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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第10章 学園行事
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273話 王都観光

そして話し合いの結果、治安のいい貴族街を巡るだけにしようということになった。

帝国の人達は大使館、教国の人達は大聖堂に滞在しているということで一番集まりやすい王城に集合することになった。


翌日。お昼前。

私はお隣さんの馬車に乗り、伯爵邸に寄ってリジアも乗せて四人で王城へと向かった。

そして相変わらず城門を顔パスですんなり通過して馬車を降りると、そこにはメリアさんがいた。


「あれ?メリアさん?」

「ふふっ。こんにちは。マリンさん。」

「こんにちは‥‥‥どうしてメリアさんがここに?」

「皆様庭園にてお待ちです。どうぞ。」

「え?」


何故庭園?


と思いつつメリアさんのあとについて行き、庭園に着くと‥‥


「お。これで揃ったな。マリン達も座ってくれ。」

「え?うん。」


ひたすら頭に?を浮かべながら私達が指示された場所に座ると、シリウスが気付いて


「マリン。何故庭園?とか思ってるだろ?」

「うん。」

「やっぱり聞いてなかったんだな。」

「へ?」

「マリンが昨日何か考え込んでる時に昼食はみんなで食べようって話が上がってな。それで、城の庭園を使う提案をしたんだ。」

「みんなそれに乗り気でな。陛下もいつかマリンを誘って庭園でゆっくりしていいぞって言ってくれてたから、反対しないかなってその場で決めてたんだよ。」

「結果父上もあっさり許可してくださったからな。」


全員にっこりしているのを見て、


「‥‥知らなかったの、私だけ?」


コクン


全員が頷いたのを見た私は、


「だからさっき、お昼前にレグルスとベネトさんが来たのか‥‥道理で二人にしては珍しく強制連行するから何事かと思ったけど、そういうことか‥‥。」

「ああ。ここにいる俺達全員、立場がすごかったり王国の賓客だったりするだろ?そして今日、一番苦労するのはマリンだ。俺達全員の我が儘を受けてくれたマリンに少しでも休息をってことだ。」

「!!!‥‥‥そっか。ならお言葉に甘えてゆっくりさせてもらうね。」

「ああ。」


そして外の爽やかなそよ風が流れる中での昼食会が始まり、和気あいあいとした空気に包まれる。

庭園の一角にいるのもあり、花達の優しい香りも風に乗ってくるのを感じながら食後の紅茶を飲んでいると‥‥


「ああ~‥‥癒される~‥‥」

「マリン‥‥心からの声よね?今の‥‥」

「うん。私、学生じゃ本来あり得ない経験ばっかりしてるから‥‥青空の下で新鮮な空気を吸いながらゆっくり紅茶を飲んでると、本当に癒されるんだよ~‥‥」

『‥‥‥』


「これでテーブルマナーとかも完璧なんだから恐れ入るよな‥‥」

「全くだな‥‥」

「そう?‥‥‥陛下~覗き見はお行儀悪いですよ~!」

『え?』


と全員で庭園の入口を見ると、気まずそうな陛下が出てきた。

そして私達に近づくと、


「いや、覗き見するつもりはなくてな‥‥」

「心配でしたか?」

「ああ。マリン、すまんな。いつも。」

「いえ。もう諦めてます。‥‥‥でも‥‥」

「でも?」

「ここの庭園、落ち着きますね。兄様達の結婚披露宴では結局あまりゆっくりできませんでしたが、今はゆっくりできて癒されてます。」

「そうか‥‥なら良かったよ。」


ちなみに私と陛下が話している間、客人方はピシッと固まっていた。

私が座ったまま話している相手は立ったままのこの国の国王。客人全員がハラハラして見ていたが、シリウスや私の周りの人達がいつも通りなので「これは普通なのか!?」と更に戸惑っていた。


