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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
270/289

294話 とある春の一日

今日はエイプリルフールということで、もしも話を交えたものにしました。

卒業式が終わり2日程滞在したあと、皇帝陛下と元帥様は父様やアクア兄様と共に帰っていった。


出発する日の朝、学園に行く前に陛下や元帥様に挨拶しにお隣に行ったのだが‥‥


「折角、お父様である元帥様がいらっしゃるのに‥‥ベネトさんって意外とへっぽこなんだね。」

「へっぽこ言うな!」


ベネトさんは私とパーティーで踊ってまで話したのに、肝心のリジアに言ってないらしいのだ。勿体ない。

あわよくば来年、卒業と同時にリジアを連れて行けるだろうに。

そう思っていたら。


「まだ急ぐことないだろ?夏休みも帝国に一緒に行ってくれるだろうし。」


私はそれにニヤリとしながら答えた。


「私がいて良かったね~?ベネトさん。リジアは主に私のためについてきてくれる訳だし。」

「くっ‥‥。その通りだから反論できねぇ‥‥」

「ふふっ。‥‥ベネトさんは隠さなくなったね。」

「マリンにだけだ。あとの‥‥特に殿下。は恥ずかしくてしょうがない。から言わない。まだ。」

「まだ。‥‥卒業した頃かな?」

「‥‥‥場合によるな。」

「まあ、とりあえずレグルスのおかげであと1年あるし、頑張れ。」

「うぐっ‥‥」


と唸ったあと、力無く「あぁ‥‥」と答えたベネトさん。


そして、陛下方の出発前に私とレグルスは挨拶だけして学園に向かった。


この日、一人楽しそうにしていた私に周りはきょとんとしつつも、私が答えないため、最終的に諦めていた。

ベネトさんとの会話はこっそりとしていたので、レグルスも聞いてない。ちらちらこちらを見て気にしてはいたが。


それでも日々は過ぎ、学年末試験も終わり、春の休暇に入った。


そんなとある日。


私の寝覚めは最悪だった。

とりあえず、着替えて食堂へと向かった。


朝食後。

母様と2人きりをいいことに聞いてみることにした。


「‥‥母様。」

「ん?」

「確認なのですが、エイプリルフールってこの世界にはなかったですよね?」

「うん?なんて?」

「エイプリルフールです。」

「なに、それ。」

「嘘ついてもいい日です。」

「え?嘘ついてもいい日?もちろんないわよ?」

「ですよね~?」

「前世ではあったの?」

「はい。‥‥もちろん、嘘ついてもいいと言っても常識の範囲内ですよ?嘘ついた方もつかれた方も笑い飛ばせる程度の。」

「あら。平和な楽しみ方をするものだったのね。」

「はい。」

「それで?どうして突然、そんなこと聞いたの?」

「冗談みたいな最悪な夢を見たからです。」

「え?」

「まさかのシリウスになった夢を見たんですよ!しかも、前回は一昨年。去年は見なかったのに‥‥」

「‥‥‥」

「一昨年は別の日でしたが、2回も見るなんて‥‥」

「えっと‥‥それは転生先がマリンじゃなく」

「そういうことです!マリンは別でちゃんといて、私の転生先がシリウスになっていた夢です。」

「あら。それはそれで面白そうね。マリン、聞かせて?一昨年のから。」

「え!?えっと‥‥」


と、まず一昨年見たところまで話すと。


「ふっ‥‥ふふっ‥‥」

「母様まで笑うんですか~?」

「ふふっ。ごめんね。‥‥一昨年のは本人に話したの?」

「はい。リゲル、レグルス、リジアにも。」

「そう。‥‥ふふっ。確かにマリンならすでに王太子になってそうよね。」

「それ、話した時みんなも言ってました。」

「ふふっ。でしょうね。‥‥それで?今日のは?」

「まさかの一昨年の続きで、私の脳内も男の子みたいになったままだったんですよ‥‥」

「! ますます面白そうね。」

