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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第2章 学生編
35/289

35話 VSシリウス・リゲル

兄様の開始の声が掛かると同時にリゲルが向かってきた。

私は避けることも出来たが、あえて右手に水系統の魔力刃を纏わせて剣を受け止めた。

だがさすがに今年11歳になるって年齢。正直軽い。

そしてリゲルの背後では王子が魔法の詠唱をしていた。

そしてリゲルが私から離れたタイミングで魔法を放ってきた。


「【土弾(アースバレット)】!」


へぇ~。どれくらいの威力だろ。受けてみよ。


空いてる左手を翳して


「【シールド】。」


するとシールドで弾かれて崩れ落ちた。


ふむ。まあこれぐらいかな。威力は予想の範囲内だな。

それにさすがいとこで幼なじみの悪友。連携も取れてるかな。


と私が考えてる間もリゲルが剣で向かって来つつタイミングを合わせて王子が魔法を放ってきていた。

それを剣を魔力刃でいなして、王子の魔法を今度は同じ魔法で相殺か別の魔法を放って防いでいた。


何か久しぶりだな‥‥こんな風に2対1での実戦。

そういえば最近姉様達とやってなかったな‥‥最後にしたのいつだろ?領地にいた頃かな?じゃあ去年だな。

今度姉様と兄様に協力して貰おうかな。

うん。そうしよ。‥‥‥なんか楽しくなってきた。


そして2人と戦いながら気分が乗った私は二人に向かって叫んだ。


「シリウス王子!リゲル様!今この勝負の間だけ私を呼び捨てでいいですよ!」


「「本当か!?」」


「はい!」


「「じゃあ俺達も!」」


「え?」


「敬語もいらない!」


チラッとリリ様とマリア様を見ると2人共笑顔で頷いていた。

2人が許可するなら。


「分かった!」


そしてこのタイミングでリゲルが肩で息をしながら下がった。


「ねぇ。シリウス。魔法は水と土だけ?」


「いや。適正はあと光があるが、灯りを点す程度にしか使えないんだ。」


「じゃあ3属性か。リゲルは?入試、魔法試験受けてなかった?」


「ああ。魔法も使えるがシリウス程じゃない。ちなみに俺も3属性で火と土と風だ。」


「俺も剣は一応使えなくはないがリゲル程じゃないんだ。」


「あ。なるほど。2人共得意な方で戦ってたんだ。」


「そういうことだ。マリンは?結局何属性使えるんだ?」


「ん?それは秘密だね。とりあえず生徒会の皆さんには水と土と風は見せたね。あとは2人も見てたと思うけど、回復と治癒の光。だから現状4属性かな。」


「そういえば生徒会に入ったんだったな。しかし4属性か‥‥。すごいな。魔力刃だが剣も。」


「違うよ。確かにステータス補助はあると思う。でもね、剣は洗礼前から、魔法も洗礼受けてすぐ練習も訓練もしてきた。剣は兵士さんが教えてくれたし、魔法だって兄様達と姉様と一緒に頑張ったしね。努力の結果だって思ってる。」


「なるほどな。道理で強いわけだ。」


「ねぇねぇ。それより提案なんだけど、リゲル疲れたでしょ?剣と魔法入れ代わってみたら?」


「「え?」」


「ん?試したくない?」


「いいのか?」


「うん。私に叩きのめして欲しいんでしょ?じゃあどうせなら剣と魔法両方で勝ってあげるよ。2人の好きな様に戦っていいよ。2人で魔法使ったっていいよ。」


「それは有り難いが、マリンはそれで大丈夫なのか?」


「ふふっ。私が負けると思う?」


「「‥‥‥思わない。」」


「ぷっ。2人共声揃って、いとこじゃなくて双子みたいね。」


「ふっ。」


「確かにな。」


今この瞬間は今までの嫌なこととか忘れて3人で笑っていた。


「じゃあリゲル。マリンの言葉に甘えて交代したりしてみるか?」


「ああ。いいかもな。色々やってみよう。」


そしてリゲルが持っていた剣をシリウスに渡した。


「さて、マリン。先に言っておくが剣を握るのは久しぶりなんだ。不恰好な剣筋になる。すまない。」


「うん。分かった。」


「では、行くぞ。」


「いつでも!」


と私が言った瞬間シリウスが剣で向かってきた。


「っ。うん。確かにちょっと不恰好だね。っと!」

「っ!だよなっ‥‥っと!」


とシリウスの剣が襲ってきてそれを私が魔力刃でいなしてるとタイミングよくリゲルの魔法が飛んできた。


「【火弾(ファイアバレット)】!」


おっ!シリウス程じゃないって言ってたのに(ボール)じゃなくて(バレット)か。なら!