「‥‥陛下。」

「ん?」

「平和って素晴らしいですよね‥‥」

「‥‥‥私もそう思うが、その歳で言う言葉じゃないだろ‥‥」

「それでも最近、戦うことが多かったのでしみじみとそう思ったんですよ‥‥」

「‥‥歴戦の英雄の様だな‥‥」

「ふふっ。そんな大それたものではありませんよ。」

「マリン。俺達にとってマリンは正しく英雄だよ。」

「シリウス?」

「私達にしてもですわ。帝国の長年の懸案事項だったアンデッドの集団を浄化してくださったのもマリン様なのでしょう?」

「教国の民を救ってくれたのもです。聖女として改めて感謝申し上げますわ。」

「ほら、歴戦の英雄だ。」

「‥‥‥素直に受け入れるのも恥ずかしいですね‥‥。私は私にできることをしてきただけですから。」

「ふふっ。なら私達が勝手にマリン様を尊敬することにしますわ。」

「私もです。」


「さて、そろそろ行くか?」

「そうだね。」


学生が全員立ち上がると、離れて控えてくれていたメイド達が一斉に片付け始めた。


「マリン。」

「はい?」

「庭園ならいつでも来ていいからな。」

「ふふっ。はい。ありがとうございます。陛下。」


そして私達は数台の馬車に分かれて移動し、貴族街の入口付近で馬車を降りて、徒歩での散策を始めた。


『‥‥‥‥』

「‥‥‥絶対シリウスのせいだ。」

「いや。マリンもだと思うぞ?」

「いや。レグルス。私より絶対シリウスだよ。」


何のことかと言えば、当然注目を集める原因だ。

王太子として市民にも顔見せしているシリウスが貴族街とはいえ、普通に歩いてるんだから見るなっていうのは無理な話だ。

だって変装すらせずにそのままのシリウスで歩くから余計にすぐバレた。それこそ馬車を降りた直後。


「何で変装しないかな~?」


と私がシリウスを軽く睨みながら言うと、


「面倒臭いだろ?それに、変装なんてそこまで自意識過剰なつもりはないぞ?」

「‥‥むしろそこだけは自意識過剰になってよ‥‥。」

「全くです。兄上。」

「リオト?ここは貴族街なのよ?リオトも第二王子だって目立ってるんだからね?」

「え!?」

「あの、マリン様?それなら私達帝国や教国からの者達以外全員が目立つ原因なのでは?」

『‥‥‥』


ここは「貴族街」。貴族の屋敷が建ち並ぶ区域でもある。私、レグルス、リジアの屋敷もある。

その客層に合わせて高級店も並ぶが、小金持ちの平民でも買えなくはない値段設定の店もある。

そこに市井にまで顔見せしているシリウスに、貴族達には知られている私達。

街にいる人達が貴族の人達だけじゃないのは分かるが、そりゃ目立つわなって話なのだ。


「‥‥‥よし。周りは気にしない方向で行きましょう。時には諦めも肝心です。」

『‥‥‥』

「それよりアリス様達は何か欲しい物などございますか?」

「え?えっと‥‥特に‥‥街を自由に自分の足で歩く機会がなかったものですから‥‥。」

「あ~。そうですよね~。私も王都に来るまでは一人で出歩くことは禁じられてましたので分かります。」

「ん?一人でってことは誰かが一緒なら良かったの?」

「うん。それこそリジアも会った先生達だよ。領地では先生や母様。屋敷の人でも誰かと一緒じゃないと絶対駄目って父様に言われてたの。」

『へ~!』

「私が強いかどうかは関係ないって。‥‥私でもそうでしたから皆さんは余計でも。でしょうか?」

『はい。』

「誘拐の可能性を考えると仕方ないのかもしれませんが‥‥学園の授業に護身術が加わったら少しは違うのでしょうか?」

「できれば私はやりたくないわ。」

「リジアは私が魔法を鍛えてるから言えるんだよ。護身術が身に付いてるだけで自信になったりするよ?」

「マリンが言うと説得力がすごいわね‥‥」

「人それぞれだからできない人もいるだろうけど、体を鍛えると思ったらいいんじゃない?それに私はそもそも誰かに守ってほしいんじゃなくて、守れる人になりたかったから頑張ったんだけどね。って話ずれたな。‥‥それで、皆様。結局、どこか興味を引かれる店とかありませんか?」

『‥‥‥』


(なさそうだな‥‥もしくは話してて見てない?)


後者の様な気がしたので、


「どこかで休憩してまた歩いてみますか?」


コクン


(何故言葉で返事しないのかな‥‥?)


