第三十九話 噂
この作品は一話ごとに登場人物や時系列、舞台が変わります。それをご理解の上でお読み下さい。
「あの家の噂知ってる?」
「どの家の噂?」
「丘の上にある廃墟の」
「あ〜!あれか!あの家不気味よね〜」
「その家なんだけどさ。最近、近所の子供が見たって言うの」
「何を?」
「お化けが、少女を連れて行ってたんですって」
「やだ怖〜い。あそこ、誰も気味悪がって近付かないものねぇ。やっぱり、そういう幽霊とかが出るのかしら」
「いつからあるのかも、分からないらしいね」
「そうねぇ、早く撤去してくれないかしら」
「ここから引っ越せば良いんじゃない?」
「しかもその女の子、〇〇さんのとこの子に似ていたらしいわ」
「あら、そんなこと言わないでよ〜」
「嫌よね〜」
「嫌よ〜」
「もしかして、連れて行かれちゃったのかしら」
「やだわぁ、引っ越してから見てないから」
「もしかして、引っ越したってことにして、お化けが連れて行ったとか〜?」
「やだ怖い〜まさか、さっきのは私に消えて欲しいなんて思って言ってないでしょうね〜?」
「さっきの?って何?」
「さっきの引っ越しの話よ」
「?どういうこと?」
「?」
「〇〇さんのところの話でしょ?」
「あなたが引っ越――」
「ぎゃあああああああ!!!!――」
◇◆
最近、廃墟の付近で住民が行方不明になっている。住民の話では、幽霊が連れ去る、とのことだそうだ。
しかし、そんなことはありえない。人外事件の可能性を考えた住民が、民間である俺の下に依頼をしたのだ。
さて、まぁ十中八九廃墟に人外は居るだろう。肝試しに入っても、何も居なかったという話はあるが、姿を隠しているというのが俺の考えた説だ。
ならばどうするか。俺は一度、やってみたかったことがあった。それは、心霊スポット泊である!
しかし、今回は廃墟。持ってきたのは寝袋くらいで、残りは必要なものだ。テントなどはない。
過去にも、何度か心霊スポットにてキャンプ泊をしたことがあった。つまりは、俺の仕事はそういうことだ。
そんなこんなで、俺は廃墟へと辿り着く。ボロボロの家の中は、埃に塗れていた。
俺はそこで、人外が現れるまで寝袋に入り、飯を食い、本でも読んで時間を潰す。しかし、数日経っても、人外が現れることはなかった。
気が付けば、あれから1週間が経っていた。廃墟からは出ていない。いつの間にか、少女が俺のことを心配して話に来てくれたりもした。
最近、自分の姿を見ていない。風呂にも入っていないので、酷い姿をしているだろう。それでも少女は、俺の話し相手になってくれた。
お腹が空いた。体が少し痒い。やはり、風呂には入るべきなのだろう。ここ数日、何も飲んでいない。何も食べていない。子供を作っていない。襲いたい。尻尾がよく動く。
あれ――?俺は――
あとがき
どうも、焼きだるまです。
え?これで終わり?終わりです。ハイ。その内、どこかの回で触れられるかもしれません。ナニガアッタンデショウネー。では、また次回お会いしましょう。