「【水弾(ウォーターバレット)】。」で相殺してあげた。


「なあ!マリンは攻撃してこないのか?」


そう私はひたすら2人の攻撃を防いでいるだけだ。


「私が攻撃したら終わるけど、いいの?」


「「よくない!」」


「じゃあ2人の体力か魔力の限界までする?でもどっちにしろ一応今、放課後だから時間そんなにないよ?」


「はっ!そうだった!」


「どうする?2人はもう限界じゃないの?」


「マリンは‥‥‥まだ余裕そうだな。」


「うん!全然余裕。う~ん。これなら姉様とアクア兄様の2人とやった時の方が疲れてたかな。」


『え!?』


今まで私達の勝負を黙って見ていた方々の声が被った。


「あ~でも一番疲れたのは最終的に兄様3人と姉様の合計4人一斉に来た時かな。流石に全員魔法限定にしてもらったけど。」


『‥‥‥。』


今度は無言でした。


「マリンはそれ‥‥両方勝ったのか?」


「ん?うん。勝ったよ。流石に全員まとめて倒せないこともなかったけど、周りの被害を考えて1人ずつ気を失ってもらったけどね。」


「え!?うそ!?じゃあマリンはあの時手加減してたの!?」


あ、やば。黙ってようと思ってたのに口が滑った‥‥。

これは‥‥言い逃れでき‥‥ないな。


「‥‥‥えっと‥‥はい。すみません姉様。」


「「‥‥‥。」」


姉様と兄様が固まっちゃった。あとで謝ろ‥‥。

さて、


「で?シリウス、リゲル。時間的にもう終わらせた方がいいと思うんだけど、いい?」


「ああ。終わらせよう。でもちょっと待ってくれ。‥‥リゲル!」


と、シリウスがリゲルの方に向かって行った。


ん?何するんだろ?


と思ってたらシリウスがリゲルに剣を返していた。そしてリゲルに何か耳打ちしてる。


洗礼を受けてから五感が鋭くなっていたので聞こうと思えば聞こえる距離だけどあえて聞かなかった。


「なあ。マリン。俺達の好きな様に戦っていいんだよな?2人で魔法使ったりしていいって言ってたよな?」


「うん。いいよ。」


「ありがとう。‥‥‥じゃあ行くぞ、リゲル。」


「ああ!」


何するんだろ?


するとまずリゲルが剣で向かってきて私の右肩から左脇まで剣を振ろうとしたが、私が魔力刃で防ぎ、そこにシリウスの土弾が横から襲ってきた。それを私は左手でシールドを張って防いだ。

そこに、リゲルが近距離で同じく土弾を放って来たので左手をそのまま動かして防いだ。そのタイミングでリゲルが離れ、シリウスが水弾を放ってきて、私は同じ水弾で相殺する。という攻防を少しして。


うん。そろそろ終わりかな。ただ怪我させたらいけないよね。よし。


斬りかかってきたリゲルを魔力刃でいなした後、魔力刃を解除。シリウスが放った水弾を同じ魔法で相殺。

そして左手に真空弾を出してリゲルに、右手に改めて水弾を出してシリウスに同時に放った。まだ私の近くにいたリゲルのお腹に先に当たり、次に同じくシリウスのお腹にも当たり2人はそのまま倒れて気を失った。


