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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
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292話 王都の街の視察

気がつけば最後に投稿して1ヶ月が経とうとしていて、ものすごく驚きました。

ここまで空いたことがなかった(はず)なので‥‥

とりあえず、大変お待たせしました!

とりあえず、私の休日がとられることが決定したので、切り替えて問いかける。


「ところで陛下、そもそも皇帝陛下に堂々と街歩きさせてよろしいのですか?」

「ああ。それは問題ない。ベアルが視察ということにしていてな、案内役も交流がある西の辺境伯家に頼みたいと正式に申請したことになっているんだ。」

「え~‥‥変なところで権力使わないでくださいよ、皇帝陛下。」


と私が軽く睨みながら言うと、皇帝陛下は最後ニヤリとして返してきた。


「マリンなら普通に頼んでも引き受けてくれると思っていたんだが、万が一を考えてな。‥‥昨日はあっさり断られたが、これなら断れないよな?マリン。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥ものすごく不本意ですけどね。」

『‥‥‥』


私のちょっとした間に一旦、全員が沈黙するが‥‥


「それで、どこか行きたいところでもあるんですか?」

「いや。特に決めてない。‥‥俺が学園を卒業してから大分変わったはずだろ?だから適当に貴族街やら平民街を歩いてみようかとな。」

「え?平民街もですか?」

「ああ~ベアルは平民街でも歩き回ってたよな。」

「‥‥そう仰るということは、父様付き合わされました?」

「ああ。レウスも一緒にな。」

「伯父様まで‥‥」

「まあな。」

「‥‥その時は皇太子だったのですよね?」

「ああ。まあ、社会勉強みたいなもんだな。」

「‥‥ものは言いようですよね。」

『‥‥‥』


全員が心の中で同意していた。


「とはいえ、皇帝陛下。私もあまり王都を歩いてないので案内はできません。なので」

「ああ。適当に気が向いた店とかに入ったりするってことでいい。」

「分かりました。」

「悪いな、マリン。今週末、1日だけでいい。頼むな。」


国王陛下に改めて頼まれて、返事をすると共にふと気になったことを聞いてみる。


「はい。‥‥まさか私だけで?」

「いや、俺と父様も行くよ。」

「アクア兄様と父様も一緒なら良かったです。」

「‥‥陛下、マリン。私も一緒に行っていいでしょうか?」

「ん?ああ。レグルスも構わんぞ。」

「なら俺も行きます。」

「レグルスが行くならベネトさんも来るよね~。」

「ああ。当然だな。‥‥伯父上も見張らないと。」

「ああ。マリンに氷像にされるのは仕方ないにしてもすぐに解除してもらわないとならないからな。」

「だな。」

『‥‥‥』


レグルスやベネトさんと話していると、それまで黙っていたシリウスが口を開いた。


「父上。俺も行ってきていいでしょうか?」

「シリウスもか?」

「はい。俺にとっても社会勉強にはなるかと。これまでなかなか街を歩く許可が得られなくて、交流会の時にやっとでしたしね。それでも安全な貴族街だけでしたし。平民街も回るなら是非とも行きたいなと。」

『!!!』


その場の全員に衝撃が走った瞬間だった。

そのまま固まった一同にシリウスは訝しげに口を開いた。


「‥‥‥なんですか?全員で固まって。」


誰も口を開かないので、私が口火を切ることになった。


「し、シリウスが‥‥」

「俺が?」

「しゃ、社会勉強‥‥!?平民街を是非ともって‥‥」

「‥‥マリンは俺をなんだと思ってるんだ?」

「え?‥‥‥‥‥‥王太子?」

「今の間はなんだ?しかも何故疑問系なんだ?」

「いや、うん。学びは大切だよね。」


私がそう答えると、耐えきれないと言わんばかりに皇帝陛下が吹き出し、笑いだした。


「ははは!‥‥あの失礼極まりなかったシリウスが‥‥!!社会勉強とか!!変われば変わるもんだな!」


そう言って尚も笑っている。

それにやっぱりシリウスは不満を溢す。


「‥‥皇帝陛下。笑い過ぎだと思います。」

「いや、ははっ‥‥わ、悪い。」

「‥‥それで、父上。構いませんか?」

「ああ。皇族が動く時点で護衛が厳重になるのは変わらんからな。マリンやアクア、ラルクもいるし、行ってきていいぞ。」

「! ありがとうございます。‥‥リオトも来るか?」

「! はい!行きたいです。」

「まあ、いいか。‥‥リオトもいいぞ。」

「ありがとうございます!父上。」

「‥‥陛下。私やアクア兄様、父様がいるとはいえ、同行者が‥‥私達入れて9人ですよ?護衛の騎士達が」

「害意はマリンがいち早く気付くだろ?それに全員とは言わんが、自分の身は自分で守れる手練ればかりだ。問題なんぞ起こらんよ。むしろこの集団に刃向かう奴がいるなら、それは馬鹿のみだ。」

