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文化祭 No.3

「やぁ、奏風元気にやってるかー?」


 菫姉は何故か笑いながら、俺に声を掛けてきた。

 理由は分かっている。俺の格好を見て、指差しながら笑っているから


「元気だけど、菫姉に笑われて元気なくした」


「だって、その格好面白いんだもん」


「それでも俺の方がまだマシだからな!大雅の方を見てみろよ。チャイナ服だぞ」


「私は大雅のチャイナ服素敵だと思うけどな〜」


 すると、俺と菫姉の会話を遮って話してきた人物がいた。

 菫姉の横にいて、ドアの影に隠れていた楠山さんだった。


「杏奈!?いつの間に…来てたならメールしてくれよ〜」


「ごめんごめん。奏風くんのお姉さんに途中で会ったから、ご一緒させてもらったの。かのんちゃんにはまだ会えてないんだけどね」


「そうだったのか…とりあえず俺達あと少しで終わるから、待ってて」


「分かった!」


 大雅と楠山さんのいつも通りの仲の良さを見せられて、こっちは眩しいぜ…

 と思いながら、俺も菫姉に同じ事を聞いた。


「菫姉はどうする?」


「うん?あー、私は好きに回るから気にしなくていいよ〜先にかのんちゃんの所には向かってるけどね!」


「そうか、俺も当番が終わったらかのんの所に向かうから」


「その時には私は違う所を回ってるかもね。かのんちゃんは連れて行かないから、安心しなさい」


 それを言い残して、俺に背を向けて手をひらひらとしながらかのんのいる教室に行った。

 俺も残りの仕事を早く終わらせて向かおうと思い最後まで気を抜かずにやり通したが、横で大雅が楠山さんとイチャイチャしてて少しイラッとしていた。


「大雅残り数十分なんだから、楠山さんとイチャイチャするのは後にしてくれ」


「痛い。奏風痛いから離してくれ。行くから」


 後ろの方で楠山さんは苦笑いしながら手を振っているので、手を振り返して俺は大雅の耳を引っ張り受付の方へと連れ戻した。



「はぁ〜やっと当番から解放されたー!」


「午後は自由行動出来るのがでかいよな」


「奏風は今日いい感じの雰囲気をして、明日の夕方に全てを賭ける感じに頑張れよ」


「頑張ります」


 俺達は当番が終わり、各々のパートナーの場所へ移動していた。

 あれから楠山さんはどうやらかのんの場所に行ったらしいので、大雅は俺と一緒に行く事になった。


「おっ、あそこにいるのは杏奈とかのんちゃんじゃね?」


「うん?…二人が一緒にいると目立つな」


「まぁかのんちゃんも可愛いけど、杏奈はその上を行くからな!」


「惚気いらん」


「奏風だって、かのんちゃんの話になると惚気を聞いてるような」


 俺は大雅の横腹を突いて、ノックアウトさせた。

 その時に大雅が大声を出したのでその場にいた人達が一斉に見てきたので恥ずかしくなった。

 かのん達も気づいたらしいが、赤の他人ですみたいな雰囲気を出して顔を合わせてくれなくて泣きそうになる。


「か、かのん…お待たせ」


 俺は恐る恐るかのんに声を掛ける。

 一斉に振り返った人達はすぐに興味を無くしてまた歩き出したので今がチャンスだと思い、掛けたのだが…


「私も今終わったので待ってませんが、少し離れてくれませんか?」


「えっ…ちょっ、かのんさん…?」


「こちらに来てください」


 かのんは俺の袖を引っ張って、人がいない教室へと連れてかれた。


「奏風先輩〜私恥ずかしかったですよ!!」


「悪かったよ。全て大雅が悪いのだ」


「何があったか知りませんが、あまり私が恥ずかしい思いする様な事はしないでくださいよ」


「すみませんでした」


 俺の鼻に人差し指を添えて〝めっ〟としてきたので、最大限の謝罪をかのんにした。


「では、午後の部を楽しみましょうか!」


「そうだな」


 気を取り直して、俺達は午後の部を楽しむ事にした。

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