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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

君の心に想いが届いた日

作者: fusaberu

拙い短編小説です。初めての恋愛ものなんで温かい目で読んでください。


もう読めないと思った方はブラウザバックをオススメします。


感想で色々ご指摘いただき、内容は変わっていませんが、少しセリフが追加されています。

キーンコーン カーンコーン


チャイムが聞こえた僕は、机から顔を上げた。


「ふぁ〜〜」


授業中眠くて寝ていた僕は大きく伸びをしていると、後ろから声をかけられた。


「古賀、昼飯一緒に食おうぜ」


昼飯に誘ってきたのは、この高校で知り合った数少ない心を許せる友達の佐々木 透だ。


「いいよ」


机の上にお弁当を広げていると


「また、爆睡してたな。どうせ、夜遅くまでゲームしてたんだろう」


「正解。昨日は盛り上がっちゃってね」


「ゲームもほどほどにしとけよ。そんなじゃいつまで経っても彼女できないぞ」


「うるさいな。透だっていないくせに」


「あっ!お前言ってはいけないことを言ったな!!」


軽口を言い合いながらご飯を食べていると


教室が騒がしくなった。


「おい、また来たぞ」


「ん?ああ、王子様ね」


女子に群がられて登場したのは、九条 あきら 通称王子様。イケメンなのは当たり前で成績も良く、人当たりもいい、そんな完璧な人物だ。


「相変わらず、道の街灯に虫が群がっているみたいだな」


「ばかっ!お前聞こえたらおしまいだぞ!」


見たまんまの感想を言ったら、透に手で口を押さえられた。


(どうせ、こんな喧騒の中聞こえないよ)


心の中で、呟いていて見ていると


王子様がこっちを見て、目があった瞬間、人を見下したような笑いを向けられた気がした。瞬きをするともう王子様はこっちを見ておらず普段通りの光景が広がっていた。


「気のせいか」


「どうした?」


「いや、なんでもない」


俺は気のせいだったと思うことにして、王子様の目的の人物に目を向けた。


王子様に話しかけられている女の子。名前は水無瀬 日菜。僕の幼馴染だった女の子だ、そして初恋の相手である。


枝毛の無いストレートな黒い真珠のような黒髪、長いまつ毛、プリッとした唇、控えめながらも出るところは出ている身体。誰に対しても笑顔で応対をする優しい心。100人中100人が可愛いと答える見た目をしているのが僕の好きな幼馴染である。


対して、僕はいわゆるフツメン、特にこれといった特技もあるわけでもない。到底、彼女とは釣り合うことができない存在それが、古賀 淳。僕だ。


「日菜さん、今日放課後時間いいかな?大事な話があるんだ」


九条のそんな一言でクラスの中が動物園のように騒がしくなった。


「いいよ」


日菜はそれに満更でもないような笑顔で答えると、周りが一段と騒がしくなった。


「あ〜あ、これで我らが女神様は王子様の彼女になってしまうんだな」


「そうだな」


俺が淡白に返事をすると


「お前はこれでいいのかよ。昔から好きなんだろ?」


透は俺が日菜の事を好きと知っているたった一人の人物だ。


「いいんだよ。俺なんかより九条と付き合った方が日菜も幸せだろ」


「まぁ、お前がそれでいいならいいけどよ〜」


不服そうな声をあげる透に


「ありがとう」


お礼を言ってお昼を食べようとした、瞬間箸が折れてしまった。


「うわっ!」


びっくりして声をあげると


「おいおい、いきなり箸が折れるなんて何か禍の前兆なんじゃ」


「ばか、ただの劣化だろ。そんな、オカルトチックなこと信じるか!」


「だと、いいけどな〜」


「うるさい」


「あいたっ!」


悪い顔で笑っている透のおでこにデコピンをして黙らせていると、お昼の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「じゃあ、日菜、放課後屋上で」


