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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第11章 学生最後の年
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305話 犯人達の処遇と2人目

お待たせしました!

━━さて、私達のスラム視察は極秘扱い。だが、帝国や教国の民も被害者の中にいたということで、世間に全く情報を出さない訳にはいかなくなった。

加えて、私もシリウスもスラムに視察とはいえ行ったとなれば世間体の意味でよろしくない。なので、視察は極秘扱いだった訳だ。


ということで、私もシリウスも世間に出す情報内ではスラムに行ってないことになっている。


では、世間にはどう説明されたのか。


まず、私はシリウスに頼まれて護衛を引き受けた。

これは実際と同じ。

ただ、行き先や目的が捏造されることになった。


まず、行き先はセレナイト連邦国の奴隷商が使っていた小屋があった森。


あそこは何気に魔物の頻発地域で、冒険者の狩り場でもある森だったのだ。

小屋はその冒険者でも見落とす様な場所にひっそりと建っていた。


その森にシリウスは騎士達や魔法師団の方々を護衛に冒険者体験に来た。私は護衛兼案内というか、説明係?的な感じ。

実際、冒険者でもあるわけだし。と。


そうして魔物討伐に森に入ったシリウス一行はたまたま(・・・・)小屋を発見し、私が先行しつつ内部を慎重に調査すると、拐われてきたと思われる人達が入れられている牢屋を発見した。

それと同時に外で待機していた護衛と奴隷商や誘拐犯がかち合ってしまい、護衛達で奴隷商達を拘束した。


その後は私達が実際にしたように━

応援を呼ぶ→犯罪者達は私が魔法で、被害者達は幌馬車に乗せて帰還。


正直、無理やり感があるが、仕方ない。

事実も入っているので、私やシリウス、護衛達、被害者達、犯罪者達以外はどこが捏造でどこが事実かは分からない。

なので、被害者達には元々シリウスは詳しくは話していなかったし、護衛達には箝口令を出せば問題ない。

残りの誘拐犯や奴隷商達は私とシリウスのことがなくても、違法取引をしていたことと、奴隷商がセレナイト連邦国の者だったことから、国際問題だということで一生日の目を見ることはないだろうと。


これらのことは後々陛下が教えてくれたのだが、その時こっそり教えてくれたことがもう一つある。


それは奴隷商達の今後に関することだったのだが‥‥


「『かつて民を救出してくださった救国の天使殿を誘拐して奴隷にしようとしたなどと‥‥!我が国の恥!!

─陛下。あの者達の処遇、我が国にお任せ頂きたい。元々我が国の民です。厳正なる対応をお約束致します!』と使者が熱く語ってきたぞ‥‥」


ちなみに、セレナイト連邦国の使者の方にはある程度世間に出した方ではなく、事実の方を話してあるらしい。


知らなかったとはいえ、王太子と辺境伯令嬢を奴隷にしかけたのだから、『まさかある程度の懲役で済ますなどしないよな?』と示すために。

まあ、そうでなくとも国際問題を起こしてるので、極刑になるだろうとは言われていたらしいけども。


「元々そのつもりだったからさっさと引き渡した。─よかったよな?」


と陛下に問われたので━


「え、ええ‥‥」と苦笑いで頷くことしかできなかった。


だってねぇ‥‥


「へ、陛下。王太子であるシリウスに関しては何も‥‥?」

「‥‥ああ。マリンのことだけだな。」


私と陛下、数秒無言。の後。


「マリン。そなたの活躍、相当各国で浸透してるようだな。─使者が『天使殿は!?』と何度も言ってくるから、正直その度にマリンを呼び出そうかと思ったぞ。」

「それで呼び出されてないということは‥‥」

「ああ。マリンは学生なのだから、学園を休ませてまで呼び出すのは可哀想だろ?と言い聞かせた。」

「言い聞かせたって‥‥使者の方でしょう?」

「ああ。─正確には理解させた。だな。私はなんと言われようとマリンを使者の者のために呼び出すなんぞしないとな。」

「‥‥ありがとうございます。‥‥話を伺っただけでその方面倒臭そうだなって思ったので、助かりました。」

「ああ。面倒なやつだった。‥‥マリンが絡まなければ至ってまともなやつだったんだがな‥‥」


もう、私は苦笑いを浮かべるしかできなかった。


そして、また別の日。

今度はシリウスがこっそり教えてくれた。


「まず、誘拐犯達な。俺達は世間的には誘拐されてないことになってるだろ?だから、国際問題に手を貸したってことで極刑に決まった。─実際、俺達が牢屋に入れられた時、『帝国や教国の者もいる』と奴隷商達が言ってたのに助ける素振りもなく無視したからな。」

