215話 ちょっとした戯れ
帝都を再び女性陣だけで歩いたその夜。
私は部屋でまったりしている時に、あることに気付いた。
1日自由なのって明日で終わりじゃね?
明後日が帝国に来て一週間。帰る日なのだ。
帝国に来てから浴衣姿を見せて以降、男性陣をほったらかしだ。
‥‥‥‥申し訳ないことしたかな?
と思って同じく部屋にいる姉様達に聞いてみると、シリウス達は去年構ってるからいいんだと。申し訳ないのはリオトだけだと。
‥‥‥確かに。
という訳で明日の朝、リオトにどうしたいか聞いてみることになった。
そして朝食後に聞いてみると。
「午後は慰霊碑に行くんですよね?」
「うん。」
「僕も行っていいですか?」
「うん。勿論。」
「なら、それだけで十分ですよ。」
なんていい子なんだ‥‥‥さすがリリ姉様の弟!
この年の頃のシリウスとは大違いだ。
「マリン。今、俺に対して失礼なこと考えなかったか?」
シリウス、何故分かった!?
視線を逸らしながら
「いや‥‥?」
「なら何故視線を逸らすんだ?」
「図星だったな。」
「‥‥‥リオトは11歳の頃のシリウスとは大違いだって思った。」
「‥‥‥正直に言われた内容が傷付く‥‥。」
「しょうがないわ。シリウス。事実だもの。」
「‥‥‥。」
「でも、リオト。これからの時間、慰霊碑に行くまで暇なのは変わらないから我が儘言っていいよ?」
「え?いいんですか?」
「うん。」
「なら、マリン姉様と帝都を歩いてみたいです。」
「え?馬車じゃなくて?」
「はい。去年、兄上達も歩いたんですよね?なら僕もいいですよね?」
「うっ‥‥リリ姉様‥‥‥すみません。リオトにまで私の自由さが移ってしまったみたいです。」
「構わないわよ。自由に歩けるのはマリンちゃんが一緒の時だけだもの。」
「う~ん‥‥‥リリ姉様がいいって仰るなら‥‥。」
「いいんですか!?」
「うん。いいよ。どこか行きたいところある?」
「特には。どんな店があるとか分からないですし。」
「あ~確かにそっか‥‥‥じゃあ目的を決めずに歩いてみる?」
「はい!」
「じゃあ早速行く?」
「はい!」
「リオトだけずるいですわ!」
「ルビアはマリン姉様ともう出掛けてるだろ?」
「そうですけれど!」
「リオト、ルビアも一緒じゃ駄目?」
「今は駄目です。一緒は辺境伯領なら認めます。」
「お。珍しくリオトが強情だ。ごめんね。ルビア。」
「い、いえ!‥‥‥リオトの言う通りですから諦めますわ。」
「ふふっ。ルビアもリゲルと大違い。」
「マリン。それは言わなくていいだろう。」
「じゃあ行こうか。リオト。」
「はい。」
「流された‥‥。」
「同じくしょうがないわ。リゲル。」
「‥‥‥。」
そして私はリオトと二人だけで帝都の街に出た。
さすがにもう帝都の人達も「天使様」と言って群がって来なかったので平和に歩けた。が。
しばらく歩いていると。
ふふっ。三人共素直に言えばいいのに。
あ、リオトに駄目って言われるか。
「マリン姉様?」
「ん?」
「何かありましたか?」
「ふふっ。お兄ちゃん達。」
「え~?」
「逃げたい?」
「はい。」
「ふふっ。じゃあ家族にも誰にも見せてない魔法を使ってみようか。」
「いいんですか?」
「うん。リオトは高いとこ平気?」
「恐らく。」
「じゃあ近くまで来てるから逃げるよ。私がいいよって言うまで喋らないでついてきてね。」
「はい。」
そして次の曲がり角を曲がってすぐ。
「【雲隠】」
「!」
そしてシリウス達も角を曲がって来たが、私達の姿が見えない為。
「あ。やっぱり気付かれてたか。」
「だから言っただろ?マリン達を尾行なんて無謀だって。」
ふふっ。まだここにいるよ~。
そして私はリオトを横抱きで抱えて
「(【フライ】)」
上空へと上がった。
ここまで来たらいいかな?
「リオト。いいよ。」
「す、すごい‥‥‥た、高い‥‥。」
「大丈夫?」
「は、はい。」
「ふふっ。リオト、下見れる?」
「え?あ、兄上達ですね。」
「うん。三人共素直について行きたいって言えばいいのにね。ベネトさんはレグルスの護衛についてるだけだろうけど。」
「そうですね。まあ、僕が拒否しますけど。」
「ふふっ。あ、あれ?レグルス‥‥真っ直ぐこっち見てない?」
「え?‥‥‥僕にもそう見えます。」
「だよね?あれ?レグルスってそこまでサーチ使えたかな?」
「馬車の中でずっと訓練してましたよ。」
「え!?で、でも教えてから3ヶ月ぐらい?しか経ってないよね?」
「ええ‥‥‥マリン姉様。皇太子殿下の様子が‥‥。」
「え‥‥‥あれ、見間違いじゃないよね?」
「はい‥‥。」
「って!‥‥‥‥‥あっぶな!」
真空弾撃ってきたよ‥‥‥危うく当たるところだった‥‥
「‥‥‥私がいても避けるか防ぐかするという前提で撃ってきたよね?」
「恐らく‥‥。」
「あ。でもベネトさんに怒られてる。」
「当然ですね。」
「うん。そうだね。‥‥‥ふふっ。」
「マリン姉様、楽しそうですね。」
「うん。逃げるとかなかなかやらないからね。」
「僕もです。今の横抱きにされてる状況は恥ずかしいですが。」
「ふふっ。これが一番無難かなって。背負った方がいい?」
「‥‥‥‥このままでお願いします。」
「ふふっ。分かった。それで、なに?リオト。」
「え?」
「私に何か聞きたい事があるから二人っきりに拘ったんじゃないの?」
「さすがマリン姉様です。では伺っていいんですよね?」
「答えられることならね。」
「はい。それでいいです。」
さて、リオトは何が聞きたいんだろ?
帝国から帰った後の展開を少し迷い始めまして、投稿が遅れました。
まだ書きたい話もありますが、どうしようかと。なのでこれからなかなか投稿できないかもしれませんが、迷いがなくなったら随時投稿します。