「はい」


九条が教室を去り、何気なく日菜の方を見ると目があってしまった。僕は、どことなく気まずくなって目を逸らした。


放課後になり、帰ろうと廊下を歩いていると窓の閉め忘れがあり、珍しく親切心が働いた僕は窓を閉めようと近づいた。


(透が知ったら、似合わね〜なんて言って笑うんだろうな)


そんなことを、思いながら締め切る直前人の声が聞こえてきた。


「今回の女は過去一番いいぞ。俺がヤったあとお前らにも貸してやるから金を用意しとけよ」


とんでもない会話を聞いてしまった僕は咄嗟に隠れて、誰が話しているのか見てみると、そこに居たのは九条 あきらだった。


(嘘だろ!あの王子様があんなこと言うなんて。待て、あいつなんて言った?【今回の女は過去一番いいぞ】今回の女?今日あいつは日菜に告白する・・・まさか!)


混乱していた僕はその場をすぐに立ち去り、日菜がいるであろう屋上に向かって走った。その姿を見ているものがいるとは知らず。


バンっ!


勢いよく屋上の扉を開けると、日菜が一人で立っていた。日菜はこっちを見て驚いていた。


(はぁはぁはぁ、なんとか間に合った)


久々の全力疾走で息が切れていた俺は急いで息を整えると


「ひっ水無瀬さん」


昔のように名前で呼びそうになって、慌てて訂正してから


「九条と付き合っちゃダメだ!」


僕は焦っていてなんの脈絡もなく言ってしまった。


「何を言っているの?」


日菜から当然の質問が返ってくる


(しまった。ここで正直に言ってもあいつが本当に言ったかなんて確認する手段なんてない。焦りすぎた、どうする?時間もない。証拠もない)


日菜の方を見ると、僕が何をいうのか待っているのか黙ってこっちを見ていた。


僕は覚悟を決めて話すことにした。


「九条は水無瀬さんのことは好きなんかじゃない。お金のために近づいているんだだから!」


説明をして日菜の顔を見ると、怒っていた。


「あっくんがそんな人だとは思わなかった。もう関わらないで」


やってしまったと思った、証拠もないのにこんなこと話して、幼馴染だったから信じてくれるかもと思っていたが、考えが甘かった。状況はより最悪な方にいってしまった。


「ごめん、水無瀬さん!でも、僕はっ」


「どっかいって!!」


初めて聞く日菜の大声に僕の声はとまり


「さようなら、古賀くん」


俺は呆然としながら、階段を降りていた


(最悪だ、一番最悪な縁の切れ方をした。日菜に苗字で呼ばれたのは初めてだな。結構くるな、これ。これで、僕の初恋は終わった)


絶望に叩きのめされていると、前から九条がやってきた。そして通り過ぎざまに


「無駄な努力お疲れさま。お前の幼馴染は俺がいただくわ」


僕の耳元で呟き、九条は屋上に向かった。


(日菜に嫌われて、僕の初恋は終わった。だけど、あいつなんかに日菜の幸せを奪われてたまるか!)


(嫌われたままでもいい、僕は日菜が幸せでいてくれればいいんだ!それに九条、お前は邪魔だ!)


九条の一言で僕は決心した。日菜を守ると


決心をした、次の日学校に行くと周りから見られている視線を感じたが気にせず登校した。だが、教室に入るとその視線は強烈なものになり、嫌悪、汚物、蔑み、怒り、侮蔑、様々な負の視線を向けられた。


何故、そんな目を向けられるのか分からない僕はテンパっていると、スマホにメッセージが届いた


『急いで、体育館裏に来い!!』


透からのメッセージを見て、何が起きているのか分からない僕は急いで体育館裏に行った。教室を出る際、日菜とすれ違い目を見ると冷たいその中に侮蔑の感情を含んだ目を向けられた。


