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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第2章 学生編
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34話 日常と変化

生徒会に加わった翌日。

私はイライラしていた。今日だけではなく、とある選択授業で必ずだ。

その選択授業は貴族科である。貴族科ということで、当然のように奴らがいる。勿論王子とリゲルだ。


いるだけならいい。無視してればいいから。だが無視が難しい程こちらを見てくる。リジアが間に入ってくれているのにだ。正直鬱陶しい。授業中なんだから真面目に受けろよと思う程に。

最近近付かなくなったと思ったらこれだ。

何故奴らは学ばないのか?私に不快感を与えていると。


頭の片隅にそんな事を考えながらちゃんと授業を受けていると、終了のチャイムが鳴った。

やっとある意味拷問の時間が終わった。


そして次の選択授業だが、こちらは楽しみにしていた。

最初の時に絶望を感じるまでは。


その選択授業は家庭科だ。

私を絶望に叩き落としたのは調味料や食文化を先に座学で教わった時だ。


1年の長さ、時間、距離を表す表示まで日本的なのに‥‥なのに何故味噌も醤油もお米もないんだ!私、味噌汁好きなのに‥‥カボチャの煮物も好きなのに醤油がないと作れないじゃないか!

おかしいと思ったんだ。見事に洋食っぽいのしか食卓に並ばないから。野菜類はあるけど名前が違うからややこしい。そしてこの世界は魔物も種類によるが食べる。普通の動物、熊とかのいわゆるジビエ料理も食べる。

だがないんだ!味噌が、醤油が、お米が!醤油がないのが凄いショックだった。前世で私が好きだった食べ物、大抵調味料として醤油がいるんだ‥‥。


その日、私はあまりのショックで無言だった。隣でリジアが心配してくれてたが、返事する元気すら湧かなかった。

その日は幸いなことに家庭科が最後の授業だった。


そうは言ってもこの世界で生活するなら学べることがあるはずだと無理やり復活したのは翌日だった。


そしてその後は貴族科の授業以外、比較的平和に楽しく過ごせていたのに‥‥‥。


今私は目の前の2人の人物に言いたい。


「いい加減私に平和な日々を送らせてくれ」と。


私は生徒会室から何故か奴らに連行されそうになったが、当然生徒会室にいるんだから姉様達が立ち塞がってくれた。しかし奴らは想定内だと言わんばかりに目的を告げた。


「俺達2人と勝負してくれ」と。


この場の全員が思ったことだろう。


『こいつら馬鹿か?』と。


そんな周り反応を気付いているのか知らないが、無視して魔法の訓練場の使用も魔法による勝負も許可を得てきたと。


こいつらどうやって許可を得た?と思っていたら奴らの後ろからすまなそうにしてる学園長が見えた。

学園長脅すなや。

リリ様達もため息しか出ない様子だった。


そして奴らはここで話していてもしょうがないと、生徒会一同と共に魔法訓練場に向かった。


で、今半ば強引に魔法訓練場に私と目の前に奴ら(王子とリゲル)が向かい合って立っている。


2人は何かを決意したような真剣な表情をしていた。


「で、何で私と勝負なんですか?」


「俺達自身、けじめをつける為だ。」


「は?‥‥私を巻き込んだ理由は?」


「マリン嬢を婚約者にするのは俺達どちらにしても勿体ないと、周りはひたすら諦めろとばかり言うし、マリン嬢にも直接嫌いだと言われた。」


「はい。申し上げましたね。」


「ああ。でも申し訳ないが諦めるつもりはない。でもマリン嬢に迷惑を掛けたい訳でもない。それに俺達自身、このままは良くないと思うし、現状の自分が嫌でしょうがない。だからこの勝負、負けるのは分かってるが、これを自分を変えるきっかけにしたいんだ。」


「‥‥‥何故いきなりそんな考えになったのですか?」


「それこそきっかけはマリン嬢に嫌いだと言われた時だ。何となくそんな予感はしていたが、いざハッキリ言葉にされて改めて自覚させられた。そしたらどうしたらいいか分からなくなった。だが現状何をしても嫌われるだけだと分かったからな。だから一旦、マリン嬢のことを諦めることにした。」


「‥‥‥「一旦」なんですか?」


「ああ。一旦だ。俺達が自分に自信を取り戻すまで、今度こそ本当に何もしない。視線を向けるのもやめる。命の恩人なのに嫌悪感と不快感を与えてしまった。今まで本当にすまなかった!」


2人共頭を下げて私が何か言う前にまた頭を上げて話し出した。


「だから頼む!負けるのは分かってるから、俺達の性根を叩き直すつもりでやってくれ。」


へ~。なるほどね。

長かったな‥‥‥でもやっと私に平和がくるかな。

でも一旦か‥‥‥今の話も信じていいものかな‥‥。

自分から叩きのめして欲しいって言うとはね。本人がいいって言うならそうしてあげるべきかな。私もスッキリするかもだし。

う~ん。どうしようかな‥‥。


と考えてる間無言になったからかリリ様とマリア様が二人に助け舟を出した。


「マリンちゃん。私からもお願い。シリウス達を叩きのめしてあげて。2人のここまでの覚悟というか意思を聞いたの、初めてなのよ。」


「マリンちゃん。私からもお願い。私も2人のこんな真剣な顔、初めて見たの。だから勝負受けてくれないかな?」


「う~ん。リリ様とマリア様もこの勝負を受けて欲しいのですか?」


「うん。マリンちゃんには申し訳ないし、本当は頼むべきじゃないって分かってるけどね。でもやっぱり私の弟だから変わりたいっていうのを応援してあげたい気持ちもあるの。」


「私も。リゲルが変わりたいって思ってくれたことがまず嬉しい。それでマリンちゃんに頼るのは申し訳ないけどね。」


「そうですか‥‥‥。はぁ~。これは受けないと駄目な雰囲気ですかね?姉様。」


「ふふっ。そうね。折角だから一瞬で終わらせずに2人がどれだけできるか見てあげたら?」


「う~ん。そうですねぇ‥‥。シリウス王子、私はお2人を一瞬で倒せますがそれは嫌ですよね?」


「ああ。できればちゃんと戦ってみたい。」


「そうですか。分かりました。勝負、お受けします。一瞬で終わらせずちゃんとお相手します。」


「「ありがとう!」」


「それで、勝負は何でしますか?」


「俺が魔法でリゲルは剣を使おうと思ってる。勿論刃を潰してある訓練用だ。」


「分かりました。2人一緒に協力して私に向かってきてください。」


「ああ。でも、マリン嬢は剣を持たなくていいのか?」


「大丈夫ですよ。いざとなったら防御魔法を使うか、魔力で刃を作りますから。」


「そうか。分かった。」


「じゃあ俺が審判するよ。」


「ありがとうございます。兄様。」


「いいよ。‥‥3人共準備はいいか?」


3人共コクンと頷き、それを確認した兄様は片手を上げた。


「よし。では‥‥‥始め!」


そして兄様の振り下ろした手と共に開始の声が響いた。


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