216話 空の上の秘密
さて、上空でのリオトの質問タイムです。
「まず、恐らく皆さんに聞かれていると思いますが、マリン姉様は兄上達の誰がいいとか無いのですか?」
「やっぱりリオトも気になるか‥‥‥私がシリウスを選んだら本当のお姉ちゃんになるんだもんね。」
「はい。」
「うん。確かに色んな人に聞かれたね。本人達にも聞かれた。それから1年経ったけどやっぱり変わらない。で、多分だけど、リオトはルビアを選ぶんでしょ?」
「は、はい。」
「リオトにとって、ルビアはやっぱり特別?」
「はい。そうですね。ずっと一緒だったので今更離れることは考えられないですね。」
「そっか。私はね。そこまで考えられてないの。」
「え?」
「私は恋がどんな感じか分からないんだ。冒険者をやりたかったのもあるし、自分の気持ちがハッキリ分からないのに適当に決めたら失礼でしょ?だから3人には申し訳ないけど、今は時間をもらってるんだ。」
「そうですか‥‥‥。」
あ、あれ?考え込んじゃったかな?
「えっと、答えになってる?」
「はい。充分です。次の質問いいでしょうか?」
「どうぞ。」
「では。えっと、マリン姉様は王国にある封印の中身と戦うんですよね?」
「うん。そうだよ。」
「相手はそんなに強いのですか?」
「うん。修行が終わった後、師匠に色々聞かせてもらった。中身のやつすごい強いって。」
「マリン姉様じゃないと倒せない程ですか?」
「うん。当時の最強の剣士と魔法の達人ともう一人助っ人がいて、3人でやっと倒せた相手だって。倒せたけど事情が変わってね、そいつを封印することになって今に至るらしいんだ。」
柚蘭はきっと達人クラスだったと思う。
魔法が使えるなら嬉々として練習とかしただろうし。
前世で雪奈姉とは剣道で、柚蘭とはお互いに元々好きだったのもあって一緒にマンガ読んだりアニメ見たりして過ごしてたからね。
「そうなんですね‥‥‥って今更ですが、僕が聞いて良かったんですか?」
「うん。陛下と違ってリオトは深く探って来ないでいてくれるからね。」
「うっ‥‥‥父上がすみません。」
「ふふっ。大分慣れたから大丈夫だよ。他に聞きたいことある?」
「ちなみにマリン姉様が封印の中身と戦わないとどうなります?」
「ん?そりゃ中身が世界中暴れ回って国が何個もなくなったりするんじゃない?最悪、世界滅亡?」
「え!?」
柚蘭を操ってる筈だからねぇ。賢者の柚蘭の魔法を使えばそれぐらい可能でしょ。勿論させないけど。
「そ、そんなすごいのと戦うつもりなんですか‥‥?」
「うん。だから修行したんだよ?」
「あ。そうでした‥‥‥なら、質問は一先ず以上でいいです。なので、僕がマリン姉様に言っておきたいことを言ってもいいですか?」
「え?うん。」
「マリン姉様。絶対生きて帰ってきて下さい。死んで帰って来なかったら恨みますからね?」
「う、うん。」
「あと、僕としては兄上を選んで頂いてマリン姉様に本当の姉になってほしいとは思います。ですが、一番はマリン姉様の幸せを祈ってます。なので誰を選んでも僕は応援します。だから思う存分悩んで下さい。」
「!!‥‥‥‥ふふっ。ありがとう。リオト。」
「はい!」
ああ~なんていい子なんだ‥‥!
私を慕わなくてもリオトは充分できる子だよ!
「さて、リオト。これからどうする?」
「う~ん‥‥‥いつの間にか兄上達いなくなりましたね。」
「そうだね。城に帰ってるから大丈夫だよ。」
「そうですか。なら良かったです。」
「ねぇ、リオト。今は浮いてるだけじゃない?」
「?はい。そうですね。」
「実はね、この魔法は浮くんじゃなくて飛ぶ魔法なんだよ。」
「飛ぶ?」
「うん。浮いたまま移動できるよってこと。鳥みたいに。」
「え!?もしかして体験させてくれるんですか?」
「うん。どうかな?」
「体験してみたいです!」
「いいよ。とりあえずこの魔法、父様も含めて誰にも見せてないから私から言うまで内緒にしててくれる?」
「はい!勿論です。」
「ふふっ。ありがと。じゃあ動くから捕まっててね。」
「はい!」
そして最初は慣れてもらうためにゆっくり移動して、リオトの様子を見つつ速度を上げて街を旋回していった。
「わあ~!すごいです!」
「ふふっ。慣れたら意外と楽しいでしょ?」
「はい!」
そして、ある程度空の旅を楽しんだところで。
「あ。結局街をあんまり歩いてなかったけど、良かったの?リオト。」
「はい。それより楽しい体験できたので満足です。」
「そっか。じゃあそろそろ戻ろうか。」
「はい。」
そしてゆっくり目立たない路地の地面に降り立って誰も見てないのを確認してから雲隠も解除した。
で、2人で城に戻ると。
「あ‥‥マリン、リオト‥‥おかえり。」
「ただいま戻りました。尾行なんて大人気ないことする兄上。」
「うっ。」
「ふふっ。ただいま。ベネトさんは護衛という名の巻き添えだよね?」
「正解だ。そしておかえり。」
「マリン。俺達に気付いた後、どこにいたんだ?」
「ふふっ。内緒。ね?リオト。」
「はい。とりあえず兄上達の行動は見てましたよ。」
「「「「え!?」」」」
「どこからかは今は言わないけどね。」
『今は?』
「ふふっ。今はです。」
「とりあえず2人共楽しめたのね?」
「「はい!」」
「ならいいわ。」
さて、午後からは慰霊碑だ。