243話 マリンの前世
そして私がルナ達のところから庭園に戻ってくると、待ってましたと言いたそうな家族と王国の面子、レグルスとベネトさんがいた。
「‥‥‥‥どうしました?」
「ちょっと話がある。」
「え?」
「さあ、マリン達の部屋に行くわよ~!」
「え?母様!?」
と有無を言わさず私達の部屋に連行された。
(リジア、ルビアと一緒に泊まってる部屋)
「‥‥‥‥で、話とは?」
「前世のこと教えて♪」
「母様‥‥‥例えば?」
「マリンは学園は卒業してたのか?」
「うん。」
「なら、昔と今の学園の違いを教えてくれるか?」
「え?いいけど、何もかも違うよ?」
『え?』
「だってまず、魔法ないし法律で帯剣許されてないし。更に言うと成人の年齢も違うし。」
「そうなのか?」
「うん。あと、学園じゃなくて学校だしね。学校の種類も違うし。」
「どう違うんだ?」
「まず、7~12歳までの小学校。13~15歳までの中学校。ここまでが義務教育で16~18歳までの高校とかその上の大学、専門学校とかもあるよ。」
「本当に全然違うのね。」
「うん。あと、行事がこっちは少ないっていうか全然ないよね。」
「学生に行事があったのか?」
「うん。運動会、学祭、修学旅行とかかな。卒業式と入学式は勿論あったよ。」
「色々あったんだね。運動会って何するの?」
「う~ん。この世界は魔法があるからな~。競技を広めても身体強化使ったら意味ないしな‥‥」
「この世界にないことをするのか?」
「うん。学校によって種目は違うだろうけどね。目的は学祭もだけど、学年を越えて上級生と下級生の交流だったり、協調性を学んだりだね。」
『へ~!』
「あ。学祭やったら面白いかもね。」
「どんなことするの?」
「クラスごととか‥‥あ、部活ないな‥‥とりあえずクラスごとに出し物決めることから始める。例えばお店をやるとかね。あと友達同士で楽器の演奏と歌を披露したりとかかな。そこに生徒の親や家族を招待して楽しんでもらうんだよ。」
『へ~!!』
「面白そうだな。」
「で、その時生徒会で各クラスの出し物を精査するの。そして当日も交代で見回りして問題が起きてないかとか確認したりするね。」
『‥‥‥。』
「だから生徒会が一番大変だよ。」
「面白そうだが、考えものだな‥‥。」
『うん‥‥。』
「あら。私は見てみたいわよ?久しぶりに学園を歩き回れるってことでもあるんでしょ?」
「はい。そうです。でも、そうなると両国の陛下は難しいかもしれませんが、私達の家族呼んだらとんでもないことになりそうですよね。主に立場が。私の家族だけで辺境伯と大公が来るわけですしね。」
『確かに‥‥‥。』
「やめる?みんな。」
『‥‥‥。』
「俺は面白そうだからやりたい。勿論マリンが主導でな。」
「マリン主導なら私もやりたい。あと、父上にも言っていいか?」
おや。私主導になりそうだぞ?言い出しっぺだからしょうがないけど。
って帝国にも広がるのか‥‥‥いいのかな?
「私が言っといてなんだけど、日本の行事をこの世界に広めていいものかな?」
《構わんよ。どんどん広めてくれ。》
「わっ!ビックリした!」
『え?』
「創造神様。」
『ああ~。』
《いいんですか?》
《むしろ駄目な理由はなんじゃ?》
《‥‥‥‥程々に広めます。》
《うむ。マリンが楽しめる範囲で構わんよ。》
《はい。》
「創造神様のお墨付きもらった‥‥。」
「なら、父上に話して帝国の学園に広めても構わないか?」
「うん。いいよ。日本の行事、私が楽しめる範囲で広めていいって。」
「良かったわね。マリン。」
「はい!と言っても来年までですが。リオトとルビアはまだ楽しめるね。」
「はい!」
「ええ!‥‥ところでマリン姉様。修学旅行とはなんでしたの?」
「それは毎年、とある学年の決められた時期に歴史的遺産を見るとか外国に行くとかして現地で色々学ぶことを目的とした行事だよ。学校によっては行く場所の候補を出して生徒が行き先を決めていい場合もあるね。」
「この世界に置き換えると?」
「う~ん。選択肢としては帝国とか教国。あと王国内の普段行くことがない地方の領地にお邪魔するとかかな?それを例えば私達、4年生の夏休み明けしばらく経ってからの時期に固定するとかかな?」
『なるほど。』
コンコン
「ん?」
「陛下だよ。どうぞ。」
ガチャ
「さすがマリン。ってやっぱりここに集まってたか。」
「どうしました?陛下。」
「ラルクとヒスイ。お前ら仕事もあって帝国に来てるの忘れてるだろ?」
「いや?まだ時間はあるんだからいいだろ?」
「それこそマリンと話す時間の方があるだろ。」
「まあな。」
「で?みんな揃って何話してたんだ?」
「私の前世のことを聞かれてました。」
「お。それは俺も聞いてみたい。」
「そう言うと思って先にマリンに聞いてたんだよ。」
「そうなのか?で、どんなこと話したんだ?」
と陛下に聞かれたので今まで話したことを伝えると。
「面白そうだな。」
「ただ、修学旅行は難しいでしょうね。」
「だな。」
「何故ですの?」
「この世界には魔物がいるでしょ?学年単位で動くにしても200人だからね。危ないよ。」
「確かにそうですわね‥‥。」
「まあ、今話したの全部実現しなくてもいいけどね。」
「いや。どれかは実現したい。」
「ですね。兄上。」
「お。王子達がやる気を出してきたよ?」
「なあ、マリン。学祭が一番現実的だからできるだろうが、運動会っていうのも何か代案ないか?」
「ん?う~ん‥‥‥‥希望者募って魔法戦と剣術大会かな?優勝者特典で上級生とか指名した人と戦えるとか?」
「それやったら殺到して優勝者特典、マリンに来るぞ。」
「え?私にきても瞬殺できるから面白くないじゃない。」
「俺はそうだと知っててもマリンに挑むぞ?」
「え?ベネトさん瞬殺されたいの?」
「んな訳ねぇだろ。一対一の対決したことないから興味があるだけだ。」
「え?それこそ言ってくれたらいつでも相手するよ?」
『え?』
「え?皆さんも別にいいですよ?」
「おお~御使い様に直々に相手してもらえるのか。」
「陛下は毎年お相手してるじゃないですか。あと、次御使い様って言ったら来年からお相手しませんから。」
「お、おう。分かった‥‥。」
「ここにいる全員。改めて申し上げますが、私の御使いは称号です。私はマリンです。いいですね?」
『はい‥‥。』
「分かって頂けたならいいです。」
コンコン
「ん?今度は誰だ?」
「皇后様とフローラ様ですね。どうぞ。」
ガチャ
「本当に分かるのね。マリン。」
「はい。それでお二人はどうされたんですか?」
「全員見当たらないから来てみたのよ。父様まで仕事しないで何してるんですか?」
「あ。マリンの話聞いてたらついな。」
皇后様とフローラ様にも今まで話していたこと話しましたよ?
そしてまだまだ話は続く。
マリンには学園を卒業して旅に出るまで学生生活を満喫してほしいですね。この時だけですからね。学生でいられるのは。