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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第1章 幼少期
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24話 新たな出会い

王城での話合い(?)から数日、私は別のことで頭を悩ませていた。

一言でいうと、暇なのだ。試験勉強といっても所詮10歳の子供の試験なので範囲は読み書き計算や歴史とかのレベル。3歳~5歳の間にほぼ出来ている。だから「今更」なのだ。


あまりに暇なので私は父様のところに行った。


「父様。一言でいうと、暇です。父様が領地に戻る時に一緒に戻っていいですか?」


「は?何で戻るんだ?戻っても一緒だろ?」


「一緒じゃありません!この屋敷は魔法の練習場がありません!」


「ああ。領地の屋敷はあるからな。」


「はい。だから一緒に戻っていいですか?」


「何で戻るのよ!」


「あれ?姉様、お帰りなさい。」


「ただいま。って、だから何で領地に戻るとか言うのよ!?」


「だって姉様。この屋敷では魔法も剣術も訓練が出来ないんですよ?体が鈍ってきます。私は暇なのです!」


「分かる。俺もそうだったからな。」


「あ。アクア兄様もおかえりなさい。」


「ああ。ただいま。」


「アクア兄様は領地には帰ってきてなかったですが、受験までどうしてたんですか?」


「庭で影響がない程度に軽く練習してたな。」


「う~ん。‥‥で、駄目ですか?父様。」


「ああ。駄目だな。」


「何故ですか!?」


「俺が王都に用事がないからだ。」


「理由はそれだけですか?」


「ああ。」


「ああ。って‥‥。」


いっそ毎日ゲートで草原に行くか?でもこっそり行くのもな‥‥。魔法使ったらバレるだろうし。


「マリン。何を考えてる?」


「え?いっそのこと毎日ゲート使って草原とかで魔法の練習‥‥あ。」


やべ。つい口に出しちゃった。


と気付いた時には遅くて。


「マリン‥‥今、なんと言った?ゲートとはなんだ?」


「‥‥‥空間魔法の一つで移動できる魔法です。」


「例えば?」


「例えば‥‥この屋敷と領地の屋敷にある両方の私の部屋を、空間を繋げて移動できます。」


「ほう?」


「私が行ったことがあるところにしか行けませんが‥‥。父様‥‥もしかしなくても怒ってますか?」


「正確には怒る手前だな。そのゲートは他に知ってるやつはいるのか?」


「いいえ。私がこの魔法を思いついてから何回か使ってみましたが、誰にも見られてないですし、話してもないです。今父様達にぽろっと言ってしまうまでは。」


「そうか。なら今後も誰にも話さず使うところを見られないようにな。大変な事になるぞ。」


「やっぱり、他に移動系の魔法を使う人はいないのですか?」


「ああ。もしかしたら伝説の魔法と言われるかもしれん。」


「ねぇねぇ。マリン。折角だからさ、ゲート見せて!」


「私はいいですが‥‥父様、いいですか?」


「この4人だけの秘密にするのもな‥‥とりあえず家族全員だけ情報共有するか。領地まで行けるんだろ?」


「はい。でも家族だけは難しくないですか?屋敷にはメイドさん達もいるでしょう?王都にいるはずの私達がいきなり表れたら驚かせてしまいますよ?」


「領地の屋敷にいる者達も知らせても大丈夫だろ。口が固い者達しかいないからな。」


「分かりました。じゃあ母様も呼んですぐ領地まで行きますか?」


「ああ。」


ということで、私の部屋に一旦私含め5人が集まったところでゲートを開く。

ゲートの向こうは領地の方の私の部屋だ。


「どうぞ。くぐってみてください。」


