第二十七話 改ざん
この作品は一話ごとに登場人物や時系列、舞台が変わります。それをご理解の上でお読み下さい。
人外――それは、地球に落下した隕石に紛れて飛来したとされている。
テキサス州にある森林。そこは、隕石落下以降、禁域とされていた。
正確に言えば、森林含めた周辺も禁域である。17年前、人外の発生源と思われる隕石が落下したのはここだ。それ以降、この付近には人外が多発した。
謎の地球外生命体に、周辺住民や、その存在を確かめに来た者は皆蝕まれた。
災厄はすぐに広がり、アメリカは対応に急ぐこととなった。
隕石の落下地点から広範囲を禁域とし、境界線に軍による防衛線を張った。
しかし、既に人外による被害はその範囲からも出ており、他の州でも、人外の被害は報告された。
地球外生命体の侵略は、全世界に報道された。
突如現れた隕石、未知なるウイルス、国が裏で進めていた実験の結果、UFOの墜落。色々な憶測が、世界中に広がった。
「――その後わずか半年程で、人類は人外対策部を設立。斯くして、人類と人外との戦いは始まった」
女は話終わると、棒菓子をポケットから取り出す。持ち手の部分はクッキー、そこ以外はチョコがコーティングされた細長い菓子だ。
「それで、その隕石を確かめる為にアメリカに行くと?」
隣の席に座っている男は、両手を上げて冗談だろ?とでも言いたげな仕草をしていた。
男は窓側、女は通路側に座っていた。
「人外の正体を突き止める。その為には隕石を調べたいんだ」
「地球外生命体だろ?」
窓の外には、雲海が広がっている。雲よりも高い空の上、鉄の鳥はアメリカを目指し飛行していた。
久我谷学美、それが彼女の名前である。
人外についての研究をしており、ある日一つの仮説を立てると、研究所を飛び出し仮説を立証する旅に出ていた。
彼女の立てた仮説は――人外は地球由来である、というもの。
立証する為にはまず、隕石が何で構成されているのか、それを調べる必要があった。
禁域から近いそこには、禁域を監視している施設が4つの方向にあった。久我谷はその一つへと向かう。
「やあ、待っていたよMs.久我谷」
出迎えのは、北側にある監視施設の責任者である、ニコラ・シャイマンであった。
「Mr.ニコラ、今回の調査に協力をしてくれることを、本当に感謝している」
「いやいや、今まで失敗続きだったんだ。今回の君の案で、調査が進むことを祈っているよ」
過去にも、隕石の調査の為、最新鋭の機器であるドローンを用いた撮影を試みたが、いずれも人外によって撃ち落とされていた。
「Ms.久我谷、早速だが部屋へと案内しよう」
「あぁ、話が早くて助かる」
すると、久我谷が案内されたのは、モニターや電子機器が大量に設置されている部屋であった。
「既にミーティアライトは、禁域の中央を捉えれる位置への落下準備を進めている。しかし、落下した隕石を見る為に、隕石と同じことをするとはな」
ミーティアライトは、今回特別に、人外が発生した隕石を調べる為だけに開発されたものだ。
人外の攻撃が届かない遥か上空から、撮影用のミーティアライトを降下させる。
とても重く。真っ直ぐに落ちてくるそれを、人外には止めることはできない。
「――しかし、何故人にしか危害を及ぼさない人外が、ドローンなどの機械を禁域でのみ攻撃するのか」
「全てはこれで分かりますよ、きっと」
予定時刻――ミーティアライトは降下を開始した。
鉄の塊は、猛スピードで落下地点へと向かう。
人外も気付き、中にはミーティアライトを攻撃するビームのようなものもいくつか観測された。
ミーティアライトは、目標地点へ落下。森林地帯、空からは見えないその隕石落下地点。映像は、すぐにモニターに映し出された――
「……?」
全方位を確認するが、隕石はおろか、落ちた跡すら見当たらない。
「落下地点を間違えたか?」
久我谷がそう言うと、
「いや――そんなはずはない。記録によれば禁域の中央。この場所に隕石は落下した」
皆、信じられないといった顔をしていた。
「……隕石は――落下していなかった?」
室内の空気は張り詰める。
「バカな!ならば人外はどこから現れた!?」
声を荒げる責任者を、久我谷は宥める。
「恐らく、私の仮説は、半分が合っている」
「半分?」
「――あぁ、隕石が落下していなかったのは予想外だ。だが、これで確証が持てる。人外は、地球外生命体などではない」
「だが、生物学上にもこのような生物は地球には居ない!居たとすればもっと昔から――」
「あぁ、だから人外の発生した時期は恐らく間違っていない」
「――どういうことだ?」
「隕石落下はフェイクだ」
「フェイクだと!?」
「何かを隠すためのな」
「何を隠している!?」
「知らん。ただ、私の仮説では人外は別世界線から来ている」
「パラレルワールド?オカルトに脳をやられたか?」
「――いいや?そうとしか説明が付かないのさ」
「ならば、ワープホールが中央にでもあるのか?そんなものはモニターに映っていない」
「恐らく。ここにはない」
「ならば――」
「人外が発生したのは、ここではない」
「……は?」
「恐らくね」
「何を根拠に――」
「じゃなければ、人外は何故禁域の外にも発生している?」
「それは対応が――」
「ごく少数の内であれば、ミサイルやらなんやらで対処はできたはずだ。それができなかった、拡大したということは、それをした者が居る」
「……別世界線から、この世界を侵略しようと?」
「それはわからない。目的は不明だ」
久我谷は、ポケットから棒菓子を取り出すと、ポリポリと食べ始める。
「少なくとも、相手は記憶の改ざんが可能なのだろうな」
「信じられん」
「ならば信じてくれなくて結構だ。ただ警告しておこう。今後、必ずもう一度別世界からの来訪者が来る。それは敵か味方かはわからないが、その時が来れば、私の仮説が真実であるとわかるだろう」
菓子が無くなってしまった、と両手を上げた久我谷は、この辺りで失礼すると言うと、監視施設から出て行った。
結局、その後も久我谷はオカルト研究家として有名となったが。わずか一年で、その通り名は変わることとなる。
あとがき
どうも、焼きだるまです。
改善すべき点が今更になって見つかると、25話程修正しなきゃいけないのは中々にキツいですね……。
知識ゼロから初めて、ここまで書けるようになっただけ、まだ、成長はしたんでしょうけど。
まぁ、まだ早い段階で気付けて良かったのかな。
小説を書いてみようと思っている方は、3点リーダーの使い方とか、そういう系はちゃんと調べてから書くと、後が楽ですよ。では、また次回お会いしましょう。




