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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
261/289

285話 決勝と優勝特典

「それでは‥‥‥始め!」


姉様の声で開始された私VSレグルスの魔法戦。


開始と同時にレグルスは火弾(ファイアバレット)光槍(ライトスピア)真空弾(エアバレット)など使える属性全てを使って同時使用はできないが、連続攻撃を仕掛けてきた。

もちろん、私も相殺するなり避けるなりした。


そんな攻防を少しの間やったあと、ふとレグルスがニヤリとしたのが見えた。


ん? と思った瞬間。


「【火雨(ファイアレイン)】」

「え!?」


かつて皇帝陛下が使って私がキレた魔法だ。

もちろん、レグルスはその時の陛下と違って範囲指定もしっかりしてる。


そして、私はというと、しっかりシールドで防いでいる。


範囲攻撃しているレグルスと、それをシールドで防いでいる私。一見、膠着状態だし、耐久戦っぽい。

が、レグルスも耐久戦が無駄だと分かってるはずなので、多分次どうするかを考えている。

でもそれは同時に私にも考える時間を与えているということである。だが。


甘い。私はそんなに考える時間はあげない。


私はシールドを張ったまま片手を下に向けた。


「【水流(ストリーム)】」

「え?‥‥マリン!これぐらいで私の足は取られたりしないぞ!?」


もちろん、分かってるよ?

