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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第5章 帝国編2
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95話 指名依頼達成

そして城を出発してから街道に出てしばらく。

途中で休憩の為に馬車を止めた時に気になっていたことを聞いてみた。


「ところで、今更ですが何故皆さんもついてきて下さったのですか?」


「え?」


「冒険者としての依頼なら普通私1人で行くはずなのに皆さんはどうしてついてきて下さったのかな?と。」


「ああ。それはマリン様がお客様でもあるからですよ。」


「え?」


「この馬車もそうですが、マリン様が少しでも万全の状態で挑める様にとの陛下の心遣いです。我々もそうですが、マリン様はどんなにお強くてもまだ12歳のしかも女の子です。申し訳ない気持ちがあるんですよ。」


「そうでしたか‥‥ありがたいです。1人で行けますが、寂しさはありますからね。」


「それは良かったです。陛下からのお言葉もあり、森へはご同行できませんが、それまではよろしくお願いしますね。」


「はい!‥‥あ。もしかして女性の兵士さんが一緒にいて下さるのも陛下が?」


「ええ。男ばかりのむさっ苦しいのはあり得ないと。」


「ひでぇな!‥‥でも確かに俺達男だけじゃお互いに気を使うか。」


「あなた、気を使えたの!?」


「ひでぇ!‥‥いいんだよ!マリン様は他の令嬢と違って話しやすい方だからな。ちょっとぐらいなら気にしないでくれる人だ。な?マリン様。」


「ええ。様も敬語も無くていいぐらいですが、それは駄目なんですよね?」


「はい。皇帝陛下の勅命で我々は動いてますので。」


「陛下の勅命って‥‥大袈裟な‥‥」


『大袈裟ではありません!』


「え!?」


「マリン様は王国の、しかも辺境伯様の令嬢です。そんな方が他国である帝国の為に動いて下さるんです。これぐらい当然です!」


『そうですよ!』


「そ、そうですか。ではお言葉に甘えて。改めて皆さん、お世話になります。」


ペコッと頭を下げると、皆さんにっこりと頷いてくれました。


そしてまた森へ向かって出発した。

途中夜営を挟んだ時も皆で食事を用意して、皆で食べて和やかに過ごした。


そして城を出て2日後。森の近くまで着いたが、既に夕方近くだった為、明日の朝森に向かうことになった。


翌朝、朝食後。

「では、行ってきますね。」


「はい。ご同行できませんが、戻られるのをお待ちしております。ご武運を。」


「はい!」


そして森の中をアンデッドの集団に向かって進む。

少し進んだところで。


‥‥‥考えてみたら今1人なんだよね‥‥飛ぼうかな。

律儀に歩いて行く必要はないよね。誰も見てないし。


ということで念のために姿を消してからフライで飛んで一気にアンデッドのいる手前まで行った。


うわ~‥‥‥どんだけいんの‥‥。

えっと‥‥ゾンビ‥‥あれはグール?元は冒険者かな。

剣とかの装備つけてるし、戦争の話はなかったはずだしね。

‥‥降りて浄化を始めますか。


地上に降りてサーチのみ使う。アンデッド達は2・3m先で姿を見せ始めた。


う~ん。結構いるな‥‥何か言ってるっぽいけど聞こえないな‥‥‥。リッチは多分いないとは思うけど‥‥。

とりあえずやってみよ。

‥‥‥‥多分先輩だよね。話して届くかは分からないけど、成仏できるように頑張らないと。


「多分元冒険者の先輩達。今成仏できるようにしますね。

‥‥【セイクリッドシャイン】!」


イメージは聖光以上の光と範囲。

広範囲の光の中、アンデッド達が浄化されていく。


そしてしばらくして発動していた魔法を解除してみると、まだ森の更に奥の方に気配が残っていた。


あれ?まだ残ってる?他は‥‥‥いないか。とりあえず今浄化した範囲に残ってる遺品回収したら行ってみるか。


そして一通り遺品回収した後、更に奥に進んでみると、1人だけで佇んでいた。


あれ‥‥まさか、リッチ?‥‥‥かな?

‥‥‥動かないな。動く気がない?

もう少し近づいてみるか‥‥?


「ニン‥‥ゲン?」


「え?」


「ナカマ‥‥。」


「仲間?近くで一緒に亡くなった方なら成仏出来てるかと‥‥」


「ソウ、カ。マモノ‥‥。」


「魔物?えっと‥‥この辺にはいないですよ。」


「マケタ。」


「そうですか‥‥。」


「リュウ‥‥。」


「え?竜?」


「ノガシ‥‥タ。」


「巣に戻っただけかと。街も帝都も無事ですよ。」


「ソウ‥‥カ。」


「もう成仏できそうですか?」


コクン


ゆっくりだけど微かに頷いたように見えたのでもう一度浄化魔法を放つ。


「‥‥‥アリガ‥‥トウ。」


最後に笑ってくれた気がしたけど‥‥成仏できるかな?

