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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第11章 学生最後の年
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298話 相談

お待たせしました!

さて、長兄の娘の名前が決まった翌日。

この日も学園は休みだったため、マリンはいつも通り部屋に引きこもり、雪奈の日記の翻訳に勤しんだ。


‥‥のだが、ふと思い立ち屋敷の厨房へと向かった。


翌日。

マリンが学園に着いて馬車を降り、校舎に向かって歩いていると、名前を呼ばれた。


「マリン!」「マリン姉様!」


マリンがその声に振り返ると、王子兄弟で。


「シリウス、リオト。おはよう。」

「おはよう。」「おはようございます!」


私達は挨拶が終わると、再び歩きだした。


「シリウスとリオトは昨日、ヒスイ兄様に聞いた?」

「それがな、「明日マリンが教えてくれるだろうから、マリンに聞いてくれ」と言われて、父上と母上にしか話してくれなかったんだよ。」

「だから、僕も聞いてないんです。」

「‥‥ヒスイ兄様から言うのでよくないかな‥‥?」

「俺もそう思う。」「僕もそう思います。」

「ま、まあいいや。後でみんなと一緒に教えるよ。‥‥そういえば、発表は?いつされるの?」

「明日。」

「陛下は私からの発表後にしてくれた訳ね。」

「そういうことだ。」

「‥‥シリウス、リオト。」

「ん?」「はい?」

「まだ、私達以外に情報が漏れたら駄目なんだよね?」

「ああ。」「はい。」

「‥‥お昼さ、庭園で食べない?作ってきたから。」

「「え!?」」

「リオトとルビアも含めて友人一同全員分作って」


そう話している途中で、また後ろから声がかかった。


「「「マリン!」」」「マリン姉様!」


3人で振り返ると、リゲル、レグルス、リジア、ルビアだった。

全員が合流したところでお互いに挨拶を交わし、シリウス達と話している途中だったことを4人にも伝える。


「‥‥ちなみに、マリン。私の分は」

「ご飯物ですとも。」

「さすがだ!マリン。」

「えっと‥‥マリン、全員分を一人で作ったの?」

「そんな訳ないじゃん。昨日、屋敷の料理人に手伝ってもらったよ。それにストレージに入れたら今日作ろうが、昨日作ろうが、関係ないし。だから、今朝睡眠時間を削って‥とかじゃないよ。」

「た、確かにそうよね‥‥。マリンが無理したんじゃないなら良かったわ。」

「ふふっ。心配してくれてありがと、リジア。」

「ふふっ。当たり前でしょ?」

「それで、みんな。昼食は庭園に集まるってことでいい?」


全員が『もちろん』と答えたところで、リオトやルビアと分かれて教室へと向かった。


そして、午前の授業が終わり、庭園に向かうと、既にリオトとルビアは来ていた。


「リオト、ルビア。待たせちゃった?」

「「いいえ。」」

「僕達も先程来たばかりですから。」

「そっか。‥‥それなら。」


ストレージから敷物を取り出し、庭園の一角に敷いた。


一応、ここで昼食をとったりも許可が下りているので、生徒会じゃないと駄目だということもなく、他の生徒も使えるはずなのだが、庭園にいるのは私達だけだった。


全員が敷物の上に座り、私がストレージから食べ易いようにと作ったおにぎりやサンドイッチ等を次々と出していく。

それを食べながら話を始めた。


「えっとですね‥‥ヒスイ兄様とリリ姉様の娘の名前が決まりました。」

「「「「え?」」」」


シリウスとリオトは待ってました。と言わんばかりに期待の眼差しを向けてきたが、他の4人はきょとんとしていた。


「一昨日ね、ヒスイ兄様とリリ姉様に直接伝えに行ったの。その時、ヒスイ兄様が友人達に先に教えてあげてって言ってくれたから‥‥」

「先に私達に?‥‥えっと、シリウス。発表って‥‥」

「明日だ。父上がな、今日マリンから聞けるだろうからと。昨日兄上が娘の名前を伝えに登城してきてくれたんだが、兄上がマリンに聞いてくれと言って父上と母上にだけ娘の名前を言って、俺とリオトには教えてくれなかったんだよ。」

「何故に‥‥」

「だよな?‥‥で、マリン。俺達の姪の名前は?」

「ふふっ。名前はね~」

『‥‥‥』


えっと‥‥そんなに期待の目を向けないでくれないかな?