と言うと、4人共恐る恐るくぐっていった。最後に私がくぐると4人が固まっていた。


「どうかしましたか?」


「いや‥‥本当にマリンの部屋だな。と思ってな。」


そして、私の部屋を出ると予想通り驚かれた。

そして、家族全員と屋敷の使用人の人達全員が集まり情報共有がされた。

まあ情報共有されてもここと王都を毎日行ききして練習場使うなんて出来ないけどね。兵士さん知らないし。


「いやぁ。マリンには驚かされてばかりだな。その、ゲートだったか?いつ思いついたんだ?」


「ヒスイ兄様。私そんなに何度も驚かしましたか?‥‥まあいいですけど。思いついたのは洗礼が終わってすぐですから‥‥5歳ですね。」


『5歳!?』


「! は、はい。」


『‥‥‥‥。』


「えっと‥‥そうなるかなと思ったので今まで黙ってたのですが‥‥。」


「それで正解だな。みんなも他言無用で頼む。さて、情報共有出来たし王都に戻るか。マリン、頼む。」


「はい。この場で出しますか?」


「ああ。俺達も見たいから出してみてくれ!」


「じゃあヒスイ兄様達も一旦通ってみますか?」


「ああ!」


「はい。分かりました。」


今度は王都の私の部屋にゲートを繋げた。


そこをみんなで通り私の部屋に全員移動すると部屋の窓からの景色を見て、「本当に王都だ‥‥。」と確認できて満足したのか私達5人以外全員領地の方に戻った。


「それで、父様。ゲートで草原とかに行って魔法の練習してもいいですか?ここから直接行って帰ってきますので。」


「‥‥‥まあいいか。見つからない様にな。」


「はい!やったぁ!」


「じゃあ週末は俺も連れて行ってくれないか?」


「それなら私も!」


「はい。勿論いいですよ。アクア兄様と姉様も一緒に行きましょ!」


「ああ!」「うん!」


やった!これで毎日魔法の練習ができる!



父様から他の人に見つからない様にすることを条件にゲートの使用許可が下りて数日後。

父様が領地に戻っている途中の頃、私は一人で今日も領地の魔物の森の中にゲートで向かった。サーチで誰もいないことを確認して、フライで空に上がる。今日は森の奥の方に行くことにしたのだ。


そしてそのまま少しサーチをしながら空を飛んでいると、妙な気配を感じ降りてみることにした。だが、確かにそこに妙な気配は感じるのに、そこには開けた場所があるだけでここだけ周りと隔絶しているかの様だった。


とりあえず進んでみようとすると、「何か」にぶつかった。


ん?壁みたいなのがある?のかな。


「‥‥うわっ!と危なかった‥‥‥え?」


今度は手で触ろうと、かざした手が何も触れずスルッと抜けた。よろめいたが踏み留まって目の前を見るとそこは遺跡のような場所だった。


あれ?ここ‥‥空からはただの草原だったはずだよね?

どうなってるんだろ?

‥‥あ、下に行く階段がある。どうしよう‥‥

行ってみるか‥‥暗いな。


「【ライト】」


光を灯して階段を降りていくと、到着したのは広間のような場所で、壁が光っているのかライトがなくても明るかった。

中には台座のような物があり、その上には水晶玉がのっていた。


そして、その水晶を守る様に白い虎が寝転がっていた。


え!?虎!?虎‥‥だよね?


恐怖より興味が勝ち、入り口に立ち止まっていた私はその白い虎に近付こうとしたが、私に気付き立ち上がってこう言った。


〔そこで止まれ。お前どうやってここに入った?〕


そこで初めて広間にいる白い虎が綺麗な黄色い目をしているのに気付いた私は、


「かっ。」


〔か?〕


「カッコいい~!!」


〔‥‥‥〕


「あれ?っていうか今喋った!?‥‥えっと、どうやってって言われても特になにもしてないよ?進もうとしたら何かにぶつかって、今度は手をかざしたらスルッと抜けたから。」


