91話 私と2人の変化
現状、私がシリウス達3人をどう思っているのか。
それを正直に話すべくまずは確認。と終わったところで。
「今協力してもらったのは精霊王に言われたことを自分で確認したかったからと、私がシリウスとリゲルにどれぐらい慣れたかを確認したかったから。」
「「「?」」」
「精霊王はこの庭園に集まった、家族を含めた全員をみて、3人私に特別な感情を向けている者達がいるって言ったの。1人は私と一緒に庭園に来た者、レグルスのことね。あとの2人は検討がつくだろ?って聞かれて私はすぐにシリウスとリゲルだって思った。」
「「「??」」」
「私が言いたいのはね。ちゃんと3人が私を恋愛感情で見てくれてるのは分かってるよ。ってこと。」
「「「ああ!」」」
「それで、姉様達は私の魔力の影響じゃないならどんな感じなんだろ?って確認。家族を代表して姉様。私が尊敬する人代表でリリ様。ベネトさんは友達としてそれぞれ確認してた。説明が難しいけど‥‥‥感覚?でどんな風に感じるかなって。精霊王は私に魔力の影響じゃないって否定してくれたけど、それを聞いたからには気になっちゃって‥‥。精霊王に話を聞いてる途中一瞬シリウス達3人含めて疑っちゃった
‥‥ごめんなさい。」
私は全員に向かって頭を下げた。
「いいわよ。一瞬なんでしょ?」
「はい。私の様子に気付いたのか、精霊王が即座に否定してくれましたし、何より私が、姉様達を魔力の影響じゃないって信じられましたから。だから本当に一瞬です。」
「私達もか?」
「うん。むしろ3人を疑っちゃったの。」
「何故か聞いていいんだよな?」
「うん。レグルスは特にだけど、3人共なんで私を好きでいてくれるのか分からないから‥‥。」
「「「え?」」」
「私は3人より強いんだよ?それに気持ちもハッキリしない。だから戸惑うの。私は3人に失礼なことしてるのにって。だから魔力の影響がって聞いたとき、これかなってつい‥‥。」
「違うぞ?マリンの魔力の影響じゃないぞ?」
「うん。だから改めて3人共。疑ってごめん。」
「「「ああ。」」」
「話戻さないとね。私が3人をどう思ってるのかだよね。」
「ああ。」
「シリウスとリゲルは今確認した通り、平気になった。だけど、人前で抱きしめたりはしないでね。」
「「ああ。勿論だ。」」
「レグルスもそこは弁えてくれてるからね。そこは3人共通で信じられる。あと、問題の気持ちだね。」
「「「‥‥‥」」」
「3人共、恋愛感情として好きかは分からない。」
「それはレグルスもか?」
私は探り探りの感じになりつつ、現状の気持ちを3人に伝える。
「うん。私の中でね、3人共同じ‥‥違うな‥‥一緒‥‥うん。一緒にいる時間が好きなの。3人共頻繁に言い合いするけど、その空気感が好きなの。だから3人の誰か1人を選ぶっていうのが想像できなかった。最近は特にね。」
「最近は?」
「うん。レグルスが転校してきてくれて学園に行くのが楽しみになった。言い合いを止めるのは大変だけど、同じ王家の者としてもレグルスの存在がシリウス達を変える一因になったみたいだし。だからそういうのも色々含めてレグルスから向けられる好意に戸惑うの。どう反応したらいいんだろう?って。それに3人共、私がハッキリしない間に違う人を見つけたりするかなって。レグルスだけじゃなくて今のシリウス達なら引く手数多だろうしね。」
「「「‥‥‥」」」
「‥‥‥はぁ‥‥」
「これから‥‥だな。」
「ああ。私でさえまだ壁は厚いようだ。例えるなら難攻不落の城塞か?」
「ああ。」
「そんなところだな。」
「え‥‥え?」
「マリン。見くびらないでくれ。私達はマリンがハッキリしない程度で違う人を探したりしない。」
「ああ。むしろこれから頑張らないとな。と思ったところだ。」
「その通りだな。レグルスに対して自覚してないなら俺達にもまだ望みはあるってことだろうからな。」
「え‥‥‥え?」
「正直に話してくれてありがとな。とりあえず現状を知れただけいい。」
「ああ。私はこれからも変わらず接触過多で迫るだろうから覚悟してくれ。」
「え!?その覚悟は遠慮したい‥‥。」
「何故だ?」
「戸惑うって言った!恥ずかしいって言ってる!」
「ふっ。私はその様子が見たいんだ。」
「開き直った!」
「あ、私だけじゃ不公平だな。マリンが平気になったって言ってるんだ。シリウス達も狙ってみたらどうだ?」
「レグルス!?なんでそんなこと言うのよ!?」
「え?シリウス達は駄目なのか?」
「え?わ、分かんない‥‥。」
「じゃあ試していいか?」
そう言ってシリウスは私が戸惑ってる間に抱きしめてきた。
