的に似てるし、ココにも有るかもね》


「確かに」


《ゲヘナ、一緒に行こうかなと思うんだけど》

「ダメ」


《じゃあ期限を決める、それまでに帰って来なかったら行く》


「ごめんね、心配性で」

《ううん、慎重って良い事だと思う、特にココでは》


「ありがとう」


《エルちゃんの事、どうする?多分だけど、気付いちゃってるんじゃないかな》

「ですよね、女王候補なんだし、最後にあんな風に言ってくれてたし」


《大丈夫、拗ねたとかじゃなくて、きっと何か考えての事だろうって思ってくれてるよ。陛下ですら察しが良いんだし、うん、言い訳は全部ルーイさんにさせよう》


「少し、狡いなって思ってしまう」

《賢いって言って欲しいなぁ》


「他人になら、そう思えるのにね」

《練習しよう、狡賢くなる練習》


「そうだね、これじゃあ単なる潔癖だし。はい、そうします」

《よし、影さんにお願いしてみよう》


「おぉ、はい。お願いします、影さん」

《なら、寧ろお前が私に同行すべきだろう、憂さ晴らしもしてやる》


「少し、悪い予感がしますが、憂さ晴らしはしたい」

《次はお前が見極める番だ、少し嫉妬を煽るだけ、それで暴走するならそれまでよ》

《外野的には賛成》


「宜しく、お願いします」

《分かった、任されよう》


 人種の関わりは複雑で、面白い。


 大概の生き物は群れるが、ココまでの複雑さを持つモノは少ない。

 似たモノに悪魔が居るが、何処か単純で、些か潔過ぎる。


 エルフも然り、ドワーフや小人種にも一種の一貫性が有る。

 だが、人種はムラが激しく、個体差は顕著。


 見飽きない。

 関わるに飽きの来ない種は、人種が1番だと、どの種族も口を揃えている。


 だからこそ、私は思う。

 我々の娯楽にと、神々や世界が生み出したのでは無いか、と。


《ネネ》

《貴様に弁解の機会をやろう、妹君と陛下へのな》


 私に触れた部位から、ネネの体温と手の湿り気を感じる。

 あまり真っ直ぐに育つのも些か考えものだが、これこそネネの良さでも有ると言えるだろう。


《分かった》

《では立ち会う故、さっさと行け小僧共》


 鱗も無く、牙も無く、羽毛も無い。

 そして毒すら持たず、ただただ泣くだけの短命種。


 何故、こんなにもか弱い生き物が居るのだろうか、と。


 だが、弱くも強い生き物。

 時に頂点すら倒すモノが現れ、時に頂点を絆すモノが現れる。


 人種だけをひたすらに観察し続けるモノも居る程、弱く強く、醜く美しい魅力的な種。

 それは短命だからこそ、だろうか。


《あら、お兄様に》

《エル、ごめん》

《お主らはコレを傷付けた、だが気にするな未来の最高位、彼女は私が守る》


 成果と褒美を同時に得たとしても、ネネは許すだろう。

 多少、機嫌を損ねたとしてもな。




「何で、口に」

《あぁ、舌も突っ込んでやったんでな、強欲の王意外は非常に驚いていた》

《そしてネネちゃんも驚いた》


「絶句させられたままココへ戻らされた」

《多少の覚悟はしていたろう》


「だからこそ、意を汲んでくれても」

《手ぬるい事では反省すまいよ》

《レオンハルト様は流れ弾に当たったと思いますけど?》


《アレもアレでネネを追い詰めただろう》

《確かに》

「次は聞かせて下さい、何をするか」


《時と事情によるな、最大効果を望むには、不意打ちも必要だろう》

《確かに》


「もう」

《でもでも、多分、今頃はルーイさん妹さんに凄い怒られてるんじゃないかなぁ》

《あぁ、間違い無いだろうな》


「何で言い切れますか」

《響いているからな、次代の声が》

《偵察に行っても?》


「お願いします」


 ケントさんも事情を察してくれて、こっそり向かったんだけど。

 うん、エル様、激オコだった。


《お兄様!何で!私にまで恥をかかせましたの!!》

《うん、そうなってしまうよね、ごめん》


《あんまりに私がお喋りしてしまっては、お姉様のお気持ちを折るかも知れない。そう私にご相談下されば宜しかったのに、何故ですの?》


《君が、途中で気付き、引くかと》

《私、まだ子供ですのよ?!楽しい事で目一杯になるお年頃ですわよ?!》

『ルーイは、そうでは無かったから、加減が分からなかったのよね?』


《すまなかった、でも君は賢いし》

《ですが、子供ですわ。お兄様の幼少期の様に自制出来る程、私は早熟では有りませんの》


《そこだと思う、何処か彼女の事で、考えるのを止めてしまっていたんだと思う》


 ルーイさん、器用なのに。

 ううん、器用だからこそ私達と同じ様に、無意識に思考停止させちゃったのかな。


『成程ね、彼女が折れれば、手に入り易くなるものね』

《お兄様、それは流石に酷過ぎですわよ、ドン引きですわ》


『冷血ちゃんも、好いてハマるとこうなる、良い例ね』


 成程、そう考えちゃって、それが嫌で思考停止。

 成程。


《陛下、私、どうしたら良いのか》

