水着ファションショー
日常的な会話をしていたら、あっという間にデパートに着いた。
ただ、デパートに着くまでの数十分、楠山さんが通っている高校の話をマシンガントークでされるとは思わなかった———
「さぁ!みんな、デパートに着いたよー!」
「杏奈ちゃん、早く水着見に行きましょう!!」
「そうだね!レッツ…水着売り場は何階かな?」
「5階だよ」
「さっすが!大雅、頼りになるね〜」
おぉ、大雅が杏奈ちゃんをフォローした。やっぱり、彼女の事好きなんだな〜
「かのんも一旦落ち着こうな?」
「奏風先輩、私はずっと落ち着いてますよ」
「水着でテンション上がりまくってたよね?」
「そっ…そんな事はありませんよ!!」
いやいや、目の焦点が明後日の方を向いてるぞ。
そして、大雅達がもう歩いている事に気がついた俺は——
「とりあえず、置いてかれてるから先を急ごうか」
「あっ!2人だけの世界に入って私達のこと忘れてる!!!」
うん、多分あっちも同じ事を思っていたかもね。
だから、先に行かれた説もあるんだよ。
そんな事を思いながら、かのんには言わずに前の2人を追いかけた。
5階についたら、目の前に水着コーナーが広く展開されていた。
「あっ、やっと来た!2人とも遅いよ」
「杏奈ちゃんが私達のこと忘れてたんでしょ!」
「そんな事ないよね、大雅?」
「いや、半分忘れてたやろ」
「やっぱりか、そんな気がしてたよ」
「奏風くんまでー!そっちだってイチャイチャしてたでしょ!!」
イチャイチャはしてませんよ?なんで楠山さんにはそう見えてるんだ?
「杏奈、一応言っとくとあの2人はまだ付き合ってないからな」
大雅、ナイスフォロー!!
「そーなんだ。でも近いうちに、付き合う気がするよね雰囲気的に」
「それな、俺もそんな気はしてる」
おい!俺の目を見ながら話しかけるなよ!!
かのんだっておこ…あれ?なんか顔赤くないか?
「かのん、顔赤いけど大丈夫か?」
「だ…大丈夫でふ」
あっ、噛んだ。他の2人も同じ反応をした。
これ以上、かのんが辛くなるかもだから話題変えるか…
「それより、水着早く見に行こーぜ」
「おっ、奏風もテンション上がってきたな」
「杏奈ちゃんからお知らせがあります」
急に楠山さんが話し出した。
「「「???」」」
「今から10分間、私とかのんちゃんは水着を3着選んできます。そこで、あそこの試着室で水着ファションショーを行いたいと思います。審査員は大雅と奏風くんの2人です。以上」
「杏奈ちゃん!!それは名案ですね!!」
「杏奈はいつも急に思いつくよな」
「俺は、まぁどっちでもいいけど」
という事で、楠山さんとかのんによる水着ファションショーが行われる事になった。
10分後———
「さぁ、お待たせしました!杏奈選手とかのん選手による水着ファションショーを行いたいと思います」
「司会進行はこの私、桜内大雅が審査員は月舘奏風が行います」
唐突にどこかの番組風みたいに語り出したし…しかも、俺巻き込まれてるし。
「では、審査員の奏風さん今回の見どころはズバリどこでしょう」
えー、なんかめんどくさい質問きたし。
はぁ、仕方がない…ノッてやるか。
「そうですねぇ〜。どこまで自分の事が分かっていて、男心を震わせるかですね」
「なるほど〜では、その事を意識して先行・杏奈選手お願いします!」
「はーい!最初は、白のタンキニ!!」
「タンキニとは、なんでしょうか?」
「タンキニとはタンクトップビキニの略称です」
へぇ〜、女子の水着って知らないから勉強になるな…
「では、ここで後行のかのん選手にも登場してもらいましょう!!」
「はーい!私は白のクロスデザインです!」
「奏風先輩!私の水着姿どうですかー?」
「おぉっと!!かのん選手が審査員にアピールしだしたぞ!!!これは、杏奈選手出遅れたかー」
大雅…どっかの有名司会者でも乗り移ったのかってくらい凄いな。
「では、両者出揃ったので審査員の奏風さんお願いします」
いやいや、これかなり難しいぞ。楠山さんもかのんも初戦からレベル高すぎる。
「そーですね、楠山さんはタンキニという露出が抑えられた水着でシンプルでいいですね」
「かのんはクロスデザインという水着で程よいセクシーさがあり魅力的ですね」
「と言うことは…この試合の勝者は」
「かのん」
「かのん選手に1ポイント!!!杏奈選手追う形になってしまったー!!」
「奏風先輩、ありがとうございます!!」
「かのんちゃん強いな〜でも次は負けないぞ!」
「第二回戦を行いたいと思います!各自、準備してください」
「続いては先行・かのん選手どうぞ!」
「はーい!続いては、ワンピースタイプのピンクの水着です!!」
「今度は肌の露出を抑えてきたぞー!これは最終戦の水着に自信があることなのかー!?」
「可愛いワンピース水着だな」
「審査員も好感触だー!!」
「続いては後行・杏奈選手の登場です」
「2着目は魅力の黒のホルダーネックです」
「これは女性らしいセクシーさを演出しつつ、女性には嬉しい安定感がのぞめて嬉しいポイントが多い水着が出てきました!!!」
なんか、大雅の水着に対する知識豊富すぎないか?
「審査員もあまりのセクシーさに言葉が出ないのかー!!」
「奏風先輩!!見惚れてないでくださいよ!!」
うっ…かのんが凄い形相で睨んでくる。
「さぁ、第二回戦を制したのは誰だ!?審査員お願いします!!!」
「楠山さん」
「杏奈選手にポイントが入った!!これは最後まで見逃せない展開になった!!!」
「杏奈ちゃん、私は負けませんよ」
「かのんちゃんには悪いけどこの勝負、私が貰うわ」
「では、最終戦を行いたいと思います。両者、準備をお願いします」
「やっと、最終戦か…長かった…」
「最終戦は、両者同時に出てきてもらいましょう。杏奈選手とかのん選手登場です!!!」
「まずは、杏奈選手のアピールです」
「最終戦の水着はレースアップです」
「この水着はセクシーなのにやり過ぎ感がなくヘルシーな肌見せが叶うことで人気の商品だ!!」
だから、大雅はどこで女子の水着について学んでいるんだ?と思いつつ「大人の魅力を感じますね」と楠山さんの審査をした。
「審査員も頷く程の水着だー!」
「では、かのん選手のアピールです」
「私は白のリボンデザインの水着を選びました!奏風先輩、どうですかー?」
「かのんに馴染んでて、とても可愛いよ」
「こちらも審査員に好感触だ!!!」
「では、審査員の奏風さんお願いします」
楠山さんのレースアップは確かに魅力的だが、かのんのリボンデザインはその上をいく可愛さがある。
「おっと、決まったようです。では、最終戦を勝ち取り優勝するのは杏奈選手・かのん選手どちらになるのか…お願いします」
「かのん」
「決まったー!!!第1回水着ファションショーの優勝はかのん選手だー!!!!!」
えっ?第1回って第2回もあるって事なの!?
「これで閉幕です。皆さまありがとうございました」
「待って、次もあるの!?」
「夏が続く限りあるのさ!」
「キメ顔しながら語るなよ」
「ほら、かのんちゃんと杏奈が出てきたぞ」
「奏風、忘れてるかもだけど俺たちも水着選ばないとだよ」
「そうだな」
こうして、水着ファションショーは終わり、俺たちも水着を探しに行った。




