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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
253/289

277話 改めて、別人の様に変わったなぁ‥‥

そしてお昼休憩の時。

まずはシリウス達と共に貴賓室へと向かった。

そこでは既に国王夫妻と公爵夫妻が昼食をとっていた。


「お。マリン。開催宣言、面白かったぞ。」

「ふふっ。それなら良かったです。‥‥さてと。」


と私は貴賓室の前方、武舞台が見える方に向かって‥‥


「【蜃気楼(ミラージュ)】」


舞台や正面の観客席から見えない様にしただけだ。

ちなみにこの貴賓室、左右と天井、入り口は壁に覆われており、入り口として扉がついているが、舞台側は観戦のために開かれているのだ。

なので、幻が見える様にした。


「【シールド】、【消音(サイレント)】」


加えて蜃気楼(ミラージュ)の内側に音漏れ防止のために消音を重ね掛けしたシールドを張った。


「よし。皇帝陛下、皇族の皆様。雲隠(ディスアピア)解除しても大丈夫ですよ。」


と言うと、四人は一斉に解除して再び姿を現した。


「「父上!」」

「よ!レグルス。マリンのおかげで来れた。」

「本当に。助かります、マリン。」

「ふふっ。いえいえ。さて、皇族の皆様。我が儘を言っていいと申し上げると、やっぱりご飯食がいいですか?」

「「「「もちろん!」」」」

「やっぱり。でも王国にお米はないので、私が屋敷の料理人に手伝ってもらって作ってきました。」

『え!?』


この場にいる王族、皇族、公爵家の全員の声が揃った。


「え?‥‥だって一応、王国のお客様でしょ?明かされてないとはいえ。しかも皇族の方々なんだからおもてなしするべきかなって‥‥」

「それは私達の分もあるのか?」

「え?うん。一応、レグルスとベネトさんの分もあるけど‥‥?」

「「やった!!」」


「マリン。本当に料理できるんだな‥‥」

「国王陛下といえど、失礼ですよ?シリウス達も食べたことありますし。」

「なに!?‥‥‥そういえば自慢気に話してたな、シリウス。」

「え?自慢したの?シリウス。」

「えっと、嬉しかったからつい‥‥」

「まあ、いいか。とりあえず出しますね。」


貴賓室ということで、広々としたテーブル席に座っていたのもあり、そのテーブルの上に作ってきた料理をストレージから出して並べた。


「ちなみにお味噌汁とスープ、どっちがいいですか?」

「「「「「「味噌汁。」」」」」」

「おお‥‥全員一致とは‥‥では、出しますね~。」


と再びストレージから味噌汁を作っておいた鍋を出して、器に盛って配っていった。


「ん?マリン。違う食材入れてるか?」

「はい。カボチョは夏の食材ですからね。今回はさつまいもを入れました。他を試すならナスとかもおすすめですよ。」

『へ~!』

「さて、シリウス達はどうする?」

「え?」

「私は父様達のところに行こうかなって思ってるけど。」

「なら、私もご一緒していい?父様、今日来れないって言ってたから、もちろん今もいないのよ。」

「いいよ。リジア。」

「「「「‥‥‥」」」」


シリウス、リオト、リゲル、ルビアの四人は迷っていた。本来なら両親がいる貴賓室にこのまま残って食べるべきだろう。

だが、マリンの作ったのを食べたい気持ちとマリンの家族に合流したい気持ちもある。

前者はともかく、後者は難しい。明らかに迷惑で周囲に誤解を与えかねないからだ。

その点、リジアはマリンのいとこで親友。親が来てないならマリンの家族と一緒でも問題ない。むしろ微笑ましいだろう。


それを四人共考えていた。

そして出した結論は。


「マリン。ここで父上達と食べるよ。」

「俺も。」

「僕も。」

「私もですわ。」


マリンに迷惑を掛けたくない。マリンなら頼んだら作ってくれるだろう。

そう思って出した結論だった。


「そっか。分かった。‥‥皇族の皆様。お昼休憩が終わる前に魔法の解除と鍋とかの回収に戻ってきますね。」

「ああ。分かった。」

「じゃあ、行こ。リジア。」

「うん。」


そう言ってあっさり去っていったリジアとマリンを見送ったあと。


「シリウス、リオト。マリンが作ったやつ食べてみたいとか、辺境伯家に合流したいとか思っただろ?」

「「うっ‥‥」」

「リゲルとルビアも。」

「「うっ‥‥」」

「まあ、マリンなら頼んだらまた作ってくれるか。」