「はぁ、はぁ、はぁ、透!!」


「やっと来たか」


「何がどうなってるの?みんなの視線が」


「これだよ」


そう言って、透が見せてきたのはメッセージアプリLIMIの画面だった。そこには


『古賀 淳が女の子に関係を無理やり迫った』


そんなことが書かれていた九条に。


「なっ!なんだこれ!?こんなことしてないし、誰だよその女の子って!」


俺は無意識に叫んでいた。


「は〜その反応だとデマっぽいな」


「当たり前だろ!透、まさか?!」


「落ち着けって。まぁ、俺も信じちゃいなかったが直接聞きたいと思ってな」


熱くなっていたと自覚し、気持ちを落ち着かせると


「ごめん。落ち着いたよ、でもまさか、九条がこんな手を使ってくるなんて」


「なぁ、昨日何があった?何かあったからお前こんなことされてるんだよな」


「実は・・・」


僕は昨日の事を、透に話した。


「はぁ〜まさか王子様がそんな奴だったとは」


信じてもらえないと思っていたから、あっさりと信じた透に僕はびっくりした。


「信じてくれるのか?」


「当たり前だろ。親友なんだから、それに古賀がそんなしょうもない嘘をつく奴じゃないことくらい知ってるからな」


「あ、ありがとう」


「まぁ、軽率な行動だったとは思うけどな」


「うっ今日、実感したところだよ」


透の上げてから、下げる言葉にダメージを喰らっていると


「でも、実際どうするんだ?水無瀬さんには嫌われ、周りは完全に九条を信じてお前の敵だぞ」


「分かってるよ。でも、僕は日菜には幸せになって欲しいんだ。嫌われたとしても僕は日菜を日菜の幸せを守る!」


「覚悟はできているんだな」


「うん」


「透にはいつ、九条が行動に移すのか調べて欲しい」


「任せろ」


透の頼もしい返事に、頼りになるなと思い改めて良い友達を持ったと自覚した。そして、透の為にも


「今日から、接触は控えよう。透も周りの奴らと同じように接してほしい。九条に怪しまれないために」


「分かった」


「ありがとう」


お礼を言って教室に戻ろうとすると


「古賀っ!お前には少なくとも俺が味方でいるって絶対に忘れるなよ!!」


「うん!」



その日から、地獄の日々が始まった。


四六時中、負の視線に晒され続け、男子には体育館裏に呼び出され、サンドバッグにされた。顔とか目立たないところを殴ってくるので家族に心配をかけることがなかったのが唯一の救いだった。

女子からは、陰口を聞こえるような大きさで言われ。

男子からは身体的に、女子からは精神的にダメージを与えられた。

それでも、一番キツかったのは九条がわざと俺に見えるところで日菜とイチャついている光景を見ることだった。

目を逸らしても、声は聞こえてきて。

ここ最近は碌に寝ることもできなかった。日に日にやつれていったが、僕のことを心配する人は、透以外誰もいなかった。

僕は周りの人の表情を見るのが嫌で、ずっと下を向いていたため、


「あっくん・・・」


日菜がこちらを心配そうに見ていることに、気づかなかった。



そんな生活が一週間続き、僕の精神は壊れ始めていた。それでも完全に壊れなかったのは、透の存在と日菜を好きだという気持ちがあったからだ。


今日も学校が終わり、家に着くと透からメッセージが届いた。僕は急いで確認すると


『今から○○駅に来れるか!九条たち今日実行するきだ!』


そのメッセージを見た瞬間、カバンを放り投げ、携帯だけを握りしめ駅に向かった。駅に到着して、透を探していると


「古賀っ!こっちだ!」


透が呼んだ声が聞こえ、急いでそっちに向かった。


「透!それで、九条は!?」


「ここから西にある、もう使われていないビルあるよな。場所はそこだ!」まだ間に合うはずだ!行くぞ!!」


「うん!」


向かっていて、あと少しで到着するって時に横からいきなり男が殴りかかってきた。


「あぶな!」


なんとか避けると、僕たちを囲むようにゾロゾロと現れた。


「お楽しみの邪魔されちゃあ、たまったもんじゃないんでね。お前らにはここで眠ってもらうぞ」


「くそっ!」


(あと、少しのところまできてるのに)