『‥‥‥』


全員苦笑い。


「ま、まあ、そうですね‥‥」


そして、この日の相談は終わり‥‥


週末。学園が休みの日の朝。


私は父様やアクア兄様。レグルスや皇帝陛下方と共に一先ず登城した。

すると。


「‥‥リジア、リゲル、ルビアがいるのはまさか‥‥」

「ああ。闘技場に着いたら試合を見せてもらおうかなと思ってな。」

「‥‥リジアとルビアも?」

「うん。」「はい。」

「‥‥‥陛下と一緒に連れて行って。と?」

「うん。街の散策は精神的に疲れそうだから避けたいけど、マリンと皇帝陛下の対戦は見たいなって。‥‥いい?」

「‥‥‥‥‥‥‥いいよ。」

「い、今の間はなんですの‥‥?」

「街歩きも来てくれたらいいのに~!って思っただけ。何が悲しくて男しかいない中に参加しないといけないのかなって‥‥」

『‥‥‥』

「た、確かに女の子はマリンだけね‥‥」

「うん‥‥」

「でも多分、私がいたらいざというとき足手纏いになるわ。むしろ、一番狙いやすいかなって。」

「私もですわ。」

「え?‥‥‥ああ、2人共魔法特化だからか‥‥」

「そういうこと。」

「‥‥分かった。耐える。‥‥闘技場で発散してやる。」

『‥‥‥』

「ま、マリン。闘技場を破壊するなよ?」

「承知しておりますよ、陛下。」

「な、ならいいが‥‥」


そうして話したあと、馬車に乗り込んだ一同は護衛の騎士達と共に平民街へと向かった。


そして、平民街の一角で馬車を降り、歩き始めたのだが‥‥


「(あ、あれってまさか王太子殿下か?)」

「(まさか!こんなところに殿下が来るわけないだろ!?)」

「(でもあの青髪の美少女は天使様だよな?)」

「(あ!ほんとだ!!‥‥マジで美少女だな。)」

「(だよな!)」


なんて会話がそこら中で繰り広げられていた。

その矛先はシリウスやマリンだけではなく‥‥


「(っていうか、あの一団がすごいんじゃ‥‥?)」

「(ああ‥‥だよな‥‥?)」


皇帝・元帥兄弟に2人の息子達。辺境伯親子に王太子兄弟。

平民街では普通はなかなかお目にかかれない一同。


まあ、アクアやマリンは来たことがあるのだが、その時もほんの少しの間だけ。マリンに至っては歩いてすらいない。

何故ならそれもリリアーナやカイト、アイリスが誘拐された数年前の事件のことだからだ。


そして騎士達が少し離れてはいるものの、護衛の任に就いているため、それだけでも立場を想像しやすいだろう。


━━だが、この立場がえげつないはずの一団は誰もこれらの声を気にすることもなく。


「なあ、マリン。スラムってやっぱりあるのか?」

「ありますよ。‥‥まさか行くんですか?」

「いや。遠巻きでいい。‥‥シリウスやリオトはともかく、俺は特に行くべきじゃないだろ?」

「はい。そこはご理解頂けていて良かったです。」

「まあ、それはな。‥‥帝国にもスラムはあるしな。」

「え?‥‥まあ、私達に見せたりはしませんよね‥‥」

「ああ。」


そんな話をしつつ、歩き続けていた。


そして。


『‥‥‥』

「リリ姉様達が誘拐された時はまだ先まで行きましたけど、皆様はここまでですよ。」

「ああ。分かってる。‥‥マリン。また別の時に個人的に護衛頼んでいいか?」

「え?‥‥シリウス、また来るの?」

「ああ。姉上が誘拐された事件。マリンが動いてくれたから無事に姉上が帰ってきてくれたが、それで終わっていいはずがない。‥‥これは父上も姉上も言っていたことだが、いつかこのスラムを無くしたいと思っている。ここは犯罪の拠点にされやすいからな。‥‥もちろん、スラムにいる人達の救済の意味だからな?」

