ヲタッキーズ122 北極ナチスの謎
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第122話「北極ナチスの謎」。さて、今回は北極探検家が探検の実況中継中に音波銃で射殺されます。
北極で再興を期すナチスの残党、妄想性疾患の患者、富豪令嬢などが現れては次々と騙されて逝く中、詐欺の黒幕は?真実の愛をつかむ者は…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 ヒトラーユーゲン党
3月10日は東京大空襲があった日だ。在日ナチスの残党は、この日を"東京焼殺テロの日"と位置付けて記憶スル。
「戦友諸君!今年も忌わしい日がやって来る。だが、今年は戦友諸君と偉大なる発見を祝う日になりそうだ」
ミリタリー系メイドカフェが潰れた後を居抜きで流用するヒトラーユーゲン党にナチスのコスプレをした少年達が集う。
「前回紹介したフレツの北極探検を覚えているか?彼は今、グリーンランドから北極の浮遊大陸にあるとされる第3.5帝国を目指している」
年長の少年が地図を指差す。彼はU-boat乗員のコスプレ。
「このポイントから浮遊大陸を目指し、毎日15kmをスキーで移動している。ゆえに、フレツは今頃、この辺に到着しているハズだ」
地図の上に小さな鉤十字の旗を刺す。
「今からビデオ回線を開く。なお、フレツには我々の声は聞こえていない。だから、質問は控えてくれたまえ。特にクルス、君だ」
若い山岳兵が苦笑…モニターから元気な声が届く。
「ハーケンクロイツ!ヲタクに神田明神のご加護あれ!」
「ハーケンクロイツ!フレツに栄光あれ!健在か?」
「ja!北極は1時間位前からスゴい吹雪だ。風速20mの中でテントを建てるのは、とても大変だ。だが、戦友諸君のおかげで、丈夫なテントを買うコトが出来た。この分なら"東京焼殺テロ"の日までに総統の遺灰をみつけられるカモしれない。ハーケンクロイツ!」
フレツはテントの中から話している。
そのテントを真っ黒い人影が横切る。
「おや?北極グマがイタズラしに来たぞ?そういえば、昨日スキーした時にカリブの群れを見た。赤ちゃんカリブの角はベルベットのように柔らかく、すごく可愛い。カメラを取り出そうとしたら…なんだ?まさかナチハンターか?おい!お前…嘘だろ、やめろ!」
銃声。カメラが倒れ画像は途絶。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンクに改装したらヤタラと居心地が良く回転率は急降下。メイド長はオカンムリだw
「おかえりなさいませ、御主人様。初めての御帰宅?」
「こんばんわ。スピアはいますか?バイオリンのレッスンに来ました」
「あ。貴方がディラ?いらっしゃい。ねぇ入れて差し上げて、テリィ様」
バイオリンケースを抱えた醤油顔の好青年だ。気の利かない僕は、カウンターの中のミユリさんから叱られるw
「え。さぁどうぞ…ちょ、ちょっち、でもオルガ先生は?」
「引退だそうです」
「…彼はジャニーズか?」
残念なコトに彼は超ハンサム←
「ジュリアードを出た天才。予約を取るのが難しいとスピアが逝ってました」
「天才って、もっとダサいだろ?彼、ヤタラと爽やかナンだけどw」
「お待たせしました。こんばんわ、スピアです」
現れたスピアは、金色のスク水?…勝負スク水?!
「早速始めよう。先ずはスピアさんの実力がどの程度か、見てみたい。ソレを踏まえレッスンは明日からだ」
「はい。じゃあ"私の"部屋で」
「行こう」
御屋敷のVIPルームに入りかける2人。個撮かょw
「待てょスピア。ソレなら、ココでやれば?僕も聞きたいな、ジュリアードのメソッド」
「何を言ってるの?テリィたん、レッスンは非公開ょ」
「芸術を良く理解してるね、さすがだな」
大袈裟に関心するディラ。全く気に入らない展開だw
「そう?ハッカーだから。私達、感性が引き合ってる?」
「テリィ様。VIPルームはスピアがレンタルしてます。邪魔しないで」
「…うーんオルガ先生の方が良かったな」
ソコへミユリさんのスマホ鳴動。
「はい。ヲタッキーズ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
殺人現場。
「やぁエアリ。死体は?」
「え。ラギィ、話してないの?」
「まだょサプライズ」
ヲタッキーズは、ミユリさん率いるスーパーヒロイン集団。
ラギィは敏腕警部で前任地では"新橋鮫"と呼ばれた凄腕。
「ナンのコト?」
いぶかる僕とムーンライトセレナーダー(ミユリさんが変身したスーパーヒロイン)を尻目にモニターに画像が流れる。
"…おや?北極グマがイタズラしに来たぞ?そういえば、昨日スキーした時に…"
「テリィたん、見てて。テントに人影ょ。誰かが来た。音波銃を持ってる」
"…カメラを取り出そうとしたら…なんだ?ナチハンターか?おい!お前…嘘だろ、やめろ!(銃声)"
「スゴいな!…あ、いや。ヒドい話だ。北極からの中継じゃなかったのか。何処だろう」
銃声と共に画像は横転、見知らぬ天井を映して止まる。
「何処かのアパートね。ラギィ、巻き戻して。カメラが倒れる途中で何か見えたわ…そこ。窓の外」
「古いビル街だ。東秋葉原じゃナイか?…ラギィ、何とかならないの?」
「OK、テリィたん。現場を特定出来るか、パトロールの警官に写真を送ってみるわ…ソレから、犯人は超能力者用の音波銃を使用した。本件、恐らくSATOとの合同捜査になるわ。今回もよろしくね」
南秋葉原条約機構は、アキバに開いた"リアルの裂け目"からの脅威に対抗スル防衛組織でヲタッキーズも傘下にアル。
"裂け目"からの電波で超能力者に覚醒スル腐女子が続出、彼女達の絡む事件は全て万世橋とSATOの合同捜査となる。
「ハーケンクロイツ!余は"日本ナチスユーゲン党"党首のヒタラだ。フレツは、信頼出来る人物だと思っていただけに残念だ。博士号を持っていると聞き、つい信じてしまった」
「フレツさんに最初に会ったのは?」
「数ヶ月前、彼が党本部にプレゼンテーションに訪れ、1ヵ月間北極を走査し、総統閣下の遺灰を埋めたとされる謎の浮遊大陸を発見したいと言って来た。資金援助の見返りに、週2回、動画中継をスルと言う特典付きだったので、ユーゲン党の穢れなき青少年達は毎回楽しみにしていた」
1945年のベルリン陥落時に自殺したヒトラーは、遺骸が見つかっておらず実は南極や月に逃走したとの噂が絶えないw
でも、北極には無いンじゃないの?