ハードル上がるじゃない‥‥


とは思いつつ‥‥


「フェリシア」

「えっ可愛いじゃない!由来とかは?」

「あるよ。」


そう言ってヒスイ兄様達に話した由来を話すと。


「ふふっ。さすがマリンね。しっかり考えたのね。」

「もちろんだよ!だって大公家の令嬢の名前だよ!?私にとっても姪っ子だしね。」

「それもそうね。‥‥フェリシアかあ~‥‥可愛い名前だよね。」

「リリ姉様も可愛いって言ってくれた。ヒスイ兄様も気に入ってくれたし。」

「ふふっ。これでマリンの悩みは一つ減ったのね。」

「え?‥‥あ、うん。そうだね。」

「ん?一つよね?」

「うん。そ、そうだよ?」

「‥‥‥何故挙動不審になるのかしら?」

「え!?そ、そう‥‥?」

「「「ああ。」」」「うん。」「「はい。」」

「気のせいだよ!!」

『‥‥‥』


もう一つの悩み

『マリア姉様の出産に立ち会う為の連絡手段をどうするか』


これも解決したと危うく言うところだった。

‥‥まだ怪しまれてるけども。


「‥‥まあ、マリンが言いたくないならいいわ。でも、一つは私達も協力する様なことって言ってたわよね?それは今聞けること?」

「あ、うん。えっと‥‥食堂の件だよ。」

『え?』

「前にさ、食堂で出る食事の量が多いとかシリウスが教えてくれたじゃない?」

「ん?あ~言ったな、そういえば。」

「それの改善提案をしようと思ったんだけど‥‥」

『けど?』

「学生全員がそう思ってる訳じゃないじゃない?だから、意見を聞くことからしようかなって。」

「? 例えば?」

「これは食堂に限らずにしたいんだけど、学園の色んな場所に意見箱を設置して、生徒全員の意見を聞いてみたいなって。」

『え?』

「えっと、例えば‥‥食堂の件もだけど、授業内容をこうしたらどうかとか、行事を増やしてほしいとか、要望込みで直接言い辛いことを書いてもらえないかなって。」

『なるほど‥‥』

「どうかな?食堂の件にいきなり切り込むより先に学生の生の声を聞くってことは、先生達にもいいことじゃないかなって思ったんだけど‥‥」

「私はいいと思うわよ?‥‥私達の協力の話は設置と投稿内容の精査とかかしら?」

「うん。そう。」

「俺もいいと思う。‥‥まあ、先に先生達や学園長。その先の父上を納得させてからだがな。」

「だね。‥‥まずは生徒会でも意見聞いてみるかな?」

「ああ。そうした方がいい。生徒会長だからって勝手に決めていいことじゃないからな。」

「うん。分かってる。」

「ふふっ。じゃあ、生徒会には今日にでも提案してみる?」

「そうしようかなって思ってる。‥‥いい?」


全員が肯定してくれたところで、シリウスが私に「全く別の相談いいか?」と聞いてきた。


「? どうぞ?」

「その、突然だが、今日とか辺境伯家の屋敷にお邪魔していいか?」

『え?』

「それで、できれば辺境伯様も連れてきてほしい。」

「え?父様?父様に用事なの?」

「いや、マリンを週末借りたいって相談だ。」

『は!?』

「ああ、勘違いするなよ?逢瀬の話じゃないからな?」

「ではなんですか?兄上。」

「約束を果たしてもらおうかとな。」

『約束?』

「ああ。‥‥気になるなら、みんなも来ていいぞ?隠すつもりもないし。‥‥辺境伯家側がいいならだが。」

「えっと、みんなが来ることに反対する人はうちにはいないからいいけど‥‥」

「今日でも大丈夫か?」

「え?‥‥多分、大丈夫だと思うけど‥‥」

「心配しなくても、先に父上には許可を得ている。辺境伯邸にお邪魔するのも、話の内容もな。」

「あ、そ、そうなんだ‥‥」

「あと、よければ夫人にも同席してほしい。」

「へ?母様も?」

「ああ。」

「‥‥ほんとになんの相談?」

「だから、約束を果たしてくれってことだ。」

「約束‥‥?」


シリウスと約束したこと‥‥?