進めず歯噛みしていると、横から


「古賀、合図をしたら突っ走れ」


「は?」


「俺が正面の奴に、タックルするお前はその間に行け」


「それじゃあ、透が!」


「お前は水無瀬を救う事だけを考えてろ!行くぞ!!!」


「透っ!」


透のいきなりの行動に男たちは、意表をつかれ道ができた。


「早く行け!!そんで好きな女の子救ってこい!!!」


透の発破で僕は走り出し、ビルの中に入った。


「このセリフ言ってみたかったんだよね。某有名アニメのセリフ、こっから先は通行止めだ」



僕はビルの中に入った。すると微かに奥の方で声が聞こえた。


「こっちか!」


声のする方に向かって走っていくと、声が段々と聞き取れるようになり


「いやぁぁぁ!!」


日菜の叫び声が聞こえた。


「日菜っ!!!」


叫び声が聞こえた部屋に入ると、九条や男たちが日菜の周りにいて、そして日菜は服を破かれ、泣いていた。


その光景を見た瞬間、頭に血が上り。生まれて初めて人を本気で殴った。


「テメェら、日菜を泣かすんじゃねぇええ!!!!」


火事場の馬鹿力が出ているのか、喧嘩したことの無い僕でも殴り合う事ができた。しかも

この一週間、サンドバッグにされたのがこんなところで生きたのか、殴られても怯まずに殴り返すことができた。


男たちの最後一人を殴り倒し、あとは九条だけというところで何かが横からドンっとぶつかった。

見ると、そこには九条がいた。なんで、わざわざ近づいていたのか一瞬分からなかったが、とりあえず殴ろうとするが、九条はすぐに下がった。そして、手には血のついたナイフを持っていた。


先ほど、ぶつかった所を見ると血が服の上から滲み出てきて、地面にポタポタと垂れていた。


「あっくん!!!」


日菜の悲痛な叫びが聞こえた。


(これぐらい、あの痛みに比べれば!!)


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」


僕が刺されてもなお、殴りにかかってくるとは思っていなかったのか綺麗に右ストレートが入り九条は吹っ飛び気絶した。


日菜を助けられたと、安心した僕は唐突に身体から力が抜け、血溜まりの中に崩れ落ちた。


「あっくん!!!!!!!」


日菜が僕のことを呼んだ気がしたが、血を流しすぎたのか意識が朦朧としてきた。


「死んじゃダメ!!」


「こっちです!って!古賀!?」


「すぐに救急車を!」



透や知らない人の声が聞こえたところで僕の意識は闇に落ちた。


それから、僕が目を覚ましたのは2週間後だ。医者が言うには、病院に運び込まれた直後はとても危険な状態だったらしい。そこからなんとか一命を取り留めたみたいだ。尽力してくれたお医者さんには感謝だ。


僕が目を覚ました後、透がお見舞いにきてくれて僕が意識を失った後、それと九条たちがどうなったか教えてくれた。透は警察もあの時呼んでいたみたいだ。そんな当たり前のことにも僕は気づいていなかったので透には感謝だ。


そして、あいつら他にも強姦、未成年の売春の指示、詐欺だったりとやっており、刑務所に入れられるそうだ、九条に関してはそこに殺人未遂も含まれるので少なくとも10年は刑務所暮らしらしい。


まぁ、これに関しては自業自得だし、体をはったかいがあるというものだ。ざまぁと言っておこう。


で、俺は当然刺された当時の服でいるわけもなく、着替えさせられている。まぁ、大量の青あざを見られ学校では大きな問題になっているそうだ。

そこで、バカ正直に私が殴りましたと言うわけもなく、平行線だったらしいが僕はしっかり誰が殴ったのかメモを残していたのでそれを透に渡しておいた。まぁ、生徒たちは誰がやっていたか知っているので、殴っていた奴は針の筵状態だろう。それもこれで、収束するだろう。我ながら意地の悪いことだ。


