84話 密談
翌朝。
雪がいる封印の間。
「‥‥‥ん‥‥あれ?」
〔マリン様。お目覚めですか?〕
「‥‥ああ‥‥そっか。雪のところで寝たんだったね‥‥。もう朝かな?」
〔ええ。〕
「そっか‥‥‥雪、疲れてない?」
〔大丈夫ですよ。〕
「良かった。雪のお陰でスッキリ。おまけに癒されたよ。」
〔それは良かったです。私もマリン様とご一緒できて嬉しいです。〕
「ふふっ。さて、朝食べてから戻るかな。どうせ闘技場だろうし、直接行けばいいかな。あ、そういえば雪って普段食事とかどうしてるの?」
〔私は水晶との魔力循環でこの場に顕現してますので食べなくても問題ないのです。〕
「へ~。食べれない訳じゃないんだよね?」
〔はい。〕
「何か食べたいな~とかないの?」
〔特に感じた事はないですね。〕
「う~ん。じゃあ私と同じので良ければ食べてみる?」
〔よろしいのですか?〕
「うん。まあ作っておいたのを出すだけなんだけどね。えっと‥‥いつものでいいか。」
と、2人分のフレンチトーストを出した。
「雪。ストレージに入れてたんだけど、できたてで熱いから気をつけてね。」
〔はい。ありがとうございます。〕
そして2人(?)で食べ終わると。
「雪。大丈夫だった?」
〔お〕
「お?」
〔美味しかったです!〕
「そ、そう。熱くなかったか聞いたつもりだったんだけど
‥‥美味しかったなら嬉しいよ。」
〔?‥‥もしかして今のはマリン様が?〕
「うん。」
〔っ!‥‥私は幸せな召還獣です!〕
「そんなに気に入った?」
〔はい!〕
「ふふっ。そっか。じゃあまた来た時にあげるね。」
〔ありがとうございます!〕
さて、着替えないとね。ストレージ便利だわ。
「‥‥‥さて、気は重いけど行きますかね。」
〔‥‥‥マリン様。私はいつでもお待ちしております。〕
「うん。ありがとう雪。気が楽になるよ。‥‥‥じゃあ行ってきます!」
〔いってらっしゃいませ。マリン様。〕
そして私はゲートで直接闘技場へ向かった。
それから少し待っていると、皇帝陛下と皇族の方々、私の家族、王国の王族。つまり全員来た。
「おはようございます。陛下。」
「ああ。おはようマリン。逃げなかったな。」
「逃げませんよ。陛下との模擬戦は約束してましたから。」
「‥‥大丈夫なんだな?」
「ふふっ。大丈夫ですよ?」
「そうか。‥‥‥ベネトに聞いたんだが、学園で天使ってあだ名がついたそうだな?」
「な!‥‥ベ~ネ~ト~さ~ん?」
「‥‥‥悪い。口が滑った。」
「はぁ!?‥‥‥やっぱり叩きのめそうかな‥‥。」
「なんでだよ?俺は似合ってると思うぞ?天使。」
「恥ずかしいんです!‥‥‥もう‥‥あ。陛下。」
「なんだ?」
「もう一つ陛下に私の秘密開かそうと思ってたんです。王国から一緒にきたみんな知ってることです。」
「お。なんだ?」
「実は私、4属性じゃなくて全属性使えるんです。」
「え!?本当か?」
「はい。まだお見せしてないのは火と闇ですよね。ここだとちょっと思いっきり打てないのでゲートを体験してもらう意味でも移動しましょうか。」
「お。ゲート、また見せてくれるのか。」
「はい。【ゲート】ではこれをくぐってみてください。」
「おう!」
私がゲートを開いてくぐってみてと言った瞬間、返事しながら一切の躊躇いもなく通っていった陛下。
「‥‥警戒せずにあっさり通った‥‥躊躇い皆無だったよ。レグルス。」
「あははは‥‥父上らしいな。」
「皇后様とフローラ様も通ってみませんか?」
「「いいの?」」
「はい。早く誰かいかないと陛下一人ぼっちですよ?」
「「あ。」」
「じゃあ‥‥。」
「全員で行ってもしょうがないので「帝国の人達だけ」でいきましょうか。」
