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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第3章 帝国編
54/289

54話 VS皇帝。そして怒り

陛下と私は闘技場の舞台へと移動し、双方間を開けて戦闘体勢に入る。


そして陛下の弟さん(多分)の声が届く。


「お2人共準備はよろしいですか?」


「ああ!」「はい!」


私達の返事を聞くと


「では‥‥‥始め!」


開始の声と同時に2人共身体強化を掛けて、まず陛下が突っ込んできて剣を振り下ろした。


私は辛うじてそれを自分が持つ剣を頭の位置に移動させて横に向けて防ぎ、押し返した。


陛下は私に防がれたことに一瞬驚きながら後ろに下がり、剣から左手を放して真空弾を撃ってきた。


私は横向きにしていた剣を斜めに振り抜き真空弾を弾いて、陛下に突っ込んで左肩から袈裟斬りに振り下ろした。


陛下はまだ体勢が整う前だったはずだが、バックステップで避けた。


続けて私はそのまま陛下の右から左の腹の辺りを横に薙ぎ払う。ついでに空いていた左手で私も真空弾を撃った。


それを陛下はバックステップで避けながら剣で私の真空弾を弾いた。


私は追い討ちを掛けるように土弾を撃ち、陛下が弾き、私が水弾を数発撃ち、陛下が体勢を整えて弾いたり、避けたりしていた。


「‥‥‥やるじゃねぇか。マリン。初撃から防がれたのは久しぶりだったぞ。」


「‥‥‥それは光栄ですね。私はここまで攻めるのも攻められるのも初めてです。」


「そうなのか?」


「はい。‥‥‥ちょっと楽しくなってきました。陛下はどうですか?」


「ああ。俺も楽しくなってきた。相手に不足なしだ!」


「それは良かったです!‥‥では続きといきますか!」


「ああ!望むところだ!」


再び私達の剣と魔法フル活用の模擬戦が再開される。


陛下が火と土と風の3属性みたいなので私も水・土・風の3属性に絞って戦うことにした。

シリウス王子達と戦った時と同じ属性だ。全属性使えるって陛下に言ってないし、使ったらずるい気がしたからだ。


そして先程より私達の動きは早くなっている。

陛下も身体強化の上に風を纏って戦うことができるようで、再開と同時にそんなことをしてきたのだ。

勿論私も風を纏って対応した。その時は予想できていたのか、さほど驚いた様子もなく斬りかかり、続いて魔法を容赦なく放ってくる。


「ちょっ!‥‥陛下、容赦‥‥ないですね!」


「当然だ!‥‥楽しい‥‥からな!」


「‥‥‥これで、終わりだ!マリン!【火雨(ファイアレイン)】!」


「え!?‥‥ちょっ!‥‥まずい!【シールド】!」


おいおい!観客の方にまで火球落ちてるじゃん!

‥‥‥危な!


審判の弟さん(多分)と、観客である私達それぞれの家族とリリ様達。全員に火球が降り注いでいたのでシールドで防御した上で陛下を見たが、興奮してるからか目に入っていないようだ。


