251話 陛下の話
そして王都到着後。
今年も城に行きたがらない母様だけ屋敷に降ろして、私達は城へと向かった。
うん。もう、護衛としては城に向かうまでが役目みたいだな。レグルス達は違うけど。
と思いつつ、いつもの一室に案内された私達。
最早誰も疑問を口にしない。私達はともかく、レグルス達まで来る必要があるんだろうか?
‥‥‥‥あった。
と分かったのは中に入って陛下の話を聞いた時。
「今年もここまでありがとな。みんな。皇太子達も含めて呼ばなくてもそのまま城に来てくれるから助かる。」
「えっと、やっぱりシリウス達が城に着くまでが護衛ですよね?」
「そうだな。」
「やっぱりレグルスとベネトさんはついて来てくれただけですね。」
「ああ。そうだな。丁度いいがな。で、話は変わるが交流会のことを皇帝から何か聞いてるか?」
「集合場所が王国になりそうだというだけです。」
「そうか。王国に決まった。交流会の内容もな。」
「内容もですか?いつ頃になりそうとかも決まってるんですか?」
「ああ。全部決まった。夏休みが明けてから2ヶ月後。内容は学生らしく健全に座学をしたあと、初日は歓迎パーティーがある。」
「え~‥‥‥逃げちゃ駄目ですか?」
「駄目に決まってるだろ。2日目からは魔法や武術に分かれての授業にも参加する。だから基本的に教国と帝国の生徒会の者達が各学年のSクラスの授業に参加する認識でいいぞ。」
「聖女様は‥‥‥生徒会にいるなら私達のクラスにいらっしゃるんですか?」
「そうなる。」
「‥‥‥ちなみに何日間いるんですか?」
「一週間だ。観光もできる様にな。」
「一週間!?‥‥‥うわ~‥‥。」
「ふふっ。マリン。私達と一緒なんだから大丈夫よ。」
「リジア。よろしくね!」
「達って言ったのになんで私限定なのよ。」
「女の子同士だからだけど?」
「あ。‥‥‥そうよね。」
「シリウスにとっては王太子として初の外国との交流だからな。頑張れよ、シリウス。」
「はい。父上。」
『え!?』
シリウス、リオト、陛下夫妻、公爵様、宰相様以外の全員が驚いた。
「へ、陛下。今、なんと‥‥?」
「ん?王太子として初の外国交流と言ったことか?」
「聞き間違いじゃなかった!‥‥し、シリウス。王太子になるの?」
「ああ。王子としての教育も受けたし、学園での成績もSクラスでも上の方になったしな。あと3年連続で帝国での親善パーティーを、王子としてやり遂げたということで外交にも問題なしとして父上が夏休み明け、正式に王太子に任命してくださるそうだ。」
「いつ聞いたの?」
「夏休み前だな。」
『え!?』
「も、もしかして私のせいで話し辛かっただけ?」
「えっと‥‥正直に言うとそうなる。」
「うわ~!シリウス、本当ごめん!」
「いや、マリンは悪くないんだしいいさ。それに馬車の中で言おうと思ってたのに勇気がなかった俺が悪い。」
「え?そうなの?」
「ああ。」
「でも‥‥」
「ああ‥‥」
「な、なんだ?リゲル、レグルス。」
「多分みんな同じことを思ったよ。ついにシリウスが王太子かぁ‥‥‥感慨深いね‥‥って。」
「「「だな‥‥。」」」「そうね‥‥。」
「ぷっ。し、シリウス。友人達は感慨深いそうだぞ!」
「‥‥‥笑わなくてもいいじゃないですか‥‥父上。」
「ふふっ。しょうがないわ。シリウス。私も感慨深いわ‥‥‥でも私にも言ってくれないなんて寂しいわ。」
「す、すみません。姉上。まずはマリン達友人に先に言いたかったので。」
「むう。」
「でだ、明日は授業ないだろ?」