で、本題である日菜のことだが助けたとはいえ、嫌っている奴の所に見舞いにくるわけもなく、透に聞いた。

日菜はあの後ちゃんと保護された後、警察に事情を聞かれ家に返されたみたいだ。最初の頃は騒がれていたらしいが、本人があまり気にしていない様子だったらしくそちらは、すぐに収束したらしい。


(日菜は意外と図太いところがあるからな〜)


と自分の中で納得すると


「じゃあ、俺もそろそろ帰るわ」


「うん」


「明日から、学校にくるんだっけ?」


「そうだよ。遅れた分を早く取り戻さないと」


「そんなに、急ぐことないんじゃないか?」


「ぶっちゃけ、暇なんだよ。だから、早く行きたいんだ」


「ぶっちゃけるな。みんな、心配なんだよ」


「分かってるよ。退院してもすぐには激しい運動はしないから」


「当たり前だ!ばか!じゃあ、また明日」


「また、明日」


いつもの軽口を言い合った後、透は挨拶をして帰っていった。透は自分のことはいっさい話さなかったが、警察の人が言うにはあばらが何本か折れる重症だったらしい。警察が来るまで、透は一人で誰も僕の後を追えないように足止めしていてくれたらしい。

本当に感謝しかない。


(結局、()()()()()日菜は一回も来なかったな。結構寂しいけどしょうがないか。明日は早いし今日はもう寝よう)


僕はベッドに入りそう思いながら、目をつむった。


次の朝


「ん〜〜〜」


朝日を浴びながあら僕は登校していた。


「やっぱり、動くのはいいね」


「古賀っ!おはよう!」


「おはよう!朝から元気だね」


「今日からまたお前と昼飯食えるからな!」


「嬉しいこと言ってくれるね〜。それにしてもすごい見られてるな」


「当たり前だろ、良くも悪くも古賀は有名人だし」


「良くも悪くもってなんだよ!」


「おっと、口が滑った」


透と軽口を言い合いながら、登校して下駄箱を開けるとそこには封筒が入っていた。


「なんだこれ?」


「ん?ひょっとしてラブレター!!」


「そんなわけないだろ、今まで接点のある女子なんていないんだから」


「うるせぇ!中を見るまで分からないだろ!もし、彼女できたら教えろよ!祝勝会だ!!」


「だ〜か〜ら〜」


文句を言おうとしたら、透は逃げてしまった。


「あいつは。たく、透のせいでめちゃめちゃ気になって仕方がない」


封筒を開け、中を見ると


『放課後、屋上で待ってます。

     

              日菜』



僕はその日一日中、放課後が気になって授業に集中できなかった。


放課後


昼飯の時透に手紙の事を話したら、応援されて背中を押された。


「行ってくるよ」


「行ってこい、そして男を見せろ」


「うん」


屋上の前の扉についた僕は深呼吸をして扉を開けた。


そこには、日菜が居てあの時の光景がフラッシュバックして、逃げたくなったがなんとか踏みとどまり口を開いた。


「水無瀬さん。来たけどどうしたの?」


僕が水無瀬さんと言った瞬間、悲しい表情をしたような気がしたがすぐに戻ってしまった。


「お礼を言わなきゃと思って、あの日助けに来てくれてありがとう。お見舞いに行かなくてごめんね、どんな顔して会えばいいか分からなくて」


「いいんだよ、僕がしたいようにしただけだから、お礼なんて大丈夫だよ。水無瀬さん」


「もう、日菜って呼んでくれないんだね」


日菜は悲しげな表情でそう言った。


「それは・・・」


「当然だよね、あんな酷い態度をとったんだもん。見て見ぬ振りもしたし、本当にごめんなさい」


「あの状況じゃ仕方ないよ」


「仕方なくなんてないよ!あの時私が犯されそうになった時、助けて欲しいと思い描いたのはあっくんだった!私はあっくんに酷いことをしたのに!でも、助けに来てくれた!あんなボロボロになって、殺されかけたのにあっくんはっ・・ぐずっ・・っ!ごめっ・・んね」


