237話 心配なこと
話は続いて。
「まずは私達の関係性をお話しましたが、実は他にも縁がある人がいました。」
『え?』
「いましたってことは亡くなってるのか?」
「はい。父様とディアナ母様、皇帝陛下が一番近しい間柄だった方ですよ。」
「!!‥‥‥‥まさか‥‥‥レウスか?」
「正解です。父様。レウス伯父様も転生者だったのです。そして前世は雪奈姉達の実の父親。私にとっても伯父だった人です。」
「それはどうやって知ったんだ?」
「皇帝陛下。レウス伯父様が私に遺品の中から本をくれたとお話したのを覚えてらっしゃいますか?」
「あ、ああ。」
「あれは伯父様の日記でした。しかも書かれていたのはこの世界の文字ではなく私達が前世で暮らしていた国。日本の文字、日本語で。」
「!!!」
「私も驚きました。前世でもマリンとしても伯父様だったことに。」
「そうか‥‥‥なら二重の意味でレウスは嬉しかっただろうな。」
「ああ。そうだな。」
「マリン。私達にレウス兄さんのことを話してくれた時にはもうその事は知っていたの?」
「はい。なので色んな人達から伯父様の話を聞いて、ちゃんとおじさんも転生後のこの世界を楽しんでたんだなって分かって私も嬉しかったです。」
「私達も鈴に父さんのことを聞いて驚いた。でも私達の代わりに二度も父さんを見送ってくれた鈴には感謝しかないよ。」
「そうだね。改めてありがとね、鈴。」
「うん。どういたしまして。でも、まさか前世で先に亡くなったおじさんをこっちに来ても浄化で見送ることになるとは思わなかったよ。」
「だよね。」
「さて、皆様。とりあえず私のことは話ましたが、大丈夫ですか?衝撃、凄かったでしょう?」
「ああ‥‥。予想以上の衝撃だった。」
これは雑談挟んだ方がいいかな?
「あ。そういえば、雪奈姉、柚蘭。前に私が言ったこと覚えてる?」
「ん?どれのこと?」
「私の周り、美形しかいないって話。見てよ!私の家族含めて美形しかいないでしょ?私、霞むでしょ?」
「ああ。」
「その話か。」
「鈴。」
「ん?」
「「霞まない。」」
「嘘でしょ!?霞むでしょ!?」
「はぁ‥‥‥鈴、じゃなかったマリンの友達。」
「「「「「「は、はい!」」」」」」
「霞む?」
「「「「「いいえ!」」」」」
「嘘!?」
「ほら。鈴、自分に無頓着すぎだよ。折角可愛いのに。18歳の鈴、めっちゃ美人だったじゃん。」
『え?』
「あ。そういえばあの時、鏡見てないから結局18歳の姿見てないんだよ。私。」
「え!?勿体ない‥‥‥あ。鈴の今のお母さん。あの人にめっちゃそっくりの美人だったよ?」
「本当!?私、母さんそっくりだった?」
「うん。」
「やった!」
「マリン。いつ18歳になったの?」
「あ。説明し忘れてたけど、ここは雪奈姉が作った世界だから私達が暮らしてる世界と時間の流れが違うんだよ。ほら、私の修行3日で終わったでしょ?」
「え?う、うん。」
「ここの2年が向こうの1日だから、私が実際に修行したのは6年なんだよ。その時に18歳になったんだよ。一時的に。」
「‥‥‥‥何から言えばいいのかしら‥‥?」
「だからゆっくり話しても平気だし、なんならここに泊まっても向こうじゃほぼ時間が過ぎてないんだよ。」
「さほど時間取らないって言ったのはそういうことか‥‥。」
「そうですよ。皇帝陛下。」
「そういえばさっきも思ったけど、グランの面影あるね。」
「そうなの?」
「王国の方は完全にリアンさんだね。お姉ちゃん要素ないね。」
「だよね。私も雪奈姉の話聞いた後、シリウスとリゲル見て同じこと思った。」
「「え?」」
「ほら、修行から帰ってきた日に二人をじっと見たことあったでしょ?あの時のことだよ。」
「「ああ~。」」
「ほう‥‥やっぱりこの二人か。どっちがシリウス?」
「あ。えっと‥‥ちゃんと我々も自己紹介させて頂いてよろしいでしょうか?」
「「「あ。」」」
「そういえば自己紹介したの私達だけだったね。いいよ。」
という訳でやっと私が連れてきた全員が雪奈姉達に自己紹介できた。遅くなったの、私達のせいだけど。
「さて。一通り自己紹介を聞いたところで。シリウス、リゲル、レグルス。」
「「「は、はい。」」」
「鈴から聞いてるよ?あ。マリンか。マリンが好きなんだって?」
「「「!!!」」」「せ、雪奈姉!?」
「この子、前世から変わらず鈍感みたいだから苦労してるでしょ?」
「「「はい。」」」
「え!?」
「で、マリンが前世の記憶持ちで神の御使いって聞いてどう?怖い?」
「「「‥‥‥。」」」
3人はちょっと考えた後。
「「「いいえ。」」」
「‥‥‥え?」
「怖いわけがありません。マリンですから。」
「むしろ話してくれたことが嬉しいですよ。」
「例え前世の記憶があろうと私達の知るマリンであることは変わりません。」
「おお~。じゃあ気持ちは?」
「「「変わりません。」」」
「おお~。他の二人は?怖い?」
「勿論、怖い筈ありません。私にとって初めての親友ですから。」
「私もですよ。私の方が年は一つ上ですが、変わらず接してくれますからね。」
「いい友達持ったね。鈴。」
「‥‥‥うん‥‥‥。」
こんなにすんなり受け入れてくれるとは思ってなかったから余計に‥‥。
と言うと。
「事前に予告してくれたじゃない。」
「あ。確かに。」
「さて。友達は大丈夫そうだね。鈴の今の家族の皆さん。」
『はい。』
「皆さんは?」
「勿論、妹を恐れる兄などいません。それに5歳の洗礼後、魔法の属性のことや五神様の加護を頂いてるまでは教えてくれてましたからね。転生者というのは予想外でしたが、それだけです。私達もこれまでと何も変わりません。」
「ヒスイ兄様‥‥。」
「家族全員、同じですか?」
『はい。』
「うん。家族も大丈夫そうだ。さて。今の国王。それから国の重鎮達。帝国の皇帝と皇族達。」
『はい。』
「鈴を戦力として使おうとか考えてないよね?」
「セツナ様。そのつもりはありませんし、戦力にそもそもできません。それにマリン本人に防がれてますから。」
「そうなの?鈴。」
「うん。私は一貴族令嬢にすぎないからね。どんなに功績をあげても爵位をもらうことはないから王国に忠誠を誓ってる訳でもない。唯一私を使う手段は冒険者としてのマリンに指名依頼するしかない。でもあくまでも依頼だから拒否権はあるんだよ。」
「ああ~。なるほど。あと、私が未成年を戦争に駆り出すなって決めたからか。」
「そういうこと。」
「うん。なら安心だ。鈴はこれからも今まで通りに過ごせそうだね。」
「雪奈姉‥‥‥うん。そうみたい。」
「さて。全員衝撃から戻ってきて落ち着いたみたいだし。本題といこうか。」
やっと本当に歴史語りです。