なんだかんだ優しい菅沼天3
美香が倒れてから、一週間がたった。その間、美香の顔を見ていない。学校にきていないからだ。
「いつまで休むつもりなんだよ、美香」
ため息交じりに呟く。
美香がいないと、物足りない感じがする。
栞も寂しそうだ。今日なんか、美香の席で授業受けていた。ちょっと狂気じみていて怖かったぞ…。
栞が元気を取り戻すには、美香が学校に来る必要がある。
では美香が、学校に来るために必要なのは何だ? おそらく、彼氏だ。
今、美香は分岐点にいるんだ。彼氏ができるルートと彼氏ができないルートの。この分かれ道は重要だ。もし、美香が彼氏ができないルートに進んでしまえば、BAD END。その先は、五十嵐先生だ……!
私だけが、栞と美香を救える。
「やってやる」
拳を強く握る。
恋のキューピット天ちゃん、ここに誕生!
私はノリノリで、昔好きだったプイキュアのポーズをとる。
「あんた、何やってんの」
「ちょっ、ママ! ノックしてっていつも言ってるじゃん!!」
「ご飯できたっていってるのに、あんた来ないから」
「今行くって!」
ママを追い出して、ドアを閉める。
どうやって美香に彼氏を作るのか、大体の算段は付いている。
カレカノの出会いにおいて、よく聞くのは『友達の紹介』だ。美香の友達は私。つまり、私が、いい人を紹介できればいいわけだ。
きっとうまくいく。
私は、小さくさっきのポーズをとった。