とは思ったが、ふとこのまま進めば小さな公園があったことを思い出す。

そして全員でそこに向かい、果実水を買って一休みだ。


マリンはかつても買って飲んだことがあった為、何の疑いもなく買ったが、マリン以外の全員が買い食い(この場合は飲み物だが。)の未経験者。「駄目だったかな?」と思ったが、意外なことにマリンの様子を見て大丈夫そうだと結局全員果実水を買って店先で受け取った人から飲み始めている。


あの時の様にベンチに座って飲んでいると思い出す。


(あの時は姉様とマリア姉様が走って来たんだっけ。リリ姉様が誘拐されたって。)


あの時から三年の月日が流れている。


(11歳が誘拐犯一味を全員五体満足で確保とか‥‥本来はあり得ないことしたな~。)


と思い出して僅かに笑っていると、


『マリン。』と友人達が近づいてきた。


「どうかしたの?」

「ちょっと思い出してた。」

「何を?」

「三年前のリリ姉様誘拐事件。姉様とマリア姉様と合流したの、ここなんだよ。」

『へ~!』

「あの時も一人で果実水飲んでたら二人が走ってきたな~って。それよりシリウス。客人ほっといたら駄目でしょ?」

「‥‥‥それはマリンも同じだろ?」

「私は護衛役じゃなかった?サーチはちゃんと使ってるもん。」

「うっ。」


シリウスはほっとこうと、店先に視線を戻すと‥‥


「お嬢さん達だけ残して野郎共は散れ。」


絡まれていた。四人の大人の男性に。

リオトや教国、帝国からの合わせて三人で四人の女子の前に立ち、守っている構図ができていたので私はそちらに向かって歩きながら


「あ~‥‥絡まれちゃったか‥‥」と呟いたところで、リオト達全員がこっちを見た。助けを求めているのは明白なのでマリンはにっこり笑った。大丈夫だと。


「ふふっ。チャ~ンス。」

『え?』

「【氷弾(アイスバレット)】」


リオト達に絡んでいる男性四人の後頭部目掛けて撃ってあげた。

一人一発ずつ命中したが、このままだとリオト達の方に倒れていくので、【土捕縛(アースバインド)】で拘束した。


「「マリン姉様!!」」

「リオト、ルビア。皆さんも、こちらに。」

『はい!』


そしてリオト達が私達の後ろに避難できたのを確認したところで。


「メリアさん!騎士の方々。回収してください!」

『え?』『‥‥‥』


隠れてついてきてるのはバレバレだったのに出てこない。


「メリアさん‥‥?出てきてくださらないなら私、一人で帰りますよ?」


そこにいるでしょ?と目標の方向を見ると、メリアさんが出てきた。


「まっ、待ってください!回収しますから帰らないでください!」

「なら、最初から出てきてくださいよ‥‥。」

「ついてきてたのか!?メリア。」

「王太子を含めて大層な身分の集まりの護衛が私一人な訳ないでしょ?」

『‥‥‥』


「なによ?」

「いや。マリン一人だと本気で思ってた。」

「はあ!?そんな訳ないでしょ!?馬車を降りてからずっとついてきてたよ?」

「俺にはまだ一般人と騎士達の違いが分からない。」

「‥‥そもそも私に任せてサーチ使ってないでしょ?」

「うっ。」


と話している間に拘束が終わった様で。


「マリンさん。」

「は~い。」


土捕縛(アースバインド)を解除しただけだ。


そしてメリアさん達は衛兵の詰所にとりあえず預けてくるからここで待っててくれとのことだった。

見つかってしまったので、開き直ったメリアさんは数名の騎士で周りをがっちり固めてきた。


その後、メリアさんと連行するのを手伝っていた騎士達が戻ってきてからは何事もなく回れた。


これで本当に客人達は観光を楽しめたのだろうか?


多分、いや確実にそこに配慮してメリアさん達は隠れていたはずだった。

騎士達に囲まれたら楽しみ辛いだろうと。


だが、リオト達に絡んできたゴロツキ達を私が詰所に連行するのもその間、護衛がいなくなるのは得策ではないと私とメリアさんは判断したため仕方ない。


こうして王都観光は途中から微妙に楽しみ辛い形のまま終わった。



前回より期間が開いてしまい、すみません。

書きたい話は浮かびますが、先の方で。

この辺りも書きたいことがあったはずなのですが、お恥ずかしながら忘れてしまって‥‥思い出しながら書き進めていきたいと思います。

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