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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第11章 学生最後の年
271/289

295話 休み明け早々に

大変お待たせしました!

春の休暇明け。

マリン達やリオト達はそれぞれ進級した。

マリン達は5年の最上級生。リオト達は3年生。

その初日。


「ふっ‥‥ふふっ‥‥」

「「「「「‥‥‥」」」」」


不敵に笑うマリンに苦笑いを浮かべる同い年の友人一同。


「やってやったわ!!」

「そ、そうね‥‥」


マリン達がいるのはクラス分けと共に成績順が掲載された掲示板前。

そして、成績順は見事に去年と同じ。


なので。


「「おかしい‥‥」」

「何が?」

「俺とリゲルは何故未だにリジアに勝てないんだ?」

「ああ、それはね~」

「「分かるのか!?」」

「もちろん。‥‥学力も今やそう大差ないはずで、魔法の実力ならリジアに勝ち始めているはず。なのにシリウスとリゲルが未だに総合成績でリジアを抜けない理由。それは」

『それは?』

「魔法の技術よ。」

「「技術?」」

「そう。」


そのまま2人に説明しようと思ったら、リオトとルビアが合流したので、一旦止めた。

今年もリオトが首席で、ルビアが次席だったと聞いたあと、先程の話に戻る。


「ほら、アイリスも剣術・魔法大会の時に分かったんじゃない?シリウスやリゲルとリジアの違い。」

「うん。なんとなくだけどね。‥‥えっと‥‥魔力制御とかかなって。」

「うん。そんな感じ。‥‥リジアが戦ったら個人戦でもシリウスとリゲルが勝つと思うの。」

「私もそうかなって思った。」

「魔力量はシリウス達の方があるから、魔法戦でも負ける。そんなリジアがシリウスやリゲルに勝ってる点。それが魔力制御や精度。そして、まだまだ学力も勝ってる。」

「「‥‥‥」」

「自覚、あるんじゃない?」

「「‥‥‥ある。」」

「ふふっ。レイヤ先生、しっかり見てくれてるでしょ?」

「ああ。‥‥それに言われてみればって感じだ。」

「俺も。‥‥第3者の目で見るとそうなんだろうなって感じたよ。」

「じゃあ、疑問が晴れたところで。‥‥ふふっ。今日からますます楽しくなりそうだな~!」

『え?』

「私達、最上級生。首席は私。さて、私の役職は?」

『!!』

「「‥‥生徒会長‥‥」」

「正解。‥‥王太子、皇太子、第二王子、公爵家の兄妹。全員が部下なんて最高だよね~!」


そう言いながらそれはもう楽しげに歩き出したマリン。


「なにからやろうかな~」

『え!?』

「なに?」

「なにからって、複数あるのか?」

「え?都度言ったよ?」

『??』

「まあ、その時思い出すよ。とりあえず、教室行こ?」


確かにそろそろ始業時間。

ということで、全員教室へと向かった。


放課後の生徒会室。


生徒会長の席に座ったマリンは生徒会の面々を見渡し、悩んでいた。


「‥‥私の中で決まってるのはリジアだけなんだよね~」


なんの話かというと、会長以外の役職に誰を据えるかだ。

本来は、前任の会長がある程度決めてくれる。それを次期会長がそれでいいと判断したら、そのまま採用する。

だが、前任のベネトは「マリンが会長なんだから、好きに決めろ。」と言って会長にマリンを指名したあと、他を全てマリンに丸投げしたのである。

なので、マリンは未だに決めかねて悩んでいるのである。


「えっと、私は決まってるって、どれかしら?」

「ん?もちろん、書記だよ。リジアは字が綺麗だし、文章とか纏めるの上手いし。」

「え?そうかしら?」

「うん。私はそう思ってるよ。‥‥とりあえず、リジアが書記になるのに反対の人、いる?」


反対の声は上がらなかったので、リジアが書記なのは決定となった。


「‥‥シリウス。」

「ん?」

「公務‥‥っていうか、執務?始まった?」

「ああ。もう始めてる。ただ、始めたばかりだし学生だからと父上も無理のない範囲にとしてくれてる。」