と少し考えて思い出した私は、苦笑いで答えた。


「うちとしてはいいけど‥‥よく陛下、許可出したね。」

「もちろん、マリン込みだから許可が降りた。」

「‥‥なるほどね‥‥分かった。いいよ。‥‥みんなもうちに来ていいよ。気になるだろうし。父様も領地から連れて来るよ。」

「悪い。ありがとな。」

「ううん。父様と母様にも話すのは、それが礼儀だと思ったからでしょ?」

「ああ。その通りだ。」


この私とシリウスの会話でレグルスとリオトも分かった様だが、他の3人はきょとんとしていた。

そうして話していると、お昼休憩が終わりに近付いてきたので、全てを片付けて午後の授業へと向かった。


そして、生徒会で意見箱の話をすると、後輩達も乗り気だったので、次に先生方や学園長にも話を持っていくというところで、この日は解散となった。



━━場所は変わって、辺境伯邸。

もちろん、友人一同とリオトやルビアも一緒だ。

なので、もちろん玄関を入ったら出迎えてくれたシャーリー達や母様はきょとんとした後、嫌な予感がしたのか苦笑いになった。


「とりあえず、おかえりなさい。マリン。」

「はい。ただいま戻りました、母様。」

「殿下方も。ようこそおいでくださいました。」

「すみません。夫人。突然押し掛けてしまって。」

「いえ‥‥」

「今日は俺から相談がありまして。辺境伯夫妻にも話をしたいので、お時間頂けますか?」

『え?』


屋敷の人達全員の声が被りました。

そして、私に『どういうこと?』と言わんばかりの視線を向けた母様。


「マリン?」

「えっと‥‥と、とりあえず、シャーリー。みんなを応接室に案内してあげて。」

「え?あ‥‥はい。‥‥えっと、マリン様?話の感じからしてお館様を迎えに行かれるんですよね?」

「うん。そうだよ。」

「では、鞄もお預かりしますよ。」

「あ。そうだね、お願い。」


そう言って私はシャーリーに通学鞄を渡して母様に視線を戻した。


「母様。すぐに戻って来れると思いますので、母様も応接室で待っててもらえますか?」

「え?‥‥ええ、分かったわ。」


若干気まずそうな感じを受けたが、『では』とすぐにゲートで領地の屋敷に向かった。

いつも通り私の部屋に出たあと、まずはフレイ兄様の執務室に向かった。


『父様を少しの間連れていく』と伝えにだ。


フレイ兄様は最初きょとんとしたものの、かいつまんで事情を話すと、苦笑いを浮かべながらもあっさり『分かった』と言ってくれたので、今度こそ父様の執務室へと向かった。


「‥‥また制服のままとは‥‥今度はどうした?マリン。」


呆れ混じりなのは仕方ない。


「えっと‥‥シリウスが父様と母様に相談があるということで、今友人達と共に王都の屋敷で待ってますので、来て頂けませんか?」

「え?‥‥殿下が?俺とディアナに相談?」

「です。」

「‥‥今から?」

「です。先にフレイ兄様に『父様を少しの間連れていく』とは言ってきましたので、父様さえよければこのままお連れできます。」

「‥‥‥はぁ‥‥さすがマリンだな‥‥」

「駄目‥‥ですか?用事ありますか?」

「いや。大丈夫だ。‥‥連れて行ってくれ。」

「はい。ありがとうございます。」


そう言って早速ゲートで王都の私の部屋に戻ってきた。


「マリン。さっきの様子からして、殿下の相談内容をマリンは知ってるんだな?」

「はい。」

「そうか。‥‥全員、応接室に集まってるのか?」

「はい。行きましょうか。」

「ああ。」


そして、私が父様と応接室に入ると。


「ありがとな、マリン。」

「ふふっ。どういたしまして。」

「‥‥辺境伯様も、ご足労頂きすみません。」

「いえ。‥‥私と妻に相談があると伺いましたが‥‥?」

「はい。マリンに約束を果たして頂きたいと思いまして。」

「「約束?」」

「はい。」


母様は約束したところを見てないので、もちろんきょとんとしていた。

だが、父様は『約束』をもう1つの方と思ったらしく‥‥


「殿下‥‥?確かにマリンはもう少しで成人しますが‥‥もう判断しろと?」

「「え?」」


私も最初、父様がなんの話をしてるのか分からなかった。


「え?殿下が仰った約束とはマリンに『大人になったら婚約者になるか否かを改めて考えてみてくれ』と仰っていた件ではないのですか?」


ああ、『数ヶ月前の』をつけてなかったから、そっちだと思っても仕方ないか‥‥


私がそう思っている中、シリウスは慌てて否定した。


「ち、違います!‥‥考えてくれるならそうしてほしくはありますが、今回は別件です。そして、俺の言葉が足りませんでした。マリンに数ヶ月前の約束を果たして頂きたいと言うつもりだったのです。」