「それに辺境伯家に合流すると迷惑でしかないでしょう。」

「「「「‥‥‥」」」」

「ルビアならよかったんじゃないか?」

「は!‥‥‥明日の楽しみにしますわ‥‥」

『‥‥‥』


憐れ。女の子のルビアなら問題なかった。


そんなシリウス達を他所に満足気な顔でマリンが作った昼食を食べるレグルスとベネトだった。


そして辺境伯家、大公家に合流したマリンとリジアも満足気に昼食を食べるのであった。

ちなみに大公家もいるのでそれぞれの姉がいる。そのため、シリウス達やリゲル達が来ても問題なかった。

それをシリウス達が思い出すのは昼食を食べ終わった頃だった。


マリンが皇族が食べ終わったあとを回収し、皇族達が雲隠(ディスアピア)を再び起動したのを確認してからシールドなどの魔法を解除すると。


「そういえば、リリ姉様とマリア姉様がね、シリウス達が貴賓室で食べてるって知って驚いてたよ?」

「ようやく学んだか。とも言ってたわね。」

「「「「!!!」」」」

「「「あ、姉上がいた‥‥」」」

「「え?」」

「マリン。シリウス達はマリンのために合流しなかったことを今、すごく後悔しているところだ。」

「え?‥‥‥はぁ‥‥」

「マリン姉様。明日はご一緒してもよろしいでしょうか?」

「え?うん。もちろんいいよ。ルビア。」

「やりましたわ!」

「さて、みんな戻ろうか?」

「「ああ。」」「はい!」


返事をしたのは満足気なレグルス、ベネト、ルビアだけである。

シリウス、リオト、リゲルは項垂れていた。



そして午後からは魔法の予選。

何しろ人数がこちらの方が多いため、各学年で二分割して戦う。

それでも70人以上分の8人ずつに絞らねばならない。

午前中は一面だけで行っていたが、午後からは二面併設で行う。

午前中と同じく一年生から順に。


そしてその舞台装置だが、魔道具を交換して使う。

魔道具としては、午前中の剣術の時とさほど変わらない。

開始の合図と共に魔道具を起動すると、半透明の壁が四方を囲む。ここから一度出てしまうと舞台に復帰はできない。そしてこの魔道具、同じく開始の合図と共に中にいる人達の魔法を全て一旦、強制解除させる。私のサーチも解除される。

ここまでは同じ。違うのは舞台上で使用可能な魔法を制限できること。今回の場合だと(ボール)のみ。

それ以外を使うと、強制退場させられるらしい。


改めて思う。この装置、出来すぎじゃなかろうか?

‥‥‥まさかまた創造神様が?

と考え始めたが、やめた。精神的に無駄に疲れそうだ。


そんなことを心の中でやってる間も一年生が予選をしている。

もうすぐ終わりそう。

次は二年生のリオト達ということで、生徒の入れ替わりが始まったところで。


ん?‥‥‥狙いは‥‥‥

リオト!?


と動こうとすると、別のところから


「きゃぁ!」


悲鳴が聞こえた方を見ると、短剣を持つ男性に捕まった女子生徒が‥‥って、


「ルビア!?」

「マリン姉様!」

「おっと!‥‥動くなよ?お前が天使だな?」


‥‥‥まだ根付いてたか、天使。


「‥‥はぁ‥‥リオトを狙っているのはあなたのお仲間ですか?」

「おうよ!二人の命が惜しければ言う通りにしろ。」

「‥‥‥とりあえず用件は?」

「‥‥‥なんでそんなに冷静なんだ?」


ピキッ


「用件は?」

「!!‥‥用事があるのは天使だ。こっちに来い。」

「用件は?」

「‥‥こっちに来たら話す。」

「はぁ‥‥ルビア、リオト。私を信じられる?」

「「!! もちろんです!」」

「ん。いい返事。‥‥さて、私はあなたに用事はないので従うつもりはありません。」

『え?』

「という訳で。‥‥ルビア、怖かったら目閉じてていいよ。」

「‥‥大丈夫ですわ。マリン姉様を信じてますもの。」

「ふふっ。なら期待に答えないとね。」


直後、身体強化を使った私はルビアのところに走り出しながら


「【水柱(ウォーターピラー)】」

「な!‥‥ぐぁ!」


リオトとルビアを水柱の中に閉じ込めた。

突如現れた水に思わずルビアの拘束を離してしまった男性に瞬時に近付き、麻痺(パラライズ)で倒した。


次、と振り返った先。

それはリオトを狙っていた狙撃主。

と言っても弓だが。


ただ、狙撃主がいるのは闘技場の観客席の最後尾。一番高い位置にいる。

私が動くことで狙いをリオトから私に変えた場合、避けたりすれば他に被害者が出かねない。

なら動かなければいい(・・・・・・・・)