ブチッ。


「陛下‥‥‥ちょっと、頭冷やせ!【大津波(ダイダルウェーブ)】」


私はちゃんと調節して陛下だけに行くように大津波で舞台から押し流してやりました。


「うぉっ!‥‥‥‥‥っ。」


「はぁ‥‥。」


「‥‥‥は!‥‥しょ、勝者マリン!」


「はあ‥‥‥全く。‥‥あ。審判ありがとうございました。大丈夫でしたか?」


「ええ。助かりました。」


「いえ。‥‥父様達は!?無事ですか?」


『大丈夫!』


まだ離れた位置にいるので一先ず大声で聞いてみたが、全員で返してくれた。

観客と審判は大丈夫みたいだ。

さて‥‥‥問題は。


「‥‥‥陛下?」


「‥‥‥気を失ってるだけでしょう。」


「はぁ‥‥しょうがないですね‥‥【水球(ウォーターボール)】‥‥‥とりあえずこれで運びますので皆さんの所に戻りましょうか?」


「ええ。そうですね。お願いします。」


みんなの所に着く手前で陛下は目を覚ました。


「‥‥ん‥‥あぁ~。もしかして気を失ったか?」


「‥‥‥ええ。」


そしてみんなの所に着いたので私は陛下に向き直り


「陛下。先に謝罪しておきます。今から言葉が乱れますのでご容赦ください。」


「へ?」


「では。‥‥‥‥貴方何考えてるの!?馬鹿なの!?何で周りを見ないの!?危うくみんなに火球ぶつかるところだったのよ!?」


「え!?‥‥へ?」


「へ?じゃないわよ!楽しいからって加減忘れるとか子供か!?というか気付いてなかったよね!?」


「え!?‥‥とそうなのか?」


コクン


私と陛下以外全員頷いた。


「うわっ。‥‥‥ごめん。みんな。」


「ごめん?最悪の場合、みんな火傷じゃ収まらなかったかもしれないんだよ!?分かってる!?」


「ああ。分かってる。‥‥‥久しぶりに浮かれてたわ。ごめん。あとマリン。俺を止めてくれたこと、みんなを守ってくれたこと、感謝する。」


「はあぁぁぁぁ‥‥‥じゃあ私の言葉が乱れたのもお咎め無しですか?」


「ああ。勿論だ。マリンは俺とみんなの為に怒ってくれた訳だしな。」


「はぁ、全く。あ、陛下?次同じ事するようならもう陛下の相手は一生しませんので。」


「なに!?‥‥って当然か。‥‥分かってるよ。」


「ならいいです。‥‥陛下。今更ですが、怪我とか痛いところとかあります?」


「本当に今更だな‥‥‥大丈夫みたいだ。」


「そうですか‥‥あ。でもこの後お仕事でしたよね?これだけは掛けますね。【体力回復(リカバリー)】。」


「お!‥‥‥ありがとな。マリン。もう水解いていいぞ。」


「はい。」


そう言って水球から陛下が降りたので魔法を解いた。


「あ。遅くなりましたが、改めて。私はマリン・フォン・クローバーと申します。審判ありがとうございました。‥‥えっと陛下の弟さんでしょうか?」


「はい。そうですよ。‥‥では私も。皇帝の弟であり、元帥を務めております、ベリト・アスタ・ルベライトと申します。」


「え!?元帥!?‥‥ってことはさっきレグルスが言ってた元帥と陛下の勝負は言い替えれば兄弟対決だったってこと?」


「ああ。そうだよ。」


「は~‥‥じゃあ私、元帥に審判してもらったってことか‥‥なかなか贅沢‥‥。」


「いや、マリン。そもそも父上とやるのもなかなか出来ないんだぞ?」


「え?そうなの?父様達と毎回やってるって聞いたから、てっきり模擬戦やりまくってるのかと思った。」


「いや‥‥それは確かにそうなんだが‥‥。」


と話していると、また一人男の子が来てレグルスに声を掛けた。


「あれ?殿下が普通に喋ってるとは珍しい。」


「お。やっぱりベネトも一緒にこっちに来たんだな。」


「陛下。ただいま戻りました。」


「ああ。」


誰だろ?陛下達に似てるし‥‥

こういう場合は‥‥元帥の息子とか?


「っと。陛下、この方は?」


「あ。申し遅れました。私はマリン・フォン・クローバーと申します。」


「ああ、辺境伯様の。私は元帥の息子でレグルス殿下のいとこにあたります、ベネト・アスタ・ルベライトと申します。」


おお。正解だった。


「ベネトさん。珍しいはひどくないですか?」


「いやいや。俺達身内以外と喋ってるのほとんど見たことないわ!」


「それはそうですが‥‥。」


「それで、殿下は友達ができたってことか?」


「ええ。同い年というのもあって、マリンが友達になってくれました。」


「お。そうなのか。‥‥‥ありがとうございます。マリン嬢。」


すげぇ。切り替えすげぇ。

あれ?でもなんでレグルス敬語?


