27話 合格発表と報告
入試試験から1ヶ月後。合格発表の日。
入試の時と同じく、学園の合格者一覧が掲示される場所まで歩いていると後ろから
「マリン!」
「リジア!」
「マリンも今から?」
「うん。」
「じゃあ一緒に行こ。」
「うん。」
そして2人で掲示板を見ているとリジアが
「あ!あった!2人共名前あったよ!」
「えっ。どこ!?」
「ほら。あそこ」
とリジアが指差したところを見ると
「あ!本当だ。‥‥‥え?私首席?」
「そうだよ!マリン。凄いよ!」
「あ!リジアが次席だ。一緒のクラスだね!よろしくね。リジア!」
「うん!こちらこそよろしくね。マリン!」
この学園では1学年200名で成績トップ20位までがSクラス。A~Fクラスがそれぞれ30名ずつだ。そこに900名以上が受験するのだ。
なので喜んでいる私達の周囲では同じように合格して喜んでいる人達もいたが、それ以上に不合格だったのか泣き崩れている人が多くいた。
「あれ?姉様と兄様?」
「え?」
「姉様達がいたから一緒に行かない?」
「え?私もいいの?」
「勿論!‥‥姉様!アクア兄様!」
「「ん?」」
「あ!マリン、どうだった?」
「合格してました。首席でした。」
「「首席!?」」
「兄様も首席だったじゃないですか。」
「まあそうなんだがな。」
「ねぇ。マリン。その子は?」
「姉様。兄様。見た目で分かりませんか?」
「ん?‥‥‥髪と目の色からしてアポロ伯父様のところの‥‥?」
「はい。はじめまして。フリージア・フォン・アドニスと申します。よろしければリジアとお呼びください。」
「こちらこそはじめまして。私はマリンの姉のクリスです。」
「同じくマリンの兄のアクアです。」
「姉様。兄様。リジアが次席だったんですよ!同じクラスに味方ができました。」
「やったじゃない。‥‥ねぇマリン。その例の2人は?」
「大丈夫です。姉様。あの2人、合格はしてましたがBクラスでした。」
「それは良かったわ。リジア、マリンをよろしくね。」
「はい。これまでのことも一通りマリンから聞いてます。お任せください!」
「(‥‥マリン凄いな‥‥味方がどんどん増えていく。俺も王子達は許せないが、ここまで対王子勢力が出来上がるといっそ王子達が逆に不憫になってくるな‥‥。)」
何か兄様がぶつぶつ言ってる?
「兄様?」
「ん?‥‥いや、何でもない。それよりマリン。入学式頑張れよ。」
「え?頑張る?」
「入学式で首席の代表挨拶があるんだよ。‥‥言っとくが逃げ道はないぞ。俺もやりたくなかったが、やったからな。」
「え~。」
「さすがに私は代われないからね。頑張ってねマリン。」
「リジアぁ。他人事だと思ってぇ~。」
「他人事だからね~。」
「むぅ‥‥。で、姉様と兄様は朝言ってた生徒会の手伝いですか?」
「「うん。」」
「もう少ししたら帰るわ。先に帰ってていいわよ。」
「分かりました。じゃあ帰ろっか。リジア。」
「うん。」
そして私は先に屋敷に帰ると早速。
「おかえりなさいませ。マリン様。いかがでしたか?」
「おかえりなさい。マリンどうだった?」
シャーリーと母様が揃って同じ事を聞いてきた。
「ただいま戻りました。母様。シャーリーもただいま。合格してました。首席でした!」
「「首席!?」」
「はい。あと、アポロ伯父様のところのリジア、フリージアが次席でした。」
「まあ。アポロ兄様の?お披露目会で会ったの?」
「はい。あの時、王族の方々が入ってくる前にアポロ伯父様が声を掛けて下さって。その時にリジアと友達になったんです。」
「まあ!良かったわ。あっ!ラルクにも伝えないとね!」
「そうですね。私、今から直接報告に行ってきていいでしょうか?」
「う~ん。そうね‥‥。ま、いいか。いいわよ。マリン。行ってらっしゃい。」
「はい!じゃあ行ってきます!」
すぐにゲートを領地の方の私の部屋に繋いだ。
ちなみに私が姉様と兄様の2人と一緒に魔法の練習に行く時に使う為、隠しきれないだろうとゲートだけ王都の屋敷でも開示されている。なので辺境伯家の家族全員と使用人の方々は私がゲートを使えるのを知っている。勿論父様から他言無用が言い渡されているが。
久しぶりだな。私の部屋だけど。父様は執務室かな?
執務室に行き、ノックすると父様がいて返事が返ってきたので中に入ると。
「ん?マリン?珍しいな。今日はこっちに来たのか?」
父様の慣れが凄い。
「はい。父様。今日何の日か分かります?」
「ん?‥‥‥もしかして合格発表か?」
「正解です!私ちゃんと合格してましたよ。首席でした。」
「そうなのか!?そうか、首席か。よく頑張ったな、マリン。」
「はい!ありがとうございます。あ!あと、リジアが次席でしたよ。なので同じクラスです。」
「そうか。友達が一緒なら安心だな。」
「もう1つ安心したことがありますよ。王子達は揃ってBクラスでしたので会わずに済みます。」
「そうか‥‥。確かに安心だな。そうだ、折角来たんだ。ヒスイ達にも報告するんだろ?」
「はい。そのつもりです。早速行ってきますね。」
そして兄様2人とセレス母様にも報告した後。
「父様。みんなに報告終わりましたので戻りますね。」
「ああ。来てくれてありがとな。俺はマリンの入学式前に王都へ行くからその時に改めてお祝いしようか。ディアナ達に伝えてくれ。」
「はい!母様にお伝えします。では戻りますね。」
「ああ。またな。」
またゲートで王都に戻るとちょうど姉様と兄様が帰ってきていて、
「姉様、兄様。おかえりなさい。それと母様。父様から伝言です。私の入学式前に王都に来てくださるそうです。その時に改めてお祝いしてくださると。」
「そう!分かったわ。」
「ただいま。」
「ただいま。マリン。父様達に報告に行ってたの?」
「はい。直接報告したかったので。」
「そう考えると改めてマリンの魔法は凄いわね‥‥直接言いたいからってその日の内に行き来できるんだもんね。」
「あはは‥‥。そうですね。」
それから入学式まで制服の採寸したりなど必要なことは色々あり、あっという間に過ぎていった。
父様は宣言通り入学式数日前に王都に着き、私の合格祝いをしてくれた。