僕は無意識に日菜を抱きしめていた。


「日菜は何も悪くない。僕がしたくてしたんだから、怪我を負ったのも死にかけたのも自己責任だよ」


「どうっ・・して、そこまで私をっ・・私はあっくんを傷つけて!謝っても許されないようなことを!」


「そんなの、日菜が好きだからに決まってるじゃん!」


今まで言えなかった好きと言う言葉が意外とすんなり出てきた。


「えっ」


いきなりの告白に、日菜はびっくりしたようだ。


「あっくん、今、なんて」


「何回でも言うよ」


一度抱きしめるのをやめ、目を見てもう一度


「好きだ。日菜のことがずっと好きです」


「うそっあっくんは私のこと嫌いなんじゃないの?」


「何言ってるの?」


日菜のよく分からない質問に聞き返すと


「だって、中学生に上がったあたりから、あっくんよそよそしくなったじゃん!」


「あっあれは・・・日菜が更に可愛くなりはじめて、僕なんかと釣り合わないんじゃと思い始めたんだよ」


「えっ何それ?どう言うこと?」


日菜の雰囲気が急に変わった


「え〜と、僕ってイケメンじゃないじゃん。だから・・・」


「・・・だもん」


「日菜?」


声が小さくて名前を呼ぶと


「あっくんはイケメンだもん!カッコいいもん!!」


いきなり大声で僕のことをイケメンと言いだした


「いや、でも周りの人が・・」



「私の中ではカッコいいからいいの!!どうして周りのことばかり気にするの!!」


日菜の言葉に、僕は気付かされた。周りからどう思われているかを気にしすぎて日菜からどう思われているかを気にしていなかったことに、


「む〜〜今気づいたって顔だね!!」


日菜は頬をリスのように膨らませ怒っていますアピールをしていた、それが懐かしくて僕はその膨らんだほっぺをつっついた、すると


ぷしゅっ


空気が抜ける音がして、僕は可笑しくて笑った


「笑い事じゃないよ!」


「ごめん、ごめん、じゃあもしかして日菜は僕が日菜のことを嫌いになったと思って離れて行ったの?」


「そうだよ!あの時は本当に悲しかったんだよ!」


「僕だってあの時は悲しかったよ。好きな子に離れられるのは」


「私だって、ずっと好きだったのに!」


「えっ」


日菜の突然の告白に思考が停止し


「あっ」


日菜も顔が真っ赤になっていた


「日菜、今・・・」


「あっくんのことが昔から好きだった。今も大好き」


顔を赤らめながら言う、日菜に僕は我慢ができずにまた抱きしめた。


「ああああっくん!?!?」


突然のことにびっくりしている日菜。


「じゃあ、あの時ちゃんと話し合っていれば、すれ違わずに済んだんだね。そしたら日菜が怖い思いをしなくて」


「いいんだよ、あっくん過去のことなんて、大切なのは今どうしていくかでしょ」


「そうだね、日菜」


一度離れて、もう一度僕は


「日菜、君のことが大好きです」


告白すると、涙を流しながら日菜は


「私もあっくんのことが大好きです」


そうして、夕暮れに染まる校舎の屋上にある二つの影は一つに重なった

最後までお読みいただきありがとうございます!


二人のこの後の、話は伸びたら書こうと思うので、気になる方よかったらブックマーク、評価の方よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 幼馴染み薄っぺらい。近い将来必ず浮気する。 地雷だから早めに捨てるべき。
2023/04/04 10:57 退会済み
管理
[良い点] 窮地に陥った時に人の本性って出ますね。 信じ続けた佐々木君は得難い親友だし 九条と煽るようにイチャついて見せた 水無瀬は控えめに言って屑です [気になる点] そんなのいくら水無瀬さんが屑…
[気になる点] 王子の彼とは付き合ったんだよね? 前から好きって言葉に重みが無い気がするんですけど?
感想一覧
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