７６話 冒険者ギルドへ
そしてお昼を食べながら。
「午後からはどうする？」
「そうですね‥‥‥あ。冒険者ギルド行ってきます。」
「冒険者ギルド？」
「はい。実は‥‥」
帰ってくる途中の殲滅話をした。
「なので冒険者ギルドで換金してこようかと。いいでしょうか？父様。」
「一人で行くのか？」
「え？はい。‥‥駄目でしょうか？」
「う～ん‥‥まあ‥‥もう冒険者になってるし、大丈夫か。いいぞ。」
「やった！」
「ねぇねぇ、マリン。冒険者ギルド以外何処か行くの？」
「いえ。特に決めてないですね。」
「じゃあ、買い物しようよ。私も行きたい。」
「いいですね。じゃあ、一緒に行きましょうか。姉様。」
「ええ～クリスだけずるい！私も一緒に行っていい？」
「私も！」
「え！？リリ様とマリア様もですか？」
「「駄目？」」
「父様、いいでしょうか？」
「なにかあってもマリンとクリスで守れるだろ？いいぞ。」
「だそうです。リリ様とマリア様も一緒に行きましょう。」
「「やった！」」
「マリン。私も行っていいか？街を歩いてみたい。」
「へ？レグルスも？」
「「俺も！」」
「へ？シリウスとリゲルも！？」
「殿下が行くなら俺も。」
「ベネトさんまで！？」
おいおい‥‥私合わせて８人ってそんな大所帯で歩いたら目立つじゃない！
「えっと、さすがに８人で行動するのは多くない？」
「大丈夫だって！マリン。」
「お願いだからみんな自分の立場思い出してよ‥‥。」
「そうよ！私とマリン以外王家の血筋なの分かってる！？」
『分かってるよ？』
「「分かってない！」」
「いや、実際なにかあるとは思わないけど、マリン以外も自分の身は自分で守れる奴らばかりなんだから大丈夫だろ？」
「はぁ‥‥分かりました。ではみんなで行きましょうか。」
『やった！』
「マリン。」
「はい？」
「「「頑張れ。」」」
「兄様達他人事ですか！？」
「この中に入る勇気は俺にはない。」
「「同じく。」」
「‥‥‥‥‥」
むぅ。一人の予定だったのに‥‥。
‥‥‥王家の血筋だからこそ街を歩いたりできなかったのかな？
ってみんな嬉しそうな顔だな‥‥。
「‥‥‥(そんなに楽しみならいいか‥‥。)」
『え？』
「なんでもないですよ。」
そしてお昼を食べ終わった私達８人はまずは当初の目的である冒険者ギルドへと向かった。
そしてその道中。
「ねぇ、マリン。私達も冒険者ギルドに入っていいの？」
「う～ん。時間帯によっては８人も入ったら邪魔かなって思いますが、お昼過ぎなので大丈夫だと思いますよ？」
「え？時間帯関係あるの？」
「はい。例えば、私達が前に魔法の練習してた魔物の森に採取とか討伐の依頼で行くとすると、朝から行って夕方に帰ってくるとかになるでしょう？」
「うん。‥‥‥あ、そっか。」
「そういうことです。‥‥私達になにかご用ですか？」
目の前にでっかい男性達が立ち塞がりました。
‥‥２mあるかないかぐらいかな？５人いらっしゃいます。
「いや。見たところ育ちの良さそうな奴らしかいないみたいだからな。‥‥痛い目に会う前に有り金寄越しな！！」
「え～。いやです。」
『何だと！？』
「これから行くところがあるので退いて頂けませんか？」
「舐めてんのか！？っよ！」
「‥‥っと！手、出しましたね？【麻痺】‥‥これは正当防衛ですよね？」
「「「「ぐっ。」」」」
「全く。邪魔しないで貰えます？」
「くっ‥‥！相手は子供だ！やっちまえ！」
「「「おう！」」」
「はぁ‥‥。すぐ終わらせますので皆さんは動かないで下さいね。」
『はーい。』
両手に少し強めの麻痺を纏って残りの４人の攻撃を避けつつ動けないようにしていった。
「ふぅ‥‥‥さて、この人達どうするかな‥‥。」
ふと、気付くと周りに人だかりが出来ていて、その人だかりからとある人が出てきた。
