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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第1章 幼少期
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23話 VS王族

そして週末になり、私達は父様が乗る馬車に同乗して一緒に王城に向かった。

王城に着くとメイドさんが案内してくれて、ある部屋の前で止まった。そしてノックをすると中から返事があり、私達はそれぞれ挨拶をしながら順番に入っていった。


中に入って見渡すと3人掛けのソファーに陛下と王妃様がいてリリ様もその横のソファーに座っていた。

ただ陛下と王妃様の間にいる王子っぽい人に私達は固まっていた。王子っぽいというかシリウス王子なのだが、見た目が変わっていた。

私達4人は立ったままで、私は父様の後ろに隠れて顔だけ出してシリウス王子を見ていた。


「あの‥‥陛下。確認なのですが、陛下のお隣にいらっしゃるのはシリウス王子ですよね?」


「ああ。そうだぞ。」


「やっぱりそうですよね。‥‥シリウス王子‥‥髪、切ったのですね?それに服装も以前と雰囲気が違いますね。」


「ああ。‥‥じゃなくて、はい。変でしょうか?」


「‥‥‥いえ。似合ってると思いますよ。少なくとも私は今の方が違和感がなくていいと思います。」


「! ありがとうございます。」


「マリン。いつまでもラルクの後ろから話さないで座らないか?」


「あ‥‥そうですよね。申し訳ありません。‥‥父様、姉様、アクア兄様。多分大丈夫だと思いますのでお言葉に甘えて座りましょう?父様、ありがとうございました。」


「いや。それはいいが、無理はしなくていいからな?」


「はい。」


そして陛下達の前にあるテーブルを挟んで正面に、私は姉様とアクア兄様の間にくる形で座った。父様もリリ様と反対側の横に座った。


そして全員が座ったのを確認したところで。


「陛下。本来、父様と仕事の話をするはずのこの時間を指定して申し訳ありません。」


と頭を下げる。そしてすぐに上げると。


「いや。この時が最善だろう。問題ないぞ。むしろ来てもらってすまないな。」


「いえ。」


「あの‥‥。」


「あ、陛下と話に来た訳ではないですね。すみません。シリウス王子。何でしょうか?」


「話をする前に俺はマリンと呼んでいいのでしょうか?」


「「「「え!?」」」」


「え?なんでしょうか?」


「‥‥いえ。初対面で私に聞くことなくいきなり呼び捨てでしたから、今更聞かれると思ってなかったので。」


周りを見ると姉様とアクア兄様、父様も頷いていた。


「ああ。なるほど。確かにそうですね。‥‥‥それで、いいでしょうか?」


「‥‥‥‥いいですよ。この場だけでしたら、呼び捨てで。クローバーと言うとこの場に4人もいますしね。他に呼び方もないですし。何より今更ですから。」


「最初の間が気になるところですが、聞かないでおきます。では改めて、マリン。まず、今日は俺の我が儘を聞き、わざわざ足を運んでくれてありがとう。そして早速ですが、お披露目会の時は失礼な行動をとり、申し訳ありませんでした!」


と、座ったままだけどテーブルに手をついて頭を下げた。


この行動に私だけじゃなくこの場の全員が驚いていた。


「あの!シリウス王子。頭を上げてください。そのままだと話辛いでしょう?」


と言うと頭を上げたシリウス王子は続けて


「はい。ありがとうございます。‥‥‥あの時正直、自分でも何故あんなことをしてしまったのか分かりません。でもこのまま二度と話すこともできないのかな、それは嫌だなと思っていたら体が勝手に動いてました。次に気付いた時にはマリンを抱きしめていて、放してって言ってたのは聞こえていましたが、それでハッとして何でこんなことを?って戸惑ってる内にマリンが気を失ってて‥‥その瞬間、頭が真っ白になって何も考えられなくて‥‥辺境伯様が何か仰っていたのも耳に入ってこなかった。落ち着いた頃には2人共帰った後だったので謝ることもできなかったのです。‥‥言い訳ですが、自分でも混乱してました。」


「確かに言い訳ですね。私は立場上シリウス王子を返り討ちにするわけにはいきません。だから放してと言葉で申し上げました。それを無視して動かなかったのを戸惑っていたからと?あなたの戸惑いは私は知りません。放してと言ってるんだから何も考えずとりあえず放すものでしょう。普通は!」


何!?この言い訳。私、こんなの聞く為に来たの!?

気を付けないと怒りで言葉が乱れそうだ。


それは姉様も同じようで。


「マリンの言う通りですね。私は現場を見てませんが、話を聞いただけで怒りが込み上げてきますね。殿下はそんな話をするためにマリンを呼んだのですか?」


「‥‥‥‥‥」


「シリウス。これで分かったでしょう?あなたがマリンちゃんに仕出かしたことはマリンちゃん達に対して恩を仇で返すのと同じことなのよ。現に私もあなたに対して情けなく思うわ。それ以上に怒りもあるけどね。」


「そうね。私も現場を見ていませんが、話を聞く限り王子として以前に一人の男としてありえませんね。これは私達のせいでもあります。王妃としてではなく、シリウスの母親として謝罪致します。申し訳ありません。」


