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第七話 逆転の一手

ビュゥン!


(あぶっ!?)


 俺は全力で下にしゃがんだ。

先程とは比較にならないほどスピードで振り抜かれた鉄パイプが、先程まで頭があった場所を通り過ぎる。

あれを食らったら一撃で死ぬだろう。


(考えろ!頭を回せ!どうすれば死なずに済む?)


 俺は、オークの攻撃を全力でよけながら考えていた。

生半可な攻撃じゃおそらく回復される。

一撃で仕留めきらないと、負ける。


(最大の一撃を、叩き込む...)


 胴体を狙った一撃をしゃがんで回避し、そこから繋がった振り下ろしを横に転がり避ける。

本来はできない動き、だが動き方がわかる。

おそらくレベルの効果だ、少しずつオークの動きに慣れてきた。

蹴りを躱し、拳をいなす。

...だが次第に俺の動きが鈍くなってくる。


「はぁ...はぁ...」


 攻撃がかすり始める。

脳内にちらつくのは...死の一文字。

最初の戦いと同じ、すぐそこまで死が迫ってきている感覚。


(...死にたくない。)


集中が深まる。


(死にたくない。)


世界が遅くなる。


(死にたくない!)


極限の集中、意識が...研ぎ澄まされる。


オークが鉄パイプを振り下ろす、だが俺は半身で躱す。


「ブギッ!?」


 傍を駆け抜ける死の風、チリチリと肌に刺さる殺意、恐怖に立ち竦んでもおかしくない。

...だが何だろう?


(...遅い。)


 オークはそのまま鉄パイプを横に振り抜く、俺は体を回転させ避けながらオークの腕を切り裂く。


「グゥゥゥウ!?」


カランカラン


 腕を切った際に腱が切れたようでオークは鉄パイプを落とした。

腕自体はすぐに修復したが、俺は落とした鉄パイプを蹴り遠くへ飛ばす。


(これで、武器は無くなった!)


 鉄パイプを失ったとしても一撃一撃がとんでもない威力、だが当たらなければどうということはない。

俺は、オークのラリアットを身を屈め躱し、振り抜く瞬間に腕を切り裂く。

そして痛みに怯んで出来た隙に、脇腹をナイフで切り裂く。


 オークは攻撃が当たらないことにイラつき、どんどん攻撃が大雑把になっていく。

そして...オークが突進しながら殴りかかってきた。


(きた!)


 これを待っていた。

俺は突進を回避しながら滑り込むように足を切り裂き、オークを転倒させる。

オークが転んでいる隙に、ゴブリンの死体に走る。

ゴブリンの死体から斧を抜き出し...スキルを発動する。


「全身全霊!!!」


 体が軽くなる、起き上がっているオークの動きが少し遅くなる。

...今だ!


「投擲!!」


 俺は斧を思いきりぶん投げた。

斧が回転しながらオークの頭を目掛け飛んでいく。


(俺の...勝ちだ!)


パァン!


「なぁ!?」


...オークの“腕”が吹き飛んだ。


(腕で、ガードしやがった...!)


 思い切り投げたせいで体制が悪い、次の行動に移せない。

オークはニヤリと笑いながら素早く俺に近づく。

腕はもう回復し始めている。


(回避...できなっ!?)


瞬間、衝撃。残ったオークの左拳が俺を捉える。


「がっぁああ!?」


 俺は後ろに吹き飛び、商品棚をなぎ倒しながら壁にぶち当たった。

何とか間に腕を挟んだが、骨が軋み悲鳴を上げる。


 腕が吹き飛びバランスが取れていなかったからか先程よりも弱い一撃、それでも強烈だった。

さっき、斧で腕を吹き飛ばしていなかったら...今頃バラバラになっていただろう。


(ぐっ...骨は、大丈夫か...)


 俺は、軋む腕を上げ集中する。

...一撃、次の一撃が全身全霊の効果時間的に最後だ。


(やるしかない、これで...決める。)



 オークは油断していた。

こちらの世界に来てから、人間が“弱い”。

自らが強者になった愉悦感。今、目の前にいる鬱陶しい人間ももう潰せる。

勝ちを確信した笑みを浮かべながら、土煙に近づいていく。



「投擲ぃぃぃ!!!」


「!」


 オークは学んでいた、先程から“あの言葉”を人間が使うたびに自分が大ダメージを負っていることを。

だからこそオークは、先程の攻撃を予測して腕を上げ頭を守った。


(かかった!)


 俺は、投擲を解除しオークの右腕をすれ違いざまに切り裂く。

腕を支える筋が切れ、だらんと力なく腕が落ちる。

だが、まだだ。


「うぉぉぉぉぉおおおお!!!」


 俺は、背後から今度は膝裏を切り裂いた。

オークが崩れ落ち、膝をつく。


 オークは、何が起こっているのかがわからなかった。

先程までは優勢だったのに、今や腕も足も動かない。

―死が迫ってきている。



俺は、オークの背を足場に飛び上がった。

最後の一撃。

俺は落下の勢いを使い、目玉に刃を捻じりこむ。


「死っ...ねぇぇぇぇぇぇえ!」


「ブギィィィィィィ!!!!」


オークは最後の抵抗に、治った腕を振り上げる。

だが、俺の方が速い!

刃をさらに深く押し込む、俺に腕が当たるギリギリで腕が止まった。


「ブッ...ギィ...」


オークは断末魔を上げ、斃れた。

そして...


「ぐっ...う」


ポロン


<モンスターの集団を撃破しました>

<集団のボスモンスターを撃破しました>

<経験値を付与します>

<Lvが10上がりました>

<世界で初めてソロで集団を倒しました>

<ボーナススキル アイテムボックスを付与します>

<世界で初めてボスモンスターをソロで撃破しました>

<ユニークスキルをランダムに付与します>

<ユニークスキル 風の王(ハスター)を取得しました>


撃破報告を聞き、倒しきれたことによる安堵と疲れで俺は意識を失った。


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