219話 帰国
翌日。
皇帝陛下や皇族の人達に別れを告げて帰国するべく出発した。
そして今年は何事もなく平和に辺境伯邸まで着いたのだが、お留守番していたセレス母様からおかえりの後の一言で疲れがどっと出た。
「マリン。国王陛下から手紙が来てるわよ。」
「え~‥‥。」
「マリン。」
「だって陛下からの手紙って嫌な予感しかしないですから。」
「「「‥‥‥。」」」
あ。リリ姉様達が気まずそうな顔してる。
「母様は読みました?」
「ううん。一応マリン宛てだから読んでないわ。」
「じゃあとりあえず読んでみます。」
内容は。
前々から聖女から手紙が来ていて、教国まで会いに来てほしいと言ってきていたこと。
私がまだ学園の生徒で教国に行くなら夏休みしかないが、その時は毎年帝国に行っているので無理だとずっと陛下の方で拒否をしてくれていたということ。(ちゃんと父様と協議の上で。)
そしたら今年、痺れを切らした聖女が「じゃあ自分から会いに行く」という旨の手紙を寄越してきて、私がこの手紙を読む頃には王都に向かってきている筈だということが書かれていた。
そして最後には、止められなかった。ごめん。一回でいいから会ってやってくれ。王都に着いたら真っ直ぐ城に来てくれ。
と書かれていた。
‥‥‥‥マジか‥‥。
「‥‥‥‥。」
「なんて書いてあったの?マリン。」
「‥‥‥‥王都で聖女様が私をお待ちだそうです。」
『え!?』
「父様。陛下と一緒に私の教国行きを拒否してくれてたんですね。」
「ああ‥‥でも来てしまったのか‥‥。」
「その様です。父様は聖女様が何故私に会いたがってるのかご存知ですか?」
「ああ‥‥‥マリン。それこそ「天使」呼びだよ。」
「え?」
「ネクロマンサーに誘拐された人達の中に教国の国民がいたんだ。そして教国に帰った時に聖女様と会う機会があったみたいでな、「王国の天使に救って頂きました」と言っていたそうだ。」
「まさかそれで天使とはどんな人かと?」
「その通りだ。」
「なんて迷惑な‥‥‥興味持たないでほしかったです‥‥‥‥ということは教国にまで広がったんですね。天使。」
「だな。」
「はぁ~もう最初に言った人を恨みたいです。」
『‥‥‥。』
みんなは私を見てなんと言ったらいいか分からないって感じだった。
私はとりあえず部屋で休むと言ってその場を去った。
すると、部屋で一人になった途端。
《マリン。聞こえるかの?》
《創造神様?》
《明日でもいいから教会に来てくれるか?》
《聖女様の話ですか‥‥?》
《う、うむ。それだけではないが。》
《分かりました。行きます。》
《ではの。》
《はい。》
そして翌日。
私が教会に行くと言うと、リオトとルビアが一緒に行くと。教会以外行くところを決めてなかったので二人に付き合えばいいかと思って了承した。
三人で教会に着くと、お布施を払って三人で祈りを捧げる。
すると分かってはいたが、私だけいつもの白い空間に来た。
「こうして会うのは久しぶりじゃな。」
「そうですね。念話で話すのも創造神様だけですから他の四神様が本当の久しぶりですね。」
「「ええ。」」「そうだね。」「ああ。」
「とりあえず座りなさい。」
「はい。」
そして私が座るのを見届けると。
「まず例の封印じゃがな、やっぱり儂らが当初考えとった時期より早くなっとる。」
「いつ封印が解けるかは?」
「本当に1,2年の間じゃな。」
「そうですか‥‥‥。」
「で、聖女のことじゃが。」
「はい。」
「ごめんなさいね。マリン。あの子には迷惑だからやめなさいって言ったんだけど、聞かなかったのよ。」
「やっぱり無鉄砲タイプですか。」
「ええ少しね‥‥普段は聖女としてちゃんとしてるのよ?でも、興味を持ったことには真っ直ぐで‥‥最後に祈ってくれた時に絶対に行くなと言ったのに‥‥」
「そこまで言われても来るって凄い行動力ですね‥‥。」
「でも聖女としてはよろしくないわ。聖女は基本的に教国から出るべきじゃないのよ。」
「まあ、そうでしょうね。ちなみに聖女様は私が御使いだということは?」
「知らないわ。あの子に言うの、恐くてしょうがないもの。」
「そ、そうですか。私を見て気付かれる可能性は?」
「‥‥‥‥‥ゼロじゃないわね‥‥。」
「うわっ。ますます会いたくない‥‥。」
「ごめんなさい。マリン。一度会ってあげて。そして是非とも追い返して。」
「は、はい。分かりました。」
「では、他に言っておきたいことはあるかの?」
「今のところは。あったらまた念話で伺います。」
「そうじゃの。む。丁度時間のようじゃ。またの。」
「はい。」
そして元の祈りの間に戻ってきた。
その後は予定通りリオトとルビアの街歩きに付き合った。そして1日が終わった。
数日領地の屋敷で訓練もしたが、休息をとって王都へ。
そしてまた数日後、王都に戻ってきた。
ああ‥‥‥聖女様に会わないとかぁ‥‥‥。
やっと帰国です。
数話閑話の様なのを挟んだら話を進めることにします。