「役職あげても平気そう?」

「ああ。‥‥何かさせてくれるのか?」

「うん。‥‥とりあえず、私の考えを言ってみて、みんなの意見を聞きたいの。いいかな?」


全員が『もちろん』と答えてくれたので‥‥


「じゃあまずは会計ね。リゲル。」

「え?俺なのか?」

「うん。‥‥それで、一番悩んだのがシリウスとレグルスなの。」

「「え?」」

「私、冒険者でもあるから、依頼で学園を休んだりとかがあるかもしれないでしょ?」

「ああ。確かにそうだな。」

「そんな時、会長である私の代わりは副会長がすることになるじゃない?」

「ああ~後輩に任せっきりっていうのは忍びないし、難しいか。」

「そういうこと。だから、副会長をもう一人立てようかなって思って。‥‥で、リジアは書記だから駄目だし、リゲルは会計かなって思って」

「それで、残すは私とシリウス。か。」

「うん。どっちかにやってもらおうかな~って。」

「じゃあ、副会長じゃない方が庶務になるの?」

「そうそう。」

「となると、まずは俺の会計職は決まった感じか?」

「あ。‥‥みんな、どう?」


こちらも反対意見は出なかった。


「会計も決まりだね。‥‥私の代わりか‥‥」


最後は呟きになったが、シリウスとレグルスをじっと見ていると‥‥


「マリン姉様。」

「ん?なに?リオト。」

「副会長から考えるのではなく、庶務をどちらにするかを決めては?」

「え?」

「マリン姉様はシリウス兄様と皇太子殿下のどちらが副会長でもいいかなと思ってらっしゃる様に感じますわ。」

「そうだね。」

「ならば、庶務がどちらの方が向いてるかを考えてみればどうでしょうか?と。」

「ああ~なるほど。‥‥シリウスとレグルスなら‥‥」

『‥‥‥』


考え方を変えたら、思案する時間は意外と数秒だった。


「うん。庶務はレグルスかな。‥‥ということで、シリウスが副会長。」

「確かにレグルスの方が向いてそうよね、庶務。」

「リジアもそう思う?」

「ええ。」

「みんなはどう?」


全員、シリウスとレグルスを見比べつつ考えた上で、反対意見は出なかった。


「シリウスは副会長なら王太子としての執務に影響しないかもっていうのもあったけど‥‥どう?」

「ああ。大丈夫だよ。ありがとな。‥‥副会長。やらせてもらうよ。」

「私もだ。庶務、頑張らせてもらうよ。」

「! 良かった‥‥ありがとう。」


そして、もう一人の副会長はもちろん、一つ下の後輩に任せる。


「ああ~‥‥やっと決まったぁ‥‥」


そう言いながらマリンが机に突っ伏すと‥‥


「さて、役職が決まったところで。‥‥マリン。」

「ん~?なに~?リジア。」

「マリンも会長って呼んだ方がいい?」


‥‥‥‥ と数秒。


ガバッと頭を上げたマリンの目は‥‥輝いていた。


「うん!呼んで!全員、会長って!」

「ふふっ。分かったわ。‥‥今日から一年、よろしくお願い致します。会長。」


リジアの一言のあと、全員が一斉にマリンに向かって一礼した。

そして、頭を上げた一同が見たマリンは笑顔で。


「こちらこそよろしくお願いしますね。皆様。」


そう答えた。


そうして、新たな一年の幕開けの数日後。

新入生の入学式。


私の改革はここからだった。

まずは生徒会役員の紹介のあと、会長として新入生に挨拶をした。

というのも、毎年、新入生代表挨拶だけで生徒会はなにもしてなかった。参加するだけ。

もちろん、新入生が生徒会に相談することがあった際、顔や名前が分かる方がいい。

しかし、生徒会にいる者達には上級貴族の子息令嬢がいたりする。マリン達の世代が最たる例だろう。


そんな中、特に平民の生徒が気安く相談できるかと聞かれると、まず難しいだろう。

立場や年齢で話辛かったりするかもしれない。

だからこそ、マリンは自ら言うために挨拶をした。


━身分に囚われず話し掛けてくれていいと。

王太子や皇太子にしてもだ。むしろ国民の声の一つとして言いたいことを言っていいと。ここは王国の王立学園。王太子は理事長子息でもあるし、公爵家の嫡男がいるが、それも統括責任者の子息でもある。