「まあ、そうだね~」

「あと、セレナイト連邦国から文書が届いた。─奴隷商一味は全員極刑が決まって、しかも執行済みだとな。」

「え!?もう!?」

「ああ。‥‥マリン。他にも書かれていたことがあるんだが聞きたいか?」

「なに‥その感じ‥‥げんなりする様なことでも書いてあったの?」

「まあ、読んだ俺と父上は揃ってげんなりしたな。」


数秒悩んだが‥‥


「一応、聞いておくよ。」

「ああ。分かった。─先に言っとくと、追伸の様にちょっと書かれていたことだからな?」

「え?─う、うん。」

「『「天使殿を奴隷などと馬鹿げたことをしでかした不届き者はもうおりません。今回のことでセレナイト連邦国を忌避しないで頂ければと存じます。」と天使殿に是非ともお伝えください。そして、天使殿が我が国にいらっしゃるのを心からお待ちしております。』─と書かれていた。」


確かに私としても『何故に私だけ‥‥?』とげんなりした。


「‥‥ねぇ、シリウス。」

「なんだ?」

「『救国の天使』って呼び方が一人歩きしてる様な気がするんだけど‥‥」

「そうか?─各国、それぞれにマリンの功績はしっかり伝わってるし、マリンが助けた元被害者達を通じてマリンの人柄も伝わってるらしいから、余計でも実際に話してみたいと思うんじゃないか?」

