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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第11章 学生最後の年
272/289

296話 産まれました。

ついに1ヶ月空いてしまった‥‥

とりあえず、大変お待たせしました!

王族や姉様と共に大公家のゲート専用部屋に着くと。


「姉様、リリ姉様が診察を受けた部屋覚えてますか?」

「ええ。覚えてるわ。」

「リリ姉様はそこにいます。私はマリア姉様を連れて来るので、陛下方のご案内をお任せしてもいいでしょうか?」

「いいわよ。」

「お願いします。」


そのままゲートを開こうとして、止める。


「‥‥陛下方。もう一度申し上げますが、中に入っていい男性はヒスイ兄様だけですからね?」

『え!?』

「ヒスイ兄様、部屋の中にいるの!?」

「はい。リリ姉様の手を握っててあげて。と。‥‥ちゃんと私が2人と話して2人共納得した上でですよ?」

『‥‥‥』


全員がぽかんとしていた。


「‥‥そんなに変ですか?」

「もしかして‥‥」

「はい。前世ではおかしくないことでしたが?子供の父親も同席するか否かは当人達の意思を尊重する感じでした。」

『なるほど‥‥』

「とりあえず王妃様、姉様。男性陣はヒスイ兄様以外、部屋から排除ですよ!!」

「「もちろん。」」「「「‥‥‥」」」

「では、行ってきます!」


そして、今度こそ領地の辺境伯家の邸に向かった。

私は自分の部屋に出たあと、廊下を進み、まずは父様の執務室に向かった。

ノックをして許可を得てから中に入ると、父様が立ち上がりこちらに来た。


「マリン?‥‥制服のままとは、何かあったのか?」

「はい。リリ姉様が産気ついたんです。なので、マリア姉様をお連れしたいなと思いまして。」

「なに!?‥‥マリン、とりあえずフレイ達のところに行くぞ。そこで詳しく聞かせてくれ。」

「は、はい。」


そして、父様に続いて執務室を出たあと、途中でセレス母様やマリア姉様、アクア兄様と合流し、フレイ兄様の執務室に向かった。


「‥‥マリンが制服のままで、父様達も一緒とは‥‥何かあったのか?」

「フレイ兄様。リリ姉様が産気つきました。」

「「「「え!?」」」」


父様以外の全員の声が被った。セレス母様達は「話はフレイ兄様の執務室でするから。」と、とりあえずついてきてもらっていただけだったのだ。


そして、私が学園から帰ってきたあとの行動を話すと‥‥


『‥‥‥』


数秒沈黙の後。


「ということは、今大公家には王族まで揃ってると‥‥?」

「はい。」

「それで、リリは私を待ってくれてるのね?」

「はい。‥‥マリア姉様も予定日は一月しか違わないので、無理にとは」

「ふふっ。大丈夫よ、マリンちゃん。‥‥お義父様、お義母様、フレイ様。私、行ってきてもよろしいでしょうか?」

「ああ。もちろんだ。‥‥マリン。むしろ、俺達も行きたいのだが‥‥」

「え?で、でも、マリア姉様とセレス母様はともかく、父様とフレイ兄様、アクア兄様を中に入れる訳には‥‥」

「分かってるよ。別室で大人しくしている。」

「別室?」

「医師に俺達の姿を見られる訳にはいかないだろ?だから、落ち着いて俺達が入ってもよくなったら教えてほしいんだ。

‥‥そこに王族の男性陣も留まらせるから。」

「‥‥なるほど。分かりました。」

「よし。‥‥あと、マリン。頼みがあるんだが‥‥」

「ふふっ。夕食の手配ですよね?一旦、リリ姉様の様子は見ますが、またここに来て全員分の夕食をお届けしますよ。」


そう答えると、苦笑いを浮かべた父様が申し訳なさそうに言った。


「正解だ。‥‥さすがだな。話を聞く限り、誰も気付いてないみたいだったからな。‥‥色々頼んですまないが、助かる。」

「ふふっ。構いませんよ。私がやりたくてやるんです。大好きな家族のためです。王族はついでですよ。」

『‥‥‥』


「王族をついでと言えるのはマリンだけだな‥‥」


父様はそう呟いたあと、調理場に指示を出しに執務室をあとにした。


のだが。

急遽、王族の分までと言われた我が家の料理人達に衝撃がまず襲い、そして、復活したら今度はメインの食材が足らない‥‥というか、何を出せと!?とまた焦ることとなった。私も調理場に向かい、食材としてワイバーンの肉を提供することになった。


