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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
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274話 二人だけの会話

客人達は楽しめたのか微妙な王都観光が終わって一旦城に戻ってきた私達。そしてそのまま解散ということになったが、私はふと思い出してリオトに聞いてみた。


「そういえば、リオト。聞いていい?」

「はい。なんでしょう?」

「街で絡まれた時、ルビア含めた女性陣を守るだけで反撃しようとしなかったでしょ?どうして?」

「ああ。僕なら反撃できたはずだからですよね?」

「うん。」

「簡単です。僕は帯剣してませんでしたし、実害はまだなかったので反撃する必要がなかったのと、僕が魔法で反撃すると中途半端に怪我させてしまうと思ったからです。あと、無理してルビア達を守りきれない方が良くないですし、無理をしなくてもマリン姉様が側にいてくれましたから。あの時は素直にマリン姉様を頼るのが最善と判断しました。」

「そっか。‥‥うん、いい判断。正解だよ、リオト。」


と言いながらついリオトの頭を撫でると、リオトが私を見てきょとんとしていた。


「あ。ごめん。つい‥‥嫌だった?」


と言いながら手を離そうとすると、


「待ってください!‥‥嫌じゃないので続けてください。」


と言われたので続けると。


「‥‥‥頭、撫でられたの初めてです。」

「え?シリウスはともかく、リリ姉様や陛下、王妃様は?」

「おい。ともかくってなんだ。」

「誰も。教育係に褒められても頭を撫でられたりはなかったですね。」

「へぇ~そうなんだ‥‥」

「‥‥‥」


マリンとリオトはシリウスを無視することにしていた。


「私、父様や母様、姉様や兄様達に撫でられてきたからいつか撫でる側やってみたいな~って思ってたんだけど‥‥王家はそんなことないのかな‥‥?」

「マリン姉様。それはシリウス兄様のせいに決まってますわ。」

「‥‥‥」


ルビアに言われてリオトのさらさらの髪を撫でる手を止め、シリウスをまじまじと見て‥‥‥納得した。


「問題児のせいか‥‥」

「おい。」

「ちなみに私も撫でられたことがありませんの。なので、マリン姉様。特に何もしてませんが、私も撫でて頂きたいですわ。」

「いいよ~ルビア。」


と今度はルビアの柔らかい髪を撫でる。

変わらずシリウスは無視である。


「うわ‥‥ルビアの髪柔らかい‥‥」

「そうですか?‥‥私もマリン姉様の髪、触ってみたいのですが‥‥」

「いいよ~。」


と言ってちょっと屈むと、ルビアがおずおずと手を伸ばして私の頭の上にぽふっと手を乗せて撫で始めた。


「マリン姉様の髪、さらさらですわ~!」

「そう?‥‥ふふっ。久しぶりだな~この感じ。」


そんなマリンとルビアの様子をどっちになのかは分からないが羨ましそうに見るリオト。

その三人の様子を見たリジアが呟いた。


「シリウス、リゲル。羨ましいなって思ってるでしょ?」

「「うっ。」」

「ちなみにどっちに?」

「「‥‥‥両方。」」


やがて、マリンとルビアがお互いに満足したところで。


「シリウス、リゲル。羨ましいならリオトとルビアを撫でてあげればいいのに。今だけだよ?撫でても微笑ましく映るのは。大人になったら二人に子供扱いするなって拒否される様になるかもよ?」

