表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第1章 幼少期
22/289

22話 王子の要望と周囲の苦労

お披露目会から3日後。

目が覚めた私が家族に大丈夫な姿を見せた後、すぐに時間だからと姉様とアクア兄様は学園へ向かった。

そして学園から帰ってきた姉様はリリ様が心配してくれていたということで、私が起きたことを伝えてきたと言っていた。


そして翌日。

私は自室で勉強していたのだが、(一応受験生なので。)暇になってきた。

というわけで父様に許可を得て、屋敷の書庫に籠って魔法に関するものを中心に読み続けていた。

するといつの間にか姉様達が学園から帰ってくる時間になっていたのか、姉様が来た。


「あっ。本当に書庫にいた。」


「え?‥‥あ!姉様、お帰りなさい。」


「ただいまマリン。マリンにお客様を連れてきたから探してたのよ。実はね、今うちにリリがいるのよ。マリンと話したいって言ってるんだけどいい?」


「え?リリ様が私とですか?」


「うん。そう。」


「‥‥‥分かりました。リリ様は応接室ですか?」


「うん。そう。でも話があるのはマリンだけど、その時私を含めた家族も同席して欲しいって言われてるから一緒に行こ。」


「はい。」


そして姉様と応接室にノックをして入るとそこには父様や母様、アクア兄様も既にいた。

私が父様の横に、テーブルを挟んだ正面のリリ様の横に姉様が、両方の一席ずつにそれぞれ母様とアクア兄様が座ったところで。


「リリ様、お待たせして申し訳ありません。」


「いいのよ。いきなり押し掛けたのは私だからね。」


「えっと、私にお話と言うのは何でしょうか?」


「それはね。‥‥‥先に言うとこれから話すことは拒否してもいいわ。でも話の途中で断らないで私の話をとりあえず最後まで聞いて欲しいの。」


「?‥‥分かりました。」


「ありがとう。‥‥話の前にまず、昨日まで目覚めなかったとクリスから聞いたわ。姉として弟のシリウスの行動をお詫びさせて。ごめんなさい。」


と、リリ様が頭を下げた。


「そんな!リリ様は悪くないんですから頭を上げてください!」


というと頭を上げてくれた。


「そう言ってもらえるのは有難いけど、これは姉としてのけじめだから。それから、昨日の内に父様や母様、シリウスにもマリンちゃんの目が覚めたのは報告してるわ。それで、私がここに来た理由というかマリンちゃんに話があるって言ったのはその事なの。」


「?」


「私からマリンちゃんの目が覚めたと聞いた瞬間、シリウスがマリンちゃんに直接会って謝りたいって言い出したの。」


「「「「「はあ!?」」」」」


「まあ‥‥そうよね。予想通りの反応だわ。一応私は言ったのよ?「あれだけ嫌な思いさせておいて直接会いたいなんて断られるに決まってる」って。」


「でも直接私に謝りたいと?」


「ええ。」


「そもそもシリウス王子は何故あんなことをしたのですか?」


「それも直接話したいそうよ。マリンちゃんと2人で会えるなんて出来ないのは分かってるから、他の人に居てもらう形でいいから頼んで来て欲しいって言われたの。」


「‥‥‥リリ様。私がこの話を聞いてまず家族に相談するのが分かってて一緒に聞いてもらったのですね?」


「ええ。そうよ。」


「‥‥‥父様、母様。私は会ってあげてもいいんじゃないかと思います。」


「「「「え!?」」」」


「マリン‥‥本気?」


「はい。姉様、私は本気で言ってます。ただ、条件はちゃんと出させて頂きますよ。シリウス王子が自分からあの時の行動とその謝罪をしたいと言ってきたというなら、聞いておこうと思いまして。それにせっかく謝ろうとしてるのに聞いてあげなかったらシリウス王子がさすがに可哀想かなと。後々どう対応したらいいか迷いそうですし、このまま一方的に避け続けるのも無理がありますからね。」


「‥‥‥マリンがそう言うなら俺達が反対するのは違うな。」


「父様。週末に陛下のところに行きますよね?」


「ん?ああ。行くが‥‥それがどうした?」


「リリ様。シリウス王子は他に人がいてもいいって言ったんですよね?」


「ええ。言ってたわ。」


「では、シリウス王子に会う条件を申し上げます。まずこれは当然ですが、シリウス王子は私に近付かないこと。それから父様、姉様、アクア兄様、陛下、王妃様、リリ様の全員が同席すること。最後に私が魔法を使うことを許可して頂くこと。リリ様、以上の条件を満たして頂けるならシリウス王子に会いに登城しますと陛下とシリウス王子に伝えて頂けますか?」


