213話 閑話 浴衣試着会
すみません。一気に書いてしまいました。
ちょっと長いです。
翌日。
私にとっては待ちに待った時間。
昼食後、そのまま女性陣全員を私達の部屋に連行‥‥もとい、来てもらった。
「ふふっ。皆様、集まってもらった理由分かります?」
「マリンがすごい笑顔だから‥‥‥例のゆかた?」
「正解です!姉様。」
「ゆかた?」
「あ、ルビアには話してなかったね。実際に見た方が分かりやすいし、もう出しちゃうね。」
そう言いながら私はストレージから浴衣と帯を五人分出した。
『おお~。』
「これがゆかた?」
「はい。そうです。どういう感じになるかはまず私が着て見せますね。」
と言ってさっさと着替えると。
「あとは髪型とか変えたりしますが、こんな感じです。」
『‥‥‥。』
あれ?固まった‥‥?
まず口を開いたのは姉様。
「マリン。」
「はい?」
「天才!!!」
「そ、そうですか?」
「えっと、マリンちゃん。これを私達も着ていいの?」
「むしろ着て頂く為に作ったんです!」
「マリン姉様が作ったのですか!?」
「うん。という訳で三人の姉様、リジア。着替えて下さいね♪」
『分かった。』
そして私が着付けていき、全員が着替え終わると。
「姉様達‥‥‥やっぱり期待を裏切らなかった‥‥美し過ぎます!」
「本当ですわ!」
「リジアも思った通り、よく似合ってる。可愛い。」
「そ、そう?私はマリンの方が可愛いと思うけど。」
「ううん。リジアは可愛い。」
「すごい目力ね‥‥。」
「さて、次は髪型です。母様、手伝ってもらえますか?」
「ふふっ。勿論よ。みんなでやりましょ。」
『はい。』
そして女性陣全員で浴衣姿の五人の髪型を変えて試行錯誤を繰り返し。ようやく完了すると、とても満足のいく仕上がりになった。
「やっぱり頑張って正解でした‥‥姉様達もリジアも絶対似合うと思ってたんですよね~。」
「ふふっ。確かにマリンちゃん天才だわ。マリンちゃん、すごく可愛いもの。」
「私は自分が着たいから作っただけですから。さて、リリ姉様、マリア姉様。その美しい姿、ヒスイ兄様とフレイ兄様にも見せて差し上げないとですね?」
「えっと‥‥本当に見せるの?マリンちゃん。」
「恥ずかしいなって思うんだけど‥‥。」
「駄目です。見せます。姉様、ヒスイ兄様とフレイ兄様の貴重な表情がまた見れそうじゃないですか?」
「見れそうね。」
「では、私が呼びに参りましょうか?」
「じゃあお願いしていい?ルビア。まず、ヒスイ兄様とフレイ兄様だけだよ。」
「はい!お任せください!行って参りますわ!」
と言って早速部屋を出たルビア。
「あ。流れるままに公爵令嬢を使ってしまった‥‥。」
「いいのよ。マリンちゃん。ルビアから言い出したんだから。」
「そうですか?‥‥‥あ。姉様、リジア。三人で一旦リリ姉様とマリア姉様を隠しませんか?」
「何で?」
「兄様達たまに残念なところを出しますので、結婚式の時の二の舞になりかねないなと。」
「「なるほど。」」
「それで納得するのね、二人共‥‥。」
「なら隠しましょ。」
ということで扉の前に集合してはいるが、私と姉様とリジアの背後にリリ姉様とマリア姉様を隠した。
そして。
コンコン
「来ましたよ~。どうぞ!」
ガチャ
「マリン姉様。ヒスイ兄様とフレイ兄様だけお連れしました。」
「ありがとう。ルビア。」
「いえ。」
「「‥‥‥。」」
「ヒスイ、フレイ。また妹達の株を下げたいの?」
「「は!」」
「今着てるのがゆかたか?」
「はい。そうですよ。ヒスイ兄様。」
「クリスもマリンもリジアもよく似合ってるな。」
「ええ。普段と雰囲気が変わって。可愛いよ。」
「ありがとうございます。ヒスイ兄様、フレイ兄様。」
「ふふっ。兄様達が一番見たいだろう二人は私達の後ろにいますので動きますね。」
と言ってマリン達が退くと。
「「‥‥‥。」」
二人を見た兄様達はまた固まった。
「兄様達~?」
「「は!」」
「リリ‥‥だよな?」
「そうですよ~?」
「綺麗で見惚れてた‥‥。」
「マリアも雰囲気が変わってて‥‥ドレスとは違った綺麗さだな。」
「マリンの言った通りだったわね。」
「ですよね?語彙力は結婚式の時もですが、やっぱりフレイ兄様の方があるみたいですね。」
「そうみたいね。」
「「‥‥‥。」」
「ヒスイ兄様。いかがでしたか?リリ姉様の姿、美しいでしょう?」
「ああ‥‥‥マリン。」
「はい?」
「マリンは天才だ!」
「へ?」
「俺も思った。五人共柄が違うのに全員が似合ってる。生地選びから天才だ!」
「そ、そうですか?でも生地選びはシリウス達も手伝ってくれましたよ?」
「そうなのか?」
「はい。シリウスとリゲルはリリ姉様達の弟なので好みとか分かるだろうと。男性目線を聞く機会にもなりましたしね。半ば強制的に手伝ってもらいました。」
「そ、そうか。」
「それで、マリン。折角可愛いのに手伝ってくれた人達には見せないの?」
「‥‥‥‥見せるべきですかね?やっぱり。」
「見せてあげなさい?マリン。」
「は、はい!」
母様の黒い笑顔が!
