31話 生徒会
そして生徒会室での事情説明は終わったが、姉様はまだ普通に授業があるからと私は先に屋敷に帰ってきた。
そういえば、私の入学前に姉様は凄い自信満々に私を守るって言ってたの、生徒会長だから実質生徒達の頂点にいるからどうとでもなるっていう自信なのかな?
‥‥‥‥そんな気がしてきた。
はぁ‥‥。この数日で無駄に精神的に疲れた‥‥。
う~ん。今日であの王子が大人しくするかな?問答無用で対抗できるの私ぐらいだからな‥‥。
あの鬱陶しい視線を避け‥‥あ。私としたことが‥‥
一番避けるのに最適な魔法の存在を忘れていたとは‥‥。
この数日使う必要がなかったからか。
【探知】便利なのに‥‥。確か慣れてくると人と魔物を分けて探知できたり、凄い人は人間の男女の差まで分かるんだっけ。私はまだ人間と魔物の差が分かるから訓練したらもっと精密に分かるようになるかな?
‥‥‥これで王子の居場所が分かるようになっても避ける意味ではいいけど何かやだな‥‥
なんかこう納得いかない‥‥。
ん?でもこのサーチも好きな時に使えれば、迅速に行動できるから生徒会入ってもこれは役立ちそうだな‥‥。
‥‥‥私、もう生徒会入るつもりの考え方になってるな。何で入学したその日から精神的に疲れないといけないのかな‥‥。
私の落ち着ける場所は屋敷だけなのか‥‥?
‥‥いや。いるじゃないか。私の究極の癒しが!
私は早速シャーリーに出掛けることを告げゲートを開いた。
そして目的の場所に着くと。
「雪!」
〔マリン様?〕
おもいっきり雪に抱きついた。
あぁ‥‥相変わらずこの毛並み‥‥癒される‥‥。
〔マリン様、どうかなさったのですか?〕
「今、学園に通う為に王都にいるんだけどね、もの凄い嫌なやつがいて、精神的に疲れたから雪に癒しを求めにきた。」
〔そうでしたか。私で癒しになるのでしたら何時でも好きなだけどうぞ。〕
「ありがとう~!雪に会えて本当に良かったよ‥‥
ふぁっ。‥‥ごめん。雪、ちょっと寝てもいい?」
〔ええ。どうぞ。〕
と私が寝やすいように動いてくれた。枕になってくれるらしい。
お言葉に甘えて。と、寝転がると私はすぐに寝てしまった。
(私で癒しになるならと、されるがままになっていたけど‥‥すぐに寝てしまうなんて、我が主は大変なようですね。この僅かな一時でも安らぎを得られていればいいのですが‥‥。)
雪は心の中で主となった少女を心配しながら見守っていた。
そして1時間ぐらいが過ぎた頃
「‥‥ん。」
〔マリン様?〕
「‥‥雪?‥‥‥ああ~そっかここに来て早々に寝ちゃったんだっけ‥‥う~ん!‥‥あ~スッキリした!」
両腕を上に伸ばして、そのまま背中も伸ばして一息つくと思いの外体がスッキリしていた。
「雪。お蔭でスッキリしたよ。ありがとね。‥‥私、どれぐらい寝てた?」
〔さほどは。1時間ぐらいではないかと。〕
「そっか。雪は?私の枕みたいにしちゃったけど、大丈夫?どこか痛くなったりしてない?」
〔大丈夫ですよ。どこも痛くありません。〕
「良かった‥‥‥。」
〔マリン様?〕
「ん?あぁ。最初に見た時も思ったけど、雪の目の色、私のと似てるね。」
〔確かにそうですね。〕
「凄い綺麗‥‥。」
〔っ。‥‥ありがとうございます。〕
照れた。雪が照れるなんて貴重なの見ちゃった。
「あんまりじっと見てると照れるね。‥‥あれ?私、1時間ぐらいだよね?寝てたの。」
〔? はい。〕
「さすがに帰らないとまずいかな‥‥。まだ雪に抱きついてたいんだけどなぁ‥‥。」
〔またいらして下さい。私も名残惜しいですが、ここでお待ちしてます。〕
「うぅ‥‥仕方ない‥‥帰るか‥‥またね‥‥雪‥‥。」
〔はい。〕
渋々帰っていったマリンを見送った雪。
(私、そんなに気持ちいいのかしら?マリン様、凄い名残惜しそうに帰られたわね‥‥。
精神的に疲れたからと嵐のようにいらしたのに私にまで気を使ってくださる‥‥。心優しい我が主に少しでも平穏が訪れますように。)
そう心から祈っていた。
そして雪に癒されて帰った私は早速、学園から帰ってきた姉様に話すことにした。
「姉様。おかえりなさい。」
「ただいま。‥‥マリン?何かあったの?」
「え?‥‥私、何か変ですか?」
「ううん。そうじゃなくて、この数日疲れてたみたいだったのに今はスッキリしてるみたいだから。」
「あぁ。ちょっと仮眠を取ってたんですよ。それより姉様。私、生徒会入ることにしました。」
とても雪のところで寝てたとは言えないので早々に本題に移した。実際仮眠取ってたし嘘ではない。
「そう!‥‥この数日と今日の王子のせい?」
「まあそうですね。あ、姉様。サーチも好きな時に使えたりします?」