狙ってやったんだもん。


今度は私がニヤリとする番だった。


その瞬間、レグルスはまずいと思ったのか、火雨を止めてこちらに向かって来ようとした。

でも、それは判断を間違えている。


私にとってはむしろ「ありがとう」だ。


私はシールドを解除し、その場に僅かに飛んで別のシールドを出した。そして、そのシールドの上に乗りつつ、水流を出した手で同じく下に向けて次の魔法を放つ。


「【氷結(フリージング)】」

『な!?』


私が水流で濡らした武舞台が勢いよく凍っていく。

そして逃げ損なったレグルスの足も凍らせ、動きを封じた。


「ふふっ。駄目だよ、レグルス。今のは判断を間違えたね。」

「みたいだな‥‥」


と話し掛けたが、私はレグルスの返事を聞いた瞬間、シールドの上から次の魔法をレグルスに放った。


「【岩弾(ロックバレット)】」

「うわっ!‥‥と、危なかった‥‥」


その場にしゃがんで避けられた。


「避けた!?やるね~!レグルス!」

「マリンは容赦ないな!」

「当然!!‥‥さって、レグルスが脱出する前に決着つけないとね。」


と言ってる間にレグルスはしゃがんだまま足元の氷に触れていた。

そこからじわじわと凍った部分が溶けて足元が露になってきた。


「あ!溶かしにかかった!?」

「当然だろ!」

「む。どうしようかな‥‥多分、麻痺させるのは駄目だよね

‥‥反則な気がするし‥‥でも氷付けにするわけにもいかないし‥‥」


とぶつぶつ呟いていると、いつの間にか足元の氷を溶かし終わり、動ける様になったレグルスが火弾(ファイアバレット)を打ってきた。

もちろん、水弾(ウォーターバレット)で相殺したけど。


だが、その間にレグルス自身も動いていて、私に横から接近してきて、再び火弾(ファイアバレット)を打ってきた。


「っと!危なかった。」

「ああ~!やっぱりこれも避けるのか~!だが!」


と今度は真空弾(エアバレット)を続けて打ってきたので、私は同じく真空弾(エアバレット)で相殺したり避けたりした。


「ふふっ。」

「マリン?」

「結構、思いっきりやってるね、レグルス。」

「ああ!もちろん。」

「ふふっ。じゃあ、ちょっと意地悪するかな。」

「え?」

「【乱気流(タービュレンス)】」

「な!?」


まあ、軽~くにしたので浮き上がらせた程度なんだけどね。‥‥って、このまま場外に出したらいいのか。


と閃いた私は、乱気流(タービュレンス)を再び掛けてレグルスを場外に落とした。

と言ってもレグルスはしっかり受け身をとったので、問題なしだ。

でも。


「そこまで!‥‥勝者、マリン!」


レグルスが武舞台から出てしまったので、試合終了。

私の勝ちだ。

そして、レグルスは悔しそうに戻ってきた。


「マリン。最後のはずるいだろ。」

「ふふっ。だってレグルスを麻痺させる訳にもいかないし、氷付けにする訳にもいかないでしょ?」

「ぐっ‥‥そ、そうだが‥‥」


と話していると、姉様も来た。


「ふふっ。見応えある試合だったわ。さすがね、2人共。」

「ありがとうございます、姉様。」

「ありがとうございます‥‥クリス様。」

「あ。そういえば、レグルス。足、凍傷とかなってない?」

「え?‥‥体感的には大丈夫だが‥‥一応診てくれるか?鑑定使って構わないから。」

「うん。分かった。【鑑定】」

「「‥‥」」


「‥‥大丈夫みたい。」

「そうか。ありがとな。」

「どういたしまして。‥‥さて、まだベネトさんの試合があるし、戻ろうか?レグルス。」

「ああ。」


そうして、私とレグルスは姉様と分かれて控え室に戻るべく、歩き出した。


「なあ、マリン。」

「ん?」

「最後のはもしかして、その場での思いつきだったりしたか?」

「うん。」

「末恐ろしい才能だよな‥‥」

「ふふっ。でも私の魔法は水と風の属性持ちには参考になるでしょ?」

「ああ。私の場合は風だが、こんな使い方あるんだなって勉強になった。」

「‥‥そういえば、私の周りって水と風使える人多いよね。」

「確かにな。‥‥両方ないのはベネトさん、フレイ様、リジアぐらいか?」

「えっと‥‥‥‥うん。そうだね。他は両方かどっちか使えるね。」

「だな。」

「‥‥‥いつかその全員が使える様になるかもな‥‥」

「そうなると、ますます強くなるな。マリンの周りは。」

「そうだね~。みんなのいざという時の手数が増えると思えばいいかな。」

「ああ。‥‥あ、マリンが最後に使ったやつ、後々教えてくれるか?」

「いいよ~。」


そんな話をしている間に控え室に着いた。

すると。


「マリン、殿下。見応えはあったが、すごい戦いするな。」

「そう?」「そうか?」

「ああ。‥‥まあ、とりあえず。マリンは優勝おめでとう。殿下は残念だったな。」

「ふふっ。ありがとう、ベネトさん。」

「まあ、マリンを戸惑わせただけ上出来だと思うことにするよ。」

「ははは!確かにな!‥‥さって、次は俺の番だな。」

「頑張って!ベネトさん。」

「おう!」


そして、五年生決勝に向かったベネトさんを見送ったあと、他のみんなからも、私には「優勝おめでとう」で、レグルスには「残念だったな」などの声をもらった。


その後は開始されたベネトさんの試合を全員で見た。


さすが。あっさり勝って優勝したベネトさん。


戻ってきたベネトさんに全員で「優勝おめでとう」と言うと。


「マリン。これで剣術と魔法の両方で優勝だ。‥‥挑ませてもらうぞ?」

「ふふっ。もちろん。‥‥受けてたつ!!」

「ははは!さすがマリンだ。」


と、盛り上がってはいるが、これからお昼休憩である。

ということで、貴賓室に向かい、3つの魔法を施したところで、皇族の皆様が魔道具を解除して姿を見せると。


「マリン、凄かったな!レグルスとの決勝戦。」

「ふふっ。なかなか面白かったでしょう?」

「ああ!最後のは風の系統だよな?」

「はい。」

「後々、教えてくれるか?」

「ふふっ。さすが親子。」

「え?‥‥ああ、レグルスも言ったのか?」

