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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第11章 学生最後の年
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308話 閑話 マリンの成人 前編

お待たせしました!

今回は閑話扱いにして2話一気に投稿します。

まずは前編です。

━さて、フェリシアやアイドの誕生やら、目安箱の設置から様子見まで。などもあり、その裏でシリウスとの極秘視察もあり‥‥

なかなかに濃い3ヶ月が過ぎていき、今はもう夏休みを待つばかり。━試験もあるが、そこは気にしなくても問題ない。


これまでなら。 だが。


『あとは夏休みを待つだけだ~!』と呑気に日々を過ごしていたマリンはその月の始め頃、申し訳なさそうなシリウスやリオトに促され、真っ直ぐ学園から屋敷に帰れず、王城のいつもの一室に連れて来られた。


呼ばれたのはマリンだけなのだが、友人達やレグルスを迎えに来ていたはずのベネトも含めて『気になるから』とその一同も一緒についてきている。


『‥‥‥』


呼び出したのはもちろん国王である。

その国王や王妃、宰相にリコリス公爵。といういつもの人達だけではなく、まさかのヒスイやクリスまでいた。


一通り挨拶を終え、全員が座ったあと‥‥


待ち構えていた上記一同とシリウスやリオトは苦笑いを浮かべ、マリンはぶすっと不機嫌顔。他の面々は視線をキョロキョロさせて戸惑いを見せていた。


そして、この沈黙をものともせず口を開いたのは、もちろん不機嫌全開のマリンである。

━ちなみに、姿勢はちゃんとしている。足を組んだりまではさすがにしない。


「陛下。率直に伺います。まだ早いので、この集まりは帝国行きの話ではないですよね?私に一体、何の用ですか?─何故かヒスイ兄様と姉様までいらっしゃるし。」


マリンはとにかく、何か用事があるから呼び出されたのだと分かってはいるが、内容をシリウスやリオトに聞いても、『口止めされているから』と結局聞けずに今に至るのだ。


その口止めした国王に『何故口止めした?その意味は?何の用で呼ぶんだ。王都在住の兄妹2人まで呼び出してからに。』と不満だらけなのである。


そんなマリンに、国王は苦笑いから表情を引き締め、用事を口にした。


「もちろん、帝国行きの話ではない。それはそれでまた呼ぶからな。─用事はな、マリン。そなたのことだ。」

「はい?」

「マリン。そなたの誕生日、もうすぐだろ?」


数秒程、更に不機嫌度が増した表情で沈黙したマリンは渋々答えた。


「そうですけど‥‥?それが何か‥‥?」

「成人になるだろ?」

「ですね‥‥。だからなんです‥‥?」

「貴族の令嬢や子息のデビュタントは?」

「‥‥成人。15歳ですね?」

「だよな?」

「でも、大半が私達の様に学生だからと、卒業パーティーがデビュタントを兼ねているはずですが?」

「ああ。確かにその通りだ。─だが、各貴族家で成人を祝うパーティーを催すのが通例なのだが?」

「は?」

「だから、マリンの場合は辺境伯邸でパーティーを開催しないのかと聞いている。」

「は!?」


とマリンは驚きつつ兄と姉に視線を向けたが、気まずい2人は共に視線を反らした。

なので、マリンはじとんとした眼で2人を見つつ『どういうことだ』と問い詰め始めた。


「ヒスイ兄様‥‥?姉様‥‥?今の陛下の話は本当なのですか‥‥?」

「「うっ‥‥」」

「お2人に限らず、フレイ兄様やアクア兄様もそんなのやってないですよね‥‥?」

「えっと‥ま、まあ、」

「そ、そうね‥‥?」


リリアーナやマリアはやっていたのだが、兄妹の中で上3人をそれぞれ招待しただけである。

マリンやアクアはその時成人ではないと参加資格がなかったので、招待できなかっただけ。


━ちなみに、この成人パーティーがヒスイやフレイとのお見合いの様になってしまったというのもあり、当時のマリンに知らせてなかったというのもある。━


アクアも多分、マリンが知らないだけで友人の何人かのパーティーに出席したはずである。