ただ、解体済みの肉の塊は帝国で私達が食べた時の残りのみだ。

ワイバーン自体はまだストレージにいるが、私がゲートを使えると知っているのは屋敷の使用人達のみ。辺境伯家の私兵は知らない。でも解体するなら私兵に任せる方がいい。

ということで、父様が特に口の硬い私兵を集めて事情を説明し、解体を任せた。


そうして、食材問題が解決したところで「あとは任せた!」と私達一家はようやく大公家へと向かった。


そして、リリ姉様がいる部屋の前に着くと。


「陛下、シリウス、リオト。ご移動願います。」

「「「え?」」」

「え?じゃありません。3人が廊下にいるだけで大公家の使用人が気を使います。父様達と一緒に別室でお待ちください。」

「「「‥‥‥」」」


私の後ろについてきた父様達を見て、私に視線を戻して来たが、動く気配がないのは何故だ。


「‥‥リリ姉様が落ち着いて、許可が出たらお伝えしますから。」

「「分かった‥‥」」「分かりました‥‥」


そうして、父様達に案内を任せたあと、私、セレス母様、マリア姉様は許可を得てから中に入った。


「「セレス母様も!?」」


ヒスイ兄様と姉様は驚いていたが‥‥


「ふふっ。さすがマリンね~。」


ディアナ母様と王妃様は特に驚いた様子はなかった。

そして、私達が近付くと、リリ姉様が気付いて‥‥


「リリ。」

「‥‥マリア‥‥」


辛そうにマリア姉様を呼んだ。

私がリリ姉様に軽くヒールを掛けると。


「‥‥ありがとう、マリンちゃん。‥‥マリアとセレスお義母様も来てくださってありがとうございます。」

「ふふっ。もちろん、リリのご指名とあらば来るに決まってるじゃない。」

「そうよ~?」

「それで、クリス。リリの様子はどうなの?」

「痛みが来る間隔が短くなってきてるわ。」

「そう‥‥」


そうして話していると、リリ姉様が口を開いた。


「‥‥マリア。」

「なに?リリ。」

「よく見ててね。マリアもすぐに経験することだから。」

「!!‥‥うん。」


すると、ここで姉様が呟いた。


「‥‥マリアの時は一緒にいられないかもしれないわね‥‥知る方法がないし‥‥」

『!!』

「そ、そういえばそうですね‥‥」


電話に似たものすらこの世界にはない。

普段、領地の屋敷にいるマリア姉様が産気ついたとしても、今回のリリ姉様の様にすぐに知らせる手立てがない。


「ふふっ。大丈夫よ。セレス母様がいらっしゃるもの。」


マリア姉様はそう言ってくれたが、私は納得できなかった。


‥‥電話に成り代わる様なもの、考えようかな‥‥


そう心の中で呟いたあと、私達女性陣はリリ姉としばらくの間、話していた。

そして、そろそろいいかなと思った私は一旦、出てくると告げて部屋を出た。


王族を含めた男性陣の食事の用意のためである。

領地の辺境伯邸に向かい、ストレージに食事を入れてまた大公家へと戻ってきて、男性陣に出す。


私にしかできないこととはいえ、面倒である。

そもそも王族は極秘で動くことになるからと私に頼ってからに‥‥リリ姉様の要望とはいえだ。

というか、リリ姉様の要望は王妃様だけだったのに‥‥!


