252話 服装マジック
翌日。
朝、教室にて。
私が教室に入ると既に来ていたシリウスがクラスメイトに囲まれていた。
何事?
と思っていると、なんと私達が帝国に行っていた夏休みの間にシリウスの王太子就任が国民に周知されていたそうな。それで、シリウスに皆からのおめでとうの声がわんさかきていると。
同じく先に来ていたリジア達が教えてくれた。
で、祝福は生徒達だけではなく。
「さて、いつもなら出席確認をして終わりですが、今日は担任としてそして一国民として、シリウスさんに一言申し上げたいと思います。」
「え?」
レイヤ先生は私達を名前にさん付けで呼んでいる。シリウスとリゲルもそうしてほしいと自ら言った為、それに答えてシリウスもさん付けで呼んでいる。
「シリウス殿下。王太子になられるとか。おめでとうございます。一国民として、殿下の担任を勤めさせて頂いてる者として嬉しく思います。」
『!!!』
「‥‥‥先生。ありがとうございます。先生と友人達の助力のお陰で王子として陛下に認めて頂くことができました。心より感謝申し上げます。」
「勿体なきお言葉にごさいます。」
おお~!あのシリウスが素直に感謝するとは‥‥!
なんか今のシリウス、王子に見える‥‥。
‥‥‥王子だった。
「‥‥‥今、失礼なこと考えただろ?マリン。」
「え?‥‥いや?」
「マリン。多分、こう考えただろ?シリウスが素直に感謝してる!って。」
「リゲル、何故分かった!?」
「あとはシリウスが王子に見えるとかか?」
「‥‥‥私、顔に出てるの?」
「「「ああ。」」」
マジか!
「マリン、レグルス。俺は王子だぞ?」
「分かってるよ~。たまに忘れるだけだって。」
「そうそう。」
「マリン‥‥すごいね。」
「でしょ?まあ、私もたまにシリウスが王子なの忘れるけどね。」
「リジアも既にマリンと同じかぁ~。」
「え?」
「その友人達がひどい‥‥‥。」
「ぷっ。」
『え?』
「あ。すみません。やっぱりマリンさん達といる時が一番いきいきしてますね。シリウスさん。」
「自覚あります。実際、楽しいですしね。」
「では、今日はこの辺にしておきましょうか。」
そして教室での一幕が終わり、生徒会室でリオト、ルビア、ベネトさんと合流して馬車にのる為に校門を出ると、そこで待っていたのは。
「マリン!」「マリンちゃん!」
「‥‥‥姉様とリリ姉様がいる様に見えるんだけど‥‥。」
「いらっしゃるわよ。マリン。」
「私達を連行するため?」
「でしょうね。」
そして大人しく私服姿の姉様達のところに行き、やっぱり城に連行され、メイドさん達の手で私達は仕上げられた。
ドレスに着替えたのは私、リジア、リリ姉様、ルビア。全員一緒に化粧までやってくれたのだが。
「姉様。姉様のその服は魔法師団の式典様の正装ですか?」
「そうよ。どう?」
姉様だけ違う服に着替えているのだ。
「格好いいです!」
「ありがとう。マリンは期待を裏切らない可愛さだわ。」
『ですね~!』
※メイドさん達です。
「姉様とメイドさん達が選んでくださったんですよね?ありがとうございます。」
「いえいえ~ここにいらっしゃる皆様のドレスを選らばせて頂いてる間、とても楽しかったですわ!」
「そ、そうですか。」
「さ、マリン様。リリアーナ様。皆様も、殿下に会いに行かれてはいかがですか?」
「そうね。シリウスの為にも先にマリンちゃんを見せてあげないと。」
「え?」
「じゃあ、私は魔法師団の方に戻るわ。警備の一員だから。」
「あ。だから正装に?」
「うん。そう。まさか私がシリウスの式典で警備に混ざるなんて思いもしなかったわ。」
「ふふっ。そうですね。」
そして姉様と分かれてシリウスの部屋に向かっていると。
「「マリン?」」
「あ。リゲルとレグルス。リオトとベネトさんも。4人も着替え終わったんだね。シリウスのところに行くの?」
「あ、ああ‥‥。」
「?」
「ふふっ。可愛いでしょ?マリンちゃん。」
「「はい‥‥。」」
「クリスとメイド達、いい仕事してくれてるでしょう?」
「「「「はい。」」」」
「「「え?」」」
「ふふっ。とりあえずシリウスのところに行きましょ?」
そして私達は全員でシリウスの部屋に押し掛けた。
一応着替え終わったか確認してから入ると。
『おお~!!』
「‥‥‥‥。」
私以外は主に着る服で印象違うな~ぐらいだったと思う。
いや、私もそうなんだけど。
シリウスは帝国の親善パーティーで着てたのとは違う、全体が白っぽい色に所々青い線の入ったーシリウスの髪と目の色に合わせたと思われるー色合いの騎士みたいな服を着ていた。
「‥‥‥格好いいね。シリウス。」
『え?』
「!!!‥‥‥ありがとう。マリンも可愛いな。」
にっこり笑顔で言われました。
「あ、ありがとう‥‥‥恐るべし正装マジック‥‥。」
『え?』
「今のシリウス見てたら王子だな~って思うな。これなら王子だと忘れない。」
うん。シリウスがキラキラして見えるよ。
エフェクトがすごいよ。‥‥幻だろうけど。
「そうか?」
「確かにな。ちゃんと王太子っぽいぞ。シリウス。」
「今日から王太子だが?」
「確かに格好いいです!兄上。」
「ありがとな。リオト。」
「ただ、欲を言えばマリン姉様に婚約者として兄上の横にいてほしかったですね。」
「「え!?」」
リオトがとんでもない言葉をぶっこんできたよ!?
「まあ、あくまでも欲を言えばです。マリン姉様の気持ちを無視するつもりはありませんよ。」
「良かった~。」
と話していると、父様と陛下が来た。
「やっぱりここにいたか。」
「はい。」
「皆似合ってるな。シリウスは‥‥‥」
と言ってシリウスに目を向けた父様と陛下が止まった。
「おお‥‥‥着る服で変わるものだな。」
「ええ‥‥。」
「父上、辺境伯様。マリン達と同じ様なことを‥‥。」
「ははは!やっぱりか!」
「さて、陛下達はあとから入場だからいいが、俺達は先に行かないとな。」
「はい。父様。‥‥‥ヒスイ兄様は?」
「いるよ。」
私達の話し声を聞いて入ってきていたみたいだ。
「あ。兄様。リリ姉様のお迎えですね。」
「ああ。っと‥‥‥シリウス、格好いいじゃないか。王子らしくて。」
「ありがとうございます。兄上。」
「おお~!!」
「なんだ?」
「ヒスイ兄様を兄上って呼んでるの、初めて聞いたなって思って。ヒスイ兄様もシリウスを呼び捨てでしたし。」
「「ああ~!」」
「確かにな。」
「ほら、そろそろ行くぞ。」
『は~い。』
リリ姉様は勿論ヒスイ兄様。私とリジアとルビアはそれぞれの父様にエスコートしてもらって会場入りするから先に行かないとだ。
レグルスとベネトさんは皇族なので陛下達と一緒に後で入ってくる。
会場は城の大広間。
王太子就任なので貴族当主集合なのだ。
皆の前で話せるのかな?シリウス。