━つまり、上の兄妹一同はやるべきと知っていながらやっていないのである。


「何故です?」

「多分、というか確実にマリンと同じ理由だぞ。」

「え?」

「マリン。自分の誕生日だからこそパーティーなんぞやりたくないでしょ?」

「はい。もちろん。」


クリスの問いかけに即答するマリン。


「やっぱりな。─マリンだけじゃなく俺やフレイ、クリス、アクアもやりたくないと思ってな。父様達に断固として拒否を示した。」


分かるだろう。

クローバー辺境伯家は兄妹だけではなく、ディアナもなかなか夜会等に参加しない。家族全員社交嫌いなのである。

むしろラルクは兄妹全員が『やりたくない』と言った瞬間、『やっぱりな』と思うと同時にほっとしていたのだ。


『面倒事を避けられる』と。


だが、ヒスイが告げたその言葉に、国王夫妻や宰相、公爵が項垂れた。


「やりたくないって‥‥たったそれだけでか‥‥」

「先輩‥‥自分の子供達に甘過ぎですよ‥‥」

「ただでさえ茶会にすら顔を出さない、幻の兄妹と言われているというのに‥‥」

「ああ‥‥だから、学園であんなに‥‥」


国王達4人のそれぞれの呟きにきょとんとするマリン達兄妹は互いに顔を見合せたあと、4人に向き直った。


「あの、陛下‥‥?もしかして、婚約の件以外でもこちらに抗議が‥‥?」

「ああ。」

「「「え!?」」」


マリン達3人が驚きを示す様子に、今度は国王がじとんとした眼を向けた。


「マリン。」

「! は、はい。」

「マリンだけでも、頼むから、成人パーティーを、やってくれ!」


一言ずつ確実に伝える様に告げた国王にマリンの顔が僅かに引きつった。


マリンは正直『絶対に嫌だ』と、『やりたくない』と感じていた。

だが、この国のトップ達が何故だか一貴族家に過ぎないはずの我が家のことで頭を悩ませているらしいことに、若干の申し訳なさも感じていた。


そろ~っと兄と姉に視線を移す。

苦笑い。

ということは。


「‥‥ヒスイ兄様、姉様。これは家族会議案件ですね。」


苦笑い=家族会議(両親に要相談)


何かあれば家族会議(そう)してきたクローバー辺境伯家。


「だな‥‥」「そうね‥‥」


今度は別の意味でマリン達兄妹が項垂れる番だった。


そこに掛かる国王の余計な言葉。


「なんなら大広間を貸してやるぞ?この際、やってない兄妹全員分やってしまえ。そうしたら招待客が集まり、大広間でちょうどよくなるだろ。」

「「「は!?」」」


またしても驚愕する兄妹。


「絶対嫌です!城の大広間でやるぐらいなら断固としてパーティー自体やらないとここで宣言します!父様も理解してくださってるはずですから、『やっぱりな』と呆れ顔一つで終わってくれるでしょうから!」

「だな!」「そうよね!」


と、辺境伯兄妹(もちろん、主にマリン)と国王夫妻側4人の口戦が始まり━


意外と長く続いた攻防は一人の来客によって強制終了となった。


「お兄様~?‥って、リゲルやルビアがなかなか帰ってこないと思って来てみたら、何してますの!?あなたまで!!いい加減、話を切り上げて子供達を帰してあげてください!明日も学園があるのですよ!?何の話か知りませんが、時間ぐらい見てくださいませ!!」

『‥‥‥』


リコリス公爵夫人のごもっともな言葉に国王達は気まずそうに視線を反らし、学生一同は苦笑いを浮かべた。


「特に、ヒスイさんはリリやフェリシアが待っているでしょう!?マリンさんもディアナが心配するでしょうし。」

「うっ‥そ、そうだが‥‥だ、だがな?アリア」

「だがはありませんわ!!─あなた、リゲル、ルビア。お兄様のことはほっといていいわ。帰るわよ!」

「「「え!?」」」

「マリンさん達もよ。お兄様達なんぞほっといて帰っていいわよ。どうせまた呼び出したりするでしょうから、日を改めると思ったらいいのよ。」


アリアがそう言うと、マリンを筆頭に席を立ち始める。


「あ。なるほどです。─ありがとうございます、アリア様。遠慮なくお暇させて頂きます。」

「ええ。またね、マリンさん。」

「はい。また。─リジア、レグルス、ベネトさんも帰ろ?