私はそう思いつつも、リリ姉様のところに戻ってその出産を見届けた。


そうして、産まれたのは女の子だった。

まだ目が開いてないから、その色は分からないけど、髪はヒスイ兄様と同じ藍色だった。


そして、明日も様子を見に来ると医師が帰っていったあと、リリ姉様の許可を得てから男性陣を連れてきた。


「‥‥陛下方‥‥それに父様やフレイ達も来てくれてたんですね‥‥」

「マリンはルミナスだけ頼まれたんだろうが、心配でな。私にとっても初孫だし、甘えさせてもらった。」

「俺もだ。‥‥俺にとっても初孫だからな。」

「姪っ子だったそうですね、兄様。おめでとうございます。」

「ヒスイ兄様、おめでとうございます。」

「ありがとな、フレイ、アクア。‥‥マリンも。大変だったろ?改めてありがとな。」

「ふふっ。いえいえ。一番面倒だと思ったのは男性陣の夕食だけですから。」

『あ。』「「「‥‥‥」」」


出産に立ち合った一同が思い出した様に声を上げ、何も考えずに大公家に来た王族3人が気まずそうに視線を反らした。


「ヒスイ兄様、私達の分もありますよ。‥‥リリ姉様。」

「もちろん、ここで食べていいわよ。」

「ありがとうございます。‥‥リリ姉様はどうしますか?」


そう問い掛けてみると、リリ姉様は少し考えたあと


「今はいいわ。ありがとう、マリンちゃん。」

「いえいえ。」


そして、私達もようやく夕食を食べつつ、雑談に入った。

食べ終わった後、私が片付けていると‥‥


「マリン。」「マリンちゃん。」


ヒスイ兄様とリリ姉様に呼ばれて振り返る。


「はい?」

「マリンちゃん。この子の名前、マリンちゃんが決めてくれない?」

「え!?‥‥で、でも、名前は一生のことで、」

「ああ。‥‥この子はマリンが最初に気付いてくれたし、これだけの人達に見守られて出てこれたのもマリンのお陰だ。‥‥親が子供の名前に意味や希望を持たせることはあると思う。俺もリリも考えたけど、やっぱりこの子の名前はマリンにつけてほしいんだ。」

「私もマリンちゃんにつけてほしいって思ってるの。‥‥もし、2人目ができたならその時はヒスイ様と話し合って決めるわ。でも、この子はマリンちゃんにつけてほしいの。‥‥駄目かしら‥‥?」

「!!!‥‥‥陛下、父様。名付け親が私でいいんでしょうか‥‥?」

「親である2人がそう言うんだ。私は文句はないぞ?」

「俺もだ。‥‥名前をつける時の決め事とかは両家ともないから、気にせずゆっくり考えてやってくれ。」

「‥‥‥ゆっくりって言っても届けを出さないといけないので、数日以内ですよね?」

「ま、まあな‥‥その通りだ。」

「‥‥分かりました。」

「マリン、いいのか?」

「はい。‥‥ヒスイ兄様、リリ姉様。この子は私にとっても姪っ子です。たまには会いに来てもいいでしょうか?」

「もちろんだ。」「もちろんよ。」

「ふふっ。‥‥それにしても、大公家の令嬢の名前か‥‥責任重大ですね。」

「ふふっ。令嬢とかは気にせず、普通に考えていいからね、マリンちゃん。」

「はい。」


そして、この日はすでに夜も更け深夜に差し掛かっていたため、解散することとなった。

とはいっても、王城や領地と王都の辺境伯邸にそれぞれ送り届けるのも私なのだが‥‥


翌日。


私はいつも通り学園に向かったが、休み時間の度に頭を悩ませていた。

昼食で食堂に来てからは別のことにも悩む羽目になったが。


昼食後。

窓側の席でぼーっと空を見上げていると、さすがに気になるのか、隣に座っていたリジアが聞いてきた。


「マリン、なんか悩んでる?」

「ん~?‥‥うん‥‥」

「マリンに覇気がない‥‥」

「えっとね~‥‥悩みは3つあるんだよ。」

「3つ?」

「そう、3つ。」

「聞いていいの?」

「1つはリジアもみんなにも協力してもらうつもりだからいいんだよ。‥‥ただ、昨日増えた悩みが‥‥」

「「ああ~‥‥」」


シリウスとリオトが納得した様に頷く。


「え?シリウスとリオトは分かるの?」

「ああ。‥‥まだここだけの話に止めてほしいんだが、昨日姉上の子供が産まれたんだよ。」

『え!?』


リリ姉様が元王女ということから陛下にまだ公表しないでくれと言われているが、リジア達友人までなら言っていいと許可を得ているため、友人一同にのみ聞こえるように小声で話している。


「それで、姉上と兄上が揃ってその子の名前をマリンにつけてほしいと頼んでたんだ‥‥」

『なるほど‥‥』

「名前なんて一生のことだものね~‥‥」

「そうなんだよ~‥‥だから余計に迷ってるの。」

「名付けの決まりとかは?」

「両家共ないって。」

「そうなのね‥‥それなら、余計に迷うわよね‥‥」

「自由度があるからこそね。‥‥まあ、頑張ってなんとか捻り出すよ。」

『‥‥‥』


「折角なら何かしらの意味とか持たせてあげたいとも思ってるしね。」

「ふふっ。頑張って、マリン。」

「うん。‥‥さて、戻ろっか。」


全員が笑顔で頷き、食べた後を片付けてそれぞれの教室へと向かった。


実は今月の中頃ぐらいには1話書き上げていたんです。

ですが、読み返した時に「これ、いるか‥‥?」と思ってしまい、大部分を書き直しました。

書き直したところはいつになるか分かりませんが「裏」に入れればいいだろうと。

そして、ヒスイ達の娘の名前。

考えてないんですよ‥‥まだ。

こうして自分の首を締めることを何故かしてしまう作者でした。

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