「あ。リリ姉様を無視しましたね、陛下。」
「ないですね。生徒会もほぼ集まるだけです。父上。」
「明日、シリウスの王太子就任式典をするんだ。マリン達にも参加してもらいたいと思うんだが、いいか?」
「え?シリウスの為の式典ですよね?私達関係ないですよ?」
「マリンちゃん。一応私達の結婚で王族の縁戚にはなってるのよ?」
「は!そ、そうでした‥‥‥。」
「それに友人でもあるでしょ?私もマリンちゃん達にも出席してほしいわ。」
「‥‥‥‥私、貴族当主でもなければなる予定もない一令嬢に過ぎませんよ?場違いじゃないですか?」
「ふっ。「天使様」が何を言ってる。」
「へ、陛下?」
「リリアーナやシリウスの命の恩人で、学園に迫った脅威を退け、各国の誘拐された者達を救い出した。世間が知ってるだけでもこれだけの功績がある者だ。場違いな筈がない。堂々としていればいいんだ。」
「‥‥‥‥‥‥父様?」
「出るんだぞ?マリン。」
「‥‥‥‥‥はい‥‥‥。」
「ところで陛下。マリン達とは私も入っているのでしょうか?」
「ああ。皇太子とベネト。二人は帝国の皇族だからな。あとはさっきから逃げたがってるマリン。それとリゲル。4人は必ず出席してもらう。」
「必ずって‥‥私に拒否権なかったんですか?」
「ああ。今回に限ってはない。」
「‥‥‥‥。」
「あとの3人もいいか?」
「「「はい。」」」
「ヒスイも大公家当主だから出席するのは分かってるな?」
「はい。陛下。」
「‥‥‥陛下。一応お伺いしたいのですが、私は出席しなくていいんですよね‥‥?」
「ん?勿論、出席してくれると嬉しいがリジアは強制はしない。」
「え!?り、リジア来てくれないの!?」
「‥‥‥‥‥来てほしいの?」
「勿論。」
「‥‥‥‥‥‥マリンの側にいれるなら出席するわ。」
「やった!!‥‥いいですよね?陛下。」
「あ、ああ。‥‥‥‥そんなに二人一緒がいいか。」
「「はい。」」
「むしろリジアがいない公の場には一切出たくありません。」
「同じくです。」
「助け合い精神か‥‥。」
「です。」
「分かった。とりあえず全員、明日もここにまた集まってくれ。」
「え?シリウスは分かりますが、私達は学生なので制服で直接式典に向かうのではないのですか?」
「駄目だ。全員、城で正装してもらう。」
『え!?』
「ぜ、全員って私とリジアもですか!?」
「勿論。」
「‥‥‥ドレスに着替えろと?」
「ああ。サイズはマリンのを把握しているから問題ない。リジアはマリンとサイズはほぼ同じだろ?」
「何故知って‥‥‥情報源は姉様ですね?」
「正解だ。男性陣は正装を持参してくれ。」
『分かりました。』
「‥‥‥ドレスまで用意されてるなんて‥‥リジアのまで‥‥姉様に私の考えを完全に読まれてますね。」
「ふふっ。さすがクリスだわ。」
「リリアーナもだぞ?」
「え?」
「クリスがマリン、リジア、リリアーナのドレスを、メイド達と一緒に嬉々として準備してたからな。ルビアはアリアが準備すると言っていたか。」
「「クリス‥‥。」」「姉様‥‥。」
仕事しようよ‥‥‥。
ってヒスイ兄様と父様も思ったみたいだ。
「という訳だから学園が終わったらまっすぐ、制服のままで構わんから来てくれ。」
『はい‥‥。』
一先ず、明日はシリウスの王太子就任の式典だ。
まさか王国に帰ってきて、しかもシリウスの件で衝撃が待ってるとはね‥‥‥。
最後の方、少しだけ追記しました。
ちなみにシリウスの王子教育、いつしていたかは本編に入れ損なったので、「裏」に入れてます。