だが、それは学生全員に関係ないことだ。

学園生活をより良いものに、そして、楽しんでもらうためにも声を上げてほしい。━


そんな話をしたのである。


そして、その一週間後。

新入生から2人が生徒会入りした。

何故2人なのか。理由は去年と同じで、Sクラスの全員がマリン目的で生徒会入りしようとしたので、担任が首席と次席のみにしたのだ。


改めて自己紹介が終わったあと、毎年恒例の実力を見せてもらう時。

今年の新入生の次席が剣術で入学してきたとあって、マリンが相手役を務めた。

その流れのままに2年~5年生までの全員も軽く実力を見せ合った。5年生一同は抑えてだが。


そうして、徐々に新年度の生徒会活動に慣れ始めた一月後。


学園から帰ってきた私は馬車から降りると、きょとんとすることになった。

何故か母様が玄関の外に立っていたからだ。

いつもなら屋敷の中から出迎えてくれるのにだ。


「母様?とりあえず、ただいま戻りました。」

「うん。お帰りなさいマリン。」

「どうかされたんですか?」

「ついさっきね、大公家から早馬が来たのよ。」

「大公家?‥‥ヒスイ兄様に何かあったんですか!?」

「いえ。ヒスイじゃないわ。」

「兄様じゃない?‥‥っ!!まさか、リリ姉様」

「ええ。産気づいたらしいの。それで」

「はい。馬車で行く時間が惜しいですよね。」

「ええ。」


ここでようやく玄関扉を開けた私と母様は屋敷内に入り、扉を閉めたところで。


「シャーリー、いる!?」

「はい!」

「話しは聞いてる?」

「はい。マリン様。鞄はお預かり致します。奥様と一緒に行って差し上げてください。」

「うん。ありがと。」


そして、鞄をシャーリーに預け、制服から着替えることもせずに母様とゲートで大公家へと向かった。


一先ず、リリ姉様とヒスイ兄様の気配を追って廊下を進む。すると、やっぱり部屋の前にヒスイ兄様もいた。


「ヒスイ兄様!」

「!!‥‥マリン!ディアナ母様!来てくれたんですね。」

「当然です!」「当たり前でしょ!」

「良かった‥‥ん?マリン、制服のままってことは帰ってきたばかりだったのか?」

「はい。でも、それよりリリ姉様です!様子は!?」

「あ、ああ。えっと、陣痛が始まって2時間ぐらいなんだが、部屋から追い出されてな。正確には様子が分からないんだ。」

「‥‥私と母様なら入っていいですか?」

「ああ。多分大丈夫だと思う。」


そして、扉をノックして名乗ると許可が出たので、私と母様だけ中に入った。


「リリ姉様!」

「マリンちゃん‥‥お義母様も。‥‥ありがとう‥‥ございます。」

「リリ姉様。何かしてほしいことありますか?」

「‥‥マリンちゃん。」

「はい。」


言葉を続ける前に痛み出した様で呻き声を上げたリリ姉様。


「‥‥医師様、ヒールを使ったら痛みは和らぎますか?」

「え?は、はい。‥‥私が掛けるよりあなたの方が効き目はあるでしょうから、お願いします。ですが、痛みがきた時だけです。掛けっぱなしは駄目ですよ。」

「はい。分かりました。‥‥リリ姉様。掛けますね。」


コクン 


とゆっくり、僅かに頷いてくれたので、ヒールを掛けた。


そして、徐々に落ち着いてきたのか、リリ姉様が私を真っ直ぐ見た。


「マリンちゃん。ありがとう。もう大丈夫よ。」

「はい。」


ヒールを止めると、リリ姉様は続けた。


「事前にね、陣痛がきたら辺境伯家と王家に知らせてほしいってヒスイ様に頼んでたの。」

「! では」

「うん。母様もこちらに来たがってると思うの。あと」

「姉様ですね。」

「うん。お願いしていいかな?マリンちゃん。」

「はい。もちろんです。‥‥リリ姉様。」

「ん?」

「ヒスイ兄様は入れてあげないんですか?」

『え?』


リリ姉様だけではなく、その場の全員の声だった。


「ヒスイ兄様、扉の前にいます。心配そうに。」

「‥‥でも」

「リリ姉様が頑張る姿を見せてあげてほしいです。可愛くない顔になってしまいますが、それがなんだって言ってくれる人のはずです。」

『!!』

「‥‥そうね。‥‥マリンちゃん。」

「はい。私と交代で入ってもらう様に言ってから出ます。」

「うん。お願い。」

「はい。‥‥では、行ってきます。」


そして、私は再び廊下に出た。


「! マリン、リリは」

「大丈夫です。医師様に許可を得てヒールを掛けたので、今は一旦痛みは引いてます。ですが、このあとも度々痛みに襲われます。その間隔が短くなるにつれて出産が近付きます。」