「資金は?」
「ベルリンと秋葉原から250万ずつ。〆て500万」
「ネパールの山奥に小学校が建つ額だ。ペミカンも大量に買いまくりだ」
ヒタラ総裁の顔がパッと輝く。
「ペミカンを知ってる?アーサー・ランサムか?」
「YES。ペミカンは、北極探検には欠かせない保存食だ。プロテインが豊富で、肉と油を固めて栄養満点。不味そうだがコレが意外と…あ。また今度話すょ。彼と最後に会ったのは?」
「2週間前、ユーゲン党員達の激励の寄せ書きを取りに来た。次の日、北極へ出発スルと言っていたのに、まさか秋葉原にいたとはトホホ」
ソコヘラギィが顔を出す。
「テリィたん。現場の特定が出来た。神田花岡町!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田花岡町は、駅の北東方向に広がる、南を総武線、西を山手線に区切られたエリアだ。何処にでもある雑居ビル2F。
「鍵は開いてたそうです。フレツが開けておいたのか…」
「ソレとも犯人が鍵を持ってたかだね」
「ウチの方で近隣住民に聞き込みスルわ。あと被害者はリスかも」
リス?何だソレ?
「隠語ょ。リスは、冬に備えて木の実を隠す。木の実の代わりに貴重品や秘密を隠す連中のコト」
「なるほど。アキバでウソをついて暮らす人は、必ず何かを隠してるからな」
「どうぞコチラへ」
制服警官に案内されて次の部屋に入ると…おぉ部屋の中央にテント。その周囲にライト、吹雪マシン、CG合成の背景…
「いいねぇ!"アポロは月に逝ってなかった"のセットみたいだ。月に代わってお仕置き…じゃなかった、月に代わって北極ょみたいな」
「…スピア、どんな感じ?」
「テリィたん、来るのが遅いわ。もうルイナはオンラインだからね」
テントの中にはハッカーのスピアがいる。彼女は、万世橋警察署の監察医も兼務スル超天才ルイナの相棒でもアルのだ。
「大口径㎐の音波銃で顔面を1発ね」
「そりゃ…痛そうだな」
「ううん。大口径だから、多分何も感じなかったハズ」
ラギィが口を挟む。彼女とは前任地からの古い付き合いだ。
「あのね。その人ソノモノである顔を撃つっていうのは、かなり相手に恨みを持ってる証拠ょ。ホラ顔って、その人自身を象徴するモノでしょ?」
「そもそも詐欺師ってのは、人から恨みを買ってナンボの商売だからな」
「しかし、よくコレだけのセットで北極にいるように見せかけたモノね」
スーパーヒロインに変身(=ムーンライトセレナーダー)してるミユリさんが吹雪マシーンに感心してる。特撮マニア?
「画像処理に最新技術を駆使してる。他の犯罪者も見習うべきだょ…おや?コレは感心だ。図書館で借りた本で北極のリサーチをしてる。返却スル気はなかったろうが」
「姉様。予想通り、リスがこんなものを隠してたわ」
「世界各国のパスポート。国連総会が開けそう」
ヲタッキーズの妖精担当エアリとロケットガールのマリレ。
因みに彼女達は作者の妄想のママにメイド服にレオタード←
「本名はステブ・フレツ?でも、こりゃステブ・フレツは、きっとステブ・フレツじゃないな」
「世界中で詐欺を働いてるのね。きっと、犯人はその詐欺の被害者だわ」
「テントを撃った痕が残ってる。弾痕から犯人の身長は160から180cm」
テントの中からスピアの声。
「それじゃユーゲン党員の青少年じゃナイな」
「肩車スレばイケるカモ」
「上からコートを被れば完璧だわ」
僕は感心スル。
「"邪悪キッズ"?ソレ、気に入った。次作で使わせてょ」
第2章 カモられる人々
万世橋に捜査本部が立ち上がる。
「こんなにパスポートがたくさん…え。テリィ様、ありがとうございます」
「で、読んだ?」
「何を、ですか?」
ムーンライトセレナーダーにコーヒーの紙コップを渡す僕。
「本だょ」
「本?あぁテリィ様の新作本ですね?"長い国生さゆり"」
「ソレで?」
思わず前のめりになる。推しの評価を聞きたい。
「ソレが…未だ読めてないのです」
「未だって…何で?」
「ごめんなさい、テリィ様。事件続きで時間がなくて」
シレっとした顔でスーパーヒロインはのたまう。
「1部欲しいと逝ったのはミユリさんだ!だから、編集者に無理を逝って掠めて来たんだぞ。未だストーリーが極秘だから、原稿に警備がつくほどの貴重品なのに読まないなんて…あぁそーゆーコトか。わかったぞ」
「テリィ様、何のコト?」
「僕を苛立たせようとジラしてルンだな?でも、無駄だぞ」
彼女のTOでもアル僕は、ビシッと逝う。ところが…
「ホントですか?バッチリ効いてるみたいにも見えますが…もう良いですか?フレツの他のIDがナイかプログラムで調べなきゃいけません。未だデータが残ってるカモしれナイし」
「姉様!アパートで集めた証拠品です。何処に置きます?」
「あら。マリレ、なんで1人で運ぶの?ナチス案件だから張り切ってるの?」
実は、マリレも1945年のベルリンからの脱出組だ。タイムマシンで現代に逃げた彼女達は"時間ナヂス"と呼ばれる。
あ。彼女自身は国防軍だけどね←
「フレツの御近所は、あの部屋にフレツ以外の人の出入りはなかったと言ってます」
「博士号もウソでした。博士号を取得したのは、同姓同名の別人で…」
「身長2mのアルビノ?」
僕が軽口を叩くとマリレは笑顔で返して来る。
「惜しい。体重140kgのアイヌょ」
「しかし、ナゼこんな手の込んだ詐欺を企てるのか意味わかんナイ。準備に時間がかかり過ぎでしょ」
「あら、エアリ。理由ならいくらでもアルわ。詐欺師は、詐欺と逝うゲームを楽しんでるの。ゲームで味わうスリルは、薬でハイになるのに似てるわ」
ソコへラギィが割り込んで来る。
「あら。プロファイルはヤク中の詐欺師で決まり?」
「いいえ。テリィ様が"同じ詐欺師としての見解"を語っているだけょ」
「詐欺師の目線からの貴重な意見だ」
的確なコメントだが、全員から無視されるw
「ユーゲン党から、捜査は内密かつ早急にと言って来たわ。今回の件は党としては恥だと思ってる。他にも恥ずかしいコトたくさんやってるのに」←
「でも…犯人は、世界中で相当な数の詐欺を働いてる。全容の解明には、相当な時間が必要だわ」
「うーん意外に簡単カモょ」
またまた僕の無責任発言だが、コレも無視される。
「ムーンライトセレナーダー。1年前フレツは別の偽名を使い、ある女性から全財産を騙し取ってるわ」
「殺しの動機になるわね。誰?」
「パティ・シルツ。彼女は、精神療養施設を何度も出入りしてる」
僕は拘束衣を着たマネをスルが…無視されるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。
「どうもシルツさん。ムーンライトセレナーダーです。コチラは私のテリィ御主人様」
「コレってサチスのコトかしら。私がサチスを殴ったのは私のエクササイズを覗いてたからょ」
「いいえ。サチスではなく、彼のコトです。ステブ・フレツ…もしかしたら、ステブ・マラザかも」
急に怯えた顔になるシルツおばさんw
「私は逮捕されるの?」
「なぜ逮捕?」
「私が…殺したから」
おぉアッサリ自白か?
