241話 私の心の平和
そして夕食後。
再び紅茶を入れて食後のまったり時間です。
「さて、折角ですから私が今まで隠してたことをお伝えしましょうか。まずは皆さん。二年前に私が帝国の城から一晩姿消したの覚えてます?」
『勿論。』
「あれは忘れられないだろ。」
「ふふっ。それは父様達の自業自得です。あの時私が一晩一緒にいたのは雪ですよ。なのでうちの領地まで戻ってました。」
『え!?』
「そういえばいつの間に四神と契約していたんだ?」
「えっと、まず雪。白虎ですね。雪は10歳の時です。丁度ゲートを父様達に見せた後ぐらいです。で、青龍の空は翌年、帝国で黒竜を倒した後。雪の所に空が来てくれていたのでその時に。玄武の朧と朱雀の焔は12歳の時にハデスの一部が学園を襲った後、封印を安定させる為もあって契約しましたね。」
『‥‥‥。』
「あ。リジアは玄武に会ったことあるの、分かる?」
「え?‥‥‥‥‥‥‥まさか、召喚魔法の授業?」
「正解。あの時既に雪と契約してたから朧を見た瞬間四神だって気付いた。だからその時は念話で一旦帰ってって言ったの。最初はちゃんとそれぞれの辺境伯領を通って契約しようと思ってたけど、状況が変わっちゃったからね。」
「へ~!」
「あ。あとね、浴衣や着物や袴も日本由来だよ。」
「そうなんだ。反物見て思い出して作ったの?」
「うん。記憶を頼りに作ったから実際に日本で着たのとは違うかもだけどね。」
「ん?ちゃんと出来てたよ?よく思い出したなって思ったよ。」
「本当!?雪奈姉。」
「うん。」
「え?お姉ちゃん鈴の浴衣姿見たの?」
「うん。」
「何気に一番に見せたの、雪奈姉だもんね。」
『え!?』
「だって浴衣を皆に見せたの、修行後だったでしょ?」
『あ。』
「じゃあ、今も浴衣持ってるの?」
「うん。ストレージに入ってるよ?」
「見たい!鈴、着替えてきて。」
「え~今?」
「うん。今。」
「‥‥‥‥あ。(ニヤリ)いいこと考えた。」
『え?』
「いいよ。柚蘭。ちょっと待っててね。」
「うん。」
「ルビア、父様、母様二人とリリ姉様とマリア姉様も来てください。」
「「「「「「え?」」」」」」
「ふふふ。ルビアと父様達はまだ着てもらってませんから。」
「「私達は!?」」
「折角綺麗なんですから、お父様達に見せてあげませんか?と。」
「「あ。」」
「いかがですか?陛下、王妃様、公爵様。」
「どんな物かは知らんが、見たいな。」
「見てみたいわ。」
「ええ。察するにマリンが作った物でしょう?興味があります。」
「ほら。行きましょ。」
「「う、うん。」」
そして全員で着替えに向かって、女性陣はお互いに髪型を整えた。勿論全員の着付けは私がやりましたよ?
で、全員で再びリビングに出てくると。
『おお~!』
という声が上がった後、それぞれにお褒めの言葉を頂いた。
そんな私達の様子を見た雪奈姉と柚蘭は。
「平和みたいだね。」
「うん。鈴も楽しそうだし、大丈夫そうだね。」
「うん。」
そして和やかな空気に包まれた夜は過ぎていった。
この日はきっちり男女分かれて寝ましたよ?(城程大きくないので部屋が多くない。)
翌日。朝食後。
「そういえばマリン。」
「はい?」
「ネクロマンサーの処遇なんだがな。あやつ、聴取に対して黙秘を続けててな、マリンとしか話したくないとかぬかしているそうだ。」
「え~?あいつ、名前とかも話さないんですか?」
「ああ。まあ、誘拐だけでも重罪だからそれで罪状を決めてもいいんだが、その誘拐が世界中からだから処遇を決めるのも難航してるんだ。」
「はぁ~面倒ですね‥‥。」
「ああ‥‥。」
「鈴、ネクロマンサーって?」
私が学園をハデスの一部が襲った時のことなどネクロマンサーに関することを柚蘭に話した。気持ち悪い性癖も。
柚蘭と戦う場にもいたからね。
「え‥‥‥ロリコン?」
「うん‥‥あれは完全にロリコンだ。」
『ろりこん?』
「なあ、そのろりこんって前にも言ってたよな?ちきゅうの言葉か?」
「うん。簡単に言うと幼女趣味。」
「うわっ。そのままじゃないか。」
「でしょ?‥‥‥‥私、意外とボロ出してるな‥‥。」
「みたいだね~鈴。」
「で、話を戻すがマリン。帝国から戻ったら聴取に付き合ってくれるか?」
「いいですか?父様。」
「ん?ああ。いいぞ。」
「だ、そうなので聴取してみます。」
「頼む。」
「‥‥‥先輩。」
「なんだ?ベアル。」
おお‥‥!帝国と王国の国王が普通に‥‥。
「あの話、来ました?」
「ああ。ということはそっちにももう回ってきたか。」
「はい‥‥。」
なんだろう‥‥?ここで普通に話し始めたってことは聞いてていいんだよね‥‥?
「マリン。」
「え!?は、はい。」
「今、気抜いてたな?」
「はい。私が聞いてていい話かな?とか考えてました。」
「正直だな‥‥。今、ベアルが言ったことはむしろマリン達にこそ話さないとならないことだ。」
「え?私達?」
「ああ。教国からな、交流会の申請が来たんだ。」
「帝国にもな。」
「え?交流会?」
「ああ。教国、王国、帝国の三国合同交流会だ。しかも対象は学生で、代表として各国の生徒会同士でのな。」
『な!』
ここに集まってる学生全員生徒会だからみんな反応した。
「あ!でも申請ですよね?拒否していいんですよね?」
「「‥‥‥‥。」」
「まさか‥‥‥もういいよって言ってしまいました?」
「「ああ。」」
なんということだ!!!
「‥‥‥ちなみに教国の生徒会に聖女様がいたりは?」
「するな。」
「やっぱり!御使いがバレるかも‥‥。」
「すまん。そんな事情とまでは思わなくてな。」
「いえ‥‥‥しょうがないですから。」
「詳しくは帰ってきたらまた話すな。どの国に集まるとか細かいことはまだ決まってないからな。」
「分かりました‥‥‥。」
折角陛下達には話したのに‥‥‥。
平和な日常の為に何とかやり過ごさないとな‥‥。