227話 封印が解ける時
さて、王国の城の庭園に行かないといけなくなった。
そして玄関に着くとそこには既に今年もお留守番で見送りにいるセレス母様を含めた全員がいた。
「あ。マリン。そろそろ行くぞ。」
「すみません。ヒスイ兄様。先に帝国に向かってて下さい。」
『え?』
「私は城の庭園に行かないといけなくなったので。」
「マリン‥‥まさか‥‥。」
「封印がそろそろ解けるみたいです。なので父様、ディアナ母様、セレス母様、ヒスイ兄様、フレイ兄様、アクア兄様、リリ姉様、マリア姉様。条件の時です。止めないでくださいね。」
『‥‥‥。』
名前を呼んだ全員が黙ってしまった。
「それではリジア、シリウス、リゲル、レグルス、ベネトさん、リオト、ルビアも含めて「行ってきます。」」
『!!!』
そして私がゲートを開いて庭園に向かおうとすると、レグルスが私の手を取った。
「待ってくれ。マリン。」
「なに?時間がないんだけど。」
「どうしてもマリンじゃないと駄目なのか?」
「うん。‥‥本当に時間ないから放して。」
と言うと放してくれたのでゲートを通って庭園にある池の手前まで出たのだが、閉じようとしたゲートから家族達全員も通ってきてしまった。
「ちょっと!?なんで皆さん来ちゃうんですか!?」
「え?見届ける為だが?」
「当たり前みたいに言わないでよ‥‥レグルス。」
と言った瞬間、目の前の結界が壊れて池の中から水晶が出てきた。
「結界とれちゃったじゃない!もう!危ないから来てほしくなかったのに!」
「ご、ごめん。」
「マリン!」
「あ。姉様まで来ちゃった‥‥‥陛下達まで‥‥。」
「マリン。これは封印が解けてしまったのか?」
「いえ。これは核なので四神達を呼ばないと完全には解けません。」
『え!?』
「さて、姉様。父様達には申し上げましたが、今が条件の時です。止めないでくださいね。」
「!!‥‥‥分かった。」
「おや?勢揃いですね~。」
「やっぱり来たわね‥‥ネクロマンサーさん。」
「ええ。勿論。」
「どうやってここまで入って‥‥‥‥来たかは聞かないでおくわ。誰も傷つけてないわよね?」
「ええ。勿論。」
「ならいいわ。」
「マリン。今、四神って言ったよな?」
「はい。もう隠す必要もないので申し上げますね。陛下、度重なる嘘。申し訳ありません。父様、皆さん。黙っていてごめんなさい。私は「神の御使い」です。そして四神とも契約済みです。」
『!!!!』
全員が驚いていた。
そりゃそうだ。
「それから、あの水晶の中にいるのは学園を襲ったあいつだけではないんです。」
『え?』
今度はネクロマンサーも驚いていた。
「あら?あなたも知らなかったの?」
「ええ。」
「あの中にはもう一人‥‥私の親友が眠ってる。」
『え!?』
「だから、私は親友を助けたいんです。邪魔しないでくださいね。皆さん。」
《マリン。そろそろ‥‥》
「はい。創造神様。」
『え!?』
「父様達。これから四神を召喚します。ですが、危ないので父様達は強制的に領地に戻ってもらいます。先に帝国に向かってて下さい。姉様や陛下達もすぐ離れてくださいね。」
『分かった。』
返事をしたのは姉様と陛下達だけ。
でもやらないと。
「やっと集まれるよ。みんな。【召喚:雪、空、朧、焔】」
すると、四神達が水晶と共に現れた。
「マリン様。ようやくですね。」
「そうだね。」
『‥‥‥。』
みんなが驚いていた。
多分四神が本当に召喚されたことと雪が喋ったこと両方に驚いたんだろうな。
でもみんなには帰ってもらわないと。
「では父様、母様達、兄様達。お送りしますね。」
そう言って足元にゲートを開いたので下に降りていく父様達を見ながら。
「必ず追い付きます。信じてください。」
『!!!』
「‥‥‥分かった。待ってるからな。マリン。」
「はい。父様。」
そして父様達が去った後、残ったのは姉様と陛下達。
「姉様、陛下達。危ないので下がってください。」
「「ええ。」」『ああ。』
「さて、ネクロマンサーさん。大人しくしてたってことは一緒に来るの?」
「ええ。」
「そう。」
「マリン様。よろしいですか?」
「うん。いいよ。」
そして四神は自分達が守ってきた水晶を操り、核の水晶に近付けた。すると、5つに別れていた水晶が一つに戻り、やがて砕けた。
そして中から出てきたのはやっぱり。
「柚蘭!!」
「‥‥‥。」
虚ろな表情で目の焦点も合っていない様だった。
「柚蘭‥‥‥とりあえず移動しよう。」
そう言って私は柚蘭の足元にゲートを開いて下に降りて移動させたあと。
「姉様、陛下達。いってきます。」
「いってらっしゃい。マリン。必ず帰って来てね。絶対よ!」
「はい。姉様。」
そして私とネクロマンサー、四神達もゲートを通って荒野へと向かった。