「シルツさん。今、殺人を認めましたね?」
「YES。頭の中で殺したわ」
「彼を殺したのは"頭の中"なの?」
溜め息をつくムーンライトセレナーダー。
「メイドさん。私は毎日1時間瞑想スル。お医者の命令ょ。考えるのは猫のコト。あとコイツを呪い殺すコト。ようやく効いたのね」
「因みに"頭の中"では、どうやって殺した?」
「研磨機」←
どーしても知りたくて僕が質問したが、答えは明快←
「…シルツさん。今朝の9時はドチラに?」
「動物病院ょメイドさん。Mr.マフズのコレステロール値が高くて」
「わかりました!以上です。さよなら」
ファイルを閉じ立ち上がるミユリさん。僕の出番だ。
「も少し話そう。彼の詐欺の手口は?」
「彼は低温学者で、私と猫達を冷凍保存してくれるって。永遠の命、不死の技術が開発されたら、解凍されるハズだったわ」
「シルツさん、ソレを信じたの?」
上から目線だったか?彼女は怒り出すw
「何て言い方?アンタ、騙された経験は?」
「2度ばかり失恋」
「私がヘンだから騙されたと思ってるのね?あのね。私は、妄想性人格障害ょ。つまり、あり得ないぐらい疑り深いってコト。だけど、彼といると、何年かぶりに安心出来た。ソレなのに全財産を奪って、彼は消えた。神田明神も照覧あれ。彼ならラクダに砂だって売るわ…彼の遺体を見ても?」
スーパーヒロインの答えはニベもナイ。
「NG」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「フレツには、ちょっち感心せズにいられないな」
「テリィ様、ソレ御冗談でしょ?」
「人としてじゃなく、同じストーリーテラーとしてさ。ある意味、SF作家の僕と同業だょミユリさん」
シルツおばさんを追い返し捜査本部のギャレーでお茶。
「テリィ様。無実の人の生き血を吸うヒルみたいな存在ナンですょ?」
「姉様。そのヒルの腕前はメジャーリーグ級だったみたい」
「おかえり、マリレ。でも、何で?」
ヲタッキーズのエアリ&マリレが戻って来る。コレでミユリさん含め3人全員がメイド服にレオタードだ。眼福だょ…
「最近、別の偽名を使って婚約してました」
「お相手はエリフ・フネガ」
「フネガ?うーん何処かで聞き覚えのアル名だな」
僕は必死に思い出す。
「父親が資産100億円超えのIT長者ょ。彼女は1人娘だから100億円の花嫁なの!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「彼は詐欺師なんかじゃない!」
駅直結のアキバ最高のタワマン最上階のペントハウス。
世間知らずな"100億円の花嫁"の叫び声が響き渡るw
「エリフさん。残念ながら事実です。確かな詐欺の証拠がある。他にも見つかるハズなの」
「嘘ょ!ソンなの信じないわ!」
「娘は来週末の式を楽しみにしていた」
眼下に、東京はモチロン関東平野を睥睨する展望…を見下ろしながら、億ションの応接間はちょっとした修羅場だw
IT長者のフネガ夫妻に、その1人娘のエリフ。コッチは、僕とムーンライトセレナーダーに変身したミユリさんだ。
「2人が出会ったキッカケは?」
「半年前ね」
「おや?貴女はどなた?」
ムーンライトセレナーダーの質問に勝手に答えるインド系?の掘りが深い美女。何者だ?その、えっと、巨乳だけどw
「エリフ様のバイオリン教師のスーナ・リエンです(胸ばかり見ないで)」
「(だったら谷間見せるな)半年で婚約?ソレは、かなり急展開ですね」
「運命でした」←
ソレ、バイオリンの教師が逝うコトか?
しかし、何でバイオリンなの?ブーム?
「ステブ・フレツに何か不審な点は?嘘や借金がバレたり、今までの話と何か矛盾してたとか?」
「メイドさん。フレツは、式の費用を払うと譲らなかった。娘の幸せのために生きてるような奴だった」
「(バッカじゃナイの)ソレは、彼女を騙すためです」
父親のフネガ氏の発言を慌てて否定。しかし…
「違うわ!メイドさん、私は資産家の娘ょ。お金目当てに近づく男を見抜く力は身に付けているわ。でも、フレツは違った。彼は…彼は私自身を愛した!」
こりゃダメだw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
タワマンのペントハウスを追われるように出された僕とミユリさんは、晩冬の中央通りをSATO司令部へと急ぐ。
「彼女は何であんなにウブなのかしら。婚約者が詐欺師だって証拠は、こんなに揃っているのに」
「見たいモノしか見えない。詐欺師にとっては、最高の獲物だね」
「詐欺師って病的に冷酷。愛してると囁いておいて、良心の呵責もナシに全財産を奪い取るンですモノ」
ミユリさんは、ヤタラと憤慨している。
「中学時代のシェリを思い出した。僕をフッた上に金を盗んだ。ソレも友達とクスクス笑ってた」
「ソレって…あ。スマホwそう。ありがと」
「誰から?何だって?」
ミユリさんは首を横に振る。
「ラギィから。桜田門のDBで指紋がヒットしなかったそうです。フレツは、ホントの身元不明」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜。捜査本部は眠らないw
「ムーンライトセレナーダー、どんな感じ?」
「あぁラギィ。被害者が意外に優秀な詐欺師で苦戦してるわ。"ナイジェリア詐欺"って覚えてる?」
「コロナ前にヤフオク!を荒らしてた奴?フレツも加担してたの?」
出品者は商品だけ取られ入金されズに終わる詐欺←
「ソレが…ダマされるフリして、逆に韓国人から1万ドル奪ってる。ハングルも喋れるのねw」
「犯罪者を褒めないで」
「まさに世界を股にかけた詐欺師だわ。詐欺の名前も面白いのょ"袋の豚"ですって」
紅の…なら知ってるがw
「詐欺の映画って痛快だょな"Catch Me If You Can"」
「私は絶対"オーシャンズ11"ね」
「古典の"ペテン師と詐欺師"も渋いわ」
映画の話で盛り上がる。みんな意外に映画好きだ。
「でも、僕の1番は"スティング"で決まりだ」
お約束の鼻をいじる仕草。お?ラギィが返して来るw
「姉様は何が好き?」
「私?私は…詐欺映画は嫌い」
「えええぇ!ウソ(だろ、でしょ、ソンなetc)」
僕は力説スル。
「スティングは、アカデミー賞20部門受賞してる名作だょ?ソレが多過ぎるとでも?」
「テリィ様。詐欺映画で唯一騙されるのは観客です。最初から何も信じられない映画って見る価値が…」
「だから、面白いんじゃないか!」
ムーンライトセレナーダーは、押収した手紙の束を見せる。
「ヒトラーユーゲン党の青少年達もきっと面白くないハズ。この手紙、読み上げますね。"フレツさん、北極熊はいつ寝るの?""フレツさん、ペンギンはタキシードを着てる?"…」
「ミユリさん。ペンギンは南極だぜ」
「6才ですょ…ソレから人前で名前を呼ばないで」
僕は、違和感を感じる。
「詐欺師がキッズの手紙に返事を描くかな」
「ソレも詐欺の手口なのでは?」
「いーや。ヤハリどーかな?金にしか目がないモンスター詐欺師だぜ?キッズ1人1人に危険を冒してまで返事を描くメリットがナイょ」
「みんなカモね。騙されるなって!」
え。ミユリさんの粗野?な言葉使いに唖然。
実はミユリさんは"プラズマ生命"で早い話が電流みたいなモンだが、時々"地"が出る。
元は超古代の太陽系を統べる王家の第3皇女だが、今はワケあってメイドに憑依している。
「ミユリさん!」
「あ。失礼しました。テリィ様」
「ミユリ。私はカモで結構だけど、犯人は侮らないで」
ラギィ警部は、そう逝い捨て歩き去る。
「姉様。怒られちゃいましたね」
「お黙り、エアリ。後は頼むわ」
「え。ミユリさん、もう帰るの?」
妙に吹っ切れた感じが気になるw
「ミユリさん。何か予定がアルの?…店外交友とか?不幸な御相手は誰かな?」
「テリィ様、笑えます。では、また明日」
「気をつけて」
ホントに帰ってしまう。取り残され感、ハンパなしw
のんびりピザを食べてるエアリ&マリレを詰問スル←
「相手は誰だ?」
「知らないわ」
「謎ょ」
役に立たないな、君達は!