出来てるといいな‥‥。


そう思いながら今の人の遺品も回収する。


浄化は精神的にくるな‥‥。見た目はあれだけど、元は人間でこの世に後悔とか憎しみを残して亡くなった人達の亡霊なんだよね‥‥。知らない人でもいざ目の当たりにするとね。

‥‥‥‥‥はぁ。もういない‥‥か。帰ろ。


そして森を引き返したのだが、行きと違って飛ぶ気にならなくてゆっくり歩いて戻ることにした。

すると、途中で魔物に殺られたのか亡くなっている冒険者を見つけた。帰してあげる為に死体をストレージに入れた。


そしてしばらく歩くと入り口に戻ってこれたようで、兵士さん達が待っていてくれた。


「ただいま戻りました。‥‥成功しましたよ。」


『! ありがとうございます!』


「‥‥マリン様。大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫です。でもアンデッドって初めて見ましたが、精神的な負担がきますね。」


「ですね。‥‥マリン様、お昼食べられますか?」


「う~ん。正直、食べる気にはならないのですが、食べないといざという時に動けませんしね。」


「では、お昼を食べてから出発しますか?」


「はい。そうしましょうか。私の分は自分で作っていいですか?」


「はい。構いませんよ。何が必要でしょうか?」


「道具は小鍋だけ貸して頂けますか?」


「はい。どうぞ。」


そして私はストレージから炊いておいたご飯と味噌と卵を取り出した。小鍋に魔法で出した水とご飯を入れて、兵士さん達がつけてくれていた火を借り、一煮立ちさせたら味噌をといて最後にといた卵を回し入れた。

味噌味のお粥だ。これなら食欲が無くても食べられる。

‥‥‥これだけでいざという時に動けるかは分からないが。


「おお。マリン様、それは?」


「お粥ですね。食欲がない時はこういう食べやすいのがいいですから。夏に熱い食べ物なのでそこだけ我慢ですが。」


「なるほど。確かに食べやすそうですね。」


「はい。‥‥‥ふぅ‥‥熱いけどちょっと落ち着きます。」


「あ。場合によりますが、確かに熱い物食べると妙に落ち着きますよね。」


「そうですね‥‥ホッとするような感覚です。今は特に、あぁ~生きてるな~って思います。」


「‥‥アンデッドなんて見たいものじゃありませんからね。」


「はい。」


それから皆で昼食を食べ終えると、帝都に向けて出発した。

そして2日後。私達は何事もなく帝都に戻ってきた。


「あの、城に戻る前に冒険者ギルドに寄って頂けますか?」


「え?はい。分かりました。」


そして冒険者ギルドに着いたところで、受付に向かった。


「すみません。指名依頼で魔物の森に行ってきたのですが、途中で亡くなってる方を見つけまして。どちらにお連れしたらよろしいでしょうか?」


「え?指名依頼?一先ずギルドカードをお持ちでしたらご提示頂けますか?」


「はい。」


ギルドカードを出すと。


「えっ?B‥‥?すみません。ご提示ありがとうございました。ではこちらにどうぞ。」


と言ってギルドカードを返してくれた後、ギルド内の一室に案内された。


「こちらにお願いできますか?」


「はい。‥‥‥あれ?私、ストレージを使えると申告してないですよね?」


「はい。ですが、指名依頼とお聞きしたことと、ギルドカードを見せて頂いたことで、皇帝陛下からの指名依頼で森に行かれたと分かりましたから。それと、以前皇太子殿下が依頼ボードに貼られたものを取り下げにいらした時にマリン様のストレージの話をお聞きしておりましたので。」


「ああ。なるほど。森のアンデッドは恐らく元冒険者だろうから遺品を持ってくるならここになる。ストレージ持ちだと先に知らせた方がいいですね。」


「そういうことです。」


「ではとりあえず亡くなっていた方だけ出しますね。」


ストレージから帰る途中にたまたま発見した遺体を出した。


「ありがとうございます。この方は我々でご家族かパーティーを組んでいたなら仲間にお帰し致します。指名依頼の遺品はまた後日お願い致します。」


「はい。分かりました。この方のこと、よろしくお願いします。」


「はい。承りました。」


「では失礼します。」


そして夕方ということもあり人が多かったが、なんとか抜け出して再び馬車に乗って城へと戻った。

城に着くと真っ直ぐ陛下がいる執務室に向かった。


ー同行してくれてた兵士さんが案内してくれましたー


そして陛下の許可を得て、案内してくれた兵士さんにお礼を告げてから私だけ中に入った。


「陛下。ただいま戻りました。」


「ああ。ありがとな、マリン。」


「いいえ。」


「‥‥‥疲れたよな?」


「精神的に、ということなら答えは「はい。」ですね。」


「だよな。帰ってきたばかりだ。報告は明日でいいから今日はゆっくり休んでくれ。」


「はい。ありがとうございます。では失礼します。」


そして私は姉様も誰もいない、1人になってる筈の部屋に向かった。


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