「いえ。お礼を言われることではありません。‥‥あと、ベネト様。私の事は話しやすいなら呼び捨てで敬語無しでも構いませんよ?」


「お。いいのか?‥‥じゃあお言葉に甘えて、改めてよろしくな。マリン。」


「はい。‥‥‥そういえば、レグルスが敬語で話してるってことはベネト様は私達より年上でしょうか?」


「ん?ああ。1つだけだがな。殿下にも俺は臣下なんだから敬語はいらんって言ってるのにこうなんだよ。」


「えっと‥‥多分私がレグルスの立場でも敬語で話したと思います。」


「え!?なんでだ?」


「なんでって‥‥「年上」だからです。幾つ上とか関係ありません。」


「その通りです!‥‥ようやく同じ考えの人に会えたよ。」


「それに今すぐ敬語をやめさせなくても、いつかレグルスが皇帝の座に着くまでに少しずつ敬語もなくなっていくんじゃないですか?」


「なるほど‥‥そういう考え方もあるか。」


「‥‥‥やっぱり。」


「「なにが?」」


「えっと‥‥陛下とレグルス。元帥様とベネト様。それぞれの親子が入れ代わったら性格的に納得しそうだなと。」


「「?」」


「つまり、陛下とベネト様。元帥様とレグルス。性格や喋り方だけみたらこの組み合わせで親子って言われたらしっくりきそうだなと思っただけです。」


「ああ~。確かにベネトは俺の喋り方と似てるな。」


「そして私とレグルス殿下の喋り方も似てますね。」


「言われてみると‥‥確かに。」


「まあレグルスは人見知り全開で喋ってる時のことを言ったのですが。」


「だろうな。‥‥でも、殿下。マリンと会ってまだ3日だろ?お互い呼び捨てだし、よくここまで仲良くなったな。

‥‥‥まさか惚れたか?」


「っ!‥‥‥‥悪いですか?」


「え!?マジで!?‥‥‥ん?それでなんで友達?」


「私が模擬戦で勝ったら婚約者になってくれと頼んだのです。」


「で、負けたか?」


「ぐっ。‥‥‥はい。負けました。その後マリンが婚約者にはなれないけど、友達ではどうかと申し出てくれました。」


「は~‥‥なるほどな。マリン、優しいな。」


「へ?‥‥優しい‥‥ですか?レグルスは友達になれそうだなって思ったので素直に言っただけですが‥‥?」


「お、おう‥‥そうか‥‥。素でいいやつだった‥‥。」


「だよな?さっきも俺に思いっきり怒ってくれたしな。」


「え!?‥‥マリン。陛下を怒るって命知らずだな。」


「え?どういうことですか?」


「ベネト。マリン嬢は陛下と模擬戦して勝った方です。それに、陛下が魔法の加減を忘れて放ったのですが、マリン嬢が守ってくれたのですよ。その事をマリン嬢は陛下に怒ったのです。」


「え!?聞きたいことが山程あるが、マリンは陛下の被害者の1人にされてたのか?」


「えっと‥‥被害者が模擬戦のことを指すならそうです。」


「しかも勝ったのか!?」


「はい。最後は陛下の馬鹿な魔法に怒って頭を冷して頂く為に水で押し流して差し上げましたが。」


「言い方がひでぇな‥‥」


「陛下?」


ちょっと睨んでみた。


「なんでもない。」


「すげぇ‥‥マリン。陛下を黙らせるとは‥‥。」


「あ。それより陛下。この後お仕事があるんじゃなかったんですか?」


「あ!!‥‥悪い!先に戻るわ!」


「忘れてましたね‥‥。」


「忘れてたな‥‥。」


バタバタと陛下は城に戻っていった。


「それで、これからどうする?」


「そうですね‥‥父様、私達特に予定ないですよね?」


「ああ。特に予定はないな。」


「じゃあ少し休憩していいでしょうか?レグルスと陛下の2人と模擬戦は結構疲れました‥‥。」


『お疲れ‥‥。』


そしてしばらくまったり休憩タイムを満喫しました。


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