「男の話とかしてないのか!」
「知っての通り姉様は秘密主義なの」
「テリィたん、なぜ気にスル?気がアルとか?」
まさか!詐欺映画が嫌いな女ナンて!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ゴージャスなバスタブを囲むキャンドルに火を灯す。
ガウンをフロアに落とし爪先からゆっくりと浸かる。
"長い国生さゆり"
ミユリはワインを1口含み、栞を抜いて読み始めるw
第3章 みんな詐欺師
"潜り酒場"のVIPルームからバイオリンの音が聞こえるw
「ミユリさん!レッスンは明日じゃなかったのか!」
「キャンセルが出たから無理に今日に変更したみたいですょ…で、何をなさってるの?」
「別に。タイヘンだ!静かになったぞ」
ドアにつけた耳に全神経を集中してる僕は叫ぶ←
「指導を受けているのでは?」
「指導?ウソを吹き込まれてルンだ!」
「テリィ様、落ち着いて」
突然ドアが開くw
「センセ。そうすると、曲の始まりは上げ弓?」
「そうなるね。いやぁスピアは飲み込みが早いなー」
「よぉ2人とも!バイオリンのセンセ、来ていたのか?」
とりあえず、壁の絵をかけ直すフリ←
「テリィたん。貴方の元カノ会長のスピアさんは、才能がありますね。良く頑張ってますょ。ソレじゃソティエの練習を忘れズにね。来週もブラームスだ」
「はい。センセ」
「では、みなさん。おやすみなさい」
思い切り爽やかにお出掛けして逝くディラ。
余りに爽やか過ぎて…つけ入るスキがナイ。
「全く信用出来ナイな」
「テリィたん、何でソンなコトを言うの?」
「だって、氏素性も知らないンだぜ?」
レッスンに頬を上気させてたスピアは明らかに不満そう。
「バイオリンも教え方も天下一品なのょ?」
「ラーメンかょ?オルガ先生だって」
「オルガ先生は変な飴の匂いがした。ねぇ何が不満なの?」
ココは人生の深みを語る時だ。
「スピアは、未だ理解してない。ヲタクは、一般人以上に外見に騙されがちだ。ジュリアードに彼のコト、確認したか?」
「…してない」
「卒業証明書は?」
「ネットで見た」
そーら見ろ!
「クレジットカードに成績証明、嘘発見器によるテストが済むまでレッスンは中止だ!」
「テリィたん、なんでそんなおかしなコトを言うの?」
「おかしくナイ。世の中ってのは…」
カウンターの中からミユリさんが割り込む。
「バイオリンのセンセに嘘発見器?テリィ様、ソレは何でもおかし過ぎるのでは?」
「ミユリさんはメイド長をクビだ」
「テリィ様」
ミユリさんが拭いてたグラスを取り上げる。
僕は御屋敷のオーナーで彼女は雇われママ…
「いいか、みんな。よく聞くんだ。コレがパンピーの判断と逝うモノだ」
「出た。元サラリーマンだと思って常識人ぶるのヤメて。あぁ気持ち悪い」
「テリィ様、聞いてられません」
みんなは呆れ、ミユリさんはワイングラスを出して磨く←
「彼の身元を確認するまで、レッスンは禁止だ。OK?」
「やっと音楽を分かち合えるセンセに出会えたのに、何で台無しに?」
「スピア、違うょ。僕はただ…」
ワッと泣き出したスピアはミユリさんの胸に飛び込む。あぁ。ソコは僕の指定席ナンだけど…
「何で泣くんだょ!未だ話が途中だ。卑怯だぞ」←
「全てテリィ様の理不尽さと…スピアのホルモンバランスのせいです」
「…え。ホルモンバランス?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
翌日。心の奥底から大反省した僕は、SATO司令部でトレーニング中のムーンライトセレナーダーを訪ねる。
「テリィ様。スパーリング中にお呼び出しとは何ゴトですか?」
「事件のコトでひらめいたのと…コスプレしたミユリさんが女同士で戦う姿を想像したら妙に興奮して」
「まぁ。でも、相手が女子とは申してませんが」
顔をしかめる僕。
「この前のデートの相手?」
「あら。もしかして嫉妬してらっしゃるの?しめしめ」
「え。僕が嫉妬?まさか。へへ。笑えるな」
ミユリさん、と逝うか、ムーンライトセレナーダーは、僕を真正面から見据える。少しドキドキ←
「もしも、私のデートの相手がテリィ様の本だったら…」
「ホント?昨夜は"長い国生さゆり"を読みに帰ったの?」
「ウソです。騙され過ぎ、チョロいモンね…あ、ごめんなさい。最近ヤタラと"地"が出ます…で、何がヒラメいたのですか?教えて」
斜め37度。1番可愛く見える"勝負角"をキメて来る。
「僕は、ただスピアのコトが心配で…だから、バイオリンの先生の身元調査をしろと騒いだだけだ。もし彼女が詐欺師と結婚したら、僕は殺人も犯せると思う」
「テリィ様、ソレって…」
「お見事かな、ミユリさん」
「いいえ。全然」
「スゴい?」
「ダメです。まさか」
「天才?」
「浅いわ…富豪のフネガ氏がフレツを詐欺師だと知っていた証拠はナイし」
ココでヲタッキーズのエアリ&マリレが入って来る。
「姉様。ソコで、テリィたんの提案でフネガ氏の銃の登録状況を拾って見たンです」
「そしたら、ビンゴ!凶器と同口径㎐の音波銃を持ってたワケ」
「え。誰が音波銃を持ってたの?」
聞き返すミユリさん。僕が答える。
「だから、フネガ氏その人さ」
「それマジかょ?」
「おいおい」
またミユリさんの"地"が出る。僕は顔をしかめる。
「口が悪いな。とにかく、着替えて来いょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び億ションタワマンのペントハウス。
「確かに音波銃は持っている。いつも金庫にしまってあり、ココ何年間も使ってナイがね」