「はい。」

「まあ、あんなの見たらやりたくなるよな?」

「ですね。‥‥絶対父上より先に私が使える様になりますよ。」

「そりゃ当のマリンが側にいるからな。‥‥で、マリン。俺にも教えてくれるか?」

「来年の夏休みですね。」

「‥‥‥‥そうなるよなぁ‥‥」


と陛下は項垂れたものの、私がここに来た目的である昼食を出すと、瞬時に復活した。

なので、皇帝陛下は大丈夫だなと判断した私は視線をもう一人の国王に向けた。


「国王陛下。」

「ん?なんだ?」

「午後からは優勝者特典の対戦があります。私の分は陛下に委ねてますので、最後に回そうかと思ってます。」

「ああ。それでいいぞ。‥‥マリンの体力と魔力は心配するだけ無駄なのだろう?」

「ふふっ。今見ても表示されてないでしょうね。桁が異常だから表示不能な訳ですし。」

『‥‥‥』


「マリン。ちなみに私の魔力も体力もしっかり減ってるぞ。」

「だろうね~。でもリオトとベネトさんはしっかり回復に専念してね。疲れたままなら様子見もなく瞬殺するよ?」

「は、はい。」「お、おう。」


そんな会話のあと、貴賓室を出て家族と合流すると、何故か姉様までいた。

そして、ヒスイ兄様、アクア兄様、姉様、リリ姉様、マリア姉様が私に期待の眼差しを向けてきた。


「「「「「マリン(ちゃん)!」」」」」

「‥‥姉様達と兄様達も先程私が使った魔法を教えてくれとか言ったりしますか?」

「「「「「正解!」」」」」

「‥‥やっぱり‥‥」

「俺は水も風も使えないからなぁ‥‥なぁ、マリン。さっきみたいな応用、火とか土とかであったりしないか?」

「え?えっと‥‥‥思いついたらお伝えしますよ、フレイ兄様。」

「ああ。ありがとな。」


「で、リリ姉様とマリア姉様はしばらくは駄目です。」

「「え!?」」

「当たり前でしょう~?」

「「!!」」

「そ、そうよね‥‥」

「分かったわ‥‥」


その後はしっかり昼食をとり、貴賓室に戻って皇族の方々が食べ終わったあとを回収し、いよいよ午後の優勝者特典の時間です。


私達生徒会全員で審判用の壇上に上がった。

目の前には開会式と同じく、全生徒が集まっている。


そして、私はマイク片手に話し出した。

(開催宣言で吹っ切れてしまった為、この場での恥ずかしさによる抵抗がなくなった。)


「さて、皆様。全学年での優勝者が決まりました。賞状の授与は後程しますが、まずは優勝者特典の対戦です。一年生から順に伺っていき、その後対戦を開始したいと思います。‥‥ということで、まずは一年生の剣術部門と魔法部門優勝者の方々。どなたを指名されますか?」

「「マリン様でお願いします!」」

「‥‥‥‥私ですか‥‥分かりました。‥‥では、二年生の剣術、魔法両方の優勝者である、リオト殿下はどなたをご指名されますか?」

「もちろん、マリン様でお願いします!」


ちなみにこれを公の場と判断した私達は他所向けの話し方にしている。

そして、三年生も両方私を指名してきた。


「‥‥さて、四年生は私が両方の優勝者ですが、私には指名の希望がありません。」

『え?』

「ということで、陛下に決めて頂けないかと進言してみたところ、陛下は快く受けてくださいましたので、後程伺いたいと思います。」

『え!?』


うん。私が誰を指名するか気になってたんだろうね。

まさかの陛下に丸投げも驚くよね。「いつ話した!?」って思うだろうし。

まあ、それはいいとして。


「最後に五年生の両方の優勝者であるベネト様。どなたをご指名されますか?」

「もちろん、マリン嬢です。‥‥よろしいでしょうか?」

「ええ。構いませんよ。‥‥さて、四年生以外の全員が私をご指名頂きましたので、早速始めたいと思います。生徒の皆様は武舞台から離れて観戦をお願いしますね。」

『はい!』


そして、武舞台が空き、一年生の剣術優勝者と対峙した私。


‥‥お分かりでしょうが、結果は私の余裕勝ちです。

剣術、魔法両方共、様子見をしてから軽~く場外に出して差し上げました。


次のリオトはしっかり体力も魔力も回復させてから挑んでくれたので、一年生よりしっかり相手した。

剣術と魔法で分ける意味はないねと合意の上で剣と魔法の両方ありきで戦った。


三年生は別々だったけど、ここでもちゃんと様子見をしてから軽く場外に出して終わり。

もちろん、本人達も含めて誰にも言ってないが、この三年生2人よりリオトの方が強かったなと私は思った。

心の中で呟いて声には出していない。


そして、四年生は私なので飛ばして、五年生のベネトさん。

ベネトさんも剣と魔法、両方ありきで戦った。

やっぱり一番連度が高くてこの特典戦で一番の強者だった。

それでももちろん、私が勝ったけど。


具体的に言うなら、レグルスとやった剣と魔法、両方の決勝戦より更にいい勝負を繰り広げた。

(見ていた友人達の言。)


ということで、私はまだ武舞台の上にいる。一人だ。


「【拡声(ラウンドスピーカー)】」

『え?』


マイクはこの特典戦の間に陛下に届けてもらっている。


[さて、陛下。あとは私の分だけとなりました。]

[うむ。その前にマリン。この対戦に人数制限は?]

[あ。考えてませんでした。‥‥とりあえず、私個人としては複数人相手でも支障はありません。]

[そうか。ならば、学園の理事長であり国王という立場を使い、人数制限をあったとしても無視する。]

『え!?』

[はい。構いませんよ。]

[では、発表する。四年生の剣術と魔法、両方の優勝者であるマリンの対戦相手は‥‥]


ゆっくり数秒ためたあと、陛下は告げた。


[━━━━だ。]

『え!?』

[もう一度言うか?]

『はい。』

[━━━━だ。]

「え?」

『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』


会場中が一体となった瞬間だった。


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