「「‥‥‥」」

「マリン。この二人は羨ましいのは両方って言ったのよ?」

「え?そこは聞いてなかった。‥‥両方って?」

「マリンの髪、触ってみたいんじゃない?」

「え?触ったことあるでしょ?」

『え?』

「え?だって私、髪長いから抱きしめられた時、背中の髪に触ってるでしょ?」

『‥‥‥』


「マリン。意味合いが違うわ。」

「え?」

「抱きしめてたら違うところに意識が行くから、手に触れた髪の感触は覚えてないと思うわ。」

「‥‥‥そうなの?」

「「‥‥ああ。」」

「‥‥‥撫でてみたいの?」


コクン


何故か二人だけではなく、レグルスやリオトまで頷いた。


「‥‥‥私、犬や猫じゃないんだけど?」

「分かってるよ‥‥」

「‥‥う~ん‥‥あのさ、今更気付いたんだけど、こんなところですることじゃないよね?」

『あ。』


今は馬車を降りてそのままだったので、城の玄関口にいる。そして、馬車はいつの間にかレグルス達のお迎えの馬車に変わっていた。


「という訳で今は駄目。別の時に気が向いたらいいよ。」

「気が向いたら‥‥?」

「うん。気が向いたら。そもそも忘れる可能性の方が高いかな~。」

「「「「‥‥‥」」」」

「とりあえず、帰ろう?リジア。レグルスとベネトさんも。」

「ふふっ。そうね。」


そうして私はシリウス達の願望(?)を無視して帰路についた。



そして、この三国の交流会は予定通り一週間の滞在で終わった。

帝国と教国からの客人達の帰りは西と南の辺境伯家が国境まで送り届けることになり、西は勿論父様がアクア兄様と共に迎えに王都まで来た。南も当主であるアストル様が来た。


私は父様とアクア兄様。二人とあまり話せず、すぐに帝国からの客人と共に帰っていった。

見送りをした際、アリス様が「いつかまた機会がありましたらお願いしますね。」と王都観光のリベンジを望んでいる様だった。

それはリアラ様もだったが、それに加えて「教国にいらっしゃるのを楽しみにお待ちしておりますわ。」と言われた時、なんとか笑顔で「はい。」と返事するのが精一杯だった。


‥‥‥笑顔、繕えてたかな‥‥?


そして私達が客人の帰りを見送りだけになった理由である中間試験も終わった。

ということで。楽しみだった剣術・魔法大会である。


結局、全校生徒参加することになったので会場は闘技場を貸してもらえることになった。

なったのだが、試験最終日の放課後の今、その話の為に呼び出された私はいつもの城の一室で陛下と二人で話していた。


「マリン。悪いが、当日ベアルを迎えに行ってきてくれるか?」

「‥‥‥やっぱりそうなりますか‥‥皇帝陛下からの要請が来ました?」

「ああ。ちなみにラルクもだろう?」

「ええ‥‥まあ。でも父様はアクア兄様と共に自分で来るそうですよ?」

「ならフレイとマリアか。」

「はい。ヒスイ兄様も当日、リリ姉様と来てくださるそうです。」

「私も行きたいのだが‥‥」

「え?堂々と来たらいいじゃないですか。陛下は理事長ですし、闘技場は陛下が許可を出さなかったら借りられなかった訳ですし。」

「それもそうか‥‥でも警備がな‥‥」

「そう思うなら一ヶ所に留まっててくださいね。その方が警備しやすいでしょうから。それに騎士団と魔法師団に審判の要請もしてますので、その分人員はいます。警戒の目は多いですよ。」

「そうか。それもそうだな。マリンもいるしな。」

「‥‥‥私も参加者なんですけど?」

「サーチ使いっぱなしでも十分戦えるんだろ?」

「普段ならそうしますが、初戦は人数を減らすために総当たり戦をするので、その間は解除しますよ?不公平になりますから。」

「ああ‥‥そうだったな。」

「なのでその時は気をつけてくださいね。シリウスの時の様に死角から不意に凶刃が迫る。なんてことも考えられますから。」

「ああ。何もないことを祈るさ。」


「ところで、マリン。聞いていいか?」

「はい?」

「交流会、どうだった?」

「ああ‥‥初日の顔合わせで怒って出ていくって演技したあとは平和でしたよ。」

「ははは!聞いてるぞ。」

「シリウスからですか?」

「ああ。折角だからと聖女殿に色々言ったそうだ。」

「ふふっ。それは私も一部、聞きました。」

「一部なのか?」

「はい。その一部でもシリウス達にとって私はこう映ってるんだってちょっと嬉しかったので、それで十分かなと。」

「そうか。交流会だが、来年もと言われたら‥‥」

「嫌です!」

「だよな‥‥」

「行事を挟めなくなります!」

「理由はそこなのか‥‥?」

「はい。」

「‥‥‥他にもやりたいことがあるのか?」

「はい。夏休みにシリウス達に提案したのは三つ。その一つが剣術・魔法大会です。残りの二つは‥‥」

「シリウスから聞いたが、修学旅行と学祭だったか?」

「はい。どういう行事かも聞きました?」

「ああ。面白そうだとは思った。だが、今年度は難しいな。」

「はい‥‥。」

「来年度、マリンの主導で実現してくれ。ちょうど、教師達からも授業内容の見直しだけじゃなく、この剣術・魔法大会をきっかけに行事を増やすのは?との意見も上がり始めているそうだ。」

「え?そうなんですか?」

「ああ。それに、神々からもマリンの前世の知識を広めるのを許可されているのだろう?」

「はい。私が楽しめる常識の範囲内で、ですけど。」

「ああ。理事長として楽しみにしている。」

「はい。」


二人だけの会話はまだまだ続く。


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