「じゃあ今度は俺が呼んでくるよ。」
「ヒスイ。どうせなら男性陣全員連れてきて。」
「え?はい。分かりました。」
「あ、なら俺も手伝います。」
「私もですわ。」
「よろしくね。三人共。」
「「「はい。」」」
そして三人が出ていくと。
「あら、私も大公と次期辺境伯と公爵令嬢を使ってしまったわ。」
「ははは‥‥‥ですね。」
しばらくして。
コンコン
「どうぞ。」
ガチャ
扉を少しだけ開けたルビアが顔を覗かせて。
「マリン姉様。全員いますが、誰からとかありますか?」
「あ。考えてませんでしたね。」
「ルビア。ラルクとアクアから入れて。」
「はい。」
「ラルク様とアクア兄様だけ先にだそうです。」
「分かった。」
ガチャ
ルビアと共に先にヒスイ兄様、フレイ兄様が入ってきて、その後に父様とアクア兄様が入ってきたが。
「「‥‥‥‥。」」
「‥‥‥母様。ヒスイ兄様達の反応ってもしかして父様に似たんですか?」
「正解よ。マリン。」
「「‥‥‥。」」
ヒスイ兄様達も黙ってしまった。気まずいからだろうな。
「そっくりですね。」
「そうね。」
「ラルク、アクア。何かないのかしら?」
「「は!」」
「あ、ああ。すまん。似合ってるぞ。みんな。」
「ええ。全員すごくよく似合ってる。マリンが全部作ったんだよな?」
「そうですよ~。アクア兄様。」
「天才だ!!」
「あ、ありがとうございます。」
何気に私の兄弟全員、同じこと言ってるな‥‥。
天才か‥‥?記憶を頼りに作っただけだしな‥‥?
「じゃあ後は全員入れてあげましょうか。」
「そうですね。」
そしてルビアが扉を開けて残りの五人を入れると。
「「「「「‥‥‥‥。」」」」」
また固まった。
「母様。何で全員一回固まるんですかね?」
「決まってるわ。マリン達が綺麗で可愛いからよ。」
「姉様達は確かにそうですね。」
「で、五人共。俺が言えることじゃないが、何かないのか?」
「「「「「は!」」」」」
「ま、マリン。似合ってるぞ。見惚れてなかなか言葉が出て来なかった。」
「あ、ああ。可愛いぞ。マリン。」
「確かに。よく似合ってる。可愛いよ。マリン。」
「マリン姉様。可愛いです!」
「四人共。嬉しいけど、何で私限定なのよ?」
「「「「あ。」」」」
「リジア、雰囲気変わってて可愛いな。」
「へ!?そ、そう?‥‥‥ありがとうベネトさん。」
「おう。マリンも似合ってるな。クリス様達も綺麗っすね!」
「「「「ありがとう。」」」」
「ふふっ。いいな~。マリン。」
「母様も着てみたいですか?」
「え?私も着て大丈夫なの?若者向けじゃないの?」
「そんなことありませんよ?生地の色合いを落ち着いたものにしたらいいんですし。しかも母様は綺麗だから問題なしです!」
「そう?じゃあ私も作ってもらえるかしら?」
「はい!喜んで。」
「私も着てみたいですわ。」
「いいよ。ルビア。」
「やりましたわ!」
「あ。去年申し上げましたが、ヒスイ兄様とフレイ兄様は聞くまでもなく作りますからね。」
「「ああ。」」
「みんなの見て男性用ってどんなのか興味が出てきたところだったからな。頼むな、マリン。」
「はい!母様に合わせて父様も着てみますか?」
「いいか?」
「勿論です。楽しみですね~。また反物買いに行かないとな~リジアも一緒に行く?」
「ふふっ。行くわ。」
「やった!」
「大丈夫か?マリン。前みたいに囲まれるぞ?」
「ふっ。ベネトさん。そんなの関係ありません。いざとなったら姿消して近くまでゲートで行って、直前で姿を見せればいいんです。」
「おう‥‥‥相変わらず有能だな‥‥。」
「ふふっ。でしょう?あ、浴衣の完成も見せないとだな。約束してるし。」
「マリン、いきいきしてるわ‥‥。」
「みたいね。」
「あ、姉様達も一緒に行きます?生地選び。」
「「「行く。」」」
「私もまた行っていい?」
「勿論です。母様。」
「また女性陣だけみたいだな。」
「ああ。でもマリンが楽しそうだからいいんじゃないか?」
「僕、ついて行こうかな‥‥。」
「勇気あるな。リオト。あの女性陣だけの輪に入れるのか?」
「‥‥‥‥‥そう言われると無理な気がしました。」
「心配しなくてもマリンなら気付いて別の時に一緒に歩けるだろ。」
「そうですよね!兄上。」
最終的に各々が好きに喋りだすカオスな空間と化したのであった。
この1話が長いし完全にマリンが楽しんでるだけなので「裏」に入れようかとも思いましたが、いつになるか分からないのでこっちに入れました。