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こちら、人外対策部です  作者: 焼きだるま
第一部 前日譚
33/60

第三十一話 いつもの日常

この作品は一話ごとに登場人物や時系列、舞台が変わります。それをご理解の上でお読み下さい。


 アラームの音で目が覚める。スマホに感覚だけで指を当て、アラームを止める。10秒、私は布団から出ない。そして、一気に体を起こす。これが、私の朝だ。


 俺の名前は高橋健司(たかはしけんじ)、一人暮らしのしがないサラリーマンだ。


 夢が無かったわけじゃない。だけど、夢に見合う努力もしてこなかった。普通の会社に勤めて、普通の給料で暮らしてる。


 もうすぐ俺は30歳となる。複雑な気持ちだ。付き合っている人も居ない。職場に居る可愛い子は、大体が彼氏を持っているか、結婚しているかだ。


 学生時代に努力をしなかったんだ。こうなっても文句は言えない。だけれど、少しくらい甘い現実があっても良いんじゃないだろうか。


 今日も顔を洗い、歯を磨き、珈琲を飲み、朝食にバナナを食べ、口を濯いで出勤の準備をする。


 容姿は悪くない方だ。学生時代に告白されたこともあった。だが、自分の好みの問題で断った。女なんて化粧で変わる。今思えば、とても良いチャンスを逃したと思う。


 2日前、その女が子供を連れて歩いているのを見た。これが現実だ。俺は、どうやら生き方を間違えてしまったらしい。


 ドアを開け、外へ出る。スーツ姿の自分は、小さかった頃の自分が憧れた姿でもあった。昔は、不思議と仕事をする大人がかっこよく見えたものだ。


 だが、いざなってみればこんなもの。出勤してはいつもの風景、ストレスを抱え、帰ってきても誰も癒やしてはくれない。休みの日も必要なことをして、後はただ寝るだけ。


 こんな大人に、少しでも憧れた時期があったことが信じられない。今日も俺は駅へと向かっている。季節は夏、会社に着く頃には、俺は朝に塗れた状態だろう。


 電車の中も最悪だ。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車。乗る時も降りる時も必死だ。座席はいつも、座るところなんてない。障がい者用の席は空いているのに、俺たちは座ることを許されない。


 座る人が居ないのならば、座っても良いではないかと思ってしまうが、彼らも好んでそんな者になりたかったわけじゃない。俺と同じだ。誰だって好んでこんなことはやっていないのだ。


 目的の駅に着き、俺は海流にでも流されるように電車から降りる。そのまま勢いを止めずに改札へと向かう。勢いを止めれば、波に押し潰される。


 そのまま歩いて10分、俺がいつも働いている会社へと着く。溜息が出る。まだ眠気も少しある。それでも、大人は会社に行かなければいけないらしい。子供の頃は、簡単なことでも休もうと思えば休むことができた。あの頃はもう、帰ってはこない。


 会社に着き、準備をし終わると、数分後くらいに朝礼が始まる。正直面倒くさい。こんなものなくても皆、各々勝手に働くだろう。だが、社会ではこれが必要なことらしい。なんとも馬鹿げた話だ。


 そして今日も、俺はやりたくもない仕事をやらされる。俺の仕事は、書類の作成や外回りなどが主だ。それなりに人と話すことができた為、会社からの評価はそれなりだ。だけど、昇格もされていない。


 仕事をすれば、慣れていたり簡単なことでもミスは何かしら起きてしまう。その度に上司に怒られる。ストレスは溜まるばかりだ。


 たまに、精神が崩壊したように社内で暴れてやろうか、なんて思ったこともあった。だが、それは日本人としてなのか、人間としてなのかは分からないが、なんとなくやめておいた。


 昼休憩は少しだけ楽しみだ。しかし、この歳になると、少しだけ健康にも気をつける。若い頃はなんでも食べたが、今は少しだけ加減をしている。つまらない日常が更につまらなくなっている気がした。


 今日は軽めに蕎麦にしておいた。夏場の蕎麦は美味しい。俺は基本ガッツリ派だが、夏の蕎麦だけは別だった。こればかりはやめられない。


 食事を終えると、少しだけ休憩をしてから会社に戻る。時間になるまでは、軽く伸びなどをする。同じ動きばかりしている体は、異常なほどにポキポキといった。


 午後の仕事も終え、俺は退社時間となる。少しだけ残業をさせられたが、いつもよりは軽めだったので俺にしては早めだ。


 帰りの電車に揺られ、疲れた体は睡眠を求める。座席には座らない。座れば俺は、深い眠りについてしまう。家に帰るまでは吊革にぶら下がるのだ。


 家に着くと、倒れたくなる気持ちを抑え、風呂に入り、服を着て、晩飯を取る。一年ほど前から俺は自炊をしている。簡単なものだが、金はその分貯まるし、健康にもその方が良かったのだ。


 酒は1日の疲れを忘れさせてくれる。俺はビールが好きだ。王道だが、俺はこの王道がたまらない。


 アニメなどでも、王道な作品は見ないと言う人も居るだろう。だが、俺は王道なアニメの方が好きだった。少年心をくすぐるあの熱い展開が、今でも俺を熱くさせる。テレビを点けると、久しぶりにそのアニメがやっていたので見入ってしまった。気が付けばもう就寝時間だった。


 歯を磨いて、アラームをセットして俺は眠りにつく。そういえば、風呂に入った時、鏡の自分は太ももに何やら痕のようなものがあった。


 ストレスか、それとも気付かぬ内にどこかにぶつけたのだろうか。考えていると、段々と眠くなる。どうでもいい。このくらいのことで、病院にも行きはしない。


 また、俺はいつもの時間に眠りについた。ベッドは、俺の疲れた体を包むように、俺を睡眠へと吸い込んでいった――



 アラームの音で目が覚める。スマホに感覚だけで指を当て、アラームを止める。10秒、私は布団から出ない。そして、一気に体を起こす。これが、私の朝だ。


 今日も顔を洗い、歯を磨き、珈琲を飲み、朝食にバナナを食べ、口を濯いで出勤の準備をする。


 会社に着く。朝礼が始まる。仕事が始まる。いつもの日常、いつもの行動、いつもの――俺の姿だ。



 ――12時のニュースです。先程、東京の〇〇にて、人外事件が発生しました。被害者は多数出ており、人外は、現在も逃走中とのことです。近隣住民の皆様は、十分に注意して下さい。



「おっニュースに出た。物騒っすよね〜」


 東京都公安人外対策本部オフィス4階。男二人が、珈琲を片手に会話をしていた。


「これで今週は三回目だな」

「勘弁して下さいよ〜このまま行けば、今週は1日に一回のペースになりますよ〜?」

「一番困っているのは市民と、前線で現在も捜索している隊員たちだ。俺たちは、自分の仕事をやるしかない」

「仕事熱心すね〜」


 珈琲の啜る音がした。昼休憩が、もうすぐ終わりを告げようとしている。今日も彼らは、自身の仕事を続けていく――

 あとがき

 どうも、焼きだるまです。

 何事もポジティブに、とは難しいですけど。あまり良いとは思っていなくても、何もないよりはマシなんだって思えるように生きたいですね。

 私も生憎と落ちぶれてはおりますが、今の自分も決して嫌いではありません。皆様も、自身のことを愛してあげて下さい。素敵ですよ。では、また次回お会いしましょう。

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