『大丈夫よ、コレが全て何とかするもの、ね?』


《はい》

《絶対に、何とかして下さいませ、私はまだまだ未熟な子供なのですから》


《ごめんよ》


『あぁ、もしかして、妹君に取られるのが嫌だったのかしら?』

《は?お兄様、狭量過ぎにも程が有りますわよ?》


 エルちゃんの顔を見て、俯いて大きく息を吸い込んだかと思うと。


《ごめんよ、自覚は無かったけれど、その可能性は高いと思う》


《はぁ、お兄様はお顔もお声も宜しいんですし》

《彼女は寧ろ、僕らを本当に苦手そうにしていたんだよ、なんせ国が違うからね》


《見目がもっと違うモノと、先程接吻してらっしゃいましたけど?》

『対応が、ね、元老院の悪手を行使する意外は無かったのでしょう』


《それで、お姉様は他のお仕事が有ると仰ってらしたのね》

『そうなの、いらっしゃい、ミモザの姫』


 あぁ、やっぱり分かってましたか。

 ですよね、護衛の方も居るんですし。


 でもなぁ、無視してて欲しかったなぁ。


《どーもー、すみません、えへへ》




 事情は分かりましたわ。

 でも、恥ずかしいものは恥ずかしいんですの、一生恨みますわよお兄様。


『ふふふ、膨れるだけではダメよ』

《もし私とお姉様が仲良く出来なかったら、お兄様を一生恨みますわよ。折角、素敵な事を語り合えるのだと、とても楽しみにしていましたのに》


『ほぼ、ご友人が居ないのだものね』

《興味が湧かないんですもの、劇だドレスだ素敵な男性だと。男性なら家族が素晴らしい方を必ず選んでくれますし、劇なら本を読む方が早いですし、ドレスなんて社交で着るだけ。そんな事より、数字、数学ですわ》

《あぁ、奥深いそうで》


《本当っ、そうなんですの。美しくて逞しく、時に繊細で可憐でもう》

《こうして力学や物理学にまで手を出した、こう禁忌を越えた事で、滅多に国外へは出れなくなってしまったんだ》

『そして、そのまま最高位となる予定なのよね』


《はい、そうなんですの》


《決断の、決め手は》

《大好きで国にも役立たせられますし、数字とも関わり続ける事が出来る。選ばない道が寧ろ私には無かった、とすら言えますわね》


《凄いな、と思うんですが》

《私としては寧ろ、この道を選ばない事の方が凄い、ですわ》

《要するに、彼女は天才なんだ》

『そしてルーイは、その事に甘んじてしまったのよ、ね』


《全く、数字意外は普通ですのに、迷惑ですわ》

《ごめんよ》


 お兄様、好きにしても過ぎますわ。

 そう何でも過ぎてしまう、とは知ってはいますけれど。


《何か、ルーイさんが普通のお兄さんに見える》

『そうね、彼女を見てしまうと、ね』

《私は、それこそお兄様が居るからこそ。常に努力すべきだと、器用ならと、何度も思いましたわ》


《僕は僕で、君の情熱や熱意が羨ましかった、熱中すると言う事が不得手だからね》

『けれど、出会ってしまって、アナタもアナタでそれなりに不器用さが出てしまった』


《らしい》

《お兄様も完璧では無いのね》


《勿論だよ、失敗するにしても、もう少し上手く転がる様にしたかったしね》

《恐ろしいですわね、恋って》

《ですねぇ》

『少しのコツさえ有れば、さして怖がる事は無いのだけれど、ね』


《陛下、コツとは、どの様なモノですの?》


『誠心誠意を望むモノであれば、誠心誠意を、策略を好むモノには策略を。ただそれだけ、の事なのだけれど、ね』

《ほらー、だから言ったじゃないですか、真っ直ぐな方が良いって》

《お兄様、近しい者の助言を無視するなんて、良い度胸ですわね?》


『けれど、彼もまだ、若いのよ』

《そこに甘んじる事はしたくないんだけど、未熟さは認めるよ、ごめん》


『どうしてアナタを呼んだのか、ミモザの姫には分かるかしら?』


《ごめんねルーイさん、この失敗すら、策略なんじゃないかと思っちゃう》

《お兄様のバカ、どうしてそう思われてしまう様な事を》

『無意識に、心を守りたかったのではないかしら、初めての恋なら特に』


 初めてって、お兄様。


《お兄様》


 私のお声掛けで、真っ赤に。


《あまり、暴かないでくれないかな》


《お兄様、私の初恋を軽く扱っておいて》

《僕も理解したのは最近なんだ、早熟だ、器用だと言われても。未熟さを、良く理解したよ》

『けれど、残念ね、こうした事すら策略だと思われてしまうかも知れない』

《ぶっちゃけ、はい》


『状況を悪化させたのは、アナタの判断よ、ルーイ』

《はい、承知しています》


『見せたい姿だけを見せる、だなんて、初恋の愚行らしいわね』


《あ、あー、成程》

《ミモザ、少しだけ、整理が出来るまで》


《ダメでーす、言いに行っちゃおー》

《ミモザの君、私も同行させて下さいまし》


《よーし、競争だー》

《はい!》

《あっ》

『ふふふ、行ってらっしゃい』

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