「‥‥‥」


とりあえず、母様が何故か楽しそうだったので、話すことにした。


◇◇◇◇◇


学園に入学して最初の夏休み。

この年からやっと親善パーティーに俺も参加できる。

リゲルや俺達の姉上も、マリン嬢も一緒だ。

リオトはまだお披露目前なので、留守番だ。ルビアも。


そして、辺境伯家にも到着し、最終的にマリン嬢の兄弟全員も来ることになった。


人数が増えつつ向かった帝国。

その道中、俺は魔法師団で教わったサーチをこっそり使っていたのだが、異様な気配を察知した。

ただ、対象が何か分からなかった為、黙っていたのだが‥‥


近付くと見えてきた黒い竜。

もちろん、視認した時点で馬車は止まった。

全員で馬車を降り、どうするかと辺境伯様や姉上達が話している中、俺はこっそり馬車の影に隠れて魔法で姿を消してから飛んだ。

そして、空を無言で飛び続け、黒竜の側まで到着したと同時に「ものは試し」と風刃(ウィンドカッター)で首を背後から狙って放ってみたら‥‥


あ‥‥やば‥‥一発で終わってしまった‥‥

す、姿消してるから大丈夫だよな?

速攻で帰ったら問題ないよな?


とかなり焦ってそのまま再び文字通り飛んで帰った。

再び全員の死角に降り立ち、雲隠(ディスアピア)も解除してしれっとみんなの輪に戻った。

すると。


「あ。シリウス。どこ行ってたの?」

「え?えっと‥‥あの竜をもう少しちゃんと見たいなとちょっと歩いてました。勝手な行動、すみません。姉上。」

「‥‥まあ、無事に戻ってきたからいいわ。」

「ありがとうございます。‥‥その、見ていたらあの竜、命を落とした様なのですが‥‥」


と言うと、全員で『え!?』と黒竜を見て固まった。


良かった‥‥首ちょんぱの瞬間は見てなかったっぽいな。


と内心、安堵しながら続ける。


「竜の脅威がないならこのままあの街に向かっても大丈夫なのでは?」

「そ、そうね‥‥?辺境伯様。いかがでしょうか?」

「え?‥‥そうですね。一応、警戒しつつ向かいましょうか。」


ということで、再び出発したのだが、首をちょんぱしているし、動く様子もないからと全員で黒竜に恐る恐る近付き、俺のストレージに入れた。


**


‥‥レグルスは人見知りじゃなかったか?


初めて出席した親善パーティーでレグルスは自らマリン嬢に婚約の打診をし出した。

ピシッと固まってしまったマリン嬢。


帝国もなのか‥‥


と思いつつ、このままは可哀想だなと思い、助けることにした。


「レグルス。俺やマリン嬢達はまだ帝国に来て2日だ。レグルスの気持ちは分かるが、婚約となると一生のことだ。しかもマリン嬢は王国の令嬢。国を越える結婚の約束を取り付けるにしてもまだお互いを知らないだろう?そんな中で決めさせるのは酷だと思わないか?」

「まあ、確かにそうなんだが‥‥」

「マリン。今、どう思ってるか聞かせてくれるか?」


俺が話したあと、マリン嬢は驚いた様に俺を見ていたが、陛下に問われて視線を下げてしまった。


「マリン嬢。ここに敵になるものはいない。思った通りに話して構いませんよ。」


レグルスがそう言うと、マリン嬢は何故か一瞬、俺を見た。


「えっと‥‥その、先程王太子殿下が仰ってくださった通りです。一生のことを2日では決められません。」

「そうですよね。すみませんでした。」

「! い、いえ!あの、その‥‥」

「なんでしょうか?仰ってみてください。」

「は、はい。‥‥婚約者はまだ考えられませんが、その、皇太子殿下がよろしければ、友人ならばと‥‥」

「「!!」」

「むしろ友人にして頂けるのですか!?」

「は、はい。‥‥失礼ではないでしょうか?」

「いえ‥‥いいえ。嬉しいですよ、マリン嬢。」

「! では」

「はい。これからは友人として仲良くして頂けますか?」

「はい。それならば喜んで。」


微笑ましい光景なんだろうけど‥‥

なんで腹立つんだろ‥‥?


