第二十五話 また
この作品は一話ごとに登場人物や時系列、舞台が変わります。それをご理解の上でお読み下さい
「融合?」
なんだそれ?と言った彼は、今初めて知ったようだ。
「ニュース見てなかったの」
「ニュースを見ると、頭が痛くなります」
「初めて聞いたわ、そのタイプ」
俺たちは、人外対策部の隊員である。今日も、担当区域の巡回をしていた。
ニュースを見ると、頭が痛くなるこの男は、早上と言う。こんなだが、腕の立つ隊員の一人だ。
「んで、その融合ってのは何なんすか?」
「どうも、別世界と融合したんだとさ」
「政府が薬でもやったんですかね?」
「いや、事実らしい。現に、世界各地に異物が散らばってる」
「日本に突如現れた、廃塔ってやつ?あれフェイクニュースじゃなかったんだ」
「それだけじゃない。今の人類では説明の付かないようなパーツや、物などが溢れかえってる」
「じゃあその異物?ってやつで、人外を殺せる武器とか作れないんすか?」
「今、人外対策部もそれができないか、調べているらしい」
「へー」
世界と世界が融合する。なんとも馬鹿げた話だ。しかし、これが事実であり、何処かの学者は、既にこうなることを予想していたらしい。
いや、馬鹿げた話は昔からあった。人外、その存在こそが馬鹿げていた。
今更、この事実を受け止められないなんて、そんなことはない。
大通りに出て、二人で巡回を続けていた時、オペレーターからの通信が入る。
「地下鉄の駅のホームにて、人外事件が発生。覚醒しており、被害も大きい、十分に注意して向かってくれ。また、一人のエリート隊員も現場に向かっている」
「了解」
「了解」
俺たちはそう言うと、二人で指定された地下鉄へと向かった。
駅のホームには、大量の死傷者が居た。血は、駅のホームに散らばっている。到底、俺たち二人で対処できる人外とは思えない。
亀裂が見える、黒色の人外は、電車の中から現れた。
「早上、人外の相手は、できそうか?」
「やってみます。丸井さんは救助を!」
その直後、人外は電車の上へと跳び乗ると二人に向かって右腕を向けると、突如、その腕が前動作も無しに猛スピードで伸びる。伸びた腕は、早上の腹部を狙っている。
早上は、横へと回避する。しかし、人外の腕は回避した方へとL字にカーブする。
その腕を、俺はナイフで切り裂いた。
しかし、人外の左腕も、今度は俺に向けて伸ばされる。これでは救助ができない。
人外の腕による攻撃を躱しては斬り、躱しては斬る。しかし、腕は切断できない。
早く救助しなければ、助かる命もあるかもしれない。しかし、その前に自身の命が危ない。
その瞬間、俺の目の前へと迫っていた人外の腕は、突如何者かによって切断されていた。
そして、それに続くように、早上の方の腕も切断された。
電車の上に乗り、腕だけを伸ばしていた人外も、これには驚いたようで、一歩後退りした。
「遅れて申し訳ない」
身長は小さく、中性的で、童顔の少年(仮称)は、そう言った。
「ここは僕に任せて、二人は救助を」
「了解」
「了解」
俺たちは、言われた通りに負傷者の救助へと向かう。その間も、少年(仮称)は、一人であの人外へと立ち向かっていた。
少年(仮称)の使用しているナイフは、俺たちの物と変わらない。早上曰く、ナイフの技術が並外れているらしい。
それだけで変わる物なのか、早上も、普通級の中では技術は高い。しかし、そんな早上も認めた程の実力を持った少年(仮称)は、やはり、エリート隊員であることを示していた。
銃は使わずに、切断されても何度も伸ばしては攻撃を仕掛ける人外の腕を、少年(仮称)は躱し、切断し、人外との距離を詰めていく。
ある程度接近すると、少年(仮称)は、大きく飛び上がり、そのまま人外の前頭葉へ向け、ナイフを向ける。
人外の腕は、ある程度のところからは切られておらず、少年(仮称)の元へ攻撃するには、距離がありすぎた。
伸ばすことのできる腕は、伸ばしすぎると近距離を守れない。デメリットを突いた、完璧な動きだ。
少年(仮称)は、人外の前頭葉を、ナイフで切り裂いた。
無事、人外事件は解決した。
死者18名、負傷者は39名であった。
俺たちは事件解決後、あのエリート隊員にお礼をしようとしたが、お断りされた。
なんでも、仕事だからなんでもない、だそうだ。
名前を聞くと、瑠花と答えてくれた。
そこで俺たちは初めて気付いた。女であったことを。
今回の人外からは、自由に動き、伸びる腕を使った、鞭のような武器が作られたらしい。他にも作られたらしいが、俺が知っているのはそのくらいだ。
先輩であり、エリート隊員でもある人が、自身の新しい電流鞭を自慢していたからだ。
普通級には、そう言ったものは中々配られない。いつか、異物を使用した武器が確立されれば、俺たち普通級にも、特殊武器は支給されるのだろうか。
いや、やっぱりいい。
なんとなくだけど、ナイフと銃を使っていきたい。あのエリート隊員のように、ナイフだけでも、覚醒した人外に対処できるようになりたい。
その次の日から、俺は早上に頼み、訓練をした。
いつか、あのエリート隊員に会った時に、力になれるよう、これからも努力したいものだ。
あとがき
どうも、焼きだるまです。
時系列をぐちゃぐちゃにすることで、この回は時系列のどこなんだ?と考察したりする楽しみが、この作品にあればなぁと、思っております。
それが、一体どこで使われる伏線となるのか、果たして、そもそも伏線を回収するまで、私は書き続けられるのか、全ては読んでくれる読者様方の応援次第。私も、もっともっと上達できるよう、これからも頑張らせて頂きます。では、また次回お会いしましょう。