「ええ。ありがとう。伝えるわ。それで1つ聞いてもいいかしら?」


「はい。何でしょうか?」


「魔法を使うって何するの?」


「ああ、それはですね、いきなり魔法を使うって訳ではなくて、シリウス王子がまた何かしようとしてきたら今度は魔法で返り討ちにして差し上げようと思っただけですよ。なのでこの事も伝えておいて頂けますか?」


「なるほどね。分かったわ。」


「あ。えっと父様、姉様、アクア兄様。今更ですが、3人の同席を勝手に、しかも聞かずに条件に組み込んでしまいましたがよかったですか?」


「ふふっ。本当に今更ね。いいわよ。マリンを守ってみせるわ!」


「俺も。姉様とマリンを守るよ。」


「俺もいいぞ。元々登城する予定だったし、週末なら学園も休みだし全員揃うだろ。マリンもそれを狙ったんだろ?」


「はい。そうです、父様。姉様とアクア兄様もありがとうございます。安心できます。」


「じゃあ私は今の報告もあるし長居するとこちらにもご迷惑になるから、そろそろお暇させていただきますね。‥‥マリンちゃん。話聞いてくれてありがとね。」


「いえ。リリ様は話しやすい方なので全然苦になりませんから。」


「それは嬉しいわ。じゃあまたね。」


「はい。」


そして、リリ様が帰ったあと。


「マリン。1つ聞いていいかしら?」


「はい。何でしょうか?母様。」


「王子に会う条件の同席者に私が入ってないのはどうして?」


「え?お披露目会に一緒に来てくれなかったので、王城に行きたくないのかなと思ったからですが。王城が苦手なら無理させるのもなと。」


「あら。気を使ってくれたのね。じゃあ文句は言えないから、お言葉に甘えるわ。」


「??」


「多分、母様はマリンにのけ者にされたと思ったんじゃないかしら。」


私が母様の言うことに?を浮かべてたら姉様が教えてくれたが、


「え?母様をのけ者にする理由は無いですよね?」


「ええ。でも母様は一度も会話に参加してなかったでしょ?だからよ。」


「ああ。なるほど。そういうことでしたか。‥‥母様。母様をのけ者なんてありえません。むしろ一緒に来て頂けるなら来てほしいぐらいです。」


「そう。良かった。でもマリンを守るならアクア達がいれば大丈夫よ。私はみんなを信じて待ってるわ。」


「そうですか‥‥。分かりました。」


◇◇◇◇◇


一方。クリスに頼んでマリンと話をしたあと、辺境伯邸をあとにしたリリアーナは、帰りの馬車の中でさっきまでのことを思い出していた。


幸いあの家族が警戒してるのはシリウスだけで、私とはクリス以外もわりと友好的に家族全員話してくれた。

マリンちゃんも昨日起きたばかりなのに私の話をちゃんと最後まで聞いてくれた。そして、嫌がると思ったのに意外とすんなりシリウスと会ってくれると言ってくれた。条件付きだけど。

確かにあの条件下なら何も事は起こせないと思う。そもそも何かしようとしたら返り討ちにできる状況なら何も出来ない。マリンちゃんの方が強いんだから。


とか考えてたら城に着いた。

すぐに父様の執務室に行くと待ち構えていたのか、シリウスもいた。すると早速。


「姉上。どうでしたか?」


「シリウス。マリンちゃんの優しさに感謝しなさい。」


「じゃあ!」


「ええ。会ってくれるそうよ。条件を満たせるならだけど。」


「条件は何なのだ?」


父様が聞いてきたのでマリンちゃんが提示した条件を伝えた。魔法の用途もね。すると父様は。


「それぐらいなら構わん。魔法もだ。むしろそれだけにしてくれて有難いぐらいだ。」


「なら今週末ということでいいですか?」


「ああ。問題ない。ラルクと一緒に来るのだろう?」


「はい。そう言ってました。」


「本当なら謝る立場の我らが行くべきなんだがな。そうすると逆にあちらを困らせるからな。」


「そうですね。じゃあ明日クリスに伝言を頼みますね。」


「ああ。そうしてくれ。」


「はい。‥‥‥そういうことだからシリウス。マリンちゃんがわざわざ来てくれるんだから迷惑かけちゃ駄目よ。当日マリンちゃんに必要以上に近付こうものならその場の全員がシリウスの敵になるからね。覚えとくのよ。」


「‥‥‥分かってます。」


「ならいいわ。」


◇◇◇◇◇


そして、翌日。

陛下も私の出した条件を呑んでくれるとリリ様と姉様経由で知らされた。それは今週末シリウス王子に会うことが決定したということだった。


※2021,9,4 改稿しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