それに。と「相手が弓なら私も弓で答えてあげようじゃないか。」と思った私は水を変形させて即席の弓を形成した。矢は麻痺(パラライズ)を施してある水矢だ。


『え!?』


周りから驚きの声が上がるが、無視して狙いを瞬時に定めて直ぐに射った。

私は控え室近くの外にいるだけ、狙撃主は観客席の最後尾。普通の矢なら届かない距離だが、標的固定(ターゲットロック)もした魔法の矢だからこそ届く。


そして狙撃主が矢を放つ前に仕留めることに成功した。


『‥‥‥‥』


観客席、舞台上の生徒達など全ての人が呆気にとられていた。


私は他に敵意を感じないことを確認後、リオトとルビアに使っていた水柱(ウォーターピラー)を解除した。

そして私が何かを言う前に、なんとシリウスが声を上げた。


「騎士達!何を呆けている!賊を捕らえろ!」

『!! は!』


はっとしたように手が空いていた騎士達が動き出し、犯人達を拘束していった。

そんな中、シリウスとリゲルが私に近付いてきた。


「マリン。」

「ん?」

「リオトを守ってくれてありがとう。」

「俺も。ルビアを守ってくれてありがとう。」

『!!』

「! ふふっ。うん。どういたしまして。」


そしてそこにリオトとルビアも来た。


「「マリン姉様!!」」

「リオト、ルビア。信じてくれてありがとう。」

「当然です!」

「当然ですわ!マリン姉様を疑う余地などありませんもの。それより、マリン姉様。こちらこそ、ありがとうございました。」

「ふふっ。いいよ。それより、ルビア。怪我してない?」

「はい!無傷ですわ。」

「よかった~。刃物とか怖かったよね?」

「最初だけですわ。マリン姉様を見た瞬間に大丈夫だと思えましたもの。」

「お、おぉ‥‥なんかすごい信頼を得ていた‥‥」

「ふふっ。実際、私のために怒ってくださったのが嬉しかったですわ。」

「あいつ、馬鹿なこと言うんだもん。何で冷静かとか普通聞く?そんなの、瞬殺できるからに決まってるのに。

‥‥なんか無性にイラッときたんだよね~。私を狙うなら正面からくればいいのにリオトとルビアを使おうとするし。二人共、むしろごめんね。」

「「いいえ!!」」

「でも瞬殺できるのはマリンだけだぞ‥‥」

「‥‥で、あいつら私に用って何だったんだろうね?」

「どうせろくでもないことだろ。」

「だよね。」


と話していると、騎士が一人来てシリウスに跪いた。


「王太子殿下。賊の拘束完了しました。今、手の空いたもので連行しております。」

「ああ。分かった。ご苦労様。父上にも報告しておいてくれ。あと念のため、引き続き警戒を頼む。」

「は!畏まりました。」


そう言って報告に来た騎士が去っていった。

その短い会話の間、無言だった私達。


「「「「‥‥‥」」」」

「ん?どうした?」

「「シリウスが‥‥」」

「兄上が‥‥」

「シリウス兄様が‥‥」

「‥‥‥なんだ?」

「「「「王太子らしいことを!?」」」」

「‥‥失礼だな。四人共。」

「‥‥でも。」

「ん?」

「ふふっ。今のシリウスの方がやっぱりいい。10歳ぐらいの時に戻らないでね。」

「!!‥‥ああ。もちろんだ。11歳ぐらいまでの俺は完全に黒歴史だからな。」

「「「「ぷっ!!」」」」

「く、黒歴史!!た、確かに!!」

「あ、安心してくれ‥‥お、俺が一番近くにいたが‥‥ぜ、絶対に話さないから‥‥!」

「‥‥‥笑いすぎだろ‥‥二人共。」


リオトとルビアが参加するはずの魔法の予選。

その審判をする魔法師団の人がまもなくおずおずと話し掛けてくれたのだが、私達はそれまで笑い続けていた。


参加人数を間違えてました。

一学年につき200人だったので、剣術が50人ぐらいなら魔法の方は150人ぐらい。2分割すると70人ずつぐらいだったなと。

そこだけ修正しました。

※2021,9,18

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