『ああ。』「はい。」
そして皇后様とフローラ様が通った後にレグルス、ベネトさん、元帥様、私が続いて通った。
「それで、マリン。なんだ?」
「なんだとは?」
「何か話があるから帝国側と王国側で分けたんだろ?」
「流石陛下ですね。その通りです。」
「で、なんだ?」
「全員暗い顔してましたね。私がいなくなった後、話し合いでもしたんですかね?」
「多分な。俺は話を聞いただけであいつら見損なったからな。ちょっと話したらすぐに出たから分かんねぇな。」
「そうですか‥‥‥父様達答え出せたと思いますか?」
「いや。難しいだろうな。」
「私もそう思います。なので打開案を提示しようと思ってます。」
「あいつら許すのか?」
「完全には許しませんよ。半分ですね。‥‥‥結局私は生まれ育った王国が好きなんです。シリウス達以外にも友人がいますしね。それに何をされても家族を嫌いになりきれないみたいです。」
「そうか。マリンらしいな。」
「ふふっ。だから私は完全には許さないけど、またあのみんなの中に戻りたいんです。だから陛下にお願いがありまして。」
「なんだ?」
「私から歩み寄るのは違うと思いますので、王国の人達が私に何も言えず止めようとしなかったら助け舟を出してあげてほしいんです。」
「ふっ。‥‥‥しょうがねぇな。俺もあんな暗い顔されるのは困るからな。いいぞ。」
「ありがとうございます。陛下。」
「甘いな。マリンは。」
「ふふっ。そうですね。自覚あります。ここで話したこと、言わないで下さいよ?」
「分かってるよ。」
「ならいいです。‥‥‥そうだ。レグルス、ベネトさん。」
「「なんだ?」」
「2人が知ったのはいつなんですか?」
「辺境伯領に行く途中の宿だよ。」
「2人一緒に?」
「ああ。」
「そっか。‥‥さて、当初の目的も果たさないとですね。火と闇‥‥あ。陛下が使った魔法多分できると思いますよ?」
「俺が使った魔法?‥‥ああ。火雨か。」
「はい。ではいきますね!【火雨】」
勿論陛下みたいにバラバラに飛ばしたりしない。範囲を指定して放った。
「流石に俺に怒るだけあって調整完璧だな。」
「勿論です。じゃあ次は闇属性ですね。今まではバインドしか使ったことがないんですがフレイ兄様の一言で攻撃魔法が増えたんですよ。」
「そうなのか?」
「はい。兄弟で魔法の練習するのも、私対上の4人の兄弟対決もここでやってますから。そこに去年からはリリ様とマリア様。今年はシリウス、リゲル、レグルス、ベネトさんが加わりましたね。それで今年帰った時に。」
「それを見せてくれるのか?」
「はい。考えてみたら簡単なことでした。水でできるなら闇でも光でもできるんじゃないかと。魔法はイメージですから。ではいきますね【闇槍】」
そして私が放った闇槍を見届けたあと、陛下が話し掛けてきた。
「‥‥‥なるほどな。マリン。話し難いことを話してくれたし、見せてくれてありがとな。」
「いえ。‥‥ただ、帝国ではこの事を知ってるのはここにいる人達で止めて下さい。」
「なんでだ?」
「父上、帝国中に知れ渡ったらマリンが危険に晒されますよ。」
「あ。そうだな。分かった。俺達だけに止める。みんないいな?」
『はい。』
「ありがとうございます。‥‥‥ではそろそろ戻って模擬戦やりますか?陛下。」
「ああ!」
「分かりました。」
そしてゲートで闘技場に戻ると、私の家族達は相変わらず暗い顔をしていた。
「さて、陛下。舞台にいきましょうか。元帥様、また審判お願いしてもよろしいでしょうか?」
「勿論ですよ。参りましょうか。」
そして私対陛下の模擬戦は始まった。