「金庫の暗証番号を知ってるのは?」
「私だけだ」
フネガ氏から渡された音波銃を点検するミユリさん。
「最近は発砲も…手入れもされてませんね。一応SATOのラボで検査させてください」
「どうぞ」
「フネガさん。同じ女子に振り回される者として、不思議に思うンだ。どーして未来の義理の息子を調査しないのカナ。彼の素性を疑ったコトは無いのか?」
ココは男同士、率直に話をしたい。
「え。もちろんステブ・フレツの素性は知ってる。2週間前探偵に調べさせた。別に疑ったワケじゃない。念には念を入れたかっただけだ。フレツが詐欺師だと知って、実は大変ショックだった。激怒したょ。コチラへどうぞ。何か飲むかね?」
僕達が固辞スルと勝手にグラスにウヰスキーを注ぐ。
「ステブを追求した。娘のエリフに話して式を中止にスルと言った。すると、彼は懇願してきたのだ。娘にベタ惚れしている。ナンとしてでも結婚したいとね」
寂しげにハハハと笑う。
「モチロン私は信じなかった。だが、彼は詐欺はもうしない、足を洗う、神田明神に誓うと言って来たのだ。ただし、北極探検家のフリだけは、キッズをガッカリさせないために続けてたそうだ」
「フネガさん。あの子達はナチスです。ソレに彼はプロの嘘つきナンですょ?」
「ソレはわかってる。だが、彼は婚前契約にも同意スルと言って来た。フネガ家の財産は1銭も受け取らないと言う契約書を作って下さい、そしたらサインをします、と。金儲けのために詐欺を繰り返して来た彼が、ホントに大切なモノを知ったのだ。ソレは…真実の愛だ」
こりゃダメだ。聞いてられナイw
「フネガさん。ソレを信じたのか?」
「信じたとも。だから、誰にも話してない。君達には真っ先に話したかったが、エリフがいたから話せなかったんだ」
「フネガさん。その探偵は写真も撮りましたか?」
ミユリさんの質問にフネガ氏はうなずく。
「モチロンだ。1週間尾行したからね。ただ娘に見られるとマズイから探偵が持ってる」
「ミユリさん、何を考えてる?」
「テリィ様。写真にフレツ殺しの犯人が映ってるカモ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り。フネガ氏が雇った探偵事務所へ向かう僕とミユリさんは、2人共キツネに摘まれたような顔をしている。
「フレツのエリフへの愛はモノホンかな?」
「テリィ様。詐欺師が改心ナンて聞いたコトありません。ソレ自体が詐欺でしょ」
「ミユリさんは、人は変われると思わないの?」
即答←
「全く思いません。私のTOになると逝っておきながら、実はDDだったとか、私は何人も見て来ました」
「希望がナイな」
「ソレがアキバでしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通りの3本裏にある雑居ビル3F。女探偵だw
「フネガ氏から話は聞いてる。私は"blood type BLUE"。弱いテレパスょ。ステブ・フレツの身元調査は楽な仕事だった。始めて数時間で化けの皮が剥がれたわ」
「おやおや。詐欺師って脇が甘いンだな」
「テリィ様、コレって…」
気前よくデスクに並べた写真からミユリさんがpickup。
「やや?ハイル・ヒタラ党首じゃナイか!驚いたな」
「探偵さん。コレいつの写真?」
「えっと10日前ね」
何処かのカフェでフレツがヒタラに茶封筒を渡してるw
「あらまぁ。彼は北極にいるハズなのにw」
「センセも詐欺に1枚噛んでたのか!」
「いくら貰ってるのかしら」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「わかった!ホントのコトを言う!」
「ホントに?ウソが何より得意に見えるけど?」
「聞いてくれ!フレツの北極探検パンフレットの写真がCG合成だと気づいたのは俺だ!」
党本部で証拠写真をつきつけると党首はアッサリ白状w
「だから、幼気な党キッズを守るより、便乗して自分が金儲けスル道を選んだのね?いくら貰ってるの?」
「違う!信じないだろうが、党キッズはフレチから学んでたし、彼もキッズの期待に答えようと相当な努力をしていた。だったら、私が小遣い稼ぎをしても許されると思ったんだ!」
「甘い!フレツは幼気な党キッズを騙し、貴方はその手助けした。どんな裁判員でも有罪にスルわ」
ギョッとなるヒタラ党首。
「え。裁判員?私は殺してナイ。党本部にいたンだ!」
「でも、詐欺の共犯で起訴は免れないわ。蔵前橋の重刑務所が嫌なら犯人を教えなさい!」
「神田明神に誓って言うが知らない!相棒とは話したか?」
え。相棒?
「誰ソレ?美味しいの?」
「いつもフレツと一緒にいるから、てっきり相棒だと思ってたけど…さっきの写真にも写ってナイか?」
「この写真?何処に写ってるの?」
黙って右隅を指差すハイル・ヒタラ党首w
「フレツの婚約者、富豪令嬢のエリフじゃナイか!」
「誰が詐欺師か、やっとわかってきたわ」
「やれやれ。みんな詐欺師かょ」
第4章 真実の愛
「話してエリフ。貴女、婚約者のフレツがヒタラ党首に口止め料を手渡す現場にいたわね?」
「あぁ!アレはそーゆーんじゃないのょ!」
「じゃあ何ナンだ」
僕はサディスティックな役が似合わないw
そうと知ってかエリフはのらりくらりだ←
「貴方達には言えないわ」
「エリフ。私達は、貴女の婚約者を殺した犯人を探してるのょ。協力して」
「違うの。フレツは詐欺師じゃなかった!」
ミユリさんは首を振り、僕は天を仰ぐ。
「エリフ…」
「ホントなの!彼は内閣情報調査室の秘密諜報員だった」
「…コ、コレは最高の展開だw」
瞬間圧倒されたミユリさんだが、直ちに反撃!