〔なに!?‥‥私の側まで来てくれるか?〕


「え?うん。分かった。」


言われた通り近付くと、私をまじまじと見た途端、驚愕の表情をして


〔あなたは‥‥御使い様だったのですね。ご無礼をお許しください。〕


「え?何で分かったの?」


〔御使い様は近くで見ればすぐに分かります。〕


「そうなの?人間の鑑定とは違う見方があるの?」


〔ええ。そんなところです。〕


「へ~。まあ、特に無礼とかは感じてないから気にしなくていいよ。それであなたはこの水晶を守ってるの?」


〔お心遣いありがとうございます。確かに私はこの水晶を守る役目を仰せつかっております。〕


「何でこの水晶守ってるの?」


〔この水晶はとある者の封印の鍵の一つなのです。〕


「とある者?」


〔いずれ分かります。今は気にせずとも問題ありません。ですが、(きた)るべき時のために御使い様には私と主従契約をして頂きたく思います。〕


「来るべき時?何それ‥‥凄い気になるんだけど。それに主従契約って召喚魔法のこと?」


〔似た様なものなので、召喚魔法と思って頂いて構いません。実際、御使い様に呼んで頂ければここから移動できますので。〕


「あ。そういえば名前言ってなかったね。私の名前はマリン。マリン・フォン・クローバーっていうの。呼び方はマリンでいいよ。」


〔呼び捨てなどできませんので‥‥マリン様とお呼び致しますね。‥‥マリン様、今家名をクローバーと仰いましたか?〕


「あれ?うちのことも知ってるの?」


〔ええ。昔の事だけですが‥‥まだこの地の辺境伯家は続いていたのですね‥‥。〕


後半は囁きぐらいの声で聞き取れなかったが、


「へ~。詳しく聞かない方がいいみたいだね。で、主従契約ってどうしたらいいの?」


〔はい。私に名前を頂けますか?あと、私の額にある石にマリン様の魔力を少し流してください。〕


「分かった。‥‥えっと確認だけど声の感じからして女の子だよね?」


〔子という年齢ではないですが‥‥はい。雌ですよ。〕


「じゃあまず名前だよね‥‥う~ん何がいいかな?‥‥あ。じゃあ「(ゆき)」で!真っ白の綺麗な毛並みだし。どうかな?」


〔雪ですか‥‥いいですね。ではこれからは私を雪とお呼びください。〕


「うん!で、次は額の石に魔力を流すんだよね。‥‥これでいいの?」


〔‥‥はい。確かにマリン様の魔力を認識しました。マリン様、両手を器を作るように出して頂けますか?〕


「?‥‥こう?」


とりあえず両手を出してみると


〔はい。それで構いません‥‥。〕


そして、雪が目を閉じると額にある赤い石から別の1cmぐらいの白い石が出て来て私の手の中に落ちた。


「これは?」


〔私達の主従契約完了の印です。この石で私と話すことも召喚して頂くことも可能になります。ですので、できれば肌身離さずお持ち頂きたく思います。〕


「分かった。この石に念じれば雪と話せるし、雪に来てもらうことができるって認識で合ってる?」


〔はい。私は普段この水晶を守っておりますのでマリン様と行動を共に出来ませんが‥‥。〕


「それが雪の役目なんでしょ?じゃあしょうがないじゃない。‥‥それよりさ、雪に触ってみてもいい?」


〔? はい。構いませんが‥‥。〕


「やったぁ!‥‥うわぁ。思ったとおりふかふかだぁ。暖かくて安心する‥‥雪。たまに会いに来てもいいかな?」


〔はい。勿論です。〕


雪は嬉しそうな声で言った。


「ふかふかで安心する‥‥私の心の癒しがここにあるよ‥‥うん。満足。ありがとう、雪。」


そう言って私が雪から離れると


〔いいえ。いつでもお待ちしております。〕


「うん!じゃあそろそろ帰るね。またね。雪。」


〔はい。〕


そして、私が遺跡から出て空へ上がってみるとやはりただの開けた草原のような場所だった。


あの不思議な気配は雪だったのかな?

‥‥何となく違うような‥‥?

っと。暗くなる前に帰ろ。


私はすぐに降りてゲートを開いて屋敷に戻った。



一方マリンが去った後。


〔御使い様がいらっしゃるとは‥‥何事も起きないといいのですが‥‥。〕と雪が呟いていた。


※2021,9,4 改稿しました。

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