「っ!そこまで!勝者マリン。」


そして兄様が勝負の終わりを告げた。

とりあえず近くにいたリゲルに近寄ってみた。


攻撃力のない魔法弾を打ったつもりだけど‥‥

怪我してないよね?リゲルは‥‥大丈夫そうだね。


リゲルの後方、少し離れたところにいたシリウスにも近付いてみた。


シリウス‥‥も大丈夫そうだ。良かった。成功してて。


とりあえず2人の無事を確認できたのでリゲルの近くまで戻ってきた辺りで見守っていた3人の姉達が掛け寄ってきた。


「「「マリン(ちゃん)!」」」


「あ。リリ様、マリア様。2人共怪我は無いみたいですよ。気を失ってるだけです。」


そういうとリリ様達はほっとしていた。


「でもマリン。このままほっとけないわよ?回復したら起きる?」


「う~ん。多分起きてくれるんじゃないかと、思いますよ?」


「何で疑問系なのよ。」


「ハッキリそうとは言えないな‥‥と思ったので。」


「マリンちゃん。とりあえず、回復魔法掛けてあげてくれる?」


「はい。いいですよ。」


「‥‥くっ‥‥」


「‥‥ぐっ‥‥あれ?」


「あ。2人共起きた?動ける?」


「っ‥‥ああ。何とか。」


「じゃあシリウス、こっちまできて。」


「ん?‥‥ああ。」


座り込んでしまったが、2人揃ったところで。


「【エリアヒール】。」


2人の下に小さめの魔方陣が浮かび、そこから出た光が2人を包んでいった。

2人を包んでいた光が消えると魔方陣も消えた。


私もしゃがんで2人に目線を合わせる。


「2人共どう?まだ痛いところとかある?」


「いや、ない。」


「俺も大丈夫だ。ありがとう、マリン。」


「どういたしまして。それで、2人共満足した?」


「ああ。あんなに思いっきり動いたのは久しぶりだ。こちらから勝負を申し込んでおいて何だが、途中から楽しくなっていた。」


「ああ。俺も。シリウスとはいつも一緒に魔法も剣も練習してたが連携は初めてだったしな。それが結構楽しかった。」


「え?連携初めてだったの?」


「ん?ああ。そうだが‥‥?」


「そっか。2人共いつも一緒にいたからお互い確認しなくても分かるんだね。初めてにしては連携できてたと思うよ。」


「「ほんとか!?」」


「うん。2人共強くなりたいなら努力すれば剣も魔法も上達すると思うよ?」


「‥‥なら、俺達が上達したらまた相手してくれるか?」


「ん?う~ん。どうだろ?私のその時の気分次第かな?」


「いや、そこは嘘でも「いいよ」って言って欲しかったぞ‥‥。」


「嘘で言われて嬉しいの?」


「ん?‥‥‥いや、やっぱ駄目だ。」


「ぷっ!‥‥あはははは!」


「笑わなくてもいいだろ!」


「ふっ‥‥ふふっ‥‥ごめんごめん。意外と面白いとこあったんだねシリウス。」


「っ!‥‥俺はマリンの笑顔をたくさん見れたって意味でも今回の勝負、してよかったよ。」


「え?‥‥ああ‥‥そっか。シリウス達の前で笑ったの自己紹介した時以来か。」


「ああ。実はな俺、その時のマリンの笑顔に一目惚れしたんだぞ。リゲルもだろ?」


「まっ‥‥まあな。確かにそうなんだが、しかしシリウス。よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるよな。」


「全くだよ。相手が嫌いなやつでも不意打ちは流石に私でも照れはするんだよ?」


「2人共容赦ないな‥‥。でもやっぱりまだ嫌われたままだよな。むしろマリンは嫌いなやつとよく戦ってくれたよ。」


「そうだよ!私の優しさに感謝するがいい!」


「「ああ。ありがとう。」」


「「「ぷっ!あはははは」」」


3人で少しの間笑い合った後、


「でもね。今回のことで2人のことちょっと見直した。でもまだ頑張ってね。陛下と公爵様の狙いはそこみたいだから。」


「「え?」」


「あれ?‥‥ふふっ。2人共気付いてないんだ。」


「「え?‥‥え?」」


「2人が私に気に入られるためなら。って勉強とか努力して現状の自分達を改善させようとするんじゃないか。という狙いがあるんじゃないかなって。ですよね?リリ様、マリア様。」


「「ふふっ。」」


二人は肯定も否定もしないで笑顔を向けるだけ。

やっぱりね。


「俺は父上の手の平の上で踊らされていたと?」


「そりゃこの国の国王だよ?自分の言うことを聞かないなら聞くように使えるものは使うよ。勿論、常識の範囲内でね。しかも2人は次期国王と公爵の後継ぎでしょ?だから余計にだね。利用された私としてはいい迷惑だったけど。それで?このまま陛下達の手の平の上で踊ってる?」