「黙って、テリィ様。なんで内調だと思うの?」
「本人が教えてくれた。付き合って1ヵ月後、もうウソに耐えられないと真実を歌ってくれた。ホントは北極探検家ではなく、極秘任務中の内調のエージェントなんだと打ち明けてくれたの!」
「ちょっち待って!」
ミユリさんはウメき声で質問w
「なぜ内調のスパイが小学生をダマすワケ?」
「決まってるわ。ソレが任務だからょ!」
「もしかして、ヒタラ党首も内調だったりして?」
うなずく令嬢エリフ。ミユリさんは天を仰ぐ。
「お願い。もう勘弁して」
「ヒトラーユーゲン党は、世界に散った隠れナチスの子息が集まるインターナショナルスクールなの。クラスの半分が極右の子供。その子供に近づくコトで、世界の脅威となり得る勢力の情報をゲット出来る!」
「ま、待って。ソレって…」
ミユリさんは頭を抱えるが、僕の率直な感想は以下。
「賢いな」←
「テリィ様!」
「私の婚約者は、詐欺師だから殺されたんじゃない。内調の任務中に殺されたの!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「絶対に違うわ!」
「待ってくれょミユリさん。僕はただ…」
「とにかく!違うのです」
エリフと会ったタワマンからSATO司令部に戻る中央通り。
「あらゆるコトに可能性はあるょ?」
「しかしフレツは内調のスパイではありません」
「¥1000賭けよう」
僕は、おサイフを取り出す。
「乗ります。ドチラに電話を?」
「内調」
「え。内調って代表電話とかあるのですか?」
僕は首を振り暗号を口にスル。
「"街中華は舌を踊らせる"」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通り地下にあるSATO司令部。
「"エージェントふみ江"には"嵐のヲタク"の時にリサーチして、我が国の諜報活動について本格的に教わった。彼女は…マシンだ。僕は、今まで連続殺人犯やヒットマンにも会って来たが"エージェントふみ江"は、飛び抜けて恐ろしい。北朝鮮の喜び組をスプーンで殺したコトもアル」
「いいえ、テリィたん。彼女はアイスクリームスクープで殺ったわ。でも、ソレは口外して欲しくなかった」
「ご、ごめん!」
声のした方を振り向くと…小柄な中年のオバサンだw
「貴女が"エージェントふみ江"…さん?私の想像とは、かなり異なりました」
「ムーンライトセレナーダー。この世に外見通りのモノなど存在しないわ。わかりやすさは命取りょ」
「カッコいい…でも"嵐のヲタク"の中で出て来たセリフですょね?」
え。ミユリさんは僕のSF読んでるのかw
「あ。今度の本"長い国生さゆり"では、ミユリさんの言葉も使わせてもらってるょ」
「新作ね?読んだわ。特にセックスシーンが濃厚」
「待って!セックスシーンがあるの?私とテリィ様の?」
あぁネタバレだw
「自由落下中のシャトル操縦席での無重力セックスだ。彼女は…何度も昇天スル」
「良かった!現実とは違うンですね」←
「笑える…でも"エージェントふみ江"、何処で本をゲットしたンだ?」
"ふみ江"は答えない。
「とにかく!ステブ・フレツは、内調のエージェントじゃないわょね?」
「ムーンライトセレナーダー。ソレは、向こうで話すわ」
「あれ。誰かお茶してるわ」
げ。レイカ司令官だ。ホワイトティーを飲んでる。
「出るのょレイカ」
瞬間、怪訝な顔をしたレイカだが、南秋葉原条約機構の沈着冷静な最高司令官が何とコソコソとギャレーを出て逝くw
「ムーンライトセレナーダー。本来は誰が内調エージェントかを私が言うべきじゃナイ。でも、テリィたんの頼みだから言うの。彼はエージェントじゃナイ」
すると、ミユリさんはクルリと僕に背を向けて、右手の2本指で¥1000をリクエスト。
やむなく僕がピン札を挟むと彼女はニンマリ…次の瞬間"ふみ江"の姿は消えている。
「カッコいい…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「まさか!僕まで騙されてたナンて!」
「エリフを再調査しなきゃ、ですね…あら、スピア?」
「テリィたん!」
エレベーターから出て来たのは"怒れるスピア"。
鬼気迫る表情で大股に歩き、僕の前に立つ。殺気←
「話がアル」
僕の手を取り、会議室に連れ込むw
ドアを閉め椅子にバッグを落とす←
「座れ。ディラのコト、ジュリアードに問い合わせた?」
「え。あ、そうか、な?」
「ウソでしょ!アレだけ言ったのに。信じられない。私って悪い元カノ?酔っ払ったり、法に触れたり、裸でストーキングしたりスル?しないわ!スルのはテリィたん。正しい判断をスルのは、いつも元カノなのに、その元カノをテリィたんは信用してない!」
どーやら僕は地雷を踏みまくってる←
「違うょ!ただ、アキバは危険で嘘つきな奴が多いんだ。だから…」
「そんなの知ってるわ。私は、危険だらけの昭和通りで育ったの。ストリート育ちなのょ!」
「スピア…」
僕は、既に木っ端微塵の爆死状態←
「好きなバイオリンの才能を伸ばしてくれる先生ぐらい、自分で選ばせて。テリィたんのコトは今でも大好きだけど…私、もう元カノだから」
会議室を出て逝くスピア。僕はスッカリ打ちのめされ、イスから立ち上がれナイ。入れ違いにミユリさんが入って来る。
「さすがは元カノ会長。テリィ様をズタズタにしましたね」
「見てたの?」
「ココの会議室の鏡は全てマジックミラーです。でも、私も見てて辛かった」
経験スル方がもっと辛いょトホホ。
「お仕事、再開出来ます?…も少しお待ちしますね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
も少し経ってから、気を取り直しムーンライトセレナーダーに変身したミユリさんとタワマン最上階を再訪。玄関前。
「テリィ様。いつもハメを外せとおっしゃる割に、イザ外すとビビるのですね」
「ビビってナイ。ただ…まぁビビったのかな」
「お年頃の元カノには苦労しますね。元お年頃として同情します」
ピンポン。ドアが開く。令嬢エリフと家庭教師スーナ。
「ムーンライトセレナーダー?」
「入っていいかしら?」
「もちろんょ。さぁどーぞ」
オドオドしてる富豪令嬢。ヤタラ余裕の家庭教師w
「エリフ。調べたけどフレツはスパイじゃなかったわ」
「OK…で、今日はソレだけ?」
「あら?先日は詐欺師じゃないと言い張って大変な騒ぎだったのに」
またまた大激論と思ってたから拍子抜けだw
「事件を早く忘れたいと思って」
「待ってょ。何か隠してるでしょ?」
「あーら何のコトかしら?」
あくまでシラを切るエリフ。スーナがそそのかす。
「エリフ、言っちゃいなさい」
「気味が悪いな。ナンだょ」
「じゃエリフの代わりに言うわね…フレツは生きてる」
ムーンライトセレナーダーは絶句。僕は…
「コレは…最高の展開だなw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「隠そうとしてごめんなさい。私ったらスッカリ取り乱してしまって」
「無理もナイわ。死んだと思ってた婚約者が生きてたンですモノ。実は30分前、フレツ本人からの留守電が入ったのです」
「ソレ、ホントに本人なの?」
さしものムーンライトセレナーダーも狼狽えてる。
ヤタラ余裕の家庭教師スーナが留守録を再生スル。
"エリフ、僕は追われている。また連絡するが…僕以外、誰も信じるな!"