「ん?いや、私でも今日みたいな有事の時しか使えないわ。そこまでは許可されてないの。」
「そうですか‥‥。」
「公爵様に言ったらマリンは許可されたりするんじゃない?」
「生徒会長は駄目なのに新入生は許可されるんですか?そこまでは流石に‥‥って今更ですね。」
「そうね。言うだけ言ってみたら?」
「う~ん。そうですね‥‥。明日言ってみます。」
「うん。マリン。一緒に活動するようになったら頑張ろうね。」
「はい!」
そして翌日。
朝、教室に着くと既にリジアが来ていた。
「リジア、おはよう。」
「あ、おはよう。マリン。‥‥何かあったの?」
「リジアも?昨日帰って仮眠取ったあと、帰ってきた姉様にも同じ事言われたよ。」
「じゃあ仮眠取ったことでスッキリした?」
「うん!」
「その様子だと、生徒会、入るのね?」
「え?リジア、何で分かったの?」
「ふふっ。マリン、意外と分かりやすいわよ?」
「えぇ。そうかなぁ。‥‥リジアはどうする?」
「勿論一緒に入るわ。」
「本当!?嬉しいけど、私が入るからって無理強いしたみたいなら止めてもいいよ?」
「無理強いじゃないわ。私も出来るだけマリンを守りたいのよ。まあ実力はマリンの方が上だから私が守ってもらう側になる方が多いだろうけどね。」
「それは嬉しいけど、無理してない?」
「してないわ。」
「‥‥分かった。じゃあ一緒に頑張ろうね。」
「うん。」
そしてレイヤ先生に私達が生徒会に入ると告げると、凄い喜ばれた。理由は勿論王子達の抑止力だから。
改めて、学園長と話せないかと聞くとその場で大丈夫との返事が。学園長に確認は?と聞くと、元々私が生徒会に入ると言ってきたら学園長室に連れてくる様に言われていたそうだ。
何か話すことがあるんだろうか‥‥?
と思いつつ、選択授業が始まるのは来週からということで、午前中だけの今日の授業が終わった後レイヤ先生とリジアと一緒に学園長室に向かった。
「「「失礼します。」」」
「あぁ。いらっしゃい。‥‥3人共座るといい。」
「はい。では失礼します。」
私達3人が座るのを見届けると。
「それで?ここに来たということは2人共生徒会に入ると思っていいのかな?」
「「はい。」」
「そうか。良かった‥‥。前回集まった時、君達がくるまで公爵様やマリンさんのご家族に色々聞いていたんだが‥‥。王子達が噂通りだと現実を伝えられてね。学園内とはいえ相手は王族に公爵家だ。どうしようかと思ったよ。」
「もしかしてその場で公爵様や私の家族に私が王子達の抑止力になると?」
「あぁ。正直、話を聞かせてもらった時は内心半信半疑だった。けど、王女殿下までマリンさんを推していたから、ならとあの時終始見守ってたんだ。そしたら昨日のことだ。十分に信用に値する。だから改めて学園長として一部魔法の常時使用を認める。」
「っ!ありがとうございます。‥‥あの学園長、もう1つ使う魔法を増やしたいのですが、いいでしょうか?」
「ん?何だ?」
「サーチの魔法です。今の生徒会では私の姉でもある生徒会長と、3年のアクア兄様が有事の際に使っているかと思います。その魔法を常時使用出来ないかと思いまして。」
「有事の時だけでは駄目なのか?」
「いえ。本来は有事の時だけでいいと思います。ただ恐らくですが、錬度をあげれば人の悪意を察知できる様になるかもしれません。それが分かれば、何か起こる前に未然に防げるかもしれません。推測の域を出ませんが。」
「レイヤ先生。魔法科の担当だっただろう?どうなんだ?」
「そうですね‥‥。私も人間の男女の判別ができるようになった例までしか存じ上げません。しかし鎮圧だけが有事ではありません。避難をしないといけない場合にも迅速に事に当たる上では有効なのではないでしょうか?私としては今のマリンさんの話を聞いて、生徒会員全員もサーチ魔法に限り使える者は常時使用許可をしても良いのではないかと思います。」
「ふむ。なるほどな。‥‥‥一度公爵様に話を上げてみよう。」
「「よろしくお願いします。」」
「ああ。ところでフリージアさんは何か要望とかあるかな?」
「えっと‥‥。いえ。ありません。」
「そうか。では2人共。来週から現生徒会に合流することになるから頑張ってくれ。」
「「はい!」」
「では学園長。我々は失礼しようと思います。」
「ああ。3人共わざわざ来てもらってありがとな。」
「いえ。では失礼します。」
そうして私達3人は学園長室を後にして、私とリジアはそれぞれ屋敷に帰った。
私の当初の予定では王子達は早々に存在が薄くなるはずだったのですが‥‥。まだ私は2人を、主に王子を駄目人間にし続けたいようです。
う~ん。やっぱり表現は難しい。と悩みながら書いてますので多少読み辛いと思いますがご容赦頂ければと思います。