「む。う~ん‥‥まあ今はそうする。」


「今は?」


「ああ。いつか父上を、そしてマリンを見返してやるさ。」


「お!言ったね。頑張ってね、私の精神的安定の為にも。」


「‥‥今も寒気してるのか?」


「ん?今は‥‥さっきまで私も楽しかったからそこまでではないかな。」


「「良かった‥‥。」」


「あれ?心配してくれてたの?」


「そりゃあな。巻き込んだの俺達だし。それに言っただろ?「マリンに迷惑を掛けたい訳じゃない」って。」


「そういえば言ってたね。‥‥さて、暗くなってきちゃったしそろそろ帰らない?」


「ん?ああ‥‥いつの間にかそんな時間か。‥‥そうだな。帰るか。」


「あ。訓練場を出たら元通りにするからね。」


「ああ。そういう約束だったし、それでいいよ。」


そして帰ろうと思い、3人で魔法訓練場の入り口を見ると、観客が増えていた。


なんか人増えてる‥‥。生徒会の人達は最初からいたけど、他の生徒達‥‥あんたらどこから湧いてきた。

てか、学園長‥‥生徒達とずっと見てたの?いつの間にかレイヤ先生もいるし。


その光景に私達3人は一瞬固まったがじっとしててもしょうがないので向かう。


「マリンさん。お疲れ様です。‥‥疲れてはいないようですね。」


「はい。先生。怪我もないですよ。」


「安心しました。」


「学園長。無理をお願いしてすみませんでした。」


と、シリウスとリゲルが自ら学園長に頭を下げて謝っていた。


『え!?』


シリウス達以外の全員に衝撃が走った。

あのシリウスとリゲルが自ら謝った!?と思ったのは私だけじゃなかった様だ。


「みんなの反応は当然でしょうね。しかしこの無理はどうしても通したかったのです。それで、学園長に迷惑を掛けたのは事実です。こうして謝罪するのは当たり前です。‥‥まあその事に気付かせてくれたのはマリン嬢ですが。」


『‥‥‥。』


シリウスが‥‥あのシリウスが敬語で話してる!?

これは幻か!?あの無駄にプライドだけは高かったシリウスなのか!?


「では殿下。満足できましたか?」


「ええ。ありがとうございました。」


学園長も驚きつつではあるけど対応してる。


「それは良かったです。‥‥皆さんも。もう遅い時間になりつつあります。帰りは気をつけて帰るんですよ。」


『‥‥っ!はい!』


「では失礼しますね。」


学園長すげぇ。

表情が動いたのちょっと驚いただけって感じだったよ‥‥

‥‥って、あれ?シリウス達しんどそう?


「シリウス王子。リゲル様。」


「「ん?」」


「もしかして痛みはなくても疲れて動き辛かったりしますか?」


「‥‥まあな。」


「悪い。俺もわりと辛い。」


「はぁ‥‥じゃあ我慢せずに言ってください。全く、しょうがないですね‥‥【体力回復(リカバリー)】‥‥どうですか?」


「え!?‥‥体が軽くなった‥‥?重ね重ねありがとう。マリン嬢。」


「ありがとう。マリン嬢。」


「いいえ。どういたしまして。‥‥さ、姉様。兄様。帰りましょ?」


「ええ。そうね。」


「ああ。」


そして魔法訓練場からみんな出て、馬車に乗って帰る私達貴族組は馬車の止まっている場所まで移動を始めた。


「それにしてもマリン、さっきは楽しそうだったな。今週末久しぶりに対戦するか?」


「いいですね!姉様もどうですか?」


「勿論参加するわ!マリン達見てたらまたやりたくなってたところだったのよ。」


「あ。じゃあ今年も夏休みに領地に帰りますよね?その時にヒスイ兄様達も入ってもらってやりますか?」


「お!いいな。マリンに全力出させてやる。」


「いや、兄様。私が全力全開で魔法放ったら地形が変わると思いますよ?」


「「え!?」」


「っというのは冗談ですが!私だって負けませんよ!」


あっぶね~。誰にも加護も魔法もレベル伝えてないからな‥‥。


「だ、だよね。驚かさないでよマリン。」


「すみません。あ。」


話していると馬車の止まる位置には私達を待っていた馬車がずらっと並んでいた。

そしてうちの馬車に近付いて、いつも御者をしてくれている人に謝った。


「遅くなってすみません。」


「いいえ。クリス様とアクア様もご一緒なら生徒会とかでしょう?」


「まあ。そんなところです。ではよろしくお願いしますね。」


「はい。」


「リジア!またね!」


「うん。マリン、またね!」


「リリ様、マリア様。失礼しますね。」


「リリ、マリア。またね。」


「「ええ。2人共またね。」」


そして姉様と兄様と3人で馬車に乗り、屋敷に帰った。


当初は2話に分けてましたが、やっぱり1話に纏めることにしました。

元々の話の内容は変えてません。誤字脱字などの修正のみしました。


2021,9,7 改稿。

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