「私も父親として、そしてシリウスの行動を宣言通り止められずに本当に申し訳なかった!」


とリリ様、王妃様、陛下が言って国王夫妻は頭を下げてきた。


「‥‥‥陛下。王妃様。頭を上げてください。」


私が言うと2人はおずおずと頭を上げた。


「陛下、王妃様。例え両親としてシリウス王子のことで謝罪すると仰っても、私からすると結局は国王夫妻です。許す選択肢しかありません。そして国王が一貴族令嬢でしかない私に公式の場でなくとも頭を下げるべきではありません。」


「その通りだが、誠意をみせることが必要な時もある。」


「ええ。そうですね。おかげで内心怒りで溢れて言葉が乱れそうだったのが少し落ち着きました。‥‥‥シリウス王子、伺ってもよろしいですか?」


「はい。何でしょうか?」


「今の話とは違いますが、王子は王立学園へ行くつもりですか?」


「はい。そのつもりです。」


「私もそのつもりですが、仮に同じクラスになっても今回のようなことをくり返さないと言えますか?」


「! はい。少なくともマリンに指摘された俺の嫌なところが直るまでは必要以上に話しかけたりもしません。」


「え?直すつもりあったんですか?」


ちょっとびっくり。今ので怒りが飛んじゃった。


「はい。直すつもりです。どうやら俺はあんなことを仕出かしておいて‥‥いや仕出かす程にマリンのことを諦められないみたいですから。」


‥‥‥えっと?


私の頭の?を感じたのか、リリ様が


「マリンちゃん。厄介なやつに惚れられたわね。私もさすがに感情の操作はできないわ。ごめんね。」


‥‥‥え?惚れ‥‥?

‥‥って、え~‥‥私どう反応したらいいわけ‥‥?


と思っていると、陛下も


「マリン。すまんがシリウスに時間をくれないか?シリウスが王子として、一人の男として成長した時にもう一度婚約者になるかどうか判断して欲しいのだが。」


え?あれ?今日って謝ってもらう為に来たよね?何でこんな話になった!?


私どうしたらいいの?と視線で父様に訴えると、


「恐らく陛下のいい方だと、もう一度判断した上でも嫌なら断ってもいいってことだと思う。だからシリウス殿下に時間をあげてもいいんじゃないか?」


「私もそう思うわ。直す間必要以上に話しかけたりもしないって言うなら少なくともその間平和に過ごせるってことでしょ?」


「なるほど。そういう考え方もありますね。‥‥‥分かりました。陛下。いいですよ。」


「そうか!シリウス。頑張って絶対マリンを落とすんだぞ!」


「はい!頑張ります。ありがとうございます。父上!」


「‥‥‥‥陛下?よかったですね~?シリウス王子が言うこと聞いてくれるようになったようで。親子の会話も増えそうですね?」


陛下め。私を利用しやがった。


「ん?なんだバレたか。重ね重ねありがとな。マリン。」


「はぁ‥‥‥もういいです。シリウス王子。私に言いたかったことはこれで終わりですか?」


「最後に1つだけ頼みがあるんだが‥‥。」


「‥‥何でしょうか?」


「これからはシリウスと呼び捨てにしてもらえないでしょうか?」


「いや。さすがにそれは駄目でしょう。」


「何故ですか?リゲルは呼び捨てしてくれますが?」


「いや。従兄弟で公爵家の嫡男であるリゲル様と私を一緒にしないでくださいよ。」


「え?駄目なのですか?父上?」


「う~ん。本来は駄目だがマリンはいいんじゃないか?」


「陛下!?」


「そうは言ってもそうそう会話する機会もないだろ。なら問題ないんじゃないか?」


「‥‥‥父様?」


「陛下まで許可を出すなら固辞しなくていいんじゃないか?」


「‥‥‥いえ。やっぱり、学園でも全く顔を会わせないということはないでしょうからやめておきます。それと、先程も申し上げましたがマリンと呼び捨てにするのもこの場限りです。」


「あ。それもそうね‥‥公衆の面前でシリウスとお互いに呼び捨てし合ってたら何かあるって思われるかもしれないわね‥‥。」


『あ。』


「それもそうだな‥‥シリウス。諦めろ。」


「‥‥‥はい。」


「‥‥‥‥何故私だけこんな精神的疲労が増えるのでしょうか?陛下は満足そうなお顔されてますし‥‥また怒りがこみ上げてきそうです。」


「まあまあ。‥‥‥すまん、マリン。」


私を宥めようとしてきたのでイラッとして思わず陛下を睨むとまた謝ってきた。


「シリウス、まだ何かある?」


「いいえ。姉上。もう大丈夫です。‥‥‥これで最後です。マリン、わざわざ足を運んでもらったのにまた精神的に疲れさせたなら申し訳ありませんでした。」


「いえ。‥‥もう謝らなくて大丈夫です。ここに来てから王族に謝られてばかりで疲れました。謝罪はもうお腹一杯です。精神をごっそり抉られた気分です。」


「「「お疲れ‥‥マリン。」」」


「そういう訳で陛下。私への話が終わったならお暇してもよろしいでしょうか?」


「ああ。いいぞ。」


「俺は当初の予定通り陛下と仕事の話をしてから帰るからマリン達は先に帰ってていいぞ。」


「はい。ではお言葉に甘えて失礼します‥‥‥。」


動いてないのに無駄に疲れた体を何とか動かして私達は先に帰ることにして部屋を出た。


あ~無駄に疲れた‥‥‥。

今なら丸一日でも寝れそうな気がする‥‥。


※2021,9,4 改稿しました。

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