「元被害者からの話とか噂とかが真実か確かめたいとか?」

「まあ、そんなところだろうな。」

「‥‥なんかさ、王太子より有名ってやだからさ、シリウスもうちょっと頑張ってよ。」

「いや、マリンの功績をそうそう抜ける訳ないだろ‥‥」

「そこは王太子として対抗意識持ってよ。」

「無茶言うなよ‥‥マリンの功績の最初は俺達のことなんだぞ?」

「‥‥そうだけどさ~‥‥」


シリウスは私の返しに苦笑いを浮かべたあと、話を戻した。


「とりあえず、マリンは一回は世界を回るんだろ?その時にマリンが許せる範囲で対応したらいいんだよ。」

「‥‥‥‥まあ‥‥そうだね‥‥」


そんな話をしつつ、日々は過ぎていき‥‥

シリウスと視察に向かってから一月以上が経った。


とある日の夜遅く。


もちろん、マリンも自室で眠っていたのだが、部屋をノックする音で目が覚め、瞬時にサーチを発動させた。

その為ノックしたのがディアナだと分かり、すぐに扉を開けた。


「母様?どうされました?」

「寝てたわよね?ごめんね。」

「いえ。何かありました?」


侵入者があった様な気配はない。

だからこそ、当然の疑問を口にしたマリンにディアナは少しだけ言い辛そうに‥‥


「えっと‥ね。今、フレイから連絡があったのよ。」

「フレイ兄様から‥‥?」

「ええ。‥‥マリアが‥‥」

「マリア姉様?」


そこまで聞いてピンときたマリン。


「まさか産気ついたんですか!?」

「さ、さすがマリン。これだけで察するのね‥‥」

「だって、この前ふらっと領地に様子見に行ったら『そろそろね~』って!」

「話したわね‥‥そういえば。臨月に入ったからってアリアにせがまれて連れて行ったものね‥‥」

「はい!─って母様!産気ついたんですよね!?」

「ええ。だから一旦領地に行って顔を見せてから、マリンはクリス達を迎えに行ってあげてくれる?」

「はい!もちろんです!さっさと着替えますので、ちょっとだけ時間ください!」

「もちろん。」


ついさっきまで普通に寝ていたのだから、当然今のマリンは寝間着姿。

あとで大公家と魔法師団の寮を歩かないとなので、さすがに着替えるべきだ。


数分後。


本当に早々に着替え終わったマリンとディアナは領地の辺境伯邸へと向かった。

いつも通りマリンの部屋に出たあと、真っ直ぐマリアとフレイ、セレスが揃っている一室に向かった。

すると、廊下にはもちろんラルクやアクアがいて‥‥


「父様!アクア兄様!」「あなた!アクア!」

「! ディアナ、マリン!─早かったな。」

「ふふっ。─私達の娘は突然起こされても文句も言わず、相変わらずの察しの良さを見せてくれたのよ。」

「なるほどな。」

「父様父様!マリア姉様は!?」

「フレイやセレスと一緒に中にいる。─頑張ってるはずだから、顔見せてあげてくれ。」

「もちろんです!」


そんな簡単な会話のあと、マリンとディアナだけ扉をノックしてフレイの許可の声を聞いた瞬間、中に入った。


「ディアナ母様、マリン。─さすが。早かったですね。」

「ふふっ。─それで、どんな様子なの?」


ディアナは一瞬くすりと笑ってフレイに返したが、すぐに表情を引き締め、マリアの様子を聞くと━


「陣痛が始まって3時間ってところです。」


それを聞いたマリンはピクッと反応してフレイを見上げた。


「フレイ兄様‥‥?知らせるのが遅くありません‥‥?」

「え?─あ、いや、その、夜遅いし‥」

「連絡するか否か迷いましたね‥‥?」

「うっ‥‥」


途端に気まずそうな表情に変わったフレイにマリンは『正解か』とため息を一つ吐いたが‥‥


「まあ、私は明日も学園がありますし、姉様も普通に仕事でしょうからね。─私でも少し迷ったでしょうから文句は申しません。」


そう言うと、フレイは明らかにほっとした表情を浮かべた。

そのフレイからマリアに視線を移したマリンは問いかける。


「マリア姉様。今はいかがですか?」

「マリン‥‥ちゃん‥‥」


苦悶の表情を浮かべるマリアに『ちょうど痛みがきてる時だったか』と今度は部屋の中にもちろんいた医師に視線を移した。


「あの、ヒール掛けてもよろしいでしょうか?」

「ええ。ですが、掛けっぱなしは駄目ですよ。」

「はい。心得てます。」


そう答えてすぐにマリアにヒールを掛け、表情が和らいだところで止めた。


「いかがでしょうか?マリア姉様。」

「ありがとう、マリンちゃん。─ディアナ母様も。2人共、遅い時間なのに来て頂いてありがとうございます。」

「もちろん、来るに決まってるじゃない。」

「その通りです!」


2人の様子にくすりと笑ったマリアはマリンに視線を向け━


「マリンちゃん。‥その‥」

「大丈夫です。分かってますよ、マリア姉様。少し待っててくださいね。」

「うん。ありがとう。」


そして、マリンはフレイやディアナ、セレスを見渡して━


「では、行ってきます!」

「「ええ。」」