「え?‥‥数ヶ月前‥‥?」


と考えだした父様にシリウスが続けた。


「皇帝陛下方と行った視察の時の話です。」

「え?ああ~‥‥それで‥‥」


ようやく自分が呼ばれたことに納得した様子の父様。

母様はひたすらきょとんとするしかなかったので、父様に聞き始めた。


「ちょっと、一人で納得してないで教えて!」

「え?ああ、すまん。‥‥アクアやマリンを連れてベアル達と王都の視察に出たことがあっただろ?」

「え?‥‥そういえばあったわね?」

「その時な、平民街にも行ったんだが‥‥王太子殿下はスラムの視察に別で行きたいとのことで、マリンに護衛を頼んでたんだよ。」

「は!?‥‥マリンを‥‥スラムに‥‥?」

「母様?私、一応行ったことありますよ?」

「は!?いつ行ったのよ!?」

「リリ姉様誘拐事件の時です。」

「え?ああ~‥‥そういえばそう言ってたわね‥‥」


表情がころころ変わる母様。

今は苦笑いです。


「それで、マリンの両親である辺境伯夫妻のお2人にマリンを連れ出す許可を頂けないかと‥‥」


シリウスがそう言うと、父様と母様は顔を見合せて‥‥

やっぱり苦笑いになった。


「まあ、確かに、マリンなら色んな意味で護衛にうってつけでしょうね‥‥」

「そうね‥‥」


そう言って。

続けて父様は懸念を口にした。


「陛下は?許可されてるのですか?」

「はい。今日、こちらにお邪魔することも、視察の件も許可は得てます。‥‥まあ、視察はマリンが護衛に就くことが絶対条件にされましたが‥‥」

「な、なるほど‥‥」


父様はそう呟いたあと、私に視線を向けた。


「マリン。」

「はい?」

「俺達が何を心配するか、マリンにどうしてほしいかは分かってるな?」

「! はい。もちろん。」

「言ってみてくれ。」

「まずはシリウスと無事に帰ってくること。次に、そもそも危険となりそうなことを排除するべく、準備に万全を期すこと。‥‥ざっくり申し上げるとこうでしょうか?」

「そうだな。‥‥マリンが分かってる様ですし、私は反対致しません。こうして殿下は礼儀として事前に我々に許可を求めてくれた。それで十分です。」

「‥‥主人が認めてますし、娘本人も理解している様ですから、私も異論はありません。‥‥ただ。」

「「「ただ?」」」


私、父様、シリウスの声が被る中、母様は真剣な表情でシリウスを見て言った。


「マリンの強さに甘えてマリンに何かあった場合、本気で許しませんから。」

『!!』


母様の言葉にシリウスも真面目に答えた。


「もちろんです。マリンに何かあれば、俺が自分を許せませんし、マリンの強さに甘えるつもりもありません。」


それを聞いた母様は表情を緩めた。


「それなら、何も申し上げることはありませんわ。」

「ありがとうございます。」


そう言って、シリウスが両親に一礼したあと、友人一同を見回して言った。


「な?逢瀬の相談じゃなかっただろ?」

『‥‥‥』「「え?」」


友人一同が黙り、両親がきょとん。


「えっと‥‥シリウス?ある意味逢瀬みたいなものだよ?」

「え?」

「私達の正体を隠して、視察だと気付かれない様にしないとだから。」

「‥‥‥‥そう‥‥なるのか‥‥?」

「変装して恋人を装うのが一番無難かなと思うけど?」

『!!!』


私がそう言うと、一番に反応したのはリゲルとレグルスだった。


「「確かにそうじゃないか!!」」

「だからって2人もみんなも連れて行かないよ?人数が増えると危険も増えるから。」

「「‥‥‥」」

「と、とりあえずマリン。また追々相談させてくれるか?」

「うん。いいよ。」


こうして、とりあえずこの場は解散ということで、それぞれの家の馬車に乗って友人達は帰っていき、父様も領地に送り届けた。


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