230話 久しぶりの会話
そして3日後。
そう3日後。私はあのまま3日も寝ていたそうだ。
起きてきて、雪奈姉に言われた第一声が。
「あ!やっと起きてきた!鈴まで起きないから焦ったよ。全く。」
だった。
「え?私、そんなに寝てたの?」
「うん。3日も寝てた。」
「3日!?」
「うん。3日。」
「柚蘭は?」
「まだ寝てるよ。」
「そっか‥‥。」
「大丈夫だよ。その内起きるよ。」
「うん。そうだね。」
という会話の後、私達は昼食を食べて寛いでいた。
‥‥‥私は昼近くまで寝てたらしい。
「それで、鈴はこれからどうするの?」
「ん?あ~‥‥今夏休みで帝国に行こうとしてた時だったんだよね‥‥‥合流するつもりではいるんだけど‥‥御使いだって言っちゃったから戻り辛いんだよね‥‥。」
「そっか。大丈夫だと思うよ?」
「そう?」
「うん。」
そして更に日々は過ぎて、ハデスを浄化して一週間後。
この日も雪奈姉とゆっくりしていると。
《マリン様!》
「ん?」
「どうしたの?」
「雪に呼ばれた。」
「え!?ってことは柚蘭!?」
「い、行こ。雪奈姉!」
「う、うん。」
私達が柚蘭のいる部屋に着くと、柚蘭が目を覚ましていた。
「「柚蘭!!」」
「‥‥‥お姉ちゃん‥‥?と、誰?その子。」
「姿は違うけど、鈴だよ。柚蘭。」
「え!?」
その瞬間ガバッと体を起こして私をまじまじと見た。
私達は柚蘭がベッドに座ったままだったので、横にある椅子に座った。
「鈴‥‥‥なの?」
「うん。私も日本で死んじゃってね、転生してこの世界に来たの。」
「鈴‥‥?」
「うん。転生したから姿は違うけど、白石鈴音だよ。柚蘭。」
「鈴~!」
「わっ!‥‥‥ふふっ。珍しいね。柚蘭から抱きついてくるなんて。」
「だって‥‥‥だって!」
「うん。私もまた会えて嬉しいよ。柚蘭。」
「‥‥‥お姉ちゃん。奇跡って起こるんだね‥‥‥。」
「うん。そうだね。柚蘭を助ける浄化の使い手がまさか鈴とはね。」
と雪奈姉が言うと、またガバッと私から離れて
「は!そうじゃん!ハデスは!?」
「ふふん!私の浄化と創造神様の協力で冥界に送ってやったわ!あとはハデスの奥さんがしっかり処罰してくれるってさ。」
「そうなの!?‥‥‥鈴が私を助けてくれたの‥‥?」
「うん。」
「お姉ちゃん、これマジで奇跡じゃん!」
「だよね?私も思った。」
「お姉ちゃん。私が封印に入ってからのこと、教えて。」
「うん。」
「あと、鈴。私達がいなくなった後の日本のことも教えて。」
「うん。いいよ。」
ということでまず、私が日本でのことを話した。雪奈姉と柚蘭がいなくなった後、私が死ぬまでのことを。
ついでにおじさんもこの世界に転生していたことも話した。
「鈴‥‥‥死に方私達と同じじゃない‥‥。」
「む。私はちゃんと子供を助けて死んだんだもん!」
「まあ。確かにね。でもやっぱり春斗はひよったか。」
「そうみたいだよ。柚蘭。鈴は全然気付かないままこっち来たみたいだよ。」
「分かるわけないじゃん!私が家を出る時「清々する」って言ったんだよ?春斗君。」
「うわ。馬鹿だあいつ。この鈍感鈴に清々するなんて言うとはやっぱり馬鹿だ。」
「だよね~。私も思ったよ。私達の弟ながら情けないよね~。」
「本当だよ!‥‥‥で、父さんもこっち来たって言ってたよね?」
「うん。雪奈姉、あれ柚蘭にも見せてあげて。」
「うん。」
「あれ?」
そして雪奈姉に渡したままだった、この世界でおじさんが残した遺品の日記を柚蘭に渡すと。
「日記?」
「開いて表紙の裏、見てみて。」
「え?うん。」
そして柚蘭も表紙の裏を見た瞬間固まった。
「これ‥‥‥父さん?私達を‥‥探してたの?」
「そうみたい。」
「え?嘘‥‥‥お姉ちゃん、鈴。私が知らないこと最初から全部教えて。」
「「うん。」」
それから、雪奈姉が柚蘭をハデスごと封印した後のことを話し、私もおじさんに起こったことや今の私のことを全部話した。
「そっか‥‥‥ちょっと予想以上に情報がきたから整理する時間がほしいかな。」
「うん。だよね。」
「鈴はまだここにいる?」
「ん?向こうと時間の経過が違うからまだここにいても問題ないよ。」
「なら、もう少しいて。」
「うん。分かった。」
「‥‥‥。」
「柚蘭?」
「改めて今の鈴‥‥美少女だなぁ~って思って。」
「だよね!?羨ましいよね?一回18歳の姿見たけど、美女だよ!美女。なのに鈴ってば、周りの人達が美形揃いだから自分は霞むとか言うんだよ!?霞む訳ないよね?この美少女が!」
「そうだよ!霞む訳ないじゃん!鈴、こっちでも自分の魅力を理解してないわけ!?」
「‥‥‥‥まさか、こんなに責められるとは‥‥。」
「「当然!!」」
「!!!‥‥‥ふふっ。」
「何笑ってるのよ!」
「久しぶりだな~って思って。こんなやり取り、もうできないと思ってたから嬉しくて。」
「「!!!」」
「‥‥‥確かにね。」
「ふふっ。」
「雪?」
「あ。すみません。笑ってしまって。」
「ううん。それはいいけど、どうしたの?」
「いえ。ずっとお話を伺っていてお三方の仲がいい理由が分かったので‥‥‥失礼ですが、微笑ましいなと思いまして‥‥。」
「そう?」
「はい。」
「ねぇねぇ。鈴。鈴は四神にどんな名前付けたの?」
「ん?ここにいる白虎が雪。外にいる青龍が空。玄武が朧。朱雀が焔。」
「おお‥‥‥さすが。お姉ちゃんと違ってちゃんと考えたんだね。見た目の特徴とかも加味して付けたんでしょ?」
「うん。」
「それぞれどう考えてその名前にしたか教えて!」
「えっとね‥‥」
それぞれの名前の由来を話した後もまだまだ私達の会話は尽きなかった。
やっとここまで書けました‥‥。
作者が迷っていたのはいつ封印を解くかでした。
これは書き始めた当初からずっと迷っていたことで、やっぱりなるべく早くマリンの肩の荷を下ろしてあげたかったので14歳のこの時にしました。
雪奈、柚蘭、鈴音。やっとこの三人を引き合わせられました‥‥‥長かった‥‥長引かせたのは作者自身ですが。
三人共。嬉し過ぎてはしゃいでます。