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雪の国と奴隷少女とご主人様  作者: えちだん
8/8

初めてのコーヒー

 昨日の残りのシチューを温め直してアイリスと一緒に食べる。

 シチューは一晩寝かせていたお陰か、シチューの具材に味がよく染み込み、味が濃く感じた。


『ライアーさん、なんだか昨日よりも美味しい気がします』


 アイリスは真面目な顔をしながらそう言うが、私はその様子がなんだか可笑しく感じ、笑みを溢してしまう。


『そうだね。 とても美味しいよ。』


 二人で穏やかな朝食を済ませると、私はコーヒーを淹れようとする。


『アイリスもコーヒー飲むよね?』

『あ、はい。 ありがとうございます』


 私は毎日コーヒーを淹れているので、手際良くコーヒーを淹れられる様になっていた。

 そんな私の所作をアイリスはじっと見つめていた。

 カップにコーヒーを淹れると、部屋の中にコーヒーのいい香りが漂い始める。


『わぁ、いい匂い……』


 アイリスがカップを見詰めながら小さく呟いた。


『さぁ、どうぞ。お口に合えばいいけど』


 そう言いながら私はアイリスの前に淹れたてのコーヒーを差し出す。


『わっ! ありがとうございます。私コーヒーって初めて飲みます! それじゃあ、いただきますね』

『え?……ちょ、まっ!』


 アイリスの初めて飲むと言う発言に一瞬固まり、慌てて止めようとするがアイリスはカップに口を付ける。

 そして顔がバッテンになるんじゃないかと思うくらい顔を歪めた。

 とても面白い顔をしていたので笑いそうになったが、確認を取らなかった私にも非があるので、笑うのをなんとか堪える。


『に、苦い…』

『あー、ごめん。 飲んだことあるかと思ってつい。 初めてだとブラックはきついだろ? 取り敢えず砂糖があるからそれで飲みやすくしてみて』


 アイリスに私はそう言うと角砂糖の入った瓶をアイリスの目の前に置く。

 アイリスは瓶から角砂糖を取り出して、コーヒーに淹れるとティースプーンでかき混ぜて溶かし始める。

 砂糖が溶けたのを確認すると恐る恐るといった様子でカップに口を付けると、先程とはまた違う微妙そうな顔をしながらカップから口を離した。

 その様子が余りにも面白く、私は我慢できずに吐き出してしまう。


『ライアーさん〜〜……』

『ご、ごめんなさい……』


 アイリスは幼子を怒るような口調で私の名前を呼ぶ。

 私もそれについ反応して、反射的に謝ってしまった。

 出会って昨日の今日なのに、この様な態度を取るのは心を開いてくれた証拠なのだろうか?

 彼女はどうやらかなり人見知りをしない人物の様だ。

 ……そんな彼女がなぜ奴隷になっていたのかという疑問が頭に浮かんだが、本人に聞くのはデリカシーが無い。

 結局私は先程浮かんだ疑問を忘れることにした。


『うーん、それにしても砂糖を入れても飲めないか』

『うっ、す、すみません』

『嫌々、謝ることないよ。 ()()の頃なんてそんなものだから』

『こ、子供……? わ、私飲めますから! 苦いのなんて平気です!』


 何故かアイリスがムキになり、コーヒーを飲もうとする。

私は取り敢えず宥めながらそれを止めようとすると、あることを思い出す。


『そうだ! ミルクを入れたらアイリスでもコーヒーが飲めるかもしれないよ。 どうかな? 先にそっちを試してみないかな?』

『うっ……い、いえ、そこまでしてもらうのも申し訳ないですし……』


 アイリスは少し冷静になったのか遠慮した発言をする。


『っと、ミルクはシチューで使い切ってしまったから買いにいかないとね。 アイリス良ければ一緒に出掛けないか?』

『へ? どこにですか?』

『牧場にだよ』


  私はアイリスに応えながら、掛けてあるコートに手を伸ばした。

 お久しぶりです。

 引越しなど私事で忙しく、全くなろうで執筆ができていない間に、いつの間にかホーム画面のアップデートが来ていました。

 正直使いにくいので前の奴に戻して欲しいですねw

 亀の様に足の遅い更新ですが、作品の評価、コメント有れば励みになりますのでよろしくお願いします。

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