「ちょっと通してくれ！‥‥‥無事か！？‥‥ってあれ？マリンか？」
「あ。お久しぶりです。ギルドマスター！」
『ギルドマスター！？』
「お、やっぱりか。‥‥‥こいつらやったのマリンか？」
「はい。道を塞がれて殴り掛かって来たので麻痺してもらいました。正当防衛ですよね？」
「あ、ああ。‥‥しかし馬鹿な奴らだな。よりによってこいつに手出すとはな。多分こいつ、俺より強いぞ？」
『！』
麻痺してるので、声は出せないが驚いているようだ。
「ギルドマスター。この人達どうしたらいいでしょうか？麻痺させただけなので、その内動いて逃げますよ？」
「ああ。俺の方で引き取るよ。こいつらＤランクだが冒険者だからな。」
「では私達も冒険者ギルドに用事があるので一緒に行っていいでしょうか？」
「ん？ああ。構わんが‥‥。」
「なんなら私、身体強化使えるので運びましょうか？」
「いや、大丈夫だ。そろそろ‥‥あ、来たきた。あいつらと運ぶから大丈夫だ。ギルドに用事があるならちょうどいい。話も聞かせてくれるか？」
「はい。分かりました。行きましょうか、皆さん。」
『ああ。』『うん。』
そして再び冒険者ギルドに向かう道すがら。
「あ、そういえばマリン。今年１２歳じゃなかったか？」
「はい。冒険者になりましたよ。」
「お、そうか！ランク、Ｅじゃないんだろ？」
「実はそうなんですよ。Ｂランクです。」
『！？』
さっき以上の驚きをみせる襲撃者さん達。
「襲撃者さん達‥‥最初の講習で軽く、でも念押しで言われてる筈ですよ？「人を見た目で判断するな」と。ですよね？ギルドマスター？」
「ああ。‥‥しかしＢランクか‥‥あ、コボルトの集団と黒竜討伐でか？」
「正解です。王都のギルドマスターに会って驚きましたよ。リサ先生のお姉さんだったので。」
「あ～。そういえばそうだったな。」
「あ、ご存知だったんですね。」
「まあな。冒険者ギルド同士で交流はないわけじゃないからな。」
「へ～。そうなんですね。」
「っと、着いたな。で、マリンの用事って何だ？」
「えっと、こっちに帰ってくる途中にまたコボルトの集団に遭いまして。買い取って頂けないかと。」
「ああ。いいぞ。‥‥‥お前達はそいつらを地下の牢屋に入れてこい！あと、シシリア。買い取りだ。頼んだ。」
「あ、シシリアさん。お久しぶりです！」
「あれ？もしかしてマリン様？‥‥わぁ～お久しぶりです！
‥‥って、買い取りはマリン様が？」
「はい。コボルトの集団なので解体場に直接出した方がいいと思いますが‥‥。」
「そうですね。‥‥‥ところで後ろの方々は？」
「私の姉と姉の友人、私の友人達です。さっきの牢屋に連れて行かれた人達ですが、私達が被害者なんですよ。」
「なんて馬鹿なことを‥‥。ではギルドマスターとお話になりますよね？」
「はい。」
「分かりました。‥‥皆さんをご案内して。」
「はい。皆さんこちらへどうぞ。」
別の受付嬢の人に案内を頼むと、
「ではマリン様は私と行きましょうか。」
「はい。」
そしてストレージから出して査定と解体が始まるのを見ながら話し始める。
「‥‥‥また沢山討伐しましたね。キングまでいるじゃないですか。」
「まあ殆んど友人２人が倒しましたけどね。私は手伝っただけです。」
「あれ？そうなんですか？」
「はい。友人達がやりたいって言ったので。」
「確かにマリン様がついててくれるなら安心して挑戦できますね。‥‥あ。マリン様。ギルド登録しました？」
「はい。Ｂランクです。」
「Ｂランク！？‥‥ああ。コボルトの集団と黒竜ですね。」
「はい。‥‥査定って時間掛かりますよね？ギルドマスターのところに行ってきていいでしょうか？」
「あ。そうですね。いいですよ。」
「では失礼しますね。」
そして私は解体場から皆とギルドマスターが待つ執務室へ向かった。