─姉様も明日の仕事は大丈夫そうですか?」

「ふふっ。ええ。大丈夫よ。」


そんな感じに王族一家や宰相を残して、他の面々はさっさと帰っていった。

なんと、公爵も夫人に引っ張られるままに一緒に帰ってしまったのである。


「「「‥‥‥」」」


唖然としてそれを見届けることになった3人。

そこで王妃がぼそっと呟いた。


「さ、さすがアリアだわ‥‥」


シリウスとリオトは無言で頷いた。


さすが国王の実妹である叔母上。容赦ない。 と。


━で、週末。


この日、辺境伯家としてはマリンだけではなく、ラルクやマリンの兄妹が全員集まった。まさかのフレイもである。

その場所はまたもや王城の一室である。


他の面子としては王族一家と宰相、公爵である。

ちなみに、母親2人は辺境伯邸にお留守番である。


そして、最初に口を開いたのはやはり国王で━


「早速だが、マリン。家族会議とやらはしたのか?」

「ええ。陛下が突然今日の午後に登城しろと仰るので、急遽午前中に私が大公家や魔法師団の寮、領地の辺境伯邸。全て回って家族を王都の屋敷に集めて緊急会議をしました。─陛下。何故今日の午前中まで家族会議をしなかったかはご理解頂けてますよね?」

「ああ。ラルクは言わずもがな。マリン以外の兄妹達もそれぞれ内容は違えど真面目に働いてるし、マリンも学園があるからな。」

「その通りです。‥‥ちなみに陛下。仮に今からパーティーを企画したとして、招待してもさほど集まらないのでは?」


私の言葉に陛下は『ふっ。』と軽く笑った。


なんとなくだが、イラッときた。


「甘いな、マリン。ラルクが夏休み数日前に王都入りする様に、他の領地在住の貴族家も同時期に王都に集まるのだ。」

「は?」

「辺境伯家だけではないということだ。学園生の子息令嬢と共に領地に帰ったり、旅行に向かったり。─まあ、内容は様々だが、数日社交してからさっさと避暑なりのために動く。」

「で、私の誕生日はちょうどその数日滞在している辺りに被ると?」

「その通りだ。」

「なんということだ!!!」


もちろん、項垂れる私。


「それで、結局のところ家族会議とやらの結果は?」


私の様子など気にも止めず、もう一度聞いてくる陛下。

私は頭を上げ、不機嫌全開で答えた。


「‥‥やるなら我が家の広間か庭園。城の広間や大広間は絶対に借りません。王命だと言われても断固として城は借りません。城を使えというなら、パーティー自体しません。王家で勝手に企画しようと、私達は辺境伯邸から出ません。─陛下ならお分かりでしょう?今、申し上げたのは私達辺境伯家一同の総意です。リリ姉様とマリア姉様でさえ、『まあ、そう言うよね‥‥』という感じに諦めてます。なので、我々の説得など無理ですよ?」

『‥‥‥』


王族一家と宰相、公爵様は全員苦笑い。

ある程度予想していたのだろう。

ただ。


「あ、我が家でやる場合はもちろん、陛下や王妃様、宰相様は招待すらしませんから。」

「何故だ!?」「なんで!?」「何故です!?」


今度は呆れ顔全開で尚且つわざと令嬢らしく返してみた。

━わざと令嬢らしくしてみたのはなんとなくだ。


「国の頂点が何を仰っていらっしゃいますの?一令嬢の成人などに陛下や宰相様を招待したとあっては面倒極まりない憶測を呼んでしまいますわ。─私を困らせたいのでしょうか?それとも兄達がパーティーをやらなかった腹いせですの?‥それは大人気ないというものでしてよ?陛下。」


