217話 慰霊碑で
そして昼食後。
慰霊碑へ向かっている馬車内にて。
「それで、父様、母様。ご用事があるから一緒の馬車なんですよね?」
「ああ。やっぱり分かるか。」
「勿論です。」
「去年、レウス兄さんの事をアポロ兄さんに話に行ったその後、ゲートでラルクの執務室に案内したじゃない?」
「そうですね。」
「あの時にね、アポロ兄さんが自分も慰霊碑のところに行きたいって言ったらしいの。」
「え?でもアポロ伯父様は‥‥‥あ。私がゲートで迎えに行く相談ですか?」
「さすが。話が早い。領地にいる間に手紙を出しておいたんだ。日にちと時間を指定してその時間に応接室にいてくれってな。」
「私も帝国に行くことが前提だったから領地で手紙を出したのよ。」
「慰霊碑に行くなら母様と一緒にということですか?」
「ええ。」
「分かりました。いつ迎えに行きますか?去年は慰霊碑のところ、それなりに人いましたよ?」
「じゃあ到着次第馬車の中で迎えに行ってくれるか?」
「はい。」
そして馬車は到着し、ここから少し歩くがその前に。
ゲートでアドニス邸の応接室に行くと、本当にアポロ伯父様が待っていた。
「お。マリン、本当に来てくれたんだな。」
「はい。今慰霊碑付近で父様と母様も待ってます。どうしても少し歩くことになりますが。」
「構わないさ。じゃあ行くか。」
「はい。」
そして繋ぎっぱなしのゲートを再び通って馬車の中に出る。
「お?馬車の中か?」
「はい。去年、慰霊碑にはそれなりに人がいたんですよ。だから人目を避けるなら馬車の中でゲート使えば隠せるかなと。」
「なるほどな。それから歩くんだな。」
「はい。」
伯父様と二人で馬車を降りると、みんなもいて。
「‥‥‥帝国なんだよな?」
「そうですよ。」
「なあ、マリン。すごい面子が揃ってる気がするんだが‥‥」
「気のせいじゃないですよ?」
そしてアポロ伯父様と初対面のリオト達が自己紹介した後。
「お久しぶりです。そしてようこそ、帝国へ。アドニス伯爵。」
「今は皇帝でしたね。お久しぶりです。」
「あれ?陛下と伯父様お会いしたことあるんですか?」
「うちにラルクと遊びに来たことがあるのよ。」
「陛下‥‥本当に自由ですね。父様とレウス伯父様の苦労が目に浮かぶ様です。」
「うっ。苦労してたのか?ラルク。」
「当然だ。」
「親子揃って容赦ねぇな‥‥。」
「ではそろそろ行きましょうか。こんな団体で居座ったら邪魔ですから。」
「流された‥‥。」
そんな陛下の言葉を聞きつつ慰霊碑があるところまで登って行くと。
『おお~!』
去年来てない家族達とリオト達。
そして慰霊碑の前に来ると。
「あ。名前、増えてますね。」
「ああ。マリンが遺品を持ち帰ってくれたからな。」
「レウス伯父様以外の方々のもご家族の下に帰れましたか?」
「ああ。まだ全員じゃないけどな。」
「そうですか。」
それから全員で祈っていた。
転生した後なのでこの言葉は伝わることはないと思いますが伯父様。今年は私が連れてこれる親族を連れて来ましたよ。
それから雪夜おじさん一先ず雪奈姉には会えたよ。柚蘭は‥‥‥必ず助けるから。
そして私が目を開けると既にみんな祈りを終えて立っていた。
「ふふっ。随分長く祈ってたわね。マリン。」
「レウス伯父様には届かないって分かってても伝えておきたかったので。」
「なんて?」
「今年は私が連れてこれる親族を連れて来ましたよ。と。」
「そう‥‥。」
と、母様と話してると。
『天使様?』
またですか‥‥‥。
声のした方を見ると、去年もいた方々がいた。
「あ。去年もいらした方々ですね。お久しぶりです。あと、去年も申し上げましたが私はマリンですよ?」
「いえ。我々にとっては天使です。」
「‥‥‥。」
やっぱり聞いてくれない‥‥‥。
「ふふっ。マリン。本当に帝国でも天使って呼ばれてるのね。」
「リジア~?」
「あれ?天使様。去年はいらっしゃっらなかった方々ですよね?」
「はい。私の家族と慰霊碑に名前がある、レウス伯父様の親族ですよ。」
『え!?』
「えっと、では辺境伯様も?」
「私だが?」
「!!!これは辺境伯様。失礼致しました。去年はお嬢様にお世話になりました。心よりお礼申し上げます。」
と、去年もいた遺族の人達が一斉に頭を下げた。
「え!?‥‥‥一先ず頭を上げて頂けますか。」
父様がそう返すと全員、頭を上げた。
「その話は娘から伺っております。そしてレウスは私の友人でもありました。娘は友人の時と同じように、皆さんにご家族の言葉を伝えたとか。」
「はい。最初は戸惑いましたが、自己紹介もしてないのに我々の名前を呼ばれましたし、伝えて頂いた言葉も「言いそうだな」と思えることでしたから信じられました。最後にもう一度話せるとは思ってなかったのでお嬢様には感謝しかありません。」
「そうでしたか‥‥‥。」
「ふふっ。父様、皆さん。私は私が出来ることをしただけですよ。」
「ああ。それでもよくやったな。マリン。」
そう言って父様は笑ってくれた。
「はい!」
そして私達は遺族にまた来年と言って別れた。
アポロ伯父様を再び馬車の中でアドニス邸に送ってから城に戻った。
「全く。とんでもない面子連れて行くよな‥‥。でもありがとな。マリン。」
という一言をアポロ伯父様に頂いたが。
そして去年より早く城に戻ってきたのもあり、私は城の庭園へと向かった。
世界樹、ルナに会うために。