「え!?シリウス!?‥‥‥ふぁっ!」
「どうだ?嫌か?」
「‥‥‥‥‥‥不覚だ‥‥‥嫌じゃない‥‥。」
「やったぞ!レグルス!リゲルも、ほらっ!」
「ああ!」
そしてそれはリゲルもだった。シリウスと交代して私を抱きしめてきた。
「え!?リゲルも!?‥‥‥わっ!」
「嫌か?」
「‥‥‥‥嫌じゃない‥‥って、3人揃って実験するな!」
「「「ははは!」」」
「‥‥‥‥3人共?‥‥‥分かってるわよね?」
「「「え?」」」
「ふふっ。私を弄るとはいい度胸ね~?」
「「「あ。」」」
「3人共麻痺したいってことでいいのよね?」
「「「いいえ!」」」
「調子に乗った!ごめん!」
「「ごめん!」」
「‥‥‥‥ぷっ。」
「「「え?」」」
「ふふっ。私はこれが楽しいんだよ?3人は楽しくない?」
「「「‥‥‥」」」
「‥‥楽しいな。」
「ああ。楽しい。」
「私もだ。転校して良かったよ。」
「ふふっ。‥‥あ、こんな感じで平気になったのでシリウスとリゲルに対しての敵認識、もう必要ないですよね?父様、姉様、兄様?」
「「え?」」
「「ああ。」」「ええ。」
「敵認識されてたのか?」
「うん。」
「「何故!?」」
「2年前を思い出してみよ。」
「「あ。」」
「そういうこと。」
「はぁ~‥‥俺達はそこからか‥‥。分かってたがちょっと辛いな。」
「ああ。そうだな‥‥」
「まあ自業自得だけどね。」
「だな。」
「「2人がひどい!」」
「事実だもん。あの時は私が辛かったんだよ?」
「そう‥‥だな。」
「確かに自業自得だな。」
と話してたら、シリウスが余計なところに気付いた。
「‥‥‥‥なあ。不公平って言うなら口付けもレグルスだけなのは不公平だよな?」
「そういえばそうだな。」
「「え!?」」
「し、シリウス?リゲル?‥‥‥やらないよね?」
ニヤリ
「「さあ?」」
「え!?な、何その悪い感じの笑顔‥‥こ、これは逃げた方がいい‥‥‥んむっ!?」
逃げようとしたらシリウスに捕まり、口付けられた。
数秒後やっと放してくれた‥‥
「‥‥っ!な、何するの!?‥‥‥んむっ!?」
と思ったら次はリゲルに口付けられた。同じく数秒後放してくれた。
「‥‥‥っ!ふ、2人共ぉ~!いきなり何するの!?」
「「嫌だったか?」」
「え!?‥‥‥‥‥‥‥不覚だ‥‥‥‥。」
ほんとに。頭を抱えたくなる事態だ‥‥
「嫌じゃないのか?」
「嫌じゃ‥‥‥なかったみたい。」
「「やった!」」
『嘘!?』
私達4人以外全員の声が被った。
「本当に!?嫌じゃないの!?マリン。」
「は、はい。じ、自分でもお、驚い‥てます。ね、姉様。ゆ、揺らしすぎです。」
姉様に肩を掴まれて前後に揺すられていた。
「あ、ごめん。」
「いえ‥‥私も今、衝撃がすごいです。あのシリウスとリゲルに対してたった2年でこんなに変わるなんて‥‥。」
「私も驚いてるわ‥‥やったわね。シリウス。」
「はい。姉上。‥‥あ、ちなみに今口付けたの、俺の初めてだからな?マリン。」
「ふふっ。リゲルも良かったわね。」
「ええ。姉上。‥‥ちなみに俺も初めてだったからな?マリン。」
「え!?な、なんで3人共‥‥はぁ‥‥まずい‥‥なんでこうなった‥‥?は!私、戸惑い続けないといけないってこと!?」
「「「そうだな。」」」
「うわ~‥‥3人共にっこりといい笑顔で‥‥普段なら楽しいはずなのに今、全然楽しくない‥‥。」
「マリン。俺には頑張って相手を見定めろとしか言えん。」
「と、父様ぁ~!」
「ただ、国は違うが3人共王子や王家に連なる者だし、マリンは1人しか選べない。他の2人の為にも早めに決めるんだぞ。」
「はい‥‥。」
「マリン。焦らずゆっくり考えろ。一生のことだからな。」
「はい。‥‥‥あれ?私‥‥シリウスかレグルスを選んだら次期王妃か皇后ですよね?」
「そうなるな。」
「‥‥‥‥私の自由が‥‥なくなりますね。」
「別に王妃でも皇后でもやりたいことやればいいじゃないか。」
「さすがに冒険者は駄目でしょう?」
『‥‥‥‥』
「ほらぁ~!‥‥‥‥あ、ゲート使えばいいじゃん!」
「「それは止めてくれ!」」
「え~‥‥‥まあそこは今はいいか。誰を選ぶか‥‥ね‥‥もしかしたら3人以外の別の人かもしれないしね。」
「「「え!?」」」
「まだ分かんないよ~?私、学園を卒業したら世界に足を向けるんだから!」
「「「そうだった‥‥」」」
「楽しみだな~!‥‥‥って陛下、時間!急がないと!親善パーティーが始まってしまいます!」
「なに!?みんな戻るぞ!」
『はい!』
そして私達全員親善パーティーの準備の為、城内に戻った。