◇◇◇◇◇


「‥‥こんな中途半端に終わったこともあり、なんかこう寝覚めが悪かったです。」

「‥‥‥‥マリンは王族に好かれる運命だったのかもしれないわね。」

「嬉しくないんですが!?」

「でも、前世では女の子だったのに、マリンを好きになってたんでしょ?」

「‥‥っぽいです。」

「ふふっ。マリンは可愛いものね~。」

「それは親の」

「贔屓目抜きでも可愛いと思うわ。だから夢の中でも取り合いが始まろうとしたんでしょ?」

「‥‥‥‥」

「ふふっ。次にみんなに会った時にまた話してあげたら?」

「‥‥爆笑されそうです‥‥」

「それはそれでいいじゃない。元は平和な催しの話だったでしょ?」

「あ。‥‥ふふっ。それもそうですね。」


と話していたら、ふと思い出した。


「あ。それなら、明日荒野で魔法の練習しようと約束してましたので、話してみます。」

「あら。面白そうね。」

「母様も見学に来ますか?」

「ふふっ。邪魔はしないわよ。学生同士で行ってらっしゃいな。」

「はい。分かりました。」


ということで、翌日。

一旦、全員で城に集まり、荒野に向かった。


そして、ちょっと練習したあとの休憩に昨日の話をしてみると‥‥


リゲルとベネトさんは遠慮なく爆笑し、レグルスも笑い、リオトとルビアは笑いを必死に耐え、シリウスとリジアは面白かったと言いたげに軽く笑っていた。


「やっぱり笑った‥‥」

「いや、シリウスになった夢とか、笑わずにいられるかっての!!」

「しかも1年空いて2回目!!」

「ベネトさんとリゲルは笑い過ぎだと思う。」

「「だって!!」」


面白くない気分のまま、リオトとルビアに視線を移した。


「リオトとルビアも笑いたいなら思いっきり笑っていいよ?はしたないとか言う人、ここにはいないし。」


そう言うと、既に笑いたい衝動は収まってきていたのか、軽く笑って終わった。


「少しだけ、そんな兄上も見てみたかった気がします。」

「最強の王太子?」

「はい。こっそり竜倒すとか、面白かったです。」

「私もこの時でもう暗殺者になれるじゃんって思った。」

「あ。話は変わるけど、マリン。マリンはその時はもう、四神の一体とは契約してたんでしょ?夢の中でシリウスになった時は?」

「あ。どうなんだろ?ペンダント‥‥してたかな‥‥?」

「夢、飛び飛びなのか?」

「うん。話した通りの場面しか見てない。だから、その‥」

「ん?」


ものすごく言い辛いけど‥‥


「シリウスの」

「あ。裸見てないよってことか?」

「「!!」」


言おうとしたらベネトさんが代わりに言ってくれたが‥‥


「せ、正解。‥‥それで思ったの。私とシリウスは産まれも育った環境も違うでしょ?だから、私の経験をシリウスに当て嵌めたら‥‥って感じで、尚且つ私に想像できる範囲で構成された夢だったのかなって。」