「ああ。─頼むな、マリン。」


一同ににっこりと笑顔を向けたマリンは一人部屋を出て、同じく廊下にいたラルクとアクアに『行ってきます!』と告げて、その場でゲートを開いた。


そうして、まずマリンが向かったのは大公家。

いつもの一室から出ると、真っ直ぐ夫妻の寝室に向かった。


━━ちなみに、マリンはヒスイとリリアーナの気配を追っただけで、寝室に案内されたことはない。━━


ただ、やはり夜遅い時間の上、生まれたばかりのフェリシアもいる。

躊躇しかけるが、控え目に扉をノックした。


すると、僅かな間のあとヒスイの返答があった。

マリンが名乗ると、ヒスイは急いで扉を開けてくれた。


「(マリン!?─どうした?こんな遅くに。何かあったのか?)」


やっぱり声を落としてだが、夜遅くに突然訪れても怒ることもなく、まずは聞いてくれる優しい長兄にマリンもにっこりと返した。


「(マリア姉様が産気ついたんです。)」

「(え!?)」


数秒間が空いたのは色々考え、察したのだろう。


「(マリン、クリスのところには?)」

「(これからです。)」

「(それなら先にクリスのところに行って来てくれ。その間にリリも起こして準備するから。)」

「(了解です!後程お迎えに戻ってきます!)」

「(ああ。頼む。)」


ということで。


マリンは続けて魔法師団の近くの裏道にそうっと出て、辺りを確認して誰もいないことを確認すると、雲隠(ディスアピア)を発動させて、クリスの部屋がある3階のベランダまで飛んだ。

両隣も寝ているのか、明かりは付いてない。

なので、雲隠を解除して窓をノックした。


すると、僅かな間のあとにクリスが窓を開けた。


「(マリン!?こんな時間にどうしたの!?)」


やっぱり時間が時間だけに小声。


「(姉様、遅くにすみません。マリア姉様が産気ついたんです。)」

「(え!?え、えっと、)」


さすがに突然過ぎただろうか?

ヒスイが冷静だっただけで、本来なら寝ているところを起こされ、いきなり産気ついたとか言われても正直『は!?』と混乱するものだろう。

だが、そこはさすが兄妹。数秒で冷静さを取り戻したクリスはマリンに返した。


「(マリン。着替えるから、ちょっと待ってて。)」

「(もちろんです。)」


そして、数分後。


「(マリン。お待たせ。)」

「(はい。─まずは大公家に戻りますね。)」

「(え?‥‥ああ。だから‥‥)」


クリスもある程度予想できたのか、そう呟いたあとあっさりゲートを通った。


再びの大公家。


ゲートを繋ぐ専用部屋に出ると、ヒスイと共にフェリシアを抱いたリリアーナも既にいた。


「あ。ヒスイ兄様、リリ姉様。お待たせしましたか?」

「いや、今来たところだ。─クリスも早かったな。」

「当然です!マリアが待ってるなら急がないとですから。」

「だな。─マリン。」

「はい。行きましょう。」


そうして、領地の辺境伯邸へと戻ってきた一同は再び出産部屋へ向かった。

もちろん、廊下には変わらずラルクとアクアがいて‥‥


「お。さすがマリンだな。─3人共、遅くにすまないな。」

「いえ。─フレイも中に?」

「ああ。ヒスイは俺達と待ってようか。」

「はい。」


そして、フェリシアをヒスイに預けたリリアーナも含めた女性陣だけでフレイの許可を得てから中に入ると━


「おかえりなさい、マリン。」

「ただいま戻りました!ディアナ母様。」

「ありがとな、マリン。─兄様は?」

「もちろん、父様やアクア兄様と一緒に廊下にいますよ。」

「そうか。」


マリンがフレイやディアナと話す横で、クリス、リリアーナはマリアに駆け寄っていた。


「「マリア!!」」

「ク‥‥リス‥‥リリ‥‥」


辛そうなマリアの声を聞いたマリンが再びヒールを掛けると━


「ありがとう、マリンちゃん。─クリスとリリも。来てくれてありがとう。」

「ふふっ。約束したでしょ?」

「そうよ、マリア。」

「うん。」


そして、マリア姉様も手を繋ぐならやっぱり私とフレイ兄様がいいらしく、出産が終わるまでしっかり握った。



その後━

外が明るくなる頃、西の辺境伯邸の一室から産声が響いた。


ヒスイ・リリアーナの子供を書いて、フレイ・マリアの子供を書かないのは違うよなぁ‥‥ということで、本編の中で動いた時間は一月ぐらい。

ちなみに、ヒスイの娘が生まれたのは5月、フレイの子供は6月の想定で書いてます。

そして、フレイの子供。性別は決めてあるのですが、名前が‥‥まだはっきりとは決まってないのです。

決まったら書き出すと思います。次話で紹介になるでしょうから。


ということで、またまた気長にお待ち頂ければと思います。


(その先を書きたくて仕方ないのに手前で滞るのは、色々差し込みたくて書いてしまうからでしょうね‥‥)

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