鳥肌モノだw
「あり得ないわ!」
「でも、聞いたでしょ?確かに彼の声なの」
「じゃ安置所にある遺体は…誰?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の検視局。
監察医の資格を持つ超天才ルイナを呼び出す。
あ、彼女はSATO司令部からのリモート参戦w
「テリィたん、どしたの?相棒のスピアに聞いてくれれば良いのに。全部話してアルけど」
「ソレがスピアとはちょっち…で、ルイナ。この遺体はステブ・フレチ本人だょね?詐欺師の」
「いいえ。必ずしもそーとは言えないわ」←
おいおい、何だょ話が違うw
「正直言って100%そうとは言えないの。確かに指紋は、アパートの指紋と一致スル。でも、本人のデータがナイから照合比較は出来てナイ。世界中で7つの偽名を使ってるらしいけど、どの国でも歯医者にかかってないから、歯型からも検証出来ない」
「…つまり?」
「この遺体は、スレブ・フレチかもしれないし、違うかもしれない」
またまた打ちのめされる僕。厄日だw
「でも、死ぬ瞬間の動画を見たンだぜ?」
「いいえ。テリィたんは見てナイわ」
「…嫌な事件だ」
ルイナの無責任なまとめ。
「わかるわ。だから面白いンじゃナイ」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"…なんだ?お前はナチハンターか?おい!お前…嘘だろ、やめろ…"
捜査本部に戻り、全員で動画を見直すw
「確かに死ぬトコロが写ってナイ!」
「発砲した瞬間、カメラが倒れていますね」
「顔は原型がナイほどグチャグチャ」←
全員で頭をヒネる。
「でも、ワカラナイわ。コレから資産家の令嬢と結婚して、大金が入るのに、ナゼ死を偽装スルのかしら」
「実はモノホンのスパイとか? "エージェントふみ江"がウソをついてルンだ」
「テリィたん、ソレはナイわ。だって、世界を舞台に相当前から詐欺を重ねて来たンでしょ?何か見逃しているモノがあるハズょ」
ソコヘ情報が飛び込む!
「たった今、スレブ・フレツのカードが使われました!神田リバー水上空港からパレンバン。インドネシア行きの飛行艇航空券です!」
若い刑事が叫ぶ。
「高跳びする気だ!」
「しかし、何でインドネシアなんだろ?」
「引き渡し条約がナイ国を狙ってる。何時の便?」
全員が一斉に走り出す。
「5時の便です。間も無く離水」
「飛行艇を止めて!全員出動よっ!」
「警部、待ってください!7つの偽名のカードが一斉に使われてる!末広町からニュー仙台の地底超特急、佐久間河岸ブンカー発の遣独潜水艦、シンガポール行き飛行船…陸海空のあらゆる搭乗券や乗車切符を買い漁ってるw」
今度は全員一斉に地団駄w
「我々を撹乱しようとしてる!」
「警部、逃げられます!そこまでの人員はいません!」
「ソレに判明してない偽名も使ってるハズだ」
ナイスな指摘だが、全員から白い目を浴びる僕←
「テリィたん!じゃ諦めろと言うの?」
「いや、ソンなコトは逝ってなひ。ただ僕達が逃亡ルートを見つける頃には、犯人は何処かのビーチでビキニになってるって…あわわ。ミユリさーん助けて!」
「そうね。逃亡ルートを追うのはヤメましょう」
ムーンライトセレナーダーの一言に全員の期待が集まる。
「犯人は、なぜリスクを犯してまでエリフに留守電を残したのかしら。犯人は愛する彼女と一緒に逃亡スルとの前提に立つと、もしフレツが生きているとすれば、彼はエリフの下に必ず現れると思う」
ラギィが短く一言。
「行って、ムーンライトセレナーダー」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あの子なら、さっき出かけたのょ。電話があって10分前に急いで出掛けました」
タワマンのペントハウスに文字通り"殺到"した僕とムーンライトセレナーダーにノンビリ伝えるフネガ夫人w
「エリフに電話が?誰から?フレツ?」
「知らないわ。だって、あの子ったら、何も言わズに突然飛び出して行ったンですモノ」
「ラギィに頼んでエリフを指名手配してもらおう。何処かの空港で捕まるカモ…あれ?何コレ?」
僕はフト目についた大量のパンフレットを指差す。
「フネガさん、コレは何ですか?」
「え。結婚式用の2人のアルバムょ。さっき届いたばかり。スーナが作ったの。式の参列者に配ろうと思って」
「このレイアウト、何処かで見たな…」
ミユリさんも同じらしい。頭をヒネるが…
「テリィ様!フレツが学校へのプレゼンに使った北極探検のパンフレットです!フネガ夫人、このパンフはスーナが制作したのですか?」
「YES。彼女はグラフィックアーティストだから」
「スーナはいつからココに?」
今度はフネガ夫人が頭をヒネる。
「うーん多分1年前だったかしら」
「…犯人の相棒はスーナだったのね」
「そっか。先ずスーナがエリフと親しくなり、エリフの情報を聞き出し、エリフの大好物にフレツを仕立て上げる」
僕達はヒラメく。
「テリィ様。良くある手だわ。エリフの好みや理想をフレツに叩き込み、フレツはソレを演じてアーラ不思議と一目惚れさせた」
「でも、ミユリさん。未だ納得出来ないょ。フレツの死を偽装する必要アルかな?あんなに派手に死ねば大捜査になって詐欺がバレるのがオチだょ」
「だ・か・ら!フレツはホントに死んだのです、テリィ様。なぜなら、フレツがホントにエリス愛してしまったから!」
げ。どーして女子はそーゆー発想スルかな。カナワナイょ。
「つまり、フレツは途中で詐欺を止めようとした?」
「YES。せっかく仕込んだ詐欺も、2人が真実の愛に目覚めてゴールインしたらお終い。スーナは単なる恋のキューピッドに成り下がって儲けはゼロ」
「ソコでスーナは作戦を変更。フレツの顔を音波銃で撃ち、死体を身元不明にした」
ビンゴだ!ところが、フネガ夫人が…
「でも、さっきフレツから電話があったのょ?」
「その電話はスーナが偽造したのでは?」
「でも、メイドさん。なぜソンなコトをスルの?」
なぜなら…僕とミユリさんは異口同音。
「詐欺は続行中だから!」
ミユリさんはフネガ夫人に(ほとんど)突っかかるw
「いつもエリフが使ってる銀行は何処ですか?」
「えっと普段は中央通りにあるトマト銀行ですけど」
「ありがとうございます!」
ミユリさん、既に"浮き上がってる"。現場へ"飛ぶ"つもりだ。僕はフネガ夫人にパンフレットを投げて叫ぶ。
「ソレ、証拠品だから後で1部ください!」
そして、両手を広げるミユリさんに飛びつくw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
