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第三話 決着とステータス

投稿遅れました。学校ガガガ...

「ギャッギュ!?」


ゴブリンは、何が起きたかわからなかった。


 反撃をされるとは夢にも思っていなかったからだ。

それもそのはず、先程まで人間を蹂躙し弄んでいたゴブリンにとって人間は貧弱な玩具兼食糧としか見ていなかったからだ。

だからこそ、俺は一撃を叩き込むことができた。



「...ガハッ!ゴホゴホ...ッ!」


(危なかった...)


 ガラス瓶が喉に突き刺さった衝撃と痛みでゴブリンが手を離さなかったら、俺は頸椎が折れ死んでいた。


(ゴブリンはまだ死んでいない...早く起きないと…)


 手が震える。

生き物を刺した恐怖と身体へのダメージが大き過ぎる。

でも、やらなきゃ...やられる。


「う、おぉぉおぁああああ!!!!」


軋む身体を気合いで奮い立たせ、割れた瓶を振り上げる。


ザクッ


「死ねっ!死ね!死ね!死ねぇぇぇえ!」


ザクッザクッグシュッガシュッ


「ギャッ!ギュッ!ガェッ!ギッ...ィィ」


 何度も、何度も何度も何度も俺は瓶を振り下ろし続けた。

ゴブリンは、必死に抵抗しようとしたが傷が余りにも深く抵抗できない。

次第に動かなくなっていくゴブリン、それでも俺は無我夢中に瓶を振り下ろし続けた。




どれくらい時間が経っただろうか、気がつくと辺りは暗くなっていた。


「はぁ...はぁ...はぁ...はぁ」


 俺はボロボロになったゴブリンの死体の上で、呆けていた。

辺りには凄惨な光景が広がっていた。

鮮血があちこちに飛び散っており、俺も返り血で血塗れだった。


「...勝った。」


 俺は再び、ゴブリンの死体を見た。

その眼は、先程までの凶暴さはなく寧ろ...死の恐怖に怯えているような眼だった。

その瞬間、俺は生物の命を奪った事に気づき吐き気が込み上げてきた。


「...うぶっ!おげぇえ!」


 生きる為には仕方のない事だが、所詮俺はただの学生に過ぎない。

命を奪う覚悟など本来はないのだ。

鮮明に蘇ってくる記憶は、肉を裂く感覚とゴブリンの断末魔。

...一つの生命が終わる感覚だった。


「ぐっ、おぇぇえ!」




...腹の中身が空っぽになる程吐いた、吐き終わる頃には気持ちの整理が付いていた。


「英雄は...この程度じゃ、挫けない筈だ。」


望んだ英雄は遠く、それでも一歩づつ進んでいく。

その時...


ポロン


<モンスターを撃破しました>


<初討伐を確認、ステータスを確認出来るようになりました>


<経験値を付与します>


<Lvが上昇しました>


不思議な電子音と共に、聞き覚えのある単語が並ぶ。


「...ステータスが、見れるのか?」


 現在、ステータスを確認できる生存者は何人ほどいるだろうか。

俺はある意味、幸運だったのかもしれない。

電車で見たあのドラゴン...あれに敵意を向けられていれば今頃、美味しく頂かれていただろう。


「ステータス、オープン」


 恐る恐る、テンプレの言葉を呟いてみた。

すると、ブオンという音と共に半透明な板が現れた。


ステータス

風原 灰翔

職業 シーフ

属性 土

Lv 1→2

SP 0→10

HP 2/20

MP 0/2

筋力 1→2

器用さ 1→3

スタミナ 1→2

耐久力 1→3

知力 1→2

スキル

 >投擲 Lv1(10) new!

 >逃げ足 Lv1(10) new! 

深層運命

 >英雄願望 Lv1 new!

  >Lv1 全身全霊 new!

「おぉ、なんか色々出た。」


 色々、気になる所はあるが...これはまずい。

HPが何を表しているかぐらいは、知っている。

生きる為の力、それが8割削れている。


「ギリギリだった...何か一つでも間違えたら死んでいた。色々検証したいが安全な場所で休むのが先だな。死にたくないし...今日は、疲れた。」


 俺は休める場所を探す為、ズキズキと痛む体を引き摺りながら袋小路から抜け出した。

袋小路から外に出ると、町は見える範囲ですら酷い有り様だった。

電柱は折れ、車は炎上し、町のあちこちから黒煙が立ち上っている。


「家に帰って休みたいが、父さんは無事なのか?」


 俺は、唯一残った家族を心配する。

俺の家族は、母と兄が交通事故で他界している。

そんな中、育ててくれた父さんに俺は感謝している。

それに、父は警官だ。

合流できれば何とかなるかも知れない。


(まあ、父さんが死ぬなんて思えないけどな。)


 犯罪者に刺された時も、そのまま取り押さえて連行したぐらいだ。

俺は、化け物がいる場所や黒煙が立っている場所を避け隠れながら家に帰った。


ガチャ


「父さん、ただいま...」


返事はなかった、家の中に入るとリビングからぐちゅぐちゅといった音が聞こえていた。

リビングの扉へ近ずくにつれ、先程まで嫌になるほど嗅いだ匂いが鼻を突き抜ける。

嫌な...予感がした。

俺は、ゆっくりと扉から目をのぞかせた。


(父...さん)


父さんは虚ろな瞳をこちらに向けながら...体に大穴を開け、血塗れのゴブリンに食べられていた。

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