「うん。分かってるよ。‥‥それにスラムを無くしたいっていうのも賛成。」

「そうか。」

「頑張ってくださいよ~?王太子殿下。」


と私が茶目っ気混じりに言うと、シリウスはくすりと笑ってから答えた。


「ああ。俺が即位するまでまだまだ時間はあるからな。」

「うん。そうだね。」


そして一同は再び馬車に戻るべく歩き出す。


「そういえば、シリウスもレグルスも公務とかないの?」

「ん?ああ。私の場合は留学中ってことで免除してもらってる状態だな。」

「卒業して帝国に戻ったら皇太子として公務復帰?」

「ああ。」

「俺はそろそろ言われるだろうな。‥‥多分だが、春になった頃からかな。」

「そっか。‥‥リオトやベネトさんは?」

「僕はまだですよ。」

「俺も殿下と帝国に帰ってからだな。」

「そっかぁ~。頑張ってね~みんな。」

「「「「‥‥‥」」」」

「他人事だな、マリン。」

「他人事だもん。」

「「「「‥‥‥」」」」


そうして話ながらも度々立ち止まって街の様子を見ていく。


「‥‥シリウスやリオトにとってもある意味視察の公務みたいだよね。」

「「!」」

「そういえばそうだな。」

「ですね。いい勉強になります。」

「そうだな。」


そんな王太子兄弟の様子を見たベアルはニヤリとした顔をマリンに向けた。


「マリン。正解だったろ?俺の視察。」


そのニヤリ顔に無性にイラッときたものの‥‥


「‥‥‥‥まあ、そうですね。」

「素直じゃないな、マリン。」

「‥‥‥シリウスやリオト、レグルスやベネトさんのためになったなら‥‥まあ、いいです。」

「マリン?」

「ふふっ。‥‥私だけ何もないな~と。」

『え?』


マリンの言葉に全員がきょとんとして立ち止まった。


「私は今のところ、卒業したら世界中を旅するってことしか考えてません。とりあえず全ての国を回るつもりですが、その先のことはまだ考えてませんから。」

「その先?」

「はい。‥‥世界を一周し終わった私は王国に戻ってそのまま暮らすのか、世界の隅々までと旅を続けるのか‥‥」

「マリン。それはその時考えればいい。」

「父様?」

「もちろん、20歳までに相手を決めてないなら見合いはさせるぞ?‥‥でもな、誰と結婚してもマリンは冒険者のままだ。だから結婚相手とその時相談したらいいだろ?」

「!‥‥そうですね。」


場の雰囲気が少し湿っぽくなったが、全員再び歩き出した。


━━マリンは歩きながら将来の様々なことに考えを巡らせていた。


そして、再び馬車に乗った一同は貴族街へと戻ってきた。


ここはむしろ昼食を挟みつつだが、サラッと見て終わり、最後の闘技場へと向かった。


そして、闘技場の武舞台まで来た一同。


「さって!剣術・魔法大会は見るだけで何もできなかったからな。‥‥暴れさせてもらうぞ?マリン。」

「周りの被害や闘技場を破壊しそうになったら止めますからね?」

「ああ。その範囲内で暴れるってことだ。」

「ならいいです。」

「マリン。父上やリジア達、連れてくるのか?」

「うん。陛下もどうせなら対戦から見たいかなって。」

「ああ。辺境伯家の兄弟対決だけじゃなく、皇帝陛下との対戦も面白そうだと言ってたからな。頼む。」

「ふふっ。了解。‥‥行ってきます。」


そして、王城の庭園にある池の畔にゲートで向かうと。


「「「「あ。」」」」


リジア、リゲル、ルビアがいた。


「ふふっ。マリン。闘技場に着いたの?」

「うん。陛下も対戦から見たいかなって。」

「ああ、確かにそうだろうな。」

「ところで、3人はここで何してたの?」

「‥‥ここにユラ様が封印されてたんだな~って思ってな。

‥‥この辺も俺やシリウスにとっては遊び場だったから‥‥知らなかったとはいえ、呑気なもんだったなって。」

「私もですわ。」

「私は2人に付き合ってただけ。‥‥綺麗だしね。」

「そっか‥‥」


沈黙が落ちそうになるが、切り替える様にマリンは3人に話し掛ける。


「‥‥3人共。陛下のところに行ってそのまま闘技場に行くよ。」


3人が頷いたことで、城内に向けて歩き出した。


そのまま国王の執務室に向かうと、何故か王妃や公爵夫妻もいた。


「「「「‥‥‥」」」」

「ま、まさか父上と母上も‥‥?」

「ああ。ベアルとマリンの対決だろ?面白そうじゃないか。昨日も言っただろ?リゲル。」

「‥‥言ってましたね‥‥」

「いいかしら?マリン。」

「ふふっ。もちろんです。このままお連れしても?」

「ああ。」


ということで、若干人数は増えたものの、闘技場に戻った。


マリンVS皇帝。


観客は王族や皇族、公爵親子に辺境伯親子+伯爵令嬢。

そんな権力の巣窟にも関わらず、他に人影はない。


ついてきていた護衛の騎士達は闘技場の入り口や周辺の警備のみ行っているため、中にはいない。


完全なる私闘。


その対戦が始まろうとしていた。


‥‥まあ、毎年夏休みにやっていることなのだが。


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