「! ああ。俺もそう聞いた。」

「ヒスイ兄様。リリ姉様が入ってきていいそうです。赤ちゃんが出てきてくれるまで、しっかりリリ姉様の手を握ってあげてください。どこにこんな力があったんだって聞きたくなるぐらいぎゅっと握られると思いますので、事前に気にしなくていいって言ってからですよ。」

「‥‥分かった。‥‥マリンは、これから王城に?」

「はい。王妃様と姉様を。‥‥(あと、マリア姉様も連れて来ようかと。)」

「ああ。頼むな。」

「はい。では、行ってきます。」


その場ですぐに魔法師団の近くの路地にゲートで向かい、魔法師団の詰所に入った。


『え?』

「あれ?君、天使殿じゃ‥‥」


との声が聞こえたが。


「すみません。姉を連れて行きます。」


そう言いながら廊下をずんずん進み、団長室の前で止まった。ここから姉様の気配がする。‥‥他にも数名いるが。


ノックをして名乗ると、驚きの声と共に姉様が扉を開けた。


「マリン!?どうしたの!?‥‥って制服?」

「姉様。リリ姉様からのご指名です。」

「は?」

「フリードさん。姉様を借ります!」

「え?あ、ああ。」

「姉様、行きますよ!‥‥皆様、お騒がせしました。失礼します!」

「え?ちょ、ちょっと、マリン!?」


問答無用で姉様の手を引き、連れ出した。一応の礼儀で一言と一礼だけして。

そして、また廊下を進み、詰所の人達にも「お騒がせしました~」と言いつつ、詰所を出た。

そして、時間短縮の為に王城の庭園にゲートで出た。


「姉様。突然すみませんでした。リリ姉様が産気づいたんです。先に私と母様で向かったのですが、リリ姉様に頼まれまして。」

「なるほど。ここに来たのは妃殿下もってこと?」

「はい。あと、その場に医師様がいらっしゃるので言い辛かったのか、言いませんでしたが、マリア姉様もお連れしようかと。」

「ええ。そうしてあげて。‥‥ただ、ここから堂々と王城内を歩くのは‥‥」

「目立ちますよね?」

「私達なら見つかっても咎められないでしょうけど‥‥」

「大丈夫です。いい方法があります。」

「? なに?」


私は姉様を横抱きに抱えた。


「ちょ、ちょっと、マリン!?」

「ふふっ。絶対落としませんから信じてください。」

「いや、マリンを疑うことなんてあり得ないけど‥‥」

「嬉しいです。‥‥【雲隠(ディスアピア)】」

「え?でも、それでも靴音で」

「【フライ】」

「‥‥‥なるほど。さすがマリンだわ‥‥私は着くまで黙ってたらいい?」

「はい。お願いします。」


そして、気配を辿って廊下の天井付近を飛んで進む。

やがて到着したのだが‥‥


「‥‥‥」

「(マリン?)」

「(隠れてきた意味がなかったかもです。)」

「(え?)」


ゆっくり着地したあと、周囲を観察すると、やはり人払いされている。

ということで雲隠(ディスアピア)を解除し、姉様を降ろして扉をノックした。

すると、一言「入れ」と返ってきた。


お分かりだろう。私達がいるのは陛下の執務室の前だ。


そして、中に入ると‥‥


「やっぱりか‥‥」

「‥‥‥なるほど。これじゃあ、確かに隠れてきた意味がなかったかもね‥‥」


王妃様はもちろんいる。気配を辿って来たんだから。

ただ、他に陛下、シリウス、リオトまでいた。


「‥‥先に言っておきます。男性陣はリリ姉様に呼ばれてません。一緒に来ても廊下で待っててもらいます。陛下だろうと、王太子だろうと関係ありません。閉め出します。それでも来ますか?」

「ああ。城で待ってても落ち着かん。連れて行ってくれ。」

「陛下の子供ではなく、ヒスイ兄様の子供ですけど?」

「分かってるに決まってるだろ‥‥純粋に姉上が心配なんだよ。」

「‥‥分かった。‥‥連れて行って差し上げます。このままお連れして構いませんか?」

「ああ。」

「了解です。」


そして、再び大公家のゲート専用部屋に繋げた。


作者の中で、現時点での構想としては、学園を卒業するまである程度しっかり書いたあと、世界各国編を経て完結としようと思っています。

なかなか長くなりそうですが、最後までお付き合い頂けたらなと思います。

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