中央通り。トマト銀行秋葉原支店の前。
「スーナ!彼は…フラツは無事なの?」
「えぇ無事ょ。さっき連絡があったわ。でも、貴女に直接連絡スルのは危険なの。エリフ、貴女は当局に目をつけられてる」
「やっぱり?資産家令嬢だから仕方ナイわ。で、とりあえず1億円で良いかしら?」
人通りが絶えない昼下がりの中央通り。
声を潜めて、令嬢と詐欺師が密談中だw
「とりあえず、貴女達2人が海外に行く資金としては、ソレで充分でしょ?」
「あぁそうね!良かった。ありがとう、スーナ!」
「さ、急いで預金をおろして来て!」
小走りに銀行に駆け込むエリフ。
ニンマリ微笑み、見送るスーナ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
エリフは、数分で銀行からアタッシュ片手に出て来る。
「エリフ、大丈夫だった?」
「えぇモチロンょ」
「フネガ様!」
2人が振り向くと、銀行から恰幅の良い紳士が出て来て、ヤタラ堂々と歩いて来る。スーナの表情が微かに引きつる。
「スマホをお忘れです」
「あ、ありがとう…」
「では、御機嫌よう」
再び、ユックリと歩き去る紳士。
ソレを見届けスーナがささやく。
「またフラツから電話があったの。私が彼にお金を届ける間に、貴女には荷造りをして欲しいンだって。ソレで9時に神田リバー水上空港に行けば、ソコで彼と会えるわ」
「わかった!じゃコレ、お願いね」
「頑張って」
何のためらいもなく、アタッシュケースをスーナに預けるエリフ。小走りにタワマンへと去る。
ソレを見届けて、アタッシュを胸に抱き、同じく小走りで駐車中のセダンへと駆け込むスーナ。
「さぁお宝拝見ょ!」
助手席に放ったアタッシュを開けると…果たして中身は札束でギッシリだが、刻印が"子供銀行"でオモチャの紙幣だw
「パーツ通りの100均を買い漁って、ようやく詰めたンだ。どうかな?壮観だろ?」
僕とミユリさん(変身スラしてナイw)が車内を覗き込むw
左右からは万世橋のパトカーが飛び出し、警官隊が包囲。
「スーナ・リエン!降りろ!」
「手を上げルンだ!後ろを向け!」
「普通、詐欺師は騙せないンだけど、今回はもしかしてイケるカモと思ったんだ。しかも、古い手口のlazy Susanでね」
連行されるスーナを横目にミユリさんと話してたら…
「メイドさん」
先程の紳士。実は支店長さんで僕のSFのファンらしい。
「御協力ありがとうございました!」
「顧客を守るのが私の務めです。ソレから、テリィたん。例の件ですが…」
「あ、ハイハイ。支店長には"太陽系海軍シリーズ"の次作に登場していただきます。モス・アイズリー並みの酒場に巣食う詐欺師役で…あ、あれ?その仕草は…」
何と支店長さんとミユリさんが鼻を擦る仕草をしてるw
「待てょその合図は"スティング"の…ミユリさん、詐欺映画は嫌いじゃなかったのか?」
「テリィ様って、ホントにカラカイ甲斐がアルTOですね」
「ヲタッキーズ、コレを見て」
ラギィ警部がスーナのセダンから押収したPCを開く。
"…エリフ、追われてルンだ。誰も信じるな…"
サンプリング音源から合成したフラツの音声が流れる。
「何だか手品を裏側から見て仕掛けが見えちゃった気分だ。ガッカリだね。あれ?エリフ…」
「テリィたん。フラツはホントに死んだの?」
「残念だけど」
詐欺が解決した瞬間だが、八方丸く収まったワケではナイ。
「じゃあ…やはり全部ウソだったのね、テリィたん」
「違うさ、エリフ。フラツは、ホントに君を愛してた。君のために詐欺をヤメ、足を洗おうとして…殺されたンだ」
「そうだったの。ありがとう、テリィたん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「ただいま…あら?ミユリ姉様は?」
スピアが御帰宅。
「今、読書中」
「読書?何?感想文コンクールか何か?」
「さぁ」
実は、僕の最新作"長い国生さゆり"の105ページを読んでいるハズなんだが、出版社との契約で口外出来ない。
え。何で105ページかって?ソコが噂の濃厚セックスシーンだからだ。今頃アングリ口を開け赤面している予定←
チャンス到来。
「出るンだ」
試しに逝ってみたが、誰1人動かナイ。"エージェントふみ江"の時とはエラい違いだトホホ。
仕方なく、1人離れたテーブル席に座るスピアの下へと出向き隣に座る。彼女は…怒っているw
「悪かったょスピア」
「何のコト?」
「正直に逝うょ。スピア以上に信用出来る元カノはいない。今後は、ソレを最大限に尊重スル。でも、忘れるな。失敗もスル。お年頃の元カノと接するのは、スピアが初めてなんだ」
「わかった…じゃハグして」
「いつもありがとう。僕の元カノ会長…そうそう。練塀町に波の音の聞こえる素敵な沖縄カフェがあるんだ」
スピアは、いつものスピアに戻る。
「太ったおばさんメイドが1人でやってるお店?」
「逝ったコトあるの?」
「OK。お久しぶりのテリィたんとのデートか。でも、どぉしてなの。今日に限って。安いスク水を…勝負スク水に着替えて来るから、ちょっち待ってて」
彼女はトレードマークのスク水を常に着用している。
ソレを"勝負スク水"に換えにVIPルームへ消えるw
「あ。でも、ヤバいょテリィたん」
「どーした元カノ会長?」
「ミユリ姉様はともかく"エージェントふみ江"に知られたら私達、消されちゃうカモね」
え?彼女なら大丈夫。だって、僕担当の編集者だからw
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"詐欺師"をテーマに、実は詐欺師の北極探検家、北極で再興を期すナチスの残党、妄想性疾患を患い詐欺の餌食になる女性、同じく大富豪の令嬢、その家族、その家庭教師、内閣情報調査室の凄腕スパイ、主人公の担当編集者、詐欺を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公と元カノ会長との関係などもサイドストーリー的に描いてみました。
なお、実験的に描き進めた主人公のサラリーマン卒業後の世界は今回で一休み、次作からは再び半島動乱"ユギオ2.5"以前の世界に戻って連作を続けます。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、先日今のオミクロン亜種には効かないと噂の5thワクチン接種が進む秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。