『なるほど‥‥』

「2回共シリウスなのも、マリンが仮にレグルスになって、尚且つ同じ経験を辿るとしたら、俺達や姉上達は既にこの世にいなかった可能性もあるってことだからな。」

「ああ~そうだね。私かシリウスがコボルトを倒してる訳だしね。」

「あと、黒竜もだな。私はその時、帝都の城にいたから間に合わなかっただろうし。」

「だね。‥‥色々無理があるからシリウスだったのか‥‥」

「それなら、交代で俺がマリンになってみたかったがな。」

「私からシリウスがどう見えてるか?」

「ああ。」

「でも、それは私がシリウスになってるから、今のシリウスとは違うでしょ?」

「ああ~それもそうか‥‥」

「ふふっ。とりあえず、今となっては見た目は格好いいとは思ってるよ?」

「え?」

「リゲルもね。初対面があれだったから余計にかな。」

「「‥‥‥」」『あ~‥‥』


シリウスとリゲルが複雑だと言いたげにしていて、他の全員は納得を示した。


「あの時、私が指摘したところは改善してるし、成長して幼さも抜けてきたからね。」

「ふふっ。私は5歳の時も見てるけど、あれはないわって思って2人に近付きさえしなかったもの。それに比べたら今の方がはるかにマシだわ。」

「いや、リジア。5歳の時と比べないでくれるか‥‥?」

「そうだぞ?リジア。‥‥って、ん?‥‥あ。あれか?5歳の時のって、王都近郊の貴族達を集めた」

「それよ。‥‥あの時の、私も参加してたのよ。」

「「いたのか‥‥」」

「ふふっ。いたのよ。」

「私はもちろん、辺境伯家の領地にいたから参加してないけどね。」

「「だろうな。」」

「いたらその時、一目惚れしてるだろ。」

「だな。」

「そこで言い切る2人はすごいなとは思うわ。まあ、マリンはその時でも拒否したでしょうけど。」

「もちろん。」

「「だよな‥‥」」


そう話していると、リオトが問いかけてきた。


「結局、今の兄上達はマリン姉様からすると、良い方に変わって映ってるってことで合ってますか?」

「うん。そうだね。」

「「!!」」

「‥‥18歳ぐらいになると、かなりのイケメンになってそう‥‥」

『いけめん?』

「要は格好いい人ってこと。」

「へぇ~!それも前世の?」

「うん。」

「結構、言葉が豊富だったんだな。前はろりこんとか言ってたか。」

「ロリコンはルシアだよ。あとクリードさん。」

「そうだったわね。」

「さて、そろそろ雑談は終わりにして続きやらない?」

「そうだな。」


そして始まる魔法の練習。

と言っても、私は気分転換を兼ねてるのでバンバン打つ。

スッキリしたらリオトとルビアに教える方に回る。


そして、シリウスとリオト兄弟には氷結(フリージング)を。

リゲルとルビア兄妹とレグルスには乱気流(タービュレンス)をそれぞれ教えたりした。


水と風の属性が使えないリジアとベネトさんにはこの間の時間、ほっとくことになって申し訳なかったが。


‥‥‥いや、ベネトさんにはチャンスだったかな?


とは思ったが、ベネトさん本人から頼まれて剣のみの模擬戦もやったりした。

模擬戦なので、真剣は使わずにベネトさんは訓練用の剣で、私は魔力刃だったけど。


そして、いざ帰ろうかという時。


「あの、マリン。」

「ん?なに?リジア。」

「聞いていいものか迷ってたんだけど、いい?」

「? うん。なに?」

「ところどころ大地が変形してるのって‥‥」

「ああ、それはハデスと戦った時のだよ。なんせ賢者の柚蘭の中に入って操ってたからね。魔法の数も威力も凄まじかったから‥‥」

『‥‥‥』

「ま、マリンの魔法の跡もあるの?」

「ううん。あの時のはないよ。柚蘭に怪我させたくないなって途中までハデスの魔法を避けるか相殺するかしかしてなかったからね。」

「途中まで?」

「うん。剣まで操ってきてたから、柚蘭の体力の限界を待ってたんだけど、ハデス自身が「無駄だ、操ってるんだから柚蘭の体力に限界が来ようと関係ない」って言い出してね。」

「え!?」

「それで覚悟を決めて、絶対的氷結(アブソルートフリージング)で凍らせてから浄化使ったの。だから、柚蘭当てた魔法は絶対的氷結(アブソルートフリージング)と浄化だけ。」

『‥‥‥』


呆気にとられた様子の一同。


「じゃあ、父上を凍らせた魔法って」

「うん。その時‥‥柚蘭を助ける時に思い付いて使った魔法だよ。‥‥まあ、ハデスは速攻で溶かしてきたからかなり焦ったけどね。」

「そ、そうか。」

「ここはそんな歴史的一戦が繰り広げられた場所だったんですね‥‥そんなところで練習してたなんて‥‥」

「ふふっ。逆よ、リオト。創造神様は元々ここで戦ってほしいからってことで、この場所を教えてくれたのよ。」

『え!?』

「そうなんですか!?」

「うん。‥‥あ、それは誰にも話してなかったね。」

「叔父様達にも?」

「うん。この場所を知らせた全員にだけど、初めて行った時は説明できないし、その後は聞かないでくれてたから忘れてた。」

『‥‥‥』

「でも、確かに街中でやる訳にもいかないし、最適な場所ではあったよね。」

「そうだな。‥‥それで結局、ここはどの辺にあるんだ?」

「えっと‥‥帝国の北西になるかな‥‥竜の住処を通り過ぎて、創造神様曰く船で2・3日掛かるって言ってたから。」

『‥‥‥』

「ということは、最初は飛んで来たの?」

「うん。」

『‥‥‥』

「さ、さすがマリンだな‥‥」

「そう?」


と聞き返すと全員に頷かれた。


「他に聞きたいことは?」

『‥‥‥』


全員、ちょっと考えてとりあえず、今はないとのことで、ようやく城に戻り、私達はそれぞれの馬車に乗って帰ったのだった。


□□□□□


すみません。

シリウスになった夢の話、2年連続なのは「投稿したのが」でした。

内容的には前回がマリン12歳の時。そして今は14歳。

1年空いてるはずでした。

投稿した後に気付いて修正してます。


昨日と同じく「裏」のもしも‥‥の続き設定でした。

マリンに言ってもらいましたが、当初レグルスで書いてみようと思ってたのですが、色々無理があるかなと断念しました。

そして、このシリウスになった方でこの作品を書いた場合。それはそれで面白くなったかもな~とちょっと感じてしまった作者でした。

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