そして、陛下方が口を開く前に続ける。


「それに、ちょうど貴族家が集まる時期なのでしょう?─さぞかしお忙しいことでしょうね。毎年、私達の帝国行きを告げる時でさえ、必要事項を伝えたらさっさと帰してくださる程に。─我が辺境伯家にだけ構ってる場合ですの?」


『あと言ってないことは‥‥』と数秒思案して思い出した私は更に続けた。


「ああ、あと、成人祝いの贈り物もお止めくださいね?シリウスに託すのも、直接屋敷に送ることもお止めください。─何故かはお分かりですわよね?陛下。」

「‥‥‥はぁ‥‥」


と陛下はため息を吐いたあと、続けた。


「私達を招待しないのと同じ理由だろ?」

「ふふっ。正解ですわ。─ですがご安心くださいな、陛下。シリウスはちゃんと招待しますわ。」

「ああ。」

「そういえば、前回申し上げました様に、フレイ兄様は参加しませんので。─ご報告までに。」

「ああ。分かっている。─前回は勢いで兄妹全員と言ったが、ふとヒスイはともかくフレイは難しいか。とすぐに気付いたしな。」


━世間から見たら、フレイ兄様も参加していたら『奥方と息子をほっといて何を‥‥』ということになる。

私がゲートを使えば一瞬だが、世間はその事を知らない。


ヒスイ兄様もリリ姉様やフェリシアちゃんがいるが、王都在住。何かあればすぐに帰れる。なんなら2人も辺境伯邸に連れてくればいい。


フレイ兄様の場合はそれができない。

『生まれて一月も経たない赤子を馬車移動させたのか!?』となるから。(私の実力を知らない世間の方々から見たら。だが。)

なので、不参加とするしかないのだ。


(まあ、フレイ兄様やマリア姉様が望むならこっそり連れてはくるけどね。)


ということで━


「‥‥これはやっぱり私の成人パーティーをする流れ‥ですよね‥‥?」

「当然だ。」

「‥‥‥」


項垂れる私。


そんな私を無視して陛下は父様と話し出し、父様とアクア兄様は例年より早く王都入りすることが決まった。

(もちろんちゃんと馬車で。ということ。)


今この部屋に集まったのも、ここに私達が着いてから領地の辺境伯邸にゲートを繋いで父様達に直接来てもらっただけ。

なので、この部屋にいる一同以外は父様達まで集まっていることを知らないのである。


そうして一通り話が終わったところで、再び領地の辺境伯邸にゲートを開き、父様達が帰ったあとで私達も屋敷に帰った。


◇◇◇


そして、父様とアクア兄様は例年より早く王都入りした。

すると、早速陛下から呼び出しを受けたため、私と父様だけで登城した。


相変わらずいつもの一室に通された私達を待っていたのは、王族一家のみだった。


一先ず挨拶を終え、それぞれ座ったところで早速陛下が呼び出した目的を告げた。


「さて、ラルク。呼び出した理由だが‥」

「はい。」

「シリウスとマリンの極秘視察の件はマリンから聞いてるよな?」

「え?─まあ、はい。」

「成り行きとはいえ、2人は我が国を含む3国の民が奴隷にされるのを未然に防いだ訳だな?」

「そう‥なりますね?」

「その裏では我々王家の落ち度もあったことから、その時の功績はマリンにのみ与えることにしたのだ。」

「!‥‥ま、まさか‥‥」


父様も陛下が続けるだろう言葉を察してしまったらしい。


「ああ。お前の末娘は未だに物欲がなくてな?功績の報酬はまたしてもラルクと相談して勝手に決めてくれと言ってきたのだ。」

「‥‥マリン‥‥」

「だって本当にないんです‥‥」

「「‥‥はぁ‥‥」」


まさかの陛下と父様のため息が被った。

そのあと、気を取り直した陛下は続けた。


「でな、この件での功績というなら同じ被害国である、帝国や教国の意見も聞くべきだろうと、ベアルや教皇に問い合わせたんだ。」

「「え?」」


今度は私と父様の声が被った。


「するとな、教皇からは『我が国は今回の件だけではなく、ネクロマンサーの時にも天使殿に民を助けて頂いております。報酬の件の相談ということなら我が国からはこの2件共鑑みる必要がございます。─そして、天使殿はAランク冒険者でもあるとのこと。天使殿に物欲がないということでしたら、我々でランクを上げる申請をしてはいかがでしょうか?』という旨の返信が来た。」

「「は!?」」

「それと、ベアルもな『我が国の民を救ってくれたマリン達には感謝しているが、他国にまで武勇が知られたのは今回の件だけじゃない。これだけ各国に名を轟かせる英雄がいつまででもAランクでいる方がどうかと思います。本人に物欲がないなら、俺達でランク上げ申請してやりませんか?』と返信をしてきたぞ。」

「「は!?」」

「ベアルと私はマリンが物欲がないのも納得しているし、ラルクに丸投げだと知らせたら、予想できていたのか、それに対しては『でしょうね』と返していた。」

「「‥‥‥」」

「で、ラルクとしてはどうだ?」


問われた父様はしばし考えたあと答えた。


「‥‥陛下方はマリンのランクをどこまで上げるおつもりでいらっしゃいますか?」

「ん?もちろん、SSランクだが?」

「「は!?」」


これには私もさすがに口出しした。


「へ、陛下!Sランクでも各国に1人か2人ぐらいしかいないんですよ!?それに加えてAランクからいきなりSSランクになんてしたら冒険者ギルドが混乱します!」

「ん?‥‥そういうものか‥‥?」

「はい。最高ランクはSSSですが、雪奈姉ではないかってされてます。そして、そこまで到達したのも雪奈姉唯一人だけとされてます。その一歩手前なんて、世界に激震が走りますよ!?」

『え!?』


と一同、一旦は驚いたものの‥‥


「‥‥?いや‥‥まてよ‥‥そんな話を聞いたことがあった様な‥‥」


と呟く陛下。

僅かな間、部屋に沈黙が落ちる。

その後。


「まあ、でも、セツナ様なら納得だな。」


と告げたあと、私をなんとも言えない微妙な表情で見てきた陛下。


「‥‥マリンは実力的にはそれ以上の筈だが‥‥世間はそれを知らんしな‥‥」

「です。」


これにはしっかり頷いて答えた。


「まあ、教皇はSランクにと書いてあったしな。SSは私とベアルが勝手にやり取りしただけだ。─となると、妥当なのはSランクか‥‥」

「私の年齢でSランクもそれはそれで世間を騒がせるでしょうけどね‥‥」

「まあな。─それで、ラルク。マリンをSランクに昇格させる申請を我々3国の王が共同で出すことに異議はあるか?」


問われた父様はその瞬間、苦笑いを浮かべた。


「‥3国の王が共同で。の時点で私に拒否権はないでしょうに‥‥」

「ならマリンに対しての報酬は冒険者ランクの昇格申請でいいな?」

「‥‥間違いなく、申請は通って近いうちにマリンはSランクになるでしょうけどね‥‥」

「だろうな。このマリンの昇格申請を知ったら、ルシアの被害に遭った他の国々も賛同するだろうからな。」

「え!?そ、それって、ディクロアイト王国やセレナイト連邦国もってことですか!?」

「? もちろん。─ああ、今まで言ってなかったが、当時、ルシアの被害を受けた国々からもな、マリンにお礼をしたいと文書が来ていたんだ。だから、いずれマリンが世界を回るらしいから、その時に渡してやってくれと返信しておいたのだ。」

「は!?」

「世界を回る前でも後でも、お礼はいつでもいいだろ?」

「‥‥まあ、はい。」

「なら、素直に受け取っておくといい。‥‥まあ、旅に出て各国を回った時に改めて感謝と歓迎を受けるだろうがな。」

「‥‥‥」


私はもう、項垂れながら深~いため息を吐くしかなかった。


サブタイトル‥‥

正確には『マリンの成人前後』です‥よね。

作者的に今回の閑話のメインはマリンの成人話だったので、このサブタイトルにしました。

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