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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第8章 3度目の帝国
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214話 帝国に遺された面影

帝国にいる間、親善パーティー以外の予定は基本的にない。毎年一週間ぐらい掛けて来るのでむしろ休めなのだが、私達が大人しくしてる筈がないので行動してるだけだ。


浴衣を試着した翌日。

再び女性陣だけで帝都に出て反物屋に向かった。

そして店内の場所を借りて私だけ浴衣に着替えて完成を店員(もとい店長)に約束通り見せた。

その後、全員で次に作る人達の為の反物を選んでいたが、私は今日こそはと聞いてみた。


「もしかしなくても店員さんじゃなくて店長さんですよね?」

「ふっ。さすがに分かりますよね。」

「勿論ですとも。では、改めて店長さん。柄がない真っ白と真っ黒の反物ってあったりしますか?」

「真っ白と真っ黒‥‥‥?えっと‥‥‥‥」


あ、無いかな?やっぱり。

真っ白と真っ黒って極端だからな‥‥


「少々お待ちください。」

と言って店の裏の方に行ってしまった。


「ねぇ、マリン。真っ白と真っ黒って何作るの?」

「袴っていうやつです。」

『はかま?』

「はい。浴衣と違って上下別々に作ります。」

「それもマリンが着たいから?」

「はい。袴は弓を射る時の制服の様な物です。王国に無かったみたいなので作ってしまおうかと。」

「はかまって何ですか?」

「あ、おかえりなさい。店長さん。」

「あ。すみません。お待たせしました。ありましたよ。」

「あったんですか!?」

「ええ。それで、はかまって何ですか?」

「えっと、弓を射る時の制服の様な物ですよ。上下別々に作ります。」

「あ、だから2色なんですか?」

「そうですよ。それで、幾らですか?」

「えっと、こちらの反物達も含めてですよね?」

「はい。」

「では全部で金貨2枚です。」

「はい。」


金貨2枚。日本円で20万。

13歳でこんな金額をさっと払えるって‥‥‥

って去年も同じこと考えたな。


とか考えつつ支払いを終えて、店を出ようとしてはたと気付いた。


私、着替えてねぇ‥‥‥浴衣のままだった‥‥


「折角なのでそのまま歩かれては?」


と店長がとんでもないことを宣った。すると、当然。


「いいじゃない!マリン。そのまま歩いたら?」


やっぱり姉様が乗っかった。


「‥‥‥‥下駄、歩き続けたら足を痛めるんですよ?」


苦し紛れに言ってみたが。


「それならそれで自分で治療できるじゃない。」


ですよね‥‥‥


「‥‥‥‥‥‥分かりました。」


結局着て帰ることになった。そしてそのまま店の外に出ると。

思いっきり注目を集めた。何故か。誰も同じ格好の人がいないから。

この中を帰るのか‥‥と思っていると。


「あれ?マリンか?」

『え?』

と、全員で振り返ると去年冒険者ギルドで会った人達がいた。


「あ、お久しぶりです。」

「あ、やっぱりマリンか。本当に今年も来てくれたんだな。って女性ばっかりだな。」

「ふふっ。全員私の家族と親戚ですよ。」

「え?じゃあ‥‥‥」

「はい。レウス伯父様の家族がいますよ。」

「マリン?あの、誰?」

「去年冒険者ギルドで会った冒険者の人達ですよ。去年、レウス伯父様が慕われていたと話したの、覚えてますか?」

「ええ。」

「この人達のことですよ。」

『え!?』

「マリン。」

「すみません。お待たせしました。こちらがレウス伯父様の妹であり私の母で、こちらが伯父様の兄の娘であり私のいとこです。」

と母様とリジアをそれぞれ示しながら紹介した。


「そうか‥‥去年マリンには伝えましたが、レウスさんにはお世話になりました。」

と母様に頭を下げて言った。下げたのは一瞬だったが。


「そうですか‥‥。皆さんにとって兄さんはどういう存在だったのですか?」

「簡単に言いますと、尊敬する面倒見のいい兄貴‥‥ですかね。」

「ふふっ。そうですか。」


ふふっ。おじさんらしいな。


「妹さんから見たらどうだったんですか?」

「優しい兄でしたよ。私が落ち込んでたら一番に気付いて宥めてくれてましたね。」


変わってないな。おじさん。


「そうでしたか。」

それから少しの間、母様達はレウス伯父様の話をしていた。


「ふふっ。今年、マリンに誘われて初めて帝国に来ましたが、来て正解でした。」

「我々も嬉しいですよ。ありがとな。マリン。」

「ふふっ。いいえ。」

「ところでマリン。その格好なんだ?」

「浴衣っていうんですよ。」

『ゆかた?』

「私が作ったので売り物ではないですけどね。」

「自分で作ったのか!?‥‥‥器用だな。」

「そうですか?」

「ああ。っと。引き止めて悪かったな。またな、マリン。」

「はい。また。」


そして冒険者は去っていき、私達も帰路に戻った。


「ふふっ。さっきも言ったけど、帝国に来て正解だったわ。兄さんの軌跡を聞けたみたいで嬉しい。あの人達の中でも兄さんは生きてるって思えた。誘ってくれてありがとね。マリン。」

「ふふっ。どういたしまして。」

「マリン。」

「ん?」

「私達の伯父様ってすごい人だったんだね。」

「そうだね。」


そして私達は話ながら城に戻った。